ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
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観客までもがJazz! ウィントン・マルサリスLIVE AT THE HOUSE OF TRIBES

2006年07月28日 00時39分39秒 | CD&コンサートレビュー
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『スタンダード・ライヴ/LIVE AT THE HOUSE OF TRIBES』
ウィントン・マルサリス/Wynton Marsalis
TOCJ-66266

昨年末から、高校のブラスバンド以来吹いていなかったトランペットを復活し、ヤマハ銀座アネックスで開講している原朋直さんのジャズトランペットのレッスンに通い始めました。取材がキッカケだったんですけどね。ミイラ取りが……。

で、ジャズのトランペットのアルバムを以前よりよく聞いています。このアルバムは、ウィントン・マルサリスという現在のジャズトランペット界をリードする人のリーダーアルバムです。やたらかっこよかったiPodのテレビCMでトランペットを吹いていた人、といえばご存じの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

彼は十代の時に彗星のように登場し、若き天才と称されたのですが、その後音楽性も音色もどんどん円熟味と深みを増しており、個人的にはナンバーワン・トランペッターだとリコメンドできます。このアルバムでも抜群のテクニックと、太く渋く温かいややダークな音色が本当に素晴らしく、唸らされます。

これはライブ盤ですが、どうやら非常に狭いところで少人数のお客さんの前で演奏しているようで、拍手の数も聞き分けられるほど。観客のオシャベリや、よーく聞くと咳までも聞き取れます。

で、それが良くないのか! というと、これがいいんです。実に。このライブの客たちはすごいですよ。ちょっと気が利いたフレーズが出ると、すぐに「イェー」とか「ワオ」とかどんどん反応する。アドリブ中でもどんどん拍手する。もっともっと行けーと言っている感じで、なんだかまるでいっしょに演奏しているかのようです。そうなれば演奏する方も嬉しいわけで、それに反応してプレイヤーはますます燃える。それが白熱の好演となって記録されています。CDの最後に収録されている曲は多分、音だけで想像すると、観客もいっしょになって踊って行進してますね。

いい演奏って、ミュージシャンだけが作るんではないんですね。演奏家と聞き手といっしょになって幸福な時間を共有する、それが結果として素晴らしい音楽となって残る。そんなことが痛感できる素晴らしいアルバムです。ジャズ好きな方だけでなく、音楽が好きなすべての方におすすめしたい一枚です。ぜひ御一聴ください。


今回ご紹介のCDは、こちらのページで試聴できます。
http://musicstore.goo.ne.jp/title/AMPTtRGWY/index.html

アルバムの紹介はこちらにあります。
https://www.toshiba-emi.co.jp/jazz/artists/w-marsalis/index_j.htm

ヤマハ銀座アネックスでの原朋直さんのジャズトランペットのレッスンは私が編集長をしているヤマハウェブサイト「おとなを、休む日」の「レッスンを、楽しむ日」でご紹介しています。
http://www.holiday.yamaha.co.jp/concierge/lesson/020/index.html