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ほぼ週刊イケヤ新聞ブログ版

コピーライター・ミュージシャン池谷恵司の公式ブログです。
私的メールマガジン「ほぼ週刊イケヤ新聞」のブログ版です。

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その101

2012年07月27日 09時44分39秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】


 

祝 連載101回!

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、


 

外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で

 

物凄い量のものを
見る、読む、聴く。

私も見習いたいと思っております。 



 

 

 

ピーノさんからいただいているメールマガジンを

 

ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。

 

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 読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。


毎月一度テーマを決めて行われる「ふじのくにの“旬”を食べ尽くす会」の
7月の例会に参加しました。 『富士桜マス(大型ニジマス)を食べつくせ』が
テーマで、白糸の滝養鱒場(富士宮市)で育った富士桜マスを刺身や焼物
(塩麹・照り焼き)、東寺揚げで上村農園(磐田市)産アスパラガスを巻いて
出すなど、かなり手の込んだ懐石料理でした。富士高砂酒蔵提供の地酒も
用意され、今回は募集人員が殺到したため、開催日を2回に分けての会食
になり、第1回は合計47名(女18、男29)出席。食いしん坊の集まりでした。

久しぶりに横浜のみなとみらいに行ってきました。 東横線沿線に住んで
いたころは、たまに週末中華街に中華料理を食べに行きましたが、「みなと
みらい線」が開通して便利になってからは、2年に一度開催する「楽器フェア
:パシフィコ横浜」に行くくらいでご無沙汰でした。ランドマークタワー周辺は、
赤レンガ倉庫や山下公園・中華街エリアとも違い、ミニ新宿副都心のような
印象が強く、平日は完全にビジネスと観光が混在した空間なんでしょうね。
ランドマーク内のトロピカル調のお店で食べたワッフルがすごいボリューム。

先週行った神島で印象的だったのは港からすぐの路地に石の台があり、
大きな時計が置かれていたことでした。その時計の前の家に住むお年寄り
の話では、薬売りの行商が島の家々を回るようになり、当時島には時計が
なく彼らが寄贈したのが発端で、今の時計は3代目なんだそうです。現在も
薬売りのひとが各家庭を訪問して薬を補充していることにも驚きますが、単
に利ざやを稼ぐだけではなく、島民がよく通る狭い路地に時計を置き、社会
的貢献(CSR)を行っていることは、昔から島民の生活に密着した結果です。
http://www.kirari1000.com/www.kirari1000.com.base_data.base_data.phpQkirari_cd=03714.html

【展覧会】

奈良美智 「君や 僕に ちょっと似ている」(横浜美術館、★★★★☆)
2001年に開催された個展から実に11年ぶりで横浜に里帰り。 ここ1、2年
の新作(2011~12年制作)ばかり。最初の展示ルームに、ブロンズや白銅
でできた大きな少女の頭がドカンと置かれ、まるでメキシコのオルメカ文明。
カンヴァスや板にアクリルで描いた絵と、紙に鉛筆や色鉛筆でラフスケッチ
をしたデッサンなど計108点。 前回の多様な表現方法:犬や皿や人形等と
異なり、とことん少女の顔と表情にこだわり、以前に比べ、目の形と色使い
が温和なレインボーカラーで、『春少女』や未完の『Cosmic Eyes』が強烈。
http://www.nara2012-13.org/

【演劇】

■ハイバイ 「ポンポンお前の自意識に小刻みに振りたくなるんだ ポンポン」
(こまばアゴラ劇場、12/07/21 ★★★★) 劇団を主宰する岩井秀人の作・
演出で、荒川良々(大人計画)と安藤聖が息子と母親役で共演。 子どもの
テレビゲームの話題から、母親はフリーライターとして友人が参加する劇団
のエチュード(コンビニ客と店員の即興劇)を取材。 気弱な引っ込み思案の
男の子(荒川)と強気な母親(安藤)に、独善的な劇団代表・演出(岩井)の
三者を通して、決して明るい話ではないのに、時々笑ってしまう要素を含み、
つい10数年前に見られた過去の日常生活の断片を思い出させる舞台です。
http://hi-bye.net/2012/06/08/2219

■「千に砕け散る空の星」(シアタートラム、12/07/21 ★★★☆)
英国の3人の劇作家による共作の脚本を、文学座所属の上村聡史が演出。
世界があと三週間で終焉を迎える状況下での物語。 映画『メランコリア』の
設定に似てます。5人兄弟と年老いた母親の確執を中心に、病気で最期を
迎える長男(中嶋しゅう)、娘(安藤サクラ)と孫(碓井将大)を故郷に連れて
帰ろうとする次男(大滝寛)、人生の成功者と自負する三男に距離をおく妻、
放浪する四男など、第一部が少し冗長過ぎ、第二部が緊迫する展開となり
ラストの白光までがアッという間で、地球最期の日を家族で迎えたら幸せ?
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/07/post_283.html

【映画】

■おおかみこどもの雨と雪 (★★★★)
細田守監督が原作・脚本の新作アニメ。 絶滅種である「ニホンオオカミ」の
末裔である“おおかみおとこ”と恋に落ち、2人の子どもの母親となった女子
大生の子育て奮闘記。 夫を亡くし、東京から田舎(富山)に移住してからが
抜群に面白く、自然と人間が共存して、素人農業の苦労や雪の草原を走る
母と子どもたち、豪雨のなかの山林風景、村人たちとの交流や学校の授業
を通して、それぞれが力強く成長していく姿が生き生きと描かれます。 父の
写真を出すことで家族の絆を確認し、子どもが母から離れていくときを描写。
公式HP ⇒ http://www.ookamikodomo.jp/index.html

【Book】

■小田嶋隆 「小田嶋隆のコラム道」(ミシマ社、12/06/03 ★★★★)
日経ビジネスONLINEで毎週金曜に掲載される彼の「ア・ピース・オブ・警句」
は、多分今一番面白い連載コラムですが、毎回取り上げる題材とその説明
の仕方が独特なんです。この本は、5年がかりで完成させたコラムに関する
定義、書き出し、文体、推敲までを具体的な事例をあげて書き、第二部では
追記する形で要約、裏読み、長さなどを補足しています。 巻末の特別対談
では、「シティロード」(情報誌)時代からの小田嶋ファンを自認する内田樹氏
をゲストに迎え、二人の文章に対する取組み方が語られ、思わず笑う内容。
http://www.mishimasha.com/books/odajima.htm

小田嶋隆のコラム道
小田嶋 隆
ミシマ社


■西原理恵子 「生きる悪知恵」(文春新書、12/07/20 ★★★☆)
60名+5名(プロの作家・漫画家)からの人生相談に単刀直入、即回答して、
結論を一言。「ウソをうまく使えばいい」「正しいだけでは生きていけないこと
もある」と考える著者の今までの豊富な人生経験にもとづくアドバイスです。
なにしろ英語嫌いを克服する結論は一言「フィリピン・パブに行け!!」(笑)で、
年下女性への愛の告白は「さっさと当たって砕けましょう。 ただしシラフで」
副題『正しくないけど役に立つ60のヒント』そのまんま。 彼女の絵が少ない
のが残念ですが、この表紙の黄色を背景にした自画像はインパクト100%。
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784166608683

生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)
西原 理恵子
文藝春秋


【オマケ、今週の気になった言葉】

本日は先週に続き、官邸前デモ(再稼働反対)に参加してきまぁ~す。
(友人Mのメールより)

高1の同級生だったMと近況報告のメールのやり取りしていたときの最後の
何気ない言葉。(ご当人には無断で転用させていただきます) 東京在住か
地方在住か、普段はほとんど意識していないことが、あるときフッと、「アッ、
そっか。今は東京にいないんだ」と思う瞬間があります。週末、荻窪の実家
や下北沢や三茶周辺で演劇を見ているときには全く感じない、地方在住者
の感覚なのかもしれません。 毎週金曜日に首相官邸前でデモが行なわれ
始めたのはツイッターによるつぶやきからで、それが東京新聞や朝日新聞
で取り上げられ、地方のテレビニュースでも放映され、実際に起こっている
ことと頭では認識してますが、今まで今ひとつ“距離感”があったんですね。
それが、年に数回会うか会わないかの旧友のひと言で一気にその距離が
縮まり、“傍観者”ではあるけれど、身近な出来事になってしまう不思議さ。
小田嶋隆さんが「ア・ピース・オブ・警句」で、官邸前のデモに参加する前の
感想を書いていますが、「でも(デモ)じゃないよ だからだよ」に成る程です。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20120719/234639/?rt=nocnt

では。


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その100

2012年07月18日 22時34分21秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

  ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その100

 

祝 連載100回!

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、


 

外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で

 

物凄い量のものを
見る、読む、聴く。

 


私も見習いたいと思っております。 



 

 

 

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読者の皆様、感想等ございましたら


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三連休の中日(なかび)、伊良湖岬沖にある神島に行ってきました。この 
島は、三島由紀夫の小説『潮騒』の舞台になった場所で、現地取材のため、 
彼が1ヶ月滞在した「寺田さんの家」(サイン入り初版本が置いてあるらしい) 
「八代神社」 「神島灯台」 「監的哨(かんてきしょう)」など、1周約4kmの島を 
1時間半かけて徒歩で見て回ることができます。東側高台から伊良湖水道 
を一望でき、石灰岩が風化してできたカルスト地形の岩肌など見所があり、 
山道のアップダウンで汗だくになってから港で飲んだビールは最高でした。 
http://www.city.toba.mie.jp/kikaku/ritoushinkou/kamishima/html/kamishima.html

 


その晩は以前から気になっていた「和のオーベルジュ」(宿泊設備のある 
レストラン)を目指す宿に泊まりました。 ちょっと古びた鉄筋3階建ての建物 
で、エレベーターはなく 3階の部屋まで階段です。 和洋折衷の創作料理に 
こだわり、「Course Create」を選択。 最後の「生姜チョコ&キャラメルチャイ」 
まで全15品! 梅酒の「食前酒」から、「赤ピーマンのババロア」 「大あさりの 
味噌クリーム煮」 「お造り」 「すっぽんのスープ/フォアグラとフカヒレの湯葉 
包み」 「かさごの酒蒸し」など手の込んだ料理で朝食も素晴らしかったです。 
http://newirago.com/


