
さて、ゴールデンウィーク前に買い込んで`家で聴いていたCDのレビューをしようか。
まず最初は、坂本龍一の「アウト・オブ・ノイズ」。
告白すれば、僕は坂本龍一は本当は好きじゃなかった。
でも、変な話だが映画「バベル」のエンディングで坂本龍一の曲を聴いて以来、本当に素晴らしいと思うようになった。自分の不明と聞き手としての未熟さを恥じ入るところである。すいませんでした。
このアルバムは、簡素なヴァージョンと、豪華なヴァージョンがある。音楽は同じだ。外装の部分である。
実は僕は坂本龍一さんに二度ほどインタビューをしたことがあって、そのうちいちどはかなり長く話をさせてもらったんだが、そのときに、坂本氏の環境問題への取り組みの、深さ、本気度に感服したんだが、このアルバムにもそれは現れていて、簡素板は、冒頭のPHOTOのように、ギリギリまで外装を簡素化してある。CDケースのフタがなく、ジャケット(二つ折りではない一枚の物)がフタになっている。で、もし必要なら、他のCDケースをリユースするように書いてある。
これは、スゴイ。
たぶん坂本氏は、環境負荷の最も少ないデータ配信がいちばんイイと思っているのだろう。俺もそう思う。一方でリアルのCDショップを大事にしたいとも思うアンヴィバレントな気持ちだが(ジャケ買いとか、推薦買いとか、衝動買いとか、そういうこともしたいんだよな)、どうせデータで録音しているんだから(いまやデジタル録音がほとんどである)データのまま配信する、FTPでダウンロードするとか、そういうほうが合理的、とも言える。で、アートワークが欲しい人は豪華バージョンを買えばいいのだ。
ただデータ配信で気になるのが、アルバム単位で買わずにバラバラに買う、というスタイルがメインになってしまう、という危惧。アルバムという存在が希薄化し、いわば全曲シングル、という現象になってしまうのかも。
さて、本論。スバラシイの一言に尽きるアルバムであって、特に一曲目のHibariは、俺が生まれて初めて環境音楽を理解した細野晴臣の「花に水」に通じる、ミニマルな音のタペストリーであり、しかもわずかのタイムラグ、あるいはずらした二度弾きをすることで、音楽が分解され、微分化され、異化されながら、目眩がするような深みを生み出している。5分の曲だが、まるで永遠の時間を体験するような気がするのだ。
もちろん、ほかにも素晴らしい曲がたくさんある。弦が入った曲、「composition 0919」はピアノの和音をサンプリングしパルスとして散らす、ピアノらしくない、ピアノを脱構築するような曲。さらに雅楽の笙が使われた音源、北極で録音された音が使われている数曲など、どれもコンテンポラリーで、シリアスで、しかも美しい。同時代を生きる、歴史的な作曲家じゃないか、と思う。
そういえばヤマハのサイトで坂本龍一氏のインタビューが掲載されている。読み応えがあるいいインタビューです、ああ、俺がインタビューしたかった……。
こちらです。
http://www.yamaha.co.jp/product/piano-keyboard/pianist-lounge/now/002/
まず最初は、坂本龍一の「アウト・オブ・ノイズ」。
告白すれば、僕は坂本龍一は本当は好きじゃなかった。
でも、変な話だが映画「バベル」のエンディングで坂本龍一の曲を聴いて以来、本当に素晴らしいと思うようになった。自分の不明と聞き手としての未熟さを恥じ入るところである。すいませんでした。
このアルバムは、簡素なヴァージョンと、豪華なヴァージョンがある。音楽は同じだ。外装の部分である。
実は僕は坂本龍一さんに二度ほどインタビューをしたことがあって、そのうちいちどはかなり長く話をさせてもらったんだが、そのときに、坂本氏の環境問題への取り組みの、深さ、本気度に感服したんだが、このアルバムにもそれは現れていて、簡素板は、冒頭のPHOTOのように、ギリギリまで外装を簡素化してある。CDケースのフタがなく、ジャケット(二つ折りではない一枚の物)がフタになっている。で、もし必要なら、他のCDケースをリユースするように書いてある。
これは、スゴイ。
たぶん坂本氏は、環境負荷の最も少ないデータ配信がいちばんイイと思っているのだろう。俺もそう思う。一方でリアルのCDショップを大事にしたいとも思うアンヴィバレントな気持ちだが(ジャケ買いとか、推薦買いとか、衝動買いとか、そういうこともしたいんだよな)、どうせデータで録音しているんだから(いまやデジタル録音がほとんどである)データのまま配信する、FTPでダウンロードするとか、そういうほうが合理的、とも言える。で、アートワークが欲しい人は豪華バージョンを買えばいいのだ。
ただデータ配信で気になるのが、アルバム単位で買わずにバラバラに買う、というスタイルがメインになってしまう、という危惧。アルバムという存在が希薄化し、いわば全曲シングル、という現象になってしまうのかも。
さて、本論。スバラシイの一言に尽きるアルバムであって、特に一曲目のHibariは、俺が生まれて初めて環境音楽を理解した細野晴臣の「花に水」に通じる、ミニマルな音のタペストリーであり、しかもわずかのタイムラグ、あるいはずらした二度弾きをすることで、音楽が分解され、微分化され、異化されながら、目眩がするような深みを生み出している。5分の曲だが、まるで永遠の時間を体験するような気がするのだ。
もちろん、ほかにも素晴らしい曲がたくさんある。弦が入った曲、「composition 0919」はピアノの和音をサンプリングしパルスとして散らす、ピアノらしくない、ピアノを脱構築するような曲。さらに雅楽の笙が使われた音源、北極で録音された音が使われている数曲など、どれもコンテンポラリーで、シリアスで、しかも美しい。同時代を生きる、歴史的な作曲家じゃないか、と思う。
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