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カノウおにいさんの気象・地震再発見

気象や地震についての目からうろこが出る話全集です。
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3日、関東以西では厳しい暑さ!尾鷲で38・6℃,東京都心や甲府などで本年初猛暑日を観測!

2016-07-04 01:29:05 | 日記
①3日24時までの全国各観測地点最高気温一覧図 気象庁HPより引用



②7月3日12時の天気図 気象庁HPより引用



③7月3日12時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用


7月3日は、関東以西の各地では、梅雨前線の活動が弱まって、その梅雨前線の南側に入ったため、各地で厳しい暑さとなりました。

三重県の尾鷲では、最高気温38・6℃と、観測開始以来の最高気温を観測しましたし、東京都心や甲府などで、本年初の猛暑日を観測しました。

この厳しい暑さですが、梅雨前線の南側で高温の気流が流れ込んできているところへ、前線の活動が弱まり、各地で日中、日差しに恵まれたことが大きな要因ですが、引用図①より、関東平野各地や,甲信南部、それに、紀伊半島南東部など、西側に山地を控えた地域でとりわけ気温が上昇しております。

引用図③より、関東以西の各地では、上空1000㍍〜3000㍍にかけて、概ね西寄り風〜西南西風が卓越していますが、静岡では、上空2000㍍以上で、風速が20㍍以上とぐっと強まっています。
これは、西寄り風〜西南西風が中部山岳南端に接触して収束し、風速が強まったことですが、この結果、中部山岳の東側にあたる、関東平野や甲信南部で、下層で下降気流となり、断熱昇温で気温が上昇したこと。
さらに、関東平野と同様な地形的特性である、紀伊半島南東部でも同様西て、断熱昇温が強まり、3日の高温となったわけです。

日中、意外に強風となりやすい東京湾岸から相模湾沿岸  4日の事例から

2016-06-08 08:21:53 | 日記
①6月4日12時の天気図 気象庁HPより引用



現在、京浜、京葉工業地域はじめ、羽田空港や、東京ビックサイトなどがある、東京湾岸地域ですが、日中、意外に強風となりやすいことは、皆さん!
ご存知でしょうか?

東京湾岸で日中、強風となりやすい風向は、南〜南西風。この原因ですが、日中、関東南部海上から関東平野内陸部に吹き込む海陸風の影響は大きいと推測されます。

関東平野では、夜間は、海陸部から海上へ吹く陸風が卓越しますが、日中になりますと、海上から関東平野内陸部に海風が卓越します。この海風ですが、関東平野北部では、おおむね南東風~南寄り風、関東平野南部では、おおむね、南寄り風~南西風が卓越して、関東平野南部沿岸部でとりわけ顕著になりますね。

これは 日中、海風の流れが、関東地方西部や北部の山地で合流して、合流した地域に地形性の低圧部を発生させます。この地形性低圧部が発生しますと、関東平野では、さらに、海風が顕著になるわけです。
さらに、この条件下で、関東平野南部上空で、風向が南〜南西風となると、そもそも、海風はその暑さが1000㍍程度ありますし、関東平野西部や北部山地が低圧部になることで、逆に、関東平野南部沿岸部では、日中、局地的に下降気流の場となりやすいために、海風の流れが強まり、強風に繋がるわけです。

②6月4日12時のアメダス関東地方周辺風向風速分布図 気象庁HPより引用



この日、東京都内江東区中央防波堤付近にある、東京都港湾局設置東京港波浪観測所での観測では、同時刻間際の11時20分に、南寄り風で13・1㍍毎秒、同日17時40分には、南南西風で14・9㍍毎秒(ともに10分間平均)での強風を観測しております。

引用図②からも垣間見れるように、前記した、海風の流れが、関東地方西部や北部の山地で発生する地形性の低圧部の発生位置は、

:奥多摩地域から秩父山地、山梨県金峰山周辺の発生するもの

:群馬県〜長野県東部、群馬県と新潟県境周辺に発生するもの

:栃木県北部方茨城県北部周辺に発生するもの

の3つありますが、とりわけ、が一番顕著で、このため、東京湾岸など、関東地方南部沿岸で、日中、海風が発達し易くなります。
(蛇足ですが、日中 前記、.に別れて流れる気流のため 群馬県南東部から埼玉県北部周辺では、日中、気温が特に上昇しやすく、夏季の高温に繋がるわけですね。)