5日に生まれたパンダの赤ちゃんを「明るい話題」と喜んだのもつかの間、 
11日に母乳が気管支に入り、肺炎を発症して亡くなるまで、わずか一週間 
の出来事でした。 これからの成長に期待がかかり、2年後に中国に返すの 
返さないのという議論も出始めたところで、突然の訃報でした。 昨年7月に、 
和歌山アドベンチャーワールドで、(8頭のうち)6頭のパンダを見たときには 
当たり前の風景だったんですが、今となっては貴重な体験で、上野動物園 
でも今回の失敗経験を、ぜひ二度目のチャレンジに活かしてほしいですね。 

9年連続、36回目の出場となる「第83回都市対抗野球大会」(毎日新聞 
社主催)の第一回戦の観戦で東京ドームに行きました。 九州三菱自動車 
(福岡市)との対戦で土曜の午前10時半に試合開始。 選手曰く、「昼間の 
東京ドームはとにかくボールが見づらく、フライが上ると白天井に同化して、 
見失ってしまう・・・」その言葉通り、相手の左翼へのライナー性の当たりを 
レフトとセンターが見失い、三塁打となって、失った2点目が決勝点となり、 
9回裏は一死三塁まで攻めたものの「2 対 1」で初戦敗退でした。ガックリ。 

【演劇】 

■「温室」(新国立劇場小劇場、12/07/08 ★★★★) 
2005年ノーベル文学賞を受賞した英国の劇作家・詩人 ハロルド・ピンター 
(Harold Pinter 1930-2008)による戯曲を深津篤史が演出。 精神病棟を 
思わせる収容施設内での出来事。 絶対的な権力を握る所長(段田安則) 
の下、部下(高橋一生)から患者の出産の報告を受け、父親の犯人探しを 
厳命するところから、虚実と過去・現在が交錯して、何が実際に起きたこと 
なのか分からなくなります。観客席で舞台をはさみ対面する形のステージ 
が設けられ両面の壁には大鏡を設置。 常に自分に向かい合う舞台美術。 
http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_id=32870 

【映画】 

■BRAVE HEARTS 海猿 (★★★) 
シリーズ4作目。「アレ、前作で確か最後だったはずでは?」と思ったものの、 
海上保安庁の特殊救難隊に配属になった、仙崎(伊藤英明)と同僚の吉岡 
(佐藤隆太)が、羽田空港沖に緊急着水することになったジャンボ機の乗客 
と乗員を救助する物語。仙崎は家族と東京での団地暮らしの生活にも慣れ、 
吉岡は恋人(仲里依紗)にプロポーズした直後、キャビンアテンダントとして、 
乗務した航空機が事故に遭う偶然と、最後の最後のクライマックスシーンは 
あざとい見せ場(演出)ですが前作同様“感動作”で大ヒット間違いなしです。 
公式HP ⇒ http://www.umizaru.jp/index.html 

■へルタースケルター (★★★☆) 
岡崎京子の未完漫画を蜷川実花が映画化。全身の整形手術を行いトップ・ 
モデルとなり、アイドル化していく主人公りりこ(沢尻エリカ)のスキャンダル 
がテーマ。蜷川監督らしい、赤を基調に原色を強く印象付ける色彩が多用 
され、スチール写真の撮影現場では監督自らカメラマンとして出演。「美貌」 
の崩れが、隠されていたエゴと欲望を一気に露出させ、混乱した滅茶苦茶 
な状態(ビートルズの楽曲の原題の意味)になります。 マネージャー役の 
寺島しのぶが好演しており、沢尻エリカの美しさがラストまで際立ってます。 
公式HP ⇒ http://hs-movie.com/index.html 

【Book】 

■大久保純一 「カラー版 北斎」(岩波新書、12/05/22 ★★★★) 
長野県小布施で、北斎が天井に描いた巨大な「鳳凰図」は強烈なインパクト 
がありました。 読みやすい文章ではありませんがカラー図版を多く取り上げ 
ながら丁寧に解説。版木を彫る彫師修行から絵師に転身して、錦絵や摺物 
(すりもの)、狂歌絵本、絵手本となる「北斎漫画」、挿絵などで名声を広め、 
代表作となる「冨嶽三十六景」や「富嶽百景」を発表。定規とコンパスを使い、 
幾何学的な作画法を試みたり、独自の遠近法を開発し、舶来顔料であった 
プルシアン・ブルー(ベロ藍)を使用したり、常に新しい技法を積極的に導入。 
http://www.iwanami.co.jp/hensyu/sin/sin_kkn/kkn1205/sin_k652.html 
カラー版 北斎 (岩波新書)
大久保 純一
岩波書店


■「小川洋子の偏愛短篇箱」(河出文庫、2012/06/06 ★★★☆) 
小川洋子が選んだ16の短篇小説集。彼女のコメントが各短篇のあとに書か 
れており、とにかく奇妙で風変わりな短篇が並びます。江戸川乱歩の「押絵 
と旅する男」、「不思議の国のアリス」の話を残酷にしたような金井美恵子の 
「兎」、ネタばれ映画批評の谷崎潤一郎の「過酸化マンガン水の夢」、子ども 
のころの笑えるエピソードである宮本輝の「力道山の弟」。 内田百聞や尾崎 
翠、森茉莉、島尾伸三など初めて読む短篇も多く、吉田知子の「お供え」は、 
日常のちょっとした変化からとんでもない話に発展するオチが凄かったです。 
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309411552/ 
小川洋子の偏愛短篇箱 (河出文庫)
小川 洋子
河出書房新社

【オマケ、今週の気になった言葉】 

日本人全体が、日本列島の一億三千万人全体が劣化してるから。今の 
日本は、社会システムとしても、そこに住んでいる人間たちの質そのものも、 
ゆっくり地盤が沈下するように劣化している。 
(by 内田樹 ブログより、12/07/12) 

昨年、松山で行われた第3回伊丹十三賞の受賞記念講演における内田氏 
の80分スピーチ(「伊丹十三と戦後精神」)が彼のブログに掲載されてます。 
「なぜ標準的な伊丹十三論が存在しないのか」から、義弟大江健三郎との 
関係、著書「ヨーロッパ退屈日記」の執筆意図、1933年生まれの“戦中派” 
で同世代の江藤淳との共通点を示し、映画『北京の55日』に関する故意の 
言い落とし、「日本をまともな国にする」という仕事と「貧乏くささ」などを分析 
して、彼がめざしていたのは『日本の伝統的なものの中の質の高いものに 
対して繰り返し敬意を表する』ことではなかったかと考えます。伊丹十三が 
もし今存命していたなら『日本人はここまで誇りをなくしたのか』と深いため 
息をつくだろうと想像して上記の言葉につながります。「孤立することを恐れ 
ない勇気」が“伊丹十三の魅力”と語る内田氏の深い裏読みに感心します。 
http://blog.tatsuru.com/2012/07/12_1036.php 

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その99

2012年07月11日 08時38分44秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その99

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で物凄い量のものを
見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。 

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
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読者の皆様、感想等ございましたら
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上野動物園のパンダ「シンシン」(メス・7歳)が赤ちゃんを出産したという
ニュースは久しぶりに明るい話題です。和歌山のアドベンチャーワールドに
8頭(オス・メス各4頭)、神戸の王子動物園に1頭(メス)、東京上野に3頭、
計12頭になったわけですね。 メキシコに駐在中、散歩がてら徒歩10数分
で自宅から行けるチャプルテペック公園の中に、入場無料の動物園があり、
当時はメス3頭がいて、2008年に死亡した上野の「リンリン」が何度か空輸
されお見合いをしましたが、性格不一致?でうまくまとまらない縁談でした。
http://www.tokyo-zoo.net/topic/topics_detail?inst=ueno&kind=news&link_num=9050

2ヶ月ぶりの“Guitar 'n' Beer会”を、いつものスペインBarで(女3、男3)。
今回は2日遅れの「七夕 Night」+ギター演奏で入社4年目となる同期入社
の男女4名に、オジサン2人の組み合わせ。当初の開始予定時刻通りには
始まらないところが、いかにも“ラテン・タイム”のノリです(笑) 「コブレンツ
国際ギターフェスティバル」に出張したNさんのレポートから、中南米の国々
の諸事情や危ない話で盛り上がり、最後はNさん、Oさん2人のギター演奏
を聴きながら、デザートもしっかり食べて、とっても心地良い贅沢なひととき。

日曜日の午後、京王線に乗っていると笹塚駅の直前で緊急停止。何か
地震でも起きたのかと不安になると、「新宿-笹塚間で人身事故が発生の
ため」と車内アナウンス。この春、「14年連続で自殺者が3万人を超えた」と
いうニュースがありました。 日本武道館の収容人数の倍くらいの人たちが、
年間亡くなっているわけですが、普段は特に気にもかけない“他人の自殺”
が、あるとき突然、訃報の連絡ではなくて、列車の停止によってもたらされ、
ひとの命について考える時間に出会うのは、いかにも首都圏的瞬間です。
http://blogs.bizmakoto.jp/fukuyuki/entry/4983.html

【演劇・舞踊】

■「コルセット」(ザ・スズナリ、12/07/07 ★★★)
前川麻子の作・演出。 高校教師たちの個人的な集まりである「読書会」と、
あるスキャンダルによる人間関係のもつれを描いた混沌とした愛憎劇です。
国語教師(伊佐山ひろ子)の創作小説と美術教師(明星真由美)が書いた
日記から物語が展開していき、高校生の息子をもつ英語教師(松永玲子)
と同僚教師の浮気や生徒との噂など、教職員の間の会話が妙に生々しく、
教育現場にいる教師も一般企業のオフィスで働くサラリーマンやOLと同様、
自分に都合のいい解釈で行動します。女性の孤立と男の無頓着さが共存。
http://confetti-web.com/detail.asp?tid=112956

■大駱駝艦 「ウイルス」(世田谷パブリックシアター、12/07/07 ★★★★☆)
今年結成40周年を迎えた、大駱駝艦の“集大成”ともいえる圧倒的な舞台。
主宰者 麿赤兒(まろあかじ)は、来年、「富士山の日(2.23)」に70歳を迎え
ますが、おそらく、すさまじい練習量の成果と思われる22名(女9、男13)の
「艦員」による舞踊は見応えがありました。蜘蛛の巣が張られたステージで
他の細胞に寄生して、増殖を繰り返すウイルス(Virus)の様子が暗黒舞踊
のフォーマットで表現され、御大(麿)はさすがに圧倒的な存在感で中盤と
終盤の限定的な踊りになりますが、よく統率のとれた迫力ある内容でした。
http://www.dairakudakan.com/

【映画】

■崖っぷちの男 <原題 MAN ON A LEDGE>(★★★☆)
ノン・ストップ・ムーヴィーともいうべき、畳みかけるようなスピード感を伴った
カット割りが印象的。ニューヨークのホテルの21階の窓枠の外に立ち、自殺
を図って身の潔白を証明しようとする男(S・ワーシントン)と彼から交渉役に
任命された女性刑事(E・バンクス)。 飛び降りようとする男の身元が分かる
のにちょっと時間がかかり過ぎますが、現場の横のビルで宝石強盗が並行
して起こります。強欲な実業家をエド・ハリスが好演。 終盤に向けて辻褄が
だんだん合わなくなり、破綻寸前で強引にまとめてしまったという終わり方。
公式HP(音声注意) ⇒ http://disney-studio.jp/movies/gakeppuchi/

■少年は残酷な弓を射る <原題 We need to talk about Kevin> (★★★)
子育てに悩み、神経過敏になる母親(T・スウィントン)と、幼いころから反抗
的な態度をとる息子(E・ミラー)とのうまくいかない関係が延々と描かれます。
兄を慕う幼い妹や、何とか理解し合おうとする父親とも一線を引き、殻に閉じ
こもったままの自閉症ぎみの息子。 大惨劇を予想させるシーンが断片的に
提示され徐々に事件の全貌が明らかになりますが、なんとも救いようのない
絶望的な結末です。子ども時代、自分の名前と同じ韻を踏む主人公の物語
に熱中するエピソードが猟奇的な事件を暗示して、なんとも重たい映画です。
公式HP(音声注意) ⇒ http://shonen-yumi.com/

【Book、新書】

■町田徹 「東電国有化の罠」(ちくま新書、12/06/10 ★★★★)
元日経の経済部キャップによる国家的な危機になりつつある「東電国有化」
のおカネの問題を検証。 財務省、経済産業省、金融庁、東電、大手銀行の
五者が相互に責任と負担を回避して、そのツケを増税や電気料金を値上げ
して国民に回そうとする仕組みを説明。 本来、発電所の売却など自助努力
策で経営合理化を計るべき東電の経営責任の追求は全くなされず、少なく
見積もった賠償総額など、唖然とします。 今後、賠償、除染、廃炉の3つの
費用が際限なく膨らみそれを支払うのは日本国民以外にいないという事実。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480066725/

東電国有化の罠 (ちくま新書)
町田 徹
筑摩書房


■高城剛 「人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか」(祥伝社新書、
12/07/10 ★★★) 本の副題は「スペイン サン・セバスチャンの奇跡」です。
フランスとの国境、バスク地方の港町 San Sebastianから広がった「ヌエバ・
コッシーナ、nueva cocina:新しい料理法」を紹介。 「ここ10年で美食の街に
変貌」と書かれていますが、1980年代から既にミシュラン・ガイドで星が付く
レストランが2、3軒あり、旧市街に集中するバル(Bar)の食べ歩きは昔から
スペイン国内では有名でした。残念なのは著者と現地の人との交流がなく、
表層的なガイドブックとして在留邦人の又聞き情報の羅列にとどまってます。
http://www.s-book.net/plsql/slib_detail?isbn=9784396112844

人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか―― スペイン サン・セバスチャンの奇跡(祥伝社新書284)
高城 剛
祥伝社


【オマケ、今週の気になった言葉】

原発とは着陸方法を決めないうちに打ち上げてしまった有人宇宙ロケット
のようだ。自分に火を放ち、火事にしてしまわなければ、ばか力は出ない。
(by 舟越桂<彫刻家> 「遠くからの声」より)

2003年に発行された舟越氏の作品集(写真家豊浦正明氏の撮影)のなか
で書かれたコメント。 福井県大飯原発再稼働は、目先の「猛暑がくるかも
しれない」と「関西エリアの電力が不足するかもしれない」の“2つの可能性”
の理由によるものらしいですが、どちらもあまり説得力がありません。原発
の再稼働を見送っている他のエリアでは、「たとえ猛暑がきても」他の代替
エネルギーによる発電でやっていけそうですし、夏場の電力事情が何事も
なく過ぎると、今度は「冬に電力不足が起きるから稼働し続ける」とヘリクツ
を主張するのでしょうか。着地点を定めていない「有人宇宙ロケット」がどこ
に着陸、或いは落下するのか、再稼働を決めた人たちは原発から出てくる
放射性廃棄物の管理も含めて、末永く見届けていただきたいものですね。
http://www.show-p.com/funakoshi/


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その98

2012年07月04日 23時15分59秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その98

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で物凄い量のものを
見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。 

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
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読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。

<hr>

メキシコ・ケレタロ州に世界で3番目に大きな一枚岩と言われる『ぺニャ・ 
デ・ベルナル』という観光地(パワースポット)があります。 週末、たまたま 
業務でメキシコに来ていた同期のDを誘い、知り合いの日産の駐在員家族 
と一緒に行ったことがあります。登山口に駐車場があり、ロッククライミング 
の練習場でもあるらしく、傾斜の急な岩道を登っていくわけですが、意外と 
本格的な装備は必要なく、軽装で上のほうまで登れてしまうんですね(笑) 
周辺が一望できる眺めが素晴らしく、下山してお店で飲んだビールが最高。 
http://ameblo.jp/his-mexicocity/entry-10406891821.html


オーストリア人の画家 グスタフ・クリムト(Gustav Klimt、1862-1918)の 
【生誕150年記念モデル】として、ベーゼンドルファー社から世界25台限定 
でグランドピアノが売り出されています。価格は13,125,000円(税込)です。 
ピアノの大屋根(フタ)の内側に、『接吻(Der Kuss:1908)』の絵が描かれ、 
金箔の装飾がほどこされています。クリムトの絵画とベーゼンドルファーの 
音色が好きな“お金持ち仕様”で、先日、あるミニコンサートでこのピアノを 
見る(聴く)機会がありましたが、さすがに良い響きがする高級楽器でした。
http://boesendorfer.jp/products/limited/klimt.html 

東急田園都市線「三軒茶屋」駅を北出口の階段から上がると下北沢に 
通じるバス通り(茶沢通り)があり、その道を北に歩くと、『てけてけ』という 
名前の居酒屋があります。焼き鳥や博多水炊き専門で、テイクアウト用の 
窓口は夕方になるとお客さんが途切れず並び、週末は3階まで一杯になり 
ます。 ここは生ビールのジョッキが299円とか、焼き鳥が1本99円からとか、 
徹底した学生価格です。夕方早い時刻は、近所のオバサンたちや中高年 
のオヤジでにぎわい遅くなると若者が占領。観劇前の一杯に最適のお店。 
http://www.sancha-st.com/search/Sc_dst/shop_165.html 

中部電力のひとと台風4号の停電について話す機会があったんですが、 
市内各所で長時間に渡り停電が起きたのは、「塩害」のせいで、暴風雨が 
止んだ午後10時過ぎから真夜中にかけて海からの強い南風が吹いたこと 
によって、潮風に含まれた塩分が電柱の高圧機器の碍子(ガイシ)に付着 
したことが原因だったそうです。塩分が碍子に付着すると絶縁状態が低下 
して、絶縁破壊を起こして壊れてしまうとのことで、これだけ広範囲で塩害 
による停電が起きたのは、この地域では6年ぶりとか・・・。 海塩恐るべし。 

【映画】 

■ラム・ダイアリー <原題 THE RUM DIARY>(★★★) 
1960年のプエルトリコを舞台に、地元土地開発業者の悪巧みを飲んだくれ 
ジャーナリスト(ジョニー・デップ)が潜入取材をして告発!を予想してました 
が見事ハズレ(笑) リゾート開発の提灯(宣伝)記事を書くため米企業家に 
言い寄られ、彼の婚約者(A・ハード)に夢中になるわ、お金と車を借りるわ、 
「これがジャーナリズム?」と思わせる、なんともトホホの内容。 化粧をして 
いないJ・デップの映画は、「ツーリスト(The Tourist:2010)」以来久しぶり 
ですが、海賊モノやファンタジー映画の2枚目半役と異なりどうも中途半端。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://rum-diary.jp/ 

■臨場 劇場版 (★★☆) 
横山秀夫の小説のテレビドラマを映画化。 この映画の残念なところは割と 
早い時点で犯人が誰か分かってしまうこと、主人公の検視官(内野聖陽) 
が推定死亡時刻に疑問を持つのに、専門であるはずの凶器に関する検証 
が何もなされていないこと、の二点につきます。 通り魔殺人事件が発端と 
なり、遺族の葛藤、過去の誤認逮捕など、本筋とは違う要素を盛り込んだ 
結果、冗長となり、「それはないんじゃない」と思える不自然な展開が後半 
多くなります。無料のテレビドラマならOKでも、有料の映画ではNGですね。 
公式HP ⇒ http://www.rinjo-movie.jp/ 

■ネイビーシールズ <原題 ACT OF VALOR>(★★★★) 
最新技術と兵器を使用した米軍の海軍特殊部隊の活動を紹介。中南米で 
起きたCIA職員の救出作戦は、落下傘による降下部隊と高速艇ボート2台 
をヘリコプターで輸送して援軍のバックアップ体制を確立。 実話をベースに 
ロケ地での撮影と編集に工夫を凝らし、中南米、アフリカ、英国、メキシコ 
を経由して、アメリカ国内で大規模な自爆テロを行おうとするイスラム原理 
主義のテロリスト集団の犯行を“身体を張って”守る特殊部隊スタッフの姿 
が強烈です。他国に治外法権で勝手に乗り込む米国の徹底したテロ対策。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://navyseals.gaga.ne.jp/official/ 