さらに、日中、関東南部勝浦での、上空1000㍍の風速が、南西風~南寄り風の場合である場合の風速値が、東京湾岸での最大風速値となります。
ですので、 明け方頃は、関東平野の夜間吹区陸風の影響で、東京都心あたりで比較的風が弱めでも、上空1000㍍ 付近では陸風の影響を受けませんので、上空1000㍍付近の風向風速に注目することが、
この強風の対策となるわけです。

因みに、東京湾岸から相模湾沿岸で日中、強風注意報程度の風速になる目安は、

勝浦の風園は12㍍毎秒以上、

風向は
◇南〜南西風で、東京湾岸から相模湾沿岸にかけて

◇西南西風〜西寄り風ですと、千葉県南部沿岸部

になりますが、勝浦の風速が前記程度で、かつ、風向は南寄り風~南東風になりますと、東京都多摩地区八王子周辺や神奈川県相模原市津久井地区などでの強風となりますから、注意が必要ですね!

1日は、関東以西太平洋側で高温!そのカラクリは?

2016-05-02 08:20:16 | 日記
①5月1日12時の天気図 気象庁HPより引用



②1日10時~16時までのウインドプロファイラー時間高度分布図 気象庁HPより引用
:三重県尾鷲



静岡県静岡




5月1日、日本海から進んできた低気圧の影響で、東北地方では天気がぐずつきましたが、関東以西の太平洋側や内陸部中心に気温が上がり、
ところによっては7月中旬頃の陽気となった個所もありました。

全国各観測地点で最高気温が高かった主な地点と最高気温を順に紹介しますと

和歌山県新宮 30・2℃

高知県江川崎 30・1℃

宮崎県西米良 29・7℃

静岡県静岡 29・6℃

となっております。いずれも、西側に山地を抱えた地域となっていますよね。

③5月1日12時の全国ウインドプロファイラー風向風速分布図 気象庁HPより引用


ご覧のように、1日日中は、関東以西の各地上空では、上空1000㍍から上では、概ね西〜西南西となっています。このような風向の場合、例外なく、本州の、西側に山地を抱えている地域では気温が上昇するものでありますし、引用図③より、西日本上空よりも、関東静岡周辺や関東南部上空で風速が強まっているもの特徴です。
これは、一体なせでしょうか?

まず、引用図②をご覧ください

尾鷲、静岡ともに、上空1000㍍よりした側では、下降流が卓越して、この下降流こそ、高温をもたらした因ですが、尾鷲では、上空1500㍍付近より上側では、逆に上昇流が卓越しております。
これは?ですが、西〜西南西風が、紀伊山地中腹より上側に接触するようにしてぶつかり合い、その結果、上昇気流となったこと、当該、上昇気流が発生した反動で、隣接の、上空1000㍍より下側では下降気流が卓越した ということになります。

静岡でも、1日12時頃までは、上空2000㍍付近より上側で上昇流が卓越しており増す、西〜西南西風が、中部山岳中腹より上部に、前記したように、接触するようにしてぶつかり合ったためと
いうわけですね。その後、静岡では上空3000㍍付近までか交流が卓越しておりますが、これは、西寄り風が、中部山岳で分断されて、その間に静岡上空が入ったためですね。
引用図③より、静岡周辺上空や関東南部上空で、比較的風速が強まって入る原因が、この中部山岳で分断された気流と、東海道域上空を吹く気流同士が収束したため ですね。


このように山地に平行に吹く気流が上昇流を引き起こし、その反動で隣接地域に下降気流が卓越する。これぞ、1日の高温の原因ですが、とりわけ、中部山岳で気流が分断される状態下では、隣接東側の関東平野や静岡市周辺など、気流が下降しますので、やはり気温が上昇します。
中部山岳の風上側には、目立った降水はないことが多いですから、乾いたフェーン現象 と呼ばれるものです