【Book】 

■片山虎之介 「蕎麦屋の常識・非常識」(朝日新書、12/06/30 ★★★★) 
蕎麦(そば)に関するすべて(歴史、食べ方、品種、作り方、つゆ、うまさ)を 
とことん隅々まで追求した“蕎麦好き”のための一冊。藪蕎麦御三家と呼ば 
れる「かんだやぶそば」「並木藪蕎麦」「池之端藪蕎麦」から、ソバの品種や 
刈り取り、素材にこだわり、「手打ち」と「機械打ち」の違いを説明。 蕎麦屋 
の魅力は突き詰めれば「職人技の楽しみ」であり、それぞれの味の違いに、 
店主のメッセージが込められてると考える著者。岐阜県下呂市の『仲佐』や 
兵庫県丹波市の『大名草庵(おなざあん)』には一度行ってみたくなります。 
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13892 
蕎麦屋の常識・非常識 (朝日新書)
片山虎之介
朝日新聞出版

■原田マハ 「楽園のカンヴァス」(新潮社、12/01/20 ★★★★☆) 
この本はおススメ。「税関吏」や「日曜画家」と言われ、生前はほとんど評価 
されなかったアンリ・ルソー(Henri Rousseau)の代表作『夢』(1910)にまつ 
わる物語。 大原美術館で“監視員”の仕事に就く女性と、ニューヨーク近代 
美術館(MoMA)のキュレーター(学芸員)が、1983年、スイスのバーゼルで 
ルソーのある作品の鑑定依頼を受ける7日間の話。晩年のルソーの貧困と 
キュービズムに移行する時期のピカソとの出会いが描かれ、二人の推理と 
その作品にまつわる謎がとても刺激的! 2012年山本周五郎賞受賞作品。 
http://www.shinchosha.co.jp/book/331751/ 
楽園のカンヴァス
原田 マハ
新潮社

【オマケ、今週の気になった言葉】 

画家を知るには、その作品を見ること。 何十時間も何百時間もかけて、 
その作品と向き合うこと 
(by 原田マハ 「楽園のカンヴァス」 P276より) 

「コレクター、キュレーター、研究者、評論家。 コレクター以上にもっと名画 
に向かい続ける人もいるな。誰かって?― 美術館の監視員だよ」と、続き 
ます。日本には全国いたるところに国立、市立、私立、個人美術館が乱立 
して、特に東京では年がら年中「大○○○展」が開催されそれなりに人が 
集まり、ネット検索では古今東西の名画のデジタル画像を見ることが可能 
です。 高1の夏にエルミタージュ美術館で初めてイタリア・ルネサンス期や 
印象派の絵画を見て以来、さまざまな国でいろいろな絵を見てきましたが、 
「オリジナル(原作)」に接するという行為はすごく贅沢で素敵な時間です。 
現在、マドリードのソフィア王妃芸術センターに展示されている『ゲルニカ』 
(ピカソ作)も、最初に見たのはニューヨークのMoMAで、駐在員時代には、 
プラド美術館の別館に展示され、結局、バスク地方のナチスによって空爆 
された「町」へ行ってペンションに泊まるという経験まで含めて、すべては、 
一枚の絵から始まったそれぞれの「個人の思い入れ」の歴史なんですね。 


では。

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その97

2012年07月01日 22時25分59秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その97

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で物凄い量のものを
見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。



読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。

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先週の台風4号は、夕方から夜10時ごろまで暴風雨となり、帰宅の際は
折りたたみ傘が何度もひっくり返り、激しい風と雨でずぶ濡れになりました。
午後8時半ごろから市内のあちこちで停電となって自宅は大丈夫でしたが、
隣接するN町エリアは翌日午前中まで停電が続きました。 テニススクール
は窓のサッシのすき間からの雨漏りで、カーペットコートが使用不可となり、
レッスン休講となったり、海から運ばれた塩による“塩害”で本格的な家庭
菜園ではトマト・キュウリが被害に遭い、自然の力に「なすすべなし」です。

大学時代、「中世美術」の授業で、ルネサンス期のドイツ人画家で彫刻
家のデューラーがイタリアに行く場面(ドイツ語文章)を翻訳する機会があり、
美術史専攻の教授から、「当時の画家は木工作業も自ら行い板絵の額縁
制作も自分で枠を組み立て縁を彫ってた」という話が印象に残っています。
ただ絵を描くことだけが画家ではなく、絵を飾る額縁まで含んだスペースが
彼らの作品であるという、ちょっと“目からウロコが落ちる”講義内容でした。
木材の扱いにも当然慣れ彫刻を彫るのも同じ創作作業だったわけですね。

新東名の「新富士インター」は富士というよりほとんど“富士宮インター”
です。東京や甲府や富士五湖からの帰り道が、より近く便利になりました。
富士宮というと、全国的にB級グルメ・グランプリの「焼きそば」が有名です。
個人的には2年連続で“蔵開き”の日に訪問した「富士高砂酒造」と、その
正面真向かいに店舗をかまえるお肉屋さん「さの萬」に馴染みがあります。
「萬幻豚」の肩ロースや焼肉用の牛カルビ、自家製ソーセージやメンチカツ、
コロッケなどのお惣菜も充実。 つい寄り道して夜は「焼肉」になります(笑)

ブラジルやメキシコは雨季・乾季に分かれ、雨季は激しい雷を伴った雨
が降り、“バケツをひっくり返したような”外出先では雨宿りをする以外、どう
しようもない状態になります。 一度、サンパウロの事務所の前の大通りが、
一瞬で川になり、雷が近所に落ちて目の前のPCが『BOM!』と音を立てて
ハードディスクドライブから黒煙が上がったことがあります。 PCは廃棄処分
となり、中のデータもパーとなってしまった苦い経験があり、スタビライザー
(Stabilizer)という電流の安定器を付けていてもほとんど無意味でしたっけ。

【演劇】

■スピリチュアルな1日 (あうるすぽっと、12/06/23 ★★★☆)
放映予定だった映像テープに何も録画されておらず、急遽、撮り直しを行う
ことに決めたテレビディレクター(石田明:NON STYLE)と、半年前に突然、
交通事故で亡くなってしまった先輩の女性プロデューサー(須藤理彩)との
ラブストーリー。 いかさま霊媒師(片桐仁)や隣の奥さん(吉本菜穂子)と、
先に住み着いていた地縛霊(猪塚健太)などが入り乱れたドタバタ喜劇で、
シラーッとすっとぼけた片桐とエネルギッシュで騒ぎまくる吉本が好演して、
本当の気持ちを伝えられずに、悔いを残した主人公を明るく盛り立てます。
http://www.amuse.co.jp/stages/sp/

■薮原検校 (世田谷パブリックシアター、12/06/23 ★★★★)
井上ひさしの戯曲を栗山民也が演出。トリックスターのような盲太夫(浅野
和之)の語り手と、ギター伴奏(千葉伸彦)が三味線代わりに“浄瑠璃”や
フラメンコ的な情熱と愛憎を表現。盗みや殺人を犯しながら、お金で「検校」
の地位にたどり着こうとする杉の市を演じる野村萬斎の唄に舞に長ゼリフ
は、まさに“適役”といえ、圧巻です。井上ひさし流の駄じゃれをてんこ盛り
にした言い回しに時代の流れを感じます。 水色のジャケットを着て通路側
の席から観劇していた三谷幸喜さんが、終演後、足早に帰る姿が印象的。
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/06/post_278.html

【映画】

■アメイジング・スパイダーマン <原題 The Amazing Spider-Man>(★★★☆)
スーパーマンもバットマンも従来のスパイダーマンも、今までの米国コミック
のヒーローは、決して「自分が何者であるか」を周囲のひとに明らかにせず、
秘密を守ることが原則でした。 ここでは、叔父夫婦に育てられた主人公(A・
ガーフィールド)が同級生の彼女(E・ストーン)に、いとも簡単に自分の正体
を明かしてしまうのが“今風”なんでしょうか。最後の最後でやっと3D映像を
効果的に使った場面が現れ、エンディングクレジット後には続編を予想させ
る思わせぶりなカットがオマケ。 両親の失踪と遺伝子操作は謎のままです。
公式HP ⇒ http://www.amazing-spiderman.jp/

【Book、文庫】

■小川洋子 「おとぎ話の忘れ物」(ポプラ文庫、12/04/05 ★★★☆)
小川洋子の文章に、樋上公美子が描く妙に官能的な少女たちの絵が合体
した「忘れ物図書館」に所蔵された4つのおどぎ話。 白鳥の形をした陶器に
入っている「スワンキャンディ」の一粒一粒を味わいながら、どの話も残酷で
悲劇的な結末を迎える幻想ファンタジー。 グリム童話の現代版『赤ずきん』
のような「ずきん倶楽部」、不思議の国の主人公を連想させる「アリスという
名前」、人魚姫伝説の「人魚宝石職人の一生」、そして“湖の雫(しずく)”と
なる「愛された白鳥」。濃厚で刺激的な後味が余韻となって強く残る短編集。
http://www.poplar.co.jp/shop/shosai.php?shosekicode=81011870

おとぎ話の忘れ物
樋上 公実子
ホーム社


■松本尚久 「落語を聴かなくても人生は生きられる」(ちくま文庫、12/06/10
★★★★) 落語評論家ではない、落語を外部から見た人たち:小林信彦、
池内紀、三國一朗、小倉千加子他を通して、落語の存在を読み解くことが
目的のアンソロジー。 古今亭志ん朝の「最後の10日間」、明石家さんまの
どんなに成功しても埋まらない「欠落感」、東日本大震災発生2日後に行わ
れた寄席、桂枝雀の鬱病は「<死ぬのが怖い>病」、「上手く演じるなんざァ
芸人の恥」と言う立川談志。「落語は本来、そんなにご大層なものであろう
か?繁栄と衰退はつねにコインの裏表のような関係」と、著者の締め言葉。
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480429476/

落語を聴かなくても人生は生きられる (ちくま文庫 ま 44-1)
松本 尚久
筑摩書房



【オマケ、今週の気になった言葉】

「震災後」の私たちの社会に広がっている不安心理は、社会、経済、政治
の全域にわたる、広範で根が深いものである。
(by 筑紫哲也 「文化を考える」(日本経済新聞出版社)より)

広報部で宣伝・広告の担当をしていたとき(2001-03)に、毎月一回異業種
の宣伝・広告担当者による勉強会が、何度か赤坂のTBS本館で開催され、
当時「NEWS23」のキャスターをしていた筑紫哲也さん(1935-2008)を局内
の廊下で見かけたことがあります。 いつもニヤッと笑みを浮かべた横顔が
魅力的でした。彼がここで言っている「震災後」は1995年1月17日に起きた
阪神大震災とその2ヶ月後に起きた地下鉄サリンの一連の事件のことです。
今、日本では17年前と同じ殺伐とした景色があり、「いつか見た風景」では
ありませんが、学習能力の欠如というか、17年前に起きたことの「リプレー」
(再生)のような気が。 「サリン」と「放射性物質」の違いはあっても、ひとの
死に直結する「人間が作り上げたモノ」による、やり場のない恐れと不安感
と閉塞感が充満しています。 こんな時期に、衆議院本会議で「社会保障・
税一体改革」関連法案が採決され、民主・自民・公明など賛成多数で可決。
今、日常生活や経済からもっとも離れたところで抗争しているのが「政治」。


では。


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その96

2012年06月21日 03時00分19秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その96

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で物凄い量のものを
見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。



読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。

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1978年に浜松市で創業して、現在は東京に本社がある住宅メーカーが、
静岡県と浜松市に3年間で300億円の寄付を行い、遠州灘(浜名湖入り口
の東岸から天竜川西岸、約17.5km)に、津波対策の防潮堤を作る合意が
3者間でなされました。中田島砂丘はウミガメの産卵や浜松祭りの凧揚げ
会場でも知られていますが、こういう場所に想定津波(最大10m)を上回る
高さの防潮堤を17.5kmも作るんでしょうか。 「ミニ万里の長城」を建設する
ことで、市民はいつまで防潮堤の維持管理費を負担し続けるんでしょうか。
http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/20120612/CK2012061202000068.html

昨年11月に女の子を出産したT記者を囲み、浜松経済記者クラブOG会
に割り込みで参加(女2、男4)。 今春異動されたM記者、静岡から参加の
N記者、特別ゲストが某大手企業の元役員と広報マンというスゴイ顔ぶれ。
「夜討ち朝駆け」の取材エピソード、サッカーや野球の話題から、防潮堤や
新東名高速の経済効果までさまざまな話で盛り上がりました。すぐ近くに
ある一流ホテルの元料理長だった人が作る懐石料理はなかなかの味で、
5年目となるこの店は今回初めて。 さすがM記者の知り合い情報は的確。

今月の「ラテン会」(別名:ラ族)は、定年を迎える「Yさんお疲れ様会」で、
ゲスト2名が加わり総勢23名(女2、男21)。 ベネズエラ、パナマ、フランス、
イタリア、UAE(ドバイ)に駐在経験があり、中南米・欧州・中近東と、まさに
ワールドワイド。 Yさんの辞書には「人見知り」という言葉はなく、社交的で
オープンで、誰とでもすぐに親しくなる天性のラテン気質が備わっています。
ロスやラスベガス、フランクフルトで、多くのインポーターやディーラーを引き
連れて飲み歩くYさんを何度も見かけました。 長年の勤務ご苦労様でした。

【落語】

■柳家喬太郎独演会 (クリエート浜松、12/06/14 ★★★★)
普通は挨拶代わりに時事ネタや噺家仲間の枕(前置き)から入り、その日
の本題に移っていきますが、この日の喬太郎は、枕部分をかなり省略して、
すぐに「家見舞」と「猫久」、中入り後、「牡丹燈籠~お札はがし~」を披露。
新築の引越し祝いを「水がめ」の代用品で済ませようとする二人の弟分の
ドタバタを描いた「家見舞」はご馳走を食べる場面で大笑い。 中国の古典
を日本風にアレンジした「牡丹燈籠」は、両思いが実らない悲しい恋とひと
の強欲さを描いた怪談。 弟子をとらない喬太郎の江戸の会話は名人級。

【映画】

■スノウホワイト<原題 Snow White & the Huntsman>(★★★)
グリム童話の「白雪姫」が原作。最先端のCG技術を駆使した映像は大人
向けファンタジー。 魔法を使う王妃(C・セロン)が国王を暗殺して若さと美
を兼ね備えた王女スノウホワイト(K・スチュワート)に毒リンゴを食べさせ、
殺そうとする話。カメレオンのようなやけに物分りのいい怪獣が出てきたり、
7人の小人が老けたオッサンたちだったり、ディズニーの子供向けアニメの
裏返し(大人版)です。若くない王妃の若さと美への執着と、王女の若さと
成長と冒険を対照的に描いており、ラブストーリーを期待するとハズレです。
公式HP ⇒ http://snowwhite-movie.jp/

■愛と誠 (★☆)
冒頭、子ども時代をアニメで紹介。昭和歌謡の懐メロがあり、ダンスがあり、
演出過剰で梶原一騎の原作漫画のパロディにしてはちょっとひどすぎます。
 「愛」お嬢様役の武井咲(えみ)のズッコケ演技と、何も考えず喧嘩っ早い
だけの「誠」(妻夫木聡)の二人の関係が、全く噛みあっておらず、どこまで
も平行線で、最後の最後で“無理やり”くっつけてしまった印象が残ります。
安藤サクラと伊原剛志のぶっ飛んで開き直った演技が、唯一の救い(笑)。
公式HP ⇒ http://aiandmakoto.jp/

■ホタルノヒカリ (★★)
綾瀬はるかファンにとっては彼女のコミカルな演技を見るだけで楽しめます。
でも、彼女に特に関心のないひとにとっては“ひどい映画”かもしれません。
藤木直人とのコンビでテレビドラマを映画化したものですが、せっかくローマ
を舞台にしながら、あまり笑えない中途半端なドタバタ恋愛コメディに終始。
ホテルに滞在する謎の日本人女性(松雪泰子)という設定も薄っぺらですし、
突然「誘拐」と思わせる展開も、その結末は「なんじゃこれ」で唖然とします。
公式HP ⇒ http://www.himono-movie.jp/index.html

【Book】

■伊藤守 「テレビは原発事故をどう伝えたか」(平凡社新書、12/03/15
★★★★) 「3.11」から一週間、NHKと民放各社の報道を検証。専門家や
政治家が、“被曝”という深刻な事態が起こりつつあるとき、「ただちに健康
に影響はない」という言葉を繰り返し、「軽微」な方向を示す発言に終始して
いる様子が分かります。 速報性が求められるテレビというメディアがどんな
報道をしていたか、事故の経過と各局における具体的な発言を取り上げて
おり、第6章で同時期インターネット上でどんな情報が流れていたかを紹介
している点も興味深く、「情報の価値」が「共有」にこそ存在することを指摘。
http://www.heibonsha.co.jp/catalogue/exec/viewer.cgi?page=browse&code=85_631

テレビは原発事故をどう伝えたのか (平凡社新書)
伊藤 守
平凡社



■西成活裕 「疑う力」(PHPビジネス新書、12/06/01 ★★★☆)
「渋滞学」や「無駄学」で知られる東大先端科学技術センター教授の著書。
第3章 数字、統計データに要注意!が面白く、「LED電球の普及率70%」
(金額ベース)や「食料自給率40%」(カロリーベース)など数字は事実でも
算出方法が異なっている点を指摘。 特に食料自給率は、ほとんどの国で、
「生産額ベース」で算出されており、カロリーベースは日本ぐらい。 生産額
ベースだと日本は“70%”になりそれほど低い数値ではありません。「疑い
ながらも最後は信じる。そんな人生が望ましい」という著者の考えに納得。
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-80351-7

疑う力 (PHPビジネス新書)
西成 活裕
PHP研究所



【オマケ、今週の気になった言葉】

酒を飲んでいるとたいてい昔のことを思い出す。昔のことを思いださずに
酒を飲むということはあり得ないね。ということはダ、なつかしいか、にがい
か、それは人によるとして、つまり弔辞を読んでいるということなんだよ。
(by 開高健、「白いページ」(光文社文庫) P163より)

ここで開高健が書いている「弔辞」は、故人への別れの言葉だけではなく、
音信不通の知人、最近会っていない友人、過去の出来事の失敗や心残り、
その他もろもろの“昔のことやひと”に対するオマージュ(敬意・賛辞)という
気がします。毎日の仕事は、現在であり、未来のためにつながる架け橋の
ようなもんですが、オフ・タイムでくつろいで、外や自宅で、ちょっと酒を飲み
たくなる瞬間があります。それは、「とりあえず、ビール」であったり、ワイン
だったり、焼酎や日本酒のアルコール飲料で、知り合いや仲間、一人でも。
要はフッと「今、そこにいない彼/彼女はどうしてるのか?」を考えるときに
アルコールのほろ酔い加減が、いい感じで思い出の手助けをしてくれます。
逆に酒を飲みながらの読書やスポーツは全くダメで、頭と体がついて行か
なくなり、文字やボールを目で追うことが面倒になってきてしまいます(笑)


では。


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その95

2012年06月12日 23時01分26秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その95

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で物凄い量のものを
見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。



読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。

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南欧の経済危機で、ギリシャに続き、スペインの銀行における不良債権
問題と不動産バブルの崩壊、20%代半ばの高い失業率が指摘されてます。
中南米諸国への飛び火も考えられ、大変な状況であることは間違いないん
ですが、その一方で「リーガ・エスパニョーラ(La Liga)」と呼ばれるサッカー・
リーグは、レアル・マドリードとバルサ(FCバルセロナ)の2チームを筆頭に、
活況を呈しています。イタリアもそうですが、国は貧しくても国民はそれなり
にスポーツ観戦を楽しむゆとりがあるわけで、そこがラテンの奥深さですね。

大阪市長による「市職員と教職員の入れ墨調査」。福岡市長の「全職員
と教職員、約1万8000人に対しての外出先での飲酒の1ヶ月間自粛要請」。
人気お笑い芸人の母親の生活保護不正受給に対して、自民党議員による
バッシング。一連のこれらの局地的な話題の報道って、“全国ニュース”で
取り上げる内容ではなく、自分たちの選挙を想定した「メディア対策」であり
事前運動(売名行為)ですね。 どうでもいい話と言うつもりはありませんが、
報道するメディア側に彼らの宣伝に加担している自覚があるのか疑問です。