建造物のダメージ大きい地震波が多かった熊本地震

2016-04-28 08:28:09 | 日記
①今回の熊本地震における加速度・速度応答スペクトル図 :は熊本市内 :は益城町
.内で ィ:は4月14日21時26分発生 ロ:は4月16日1時25分発生 の地震のものです。防災科学技術HPより引用。

※加速度。速度応答スペクトルとは、各々固有周期をもつ津建造物が、今回の地震を受けてどれだけの加速度(1㌢毎秒毎秒=1gal)速度(1㌢毎秒=1カイン)で揺れたかを示すものです。

;
ィ:


ㇿ:


:
ィ:


ㇿ:



未だに余震が頻発して、甚大な被害の様相が少しずつ判明しつつある熊本地震ですが、 上図より、以下のことが判明したといえます。

今回の熊本地震で、引用図にはありませんが、14日21時26分発生 16日1時25分発生とも 熊本市内では、最大加速度800gal~900gal 最大速度で60カイン〜80カイン 益城町では 1400gal〜1500gal程度、 最大速度で140カイン程度観測しております、
そして、 各固有周期における応答加速度や速度が、前記最大加速度・速度から1.5倍〜2倍程度観測している場合、当該固有周期で顕著な共振現象が生じていると言えます。

引用図①より、熊本、益城とも、固有周期0・5秒以上で、加速度1000gal、速度100カインを超えており、固有周期1秒辺りでは、速度200カイン以上となっております。

因みに、㍻7年兵庫県南部地震以降の被害地震 における 任意の各観測地点の加速度・速度応答スペクトル図 を記しました。(東京大学地震研究所HPより引用)


今回の熊本地震、兵庫県南部地震ほど顕著ではないものの、一般の木造住宅や中層建造物の固有周期である0・7秒以上で、速度200カインを観測し、当該固有周期あたりで、顕著な固有周期を発生させているといえ。この結果、建造物のダメージが大きく、おまけに、震度6弱から震度7の激しい揺れは、3日間で2回も発生したため、建造物のダメージはより一層大きくなったわけです。

熊本地震 今後は大分県内でも要警戒!!

2016-04-16 12:44:26 | 日記
引用画像は、16日10時30分気象庁発表の㍻28年熊本地震での主な地震の規模と震源地位置図です。
(青色丸とグレー色丸が、14日、15日発生、赤色丸が本日16日発生 のものです。)
気象庁HPより引用。



㍻28年熊本地震、大きな余震を頻発させながら、布田川・日奈九断層帯の中の北側の部分の活動が活発化して、この地域で、16日1時25分、今までで最大級となるマグニチュード7・3の地震を発生させて、熊本市や宇城市など、熊本県の広範囲で、震度6強〜6弱の激しい揺れを引き起こしました。

地震のマグニチュード(規模)と、当該地震を発生させた断層(震源断層)の長さの間には

※震源断層・・・L 地震の規模・・・M とすると

Log L = 0・6M-2・9 (松田の式)

Log L = 0・5M-1・85 (宇津の式)がありますが、
16日未明に発生した最大地震の規模である、マグニチュード7・3の場合ですと、震源断層は、およそ40㎞~50㎞となります。

仮に、当該最大規模の地震が、震源断層の真ん中で発生したとしても、震源断層は熊本県八代市付近から大分県南西部までに及びますが、引用画像より、16日になると、次第に、規模の大きな地震の震源地は、大分県南西部から中部にまで広がってきました。

熊本地震、今後の余震を含めた活動は、熊本県内のみならず、大分県南西部から中部に広がりそうですね。さらに、大分県内には、西南日本に走っている大きな断層帯である中央構造線の一部である、別府・万年山断層帯が、引用図でご覧のように、幾重にも連なっています。大分県南西部から中部で地震活動が活発化すると、この、別府・万年山断層帯が刺激されて活動を強めることも充分に考えられますので、細心の注意をもって一連の熊本地震の地震活動の推移を見守る必要がありそうですね。