経団連会長だった故土光敏雄氏の言葉に【少数精鋭】は「精鋭(優れた
人)を少数使う」のではなく、「少数にすれば皆精鋭になる」。 つまり、既に
能力のある人材を選抜して仕事に当たらせるのではなく、雑多な人たちを
集め、彼らを厳しい現場で鍛え上げて全員の能力を上げるという意味です。
先日、ある総会の交流会の席上、新会長になられた方が冒頭のご挨拶で
「わが社の【少数精鋭】の意味は・・・」で土光氏の言葉に近い内容を語り、
彼の会社の節約ぶりは有名な話で会場内は思わず笑いに包まれました。

【演劇・落語】

■リリオム (青山円形劇場、12/05/27 ★★★☆)
ハンガリーの作家モルナール・フェレンツの戯曲(1909)の舞台化で100年
以上前に書かれ、ミュージカル「回転木馬」の原作となった作品。 ちょっと
ぶっ飛んだ内容です。 町のチンピラ、リリオム(池松壮亮)がユリ(美波)と
知り合い、物語の半ばで彼は殺されてしまい「これから一体どうなるの?」
と観客に思わせたところで舞台は暗転して天国に(笑) 神様が悪態をつく
彼に善行をさせるために地上に戻して、ユリと彼の娘に再会させるラストが
意表をつく結末で感心しました。 銀粉蝶や中山祐一郎など脇役陣が好演。
http://www.nelke.co.jp/stage/liliom/

■春風亭小朝 独演会 (アクトシティ浜松大ホール、12/06/03 ★★★★)
小朝の落語は久しぶり。 二ツ目の瀧川鯉斗(こいと)は、“元暴走族総長”
とのことですが落語と芸(南京玉すだれ)はまだまだこれからの人ですね。
小朝は居酒屋のオヤジと酔っ払いとのやり取りが笑わせる「ぼやき酒場」、
幕末京都で新撰組の近藤勇を語った「池田屋」、夏向き怪談話「お菊の皿
(皿屋敷)」の三席。 野田首相と小沢一郎会談を皮肉り、「恋のバカンス」
のフリとAKB48やローラのモノマネをはさみ、駄じゃれを連発。相変わらず
テンポの速いソツがない落語ですが、志らくの“江戸の風”とは別モンです。
http://ameblo.jp/koasa-blog/

【映画】

■君への誓い <原題 THE VOW>(★★★☆)
追突事故により数年間分の記憶を失った新妻(R・マクアダムス)に対して、
夫(C・テイタム)がどのようにして彼女と距離を置き再度付き合い始めるか
を描いた恋愛もの。苦労して録音スタジオの経営者になった彼と事故後の
生活に耐えられず妻は裕福な実家に戻り、久しぶりに家族や友人、元カレ
と過ごすうちに自分がなぜ家出したのかが明らかになります。 シカゴ市内
の美術館で、仲間うちで挙げる結婚式が可笑しく、母親役ジェシカ・ラング
の出演も懐かしく意外な展開はないものの、新たな始まりの兆しがラスト。
公式HP ⇒ http://www.kimi-chikai.jp/

■外事警察 その男に騙されるな (★★★☆)
NHKサスペンスドラマの映画化。警視庁公安部外事課の主任(渡部篤郎)
が、核開発に関わり脱北した研究者の身柄を確保、日本に移送するところ
からスタート。貿易会社の張り込み、社長夫人(真木よう子)に対する強引
な捜査協力と情報収集、韓国諜報機関(NIS)の潜入捜査官との衝突など、
公安部の実態は、「こんなもんじゃないでしょ?」と思わせる裏面が描かれ、
日韓両国の俳優が入り乱れ、テロリストたちとの戦いは、ちょっと拍子抜け
してしまう呆気ない結末=ご都合主義で、最後までウソを貫く所がご立派。
公式HP ⇒ http://gaiji-movie.jp/

■ガール GIRL (★★★)
奥田英朗の小説を映画化。広告代理店(香里奈)、不動産(麻生久美子)、
文具(吉瀬美智子)、自動車(板谷由夏)の企画・営業職に勤務する4人の
女性たちの物語。 仕事や恋や息子の悩みを抱えて、それでも“ガール”の
気持ちを持続したい女心を彼氏や周囲の男たちは全く理解できず、それが
大きなストレスになって、一人で頑張り過ぎて勝手に疲れて悪循環に陥る
パターン。20代後半~30代半ばの実際のOL世界はもっと過酷で大変だと
思いますが「人生の半分はブルーで焦りまくる」女性の一面を描いてます。
公式HP ⇒ http://www.girl-movie.jp/index.html

【Book】

■ネルケ無方 「裸の坊様」(サンガ新書、12/05/01 ★★★☆)
兵庫県の山奥にある曹洞宗・安泰寺のドイツ人住職。 ドイツのキリスト教
文化の中での座禅体験を語り、仏教は「哲学と宗教と身体の三つの統合」
と考える著者。 1921年に京都で道元禅師の『正法眼蔵』を研究するため
の施設として建てられた安泰寺が、兵庫の山間地に移った経緯が面白く、
具体的に座禅の方法と呼吸法を伝え何よりも大事なのは「ただ坐ること」。
日々の座禅と自給自足の修行生活と、家族に対する経済的責任に触れ、
全世界を叢林(そうりん:禅寺)として“共生”をテーマに生きることを表明。
http://www.samgha.co.jp/products/shinkan/s_053.html

裸の坊様 (サンガ新書)
ネルケ無方
サンガ


■和久井光司 「放送禁止歌手 山平和彦の生涯」(河出書房新社、12/04/30
★★★★) 高校在学中にURCレコードからデビュー。1st.アルバム『放送
禁止歌』(1972)の2曲が放送禁止歌となった山平和彦氏(1952-2004)が、
デビューから“ひき逃げ”されて亡くなるまでの人生を関係者と家族に取材。
秋田での高校時代の活動、東京での生活、岐阜に拠点を構え東海エリア
を中心にしたツアー。 1970年前後の音楽業界、URC~ELEC~ベルウッド
など新興レコード会社/プロデューサーと、シンコーミュージックとの関係が
興味深く、最終章の残された子ども(姉弟)たちへのインタビューでホロリ。
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309273150/

放送禁止歌手 山平和彦の生涯 (放送禁止歌手 山平和彦の生涯)
和久井 光司
河出書房新社


【オマケ、今週の気になった言葉】

自宅から会社まで毎日同じ道を行き来するのを私ならやめます。 できる
だけ違う道を歩いて見ることです。新しい道を歩けば必ず新しい発見があり
ます。 それを年をとっても試みるのが私の人生です
(by 邱 永漢<実業家・作家>、「文藝春秋」 2011年12月号より)

先月16日に米寿(88歳)で亡くなった“お金の神様”こと邱永漢氏の言葉。
ある年齢に達すると、遠回りより“近道”を選ぼうとする傾向が強くなります。
それは自分の残された人生の時間をつい考えてしまうのか、なるべく早い
うちに目的地に着いてよりゆっくり過ごしたいからなのか。 いずれにしても
段々とせっかちになって途中の寄り道を楽しむことがほとんどなくなります。
そして、草花の変化や季節の風景の移り変わりすら見落としてしまいます。
「新しい発見に出会うためには新しい道を歩かなきゃいけない」当たり前と
いえば当たり前ですが、「できるだけ違う道を歩いて見る」ことは、ひとつの
物事に固執せず広い視野と柔軟な思考で好奇心を全開にすることですね。


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その94

2012年06月03日 22時04分40秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その94

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で物凄い量のものを
見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。



読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。

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「ラテン会」(別名:ラ族)の“拡大版”として、パナマから帰国されたDさん
ご夫妻と、これからブラジルに赴任するAさんの歓送迎会が行われ、4組の
夫婦と日本出張中アルゼンチン人経理マンも参加(女7、男16、計23名)。
21年前に会社の転進プランで独立されて関西エリアで事業展開するOさん
も久しぶりに参加。OBから入社3年目の女性まで、新旧さまざまなメンバー
が集まり、パナマ、ブラジル、ベネズエラ、メキシコと、駐在時期はそれぞれ
異なるものの、中南米の思い出と話題で盛り上がり楽しい夜になりました。

その2日後にDさんを囲み、いつものスペインBarで「スペイン会」(男8)。
2008年に亡くなったF氏の「偲ぶ会」以来、4年ぶりの集まり。この夏、定年
を迎えるDさんが主賓で 8名中5名が「ラテン会」メンバー。 スペインで一緒
に働いた現地人スタッフ 3名から贈る言葉をメールで取り寄せ、お店で働く
マドリード出身のスペイン人に代読を依頼してちょっとしたサプライズ演出。
とんでもない行動を起こした元営業スタッフや特約店オーナーの話が出て、
久しぶりにスペイン駐在員時代をアレコレ思い出し懐かしいひとときでした。

最近東京メトロ「副都心線」(渋谷-池袋間)に乗ることが増えています。
JR「渋谷駅」経由よりも東急田園都市線への乗り換えが便利なんですね。
(地上2階から地下3階より改札口を通らず地下5階から3階に上がるだけ)
もっとも今は比較的空いていますが、これが今年度中、東急東横線と相互
乗り入れでつながると、東横線の“ターミナル駅”機能(改札)がなくなって、
ただでさえ狭い田園都市線と半蔵門線をつなぐ「渋谷駅プラットホーム」は、
東横線から乗り換える人たちが殺到してかなり危険な状態になりそうです。

【演劇】

■東京タンバリン 「婦嶽百景」(吉祥寺シアター、12/05/26 ★★★☆)
高井浩子が主宰・作・演出する劇団の新作。「富嶽三十六景」(北斎)から
富士山のさまざまな景色ならぬ、30代半ばの女性、主婦3人の本音トーク
と表と裏を使い分ける会話術から女性のさまざまな場面を描写。 3人の夫
たちの家庭内での存在感がなく夫婦の会話はほとんどすれ違い。 認知症
の兆候が見られる母親と絵のモデルと浮気して義弟にお金を借りる画家。
いつもの、暗転がなく音楽と俳優の動きにより場面転換が行われる演出と
人力で回転する舞台を客席が取り囲むデザインは独特でスピード感あり。
http://www.musashino-culture.or.jp/k_theatre/eventinfo/2012/02/post-2.html

■イキウメ 「ミッション」(シアタートラム、12/05/26 ★★★★)
ここ数年、さまざまな演劇賞を受賞した前川知大が主宰する劇団の新作。
本公演は小川絵梨子が演出。「世界のバランスをはかる重要なミッション」
をもつ主夫業の怜司(安井順平)と彼を支える妻(太田緑ロランス)。 彼の
「本当の仕事」が何であるのか、一見“太極拳のような身振り”を行う以外、
具体的な説明は一切ありません。 そんな彼の行動に、父親から町工場を
引き継いだ兄は不満を持ち、2組の兄弟と2組の夫婦の葛藤が並行します。
大雨による土砂崩れと彼らの「仕事」によって虹が現れるラストが印象的。
http://www.ikiume.jp/index.html

【映画】

■メン・イン・ブラック3 <原題 MEN IN BLACK III>(★★★☆)
地球に住むエイリアンたちの犯行を取り締まるエージェント“J”(W・スミス)
と“K”(T・L・ジョーンズ)のSFコメディの3作目。違法な食材を使った料理を
提供する中国料理店の取締りはグロテスクな西部劇でオープニングです。
“J”がタイムスリップして1969年に戻り若かりし“K”と出会い、地球の危機
を救う壮大なホラで、月面着陸を目指すアポロ11号の緊迫した発射シーン
は先日観た「宇宙兄弟」よりもスリリングです。発射後に“J”と“K”の2人の
関係の秘密が明かされ「ホー、そうだったの」という意外なオチがあります。
公式HP(音声注意) ⇒ http://mib-3.com/

■私が、生きる肌 <原題 LA PIEL QUE HABITO>(★★★★)
スペインのP・アルモドバル監督の倒錯的で刺激的サスペンス映画。整形
外科医(A・バンデラス)が自ら開発した人工皮膚を使い、幽閉したベラ(E・
アナヤ)に手術を行い、学会でその過程を発表したことで、研究を断念する
結果に。悲劇的な最期を迎えた妻と娘の代わりとしてのべラ(西語で美女)
は、最後に自分の以前の顔を発見することで態度が豹変します。ガリシア
地方特有の「サルガデロス(Sargaderos)」という藍色の陶器や、ジャン・P・
ゴルチエの衣装デザイン等細部に凝るのはいかにもAlmodovar的美意識。
公式HP(音声注意) ⇒ http://www.theskinilivein-movie.jp/

■ミッドナイト・イン・パリ <原題 Midnight in Paris>(★★★★☆)
ウディ・アレン監督のパリを舞台にしたタイムスリップ・コメディ。 ハリウッド
の脚本家(O・ウィルソン)が婚約者(R・マクアダムス)とパリ滞在中の話。
1920年代パリの社交クラブにまぎれ込んで、フィッツジェラルド夫妻に会い、
コール・ポーターのピアノ演奏を見て、別のサロンでヘミングウェイやピカソ、
彼の愛人(M・コティヤール)に出会い、さらに1890年代までタイムスリップ
する奇想天外な物語。“Golden Age”に対する米国人の思い入れを描いた
ファンタジアで、ブニュエルに彼の映画の粗筋を語る場面は思わずニヤッ。
公式HP(音声注意) ⇒ http://www.midnightinparis.jp/

【Book】

■北川智子 「ハーバード白熱日本史教室」(新潮新書、12/05/20 ★★★★☆)
この本はおススメ。ハーバード大学で日本史を教える32歳の女性が著者。
一般教養科目で「Lady Samurai」と「KYOTO」をテーマにした授業内容で、
学生たちにグループワークと個性・感性を求め、女性視点の“フェミニズム”
ではない新しい発想の日本史はとても面白そう。具体的に豊臣秀吉の妻
ねい(ねね)が書いた手紙を使い、彼女が大名やその妻に果たした役割と
側室の悲劇的な最期の史実に触れたり、音楽(聴覚)・ラップ(韻)・ダンス
(盆踊り)までなんともユニーク。学生の評価や授業準備の方法まで紹介。
http://www.shinchosha.co.jp/book/610469/

ハーバード白熱日本史教室 (新潮新書)
北川 智子
新潮社


■桜木紫乃 「氷平線」(文春文庫、12/04/10 ★★★☆)
■桜木紫乃 「ラブレス」(新潮社、11/08/26 ★★★★)
「氷平線」は釧路出身の女流作家による第1作品集の文庫化。6つの中篇
小説に共通するのは十勝平野やオホーツク海、釧路など北の大地が舞台。
身勝手な男たちと、生活することに一生懸命な図太い女たちの人生を描き、
雪の表現が独特です。昨年、下期直木賞候補作に選ばれた「ラブレス」は、
道東開拓移民の末裔の親子三代を描いた大作。極貧の暮らしから旅芸人
一座に入り舞台で歌う長女と釧路の床屋に見習い修行で家を出た次女を
中心に、同い年の子どもたち(従姉妹)を持ち母と娘の両方の視点が交錯。
http://www.bunshun.co.jp/cgi-bin/book_db/book_detail.cgi?isbn=9784167836016
http://www.shinchosha.co.jp/book/327722/

氷平線
桜木 紫乃
文藝春秋
ラブレス
桜木 紫乃
新潮社


【オマケ、今週の気になった言葉】

一番嫌いなのは、芝居の『見どころ』『抱負』『意気込み』を聞かれること。
見どころなんて見る人が自由に判断することでしょ
(by 市川亀治郎、毎日新聞 12/05/27、4面「S ストーリー」より)

来月四代目「市川猿之助」を襲名する歌舞伎俳優(36)の言葉。昨年末に、
武者小路実篤原作の舞台「その妹」で盲目役の彼を観ましたが、「月並み
なことを聞かれると、今までのインタビュー読んでよと思う」と言うだけあり、
インタビュアーにはハードルが高い、今一番“旬”の若手演技派俳優です。
映画、小説、演劇、舞踊、音楽、美術など、人それぞれで気になるポイント
が異なり、どの視点から見るか読むか聴くかでガラッと印象が変わります。
同じ作品を見ても、180度正反対の感想はあり得るわけで、逆にその考え
がどこから生まれたものなのか、お互い着眼点を話し合うことで別の見方
の存在を知り、面白い会話になりますよね。あくまでも“受け手”は自由な
イマジネーションが許され、では、監督・俳優・作家・踊り手・音楽家・画家
など“作り手”側はというと、以前村上春樹がインタビュー(「考える人」)で
語った「The author should be the last man to talk about his work」です。


では。


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その93

2012年05月23日 23時31分49秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】


 

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で物凄い量のものを
見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。



読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。


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21日朝、金環日食の輪を会社の屋上からバッチリ見ることができました。
専用メガネを購入してませんでしたが、そこは持参された同僚の女性から
ちょっと借りた次第(笑) 太陽・月・地球が一線上に並び、月と地球の距離
が近いと太陽全体が隠れる「皆既日食」になり、距離が遠いと太陽がはみ
出して、“リング状”に見える金環日食(annular eclipse)になるわけですね。
この次の「天体ショー」は6月6日(水)午前、金星が太陽面を通過するとき、
再度、専用メガネが必要となって、誰もが“にわか太陽観察者”になります。
http://www.astroarts.co.jp/alacarte/2012/201206/0606/index-j.shtml

数年前、日本に出張できたスペイン人の元同僚と東京タワーに久しぶり
に上った際、展望台から下の方を眺めると、お寺と墓地が多いのにビックリ
したことがあります。大本山増上寺、金地禅院、瑠璃光寺、心光教院など。
22日、墨田区押上エリアにオープンした東京スカイツリーの展望台からは、
西は上野の森に浅草や隅田川、南はお台場やTDLあたりまで見えるのか、
その日の天気によって実際に上ってみないことには分かりませんが、当分
は満員御礼で、週末の混雑は必至+WEB予約も大変そうで、様子見です。

市内の沖縄料理店で、“Guitar 'n' Beer会”の4ヶ月ぶり開催(女3、男3)。
入社4年目の女性同期3人とオジサンたちの飲み会。年齢が確実に倍以上
離れており、世間一般の父と娘くらいの“年齢差”があります(笑) 入社後、
3年経過すると、ちょうど仕事が面白くなってきたところみたいで、20代半ば
の女性は元気はつらつでガンガン飲みます!オリオンビールの生ジョッキ、
ゴーヤチャンプルー、ラフテー(豚肉の角煮)に海ぶどうのサラダ。 ここだけ
沖縄のさわやかな風が吹き抜ける錯覚に陥り、なんとも独特でイイ雰囲気。

浜松のお土産といえば、一般的に「うなぎパイ」(春華堂)が一番有名で、
売上もダントツだと思いますが、鰻の生産量は全国的に第四位とイマイチ。
①鹿児島 ②愛知 ③宮崎に次ぐ順位で、最近は鰻よりも儲かる「スッポン」
にシフトしているとか。 日本+中国、台湾の乱獲により鰻の稚魚が減って、
このところ、うな丼、うな重がどんどん高騰しており、「土用の丑の日」には、
かなり値が張る食べ物になっていますね。先日、お鮨屋さんでその話題に
なり「アナゴで代用は?」と尋ねると穴子もしっかり値段が上昇中です(笑)

【映画】

■ダーク・シャドウ <原題 DARK SHADOWS>(★★★☆)
J・デップ主演、T・バートン監督による8作目。 200年の眠りから生き返った
ヴァンパイアの話ですが、この二人が組むといつも奇妙なちょっと変な物語
になります。 1972年の米国で、すっかり落ちぶれてしまった旧家の復興を
末裔の家族たちと望み、彼に対立するのが愛と憎しみを抱えた魔女という、
現実離れした時代がかった設定で、使われる楽曲が冒頭の「サテンの夜」
(The Moody Blues)から「Get it on」(T・REX)他、アリス・クーパーが歌う
場面もあり、カーペンターズのジョークまで、音楽ネタが満載で楽しめます。
公式HP ⇒ http://wwws.warnerbros.co.jp/darkshadows/index.html

■ファミリー・ツリー <原題 THE DESCENDANTS>(★★★★)
ハワイで、家庭を顧みず仕事に明け暮れていた弁護士(G・クルーニー)が、
ボート事故で意識不明の重体となった妻と向かい合うことから物語が開始。
二人の娘とのギクシャクした関係から妻の浮気を知り、彼女の相手探しと、
祖先が残した広大な土地の管理責任者として、地元の開発業者に土地を
売却するか決断に迫られる内容です。 リゾート地としてのハワイ紹介では
なく、そこに生活する“ある恵まれた環境の家族”に起こった悲喜劇。原題
(「子孫たち」)は先祖から代々続いてきた家系と土地の未来を語ってます。
公式HP ⇒ http://www.foxmovies.jp/familytree/

■レンタネコ (★★★)
「かもめ食堂」の荻上直子監督の新作。サヨコ(市川実日子)が自宅で飼う
猫たちを寂しげなひとにレンタルして、空虚感を埋めてもらう、ファンタジー・
コメディ。一人暮らしの老婦人、単身赴任のお父さん、レンタカーの店員に
猫を貸す話と、隣人(小林克也)との庭での可笑しなやり取りが笑えます。
株式のデイトレーダーと占いで生計を立てながら、10数匹の猫に囲まれて、
彼女の目標は「結婚すること」。 中学時代の同級生(田中圭)との再会も、
翌日あっさり現実に引き戻される出来事が起こり、何とも中途半端な結末。
公式HP ⇒ http://rentaneko.com/

【Book】

■小出裕章 「騙されたあなたにも責任がある」(幻冬舎、12/04/10 ★★★☆)
3.11の福島原発事故についてQ&A形式で答えた内容。 「安全な被曝」は
ありえず、大地と海水が汚染された結果、すべての食べ物が多かれ少な
かれ汚染されている現状を説明。 汚染度の高い食品は国会の議員食堂
や東電の社員食堂で献立を作り、責任のない子どもたちに汚染の少ない
食べ物を与えるべきだと考えます。また、汚染物質はもともとは原子炉の
中にあったモノ=東電所有で、福島原発の敷地内に戻すか、東電本社に
持参すべきと主張。 政府と東電のウソ、責任の所在を私たち自身に言及。
http://www.gentosha.co.jp/book/b5443.html

騙されたあなたにも責任がある 脱原発の真実
小出 裕章
幻冬舎


■三浦展 「第四の消費」(朝日新書、12/04/30 ★★★★) 
日本の消費社会が第四の段階に入ったと想定。第一は東京・大阪などに
限定され大正元年~第二次世界大戦(1912~41)。 第二は終戦後日本
の復興期から高度成長期の終わり(1945~74)まで。第三は低成長期で
(1975~2004)「軽薄短小」商品の時代。そして第四は30年間を区切りと
して2005~34年と定義。 団塊ジュニア世代が30歳~60歳前後になる間、
従来の単なる物の消費から、シェアを含めた本格的な人間的サービスの
適度な消費に変わっていくことを示唆して、辻井喬氏との対談が面白い。
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13707

第四の消費 つながりを生み出す社会へ (朝日新書)
三浦 展
朝日新聞出版



【オマケ、今週の気になった言葉】

財界の大御所たちがコンセンサスとして持っている意見の反対を行った
ら、まず間違いなく時代が読める(笑)。 あの人たちは時代を読みたくない
から。(by 辻井喬 上記「第四の消費」より)

「どうやったら時代を読めるか?」に対する辻井喬(堤清二)氏の答えです。
「財界とマスメディア、この二つのコンセンサスをひっくり返せば、だいたい
時代の先行きが読め・・・それから三つめとして、街を歩くこと」だそうです。
『無印良品』という“ノンブランド商品群”を立ち上げることになったきっかけ
は、1970年代後半、ラベルを付けることで商品が2割高く売れて、「これは
詐欺に近いんじゃないか」という意識が生まれたことが発端で、街に出て、
電車に乗って、「いろんな人たちの会話を聞くことが、一番ヒントになる」と
語っています。ある特定の製品や商品単独ではなく、無印良品=商品群
として、海外進出することの意図と珍しさは、普通の経営者にはなかなか
思い浮かばない発想で物事に対する柔軟性とセンスが感じられるひと言。


では。


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その92

2012年05月20日 01時57分03秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】


私の知り合いであるミスター・ピーノさんは
海外滞在が長く、
外国語にもご堪能な方ですが、
一週間程度で物凄い量のものを
見る、読む、聴く。
私も見習いたいと思っております。

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。



読者の皆様、感想等ございましたら
私が責任を持ってお伝えしますので
ぜひコメント欄にお願いします。

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バルセロナオリンピック(1992)のときに、スペインに駐在していましたが、 
スポーツ専用チャンネルを除き、マドリードの地元テレビ局のオリンピックに 
関する放映は「あれ、こんなもん?」と思うくらい冷ややかな扱いで、それは 
メダル期待のスペイン人選手の種目が限定されていたことと、カタルーニャ 
の州都バルセロナで開催された国際イベントであったことも一因しています。 
結局開催国にいても、日本人選手が活躍する姿をテレビではほとんど見る 
ことができず、オリンピックのTV観戦はやはり自国で見るのが一番ですね。


シティグループ証券の藤田副会長は、「10年後には US$1ドル=50円説」 
を唱えています。理由は、ニクソン・ショック(1971)により「1ドル=360円」が 
終焉して、40年間で「360円÷75円 =4.8倍」となって、これは偶然ではなく、 
何らかの構造要因があると考える方が自然で、「年率4%の円高」とすれば、 
10年後には「51円」になるというものです。 インド、ブラジルなど、人口増で 
成長する国の通貨がガタガタに下がるなか、成長していないスイスや日本 
の通貨は上昇。 為替は経済成長率や人口増と全く関係ないという説です。 
http://www.nikkeibook.com/writer/3397/ 

久しぶりに行きつけのスペインBarで職場の同僚との食事会(女5、男3)。 
なぜ、こんなに女性が多いかというと、それはNさんのギターと話芸の魅力 
です。十八番の「禁じられた遊び」をサラッと演奏しながら、“人間カキ氷”を 
女性陣の前で演じる姿は爆笑でした。生ハム、スペイン風オムレツ、イカ墨、 
肉団子、パエリャに、生ビールやリオハの赤ワインを飲みながら、いかにも 
スペイン的な和気あいあいのフィエスタでした。 結局 4時間近くお店にいて、 
翌日は二日酔いにもならず、楽しいひとときを過ごした余韻だけ残りました。 

母の日の前日、母と家内の3人で実家から徒歩10分ほどのところにある 
『松鮨』のカウンターに座り、おまかせコース。 新鮮なネタは築地で仕入れ、 
お茶はいつも群馬の湧き水を使用しています。トランペッターであり、ビッグ 
バンドの“バンマス”でもあるマスターとは、もう10年以上の付き合いになり、 
中央線と西武新宿線の駅の中間地点で、交通の便が良い所ではないにも 
拘らず常連が車やタクシーで訪れます。この日のサプライズは60歳代半ば 
の女性2人が浜田山から自転車で来店。環八経由で片道5kmはあるでしょ。 
http://itot.jp/13115/128 

【演劇】 

■Nylon100℃ 「百年の秘密」(本多劇場、12/05/12 ★★★★) 
ケラの作・演出で約3時間半(休憩15分)の舞台。 楡(にれ)の大きな樹木 
が植わる中庭で育った2人の幼馴染(犬山イヌコ、峯村リエ)の話を中心に、 
ひとつの大きな家と中庭とそこに住む家族の歴史。数十年にわたる過去と 
未来の往復があり、兄(大倉孝二)と友人(萩原聖人)の関係が伏線として 
描かれ、最後に2人の少女のある秘密が明らかになります。重厚で壮大な 
物語に、効果的な映像とライティング処理が行われ、光と影で樹木の左側 
が“人の横顔”に見えたり、凝った舞台装置と俳優たちへの演出はさすが。 
http://www.sillywalk.com/nylon/info.html


【映画】 

■ロボット <原題 ROBOT>(★★★★) 
「インド映画、スゴイ!恐るべし」と思わせる、カンフー、ダンス、テクノ、CG、 
特撮をこれでもかと盛り込んだB級SFアクション映画。 ロボット工学の博士 
とロボットを演じるラジニカーント(Rajinikanth)と、恋人役アイシュワリヤー・ 
ラーイ(Aiswarya Rai)のラブ・コメディでもあり、ロボットが人間の感情をもつ 
とどうなるかがテーマ。 誰もが楽しめる娯楽重視の内容で、『The Matrix』 
からの流用(パクリ)とも思える特撮や、突然、出演者全員が踊り出したり、 
約3時間のオリジナル・バージョンを、日本向けに139分に短縮した編集版。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://robot-movie.com/ 

■幸せの教室 <原題 LARRY CROWNE>(★★★) 
トム・ハンクスの製作・脚本・監督・主演作。地元の大型スーパーの店員を 
学歴理由で解雇された主人公が、カレッジでスピーチの授業(J・ロバーツ 
が担任)や経済学を受講。クラスメートとの交流を通し、学ぶことの楽しさに 
気づく内容。 海軍で20年間もコックとして働き、スーパーの販売員としても 
優秀だった人物が解雇され、ネット動画好きKY夫を妻が家具ごと放り出す 
のは典型的な米国流“三くだり半”です。 いかにも直球ど真ん中のコメディ 
で、もう少し人間関係の複雑さや可笑しさをさりげなく挿入して欲しかった。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://disney-studio.jp/movies/shiawase/ 

■中島みゆきLIVE 「歌旅 劇場版」 (★★★★) 
今から5年前(2007)の年末、東京フォーラムで行われたコンサートの模様 
を2週間限定で映画館で劇場版として公開。 ライブ19曲と、プロモーション 
ビデオ「荒野より」の計2時間。 デビュー曲の「アザミ嬢のララバイ」以外は 
'90年代~2007年の楽曲中心。その中で、「ファイト!」(1983)は際立って 
いて「夜会」につながる演劇性と物語の両面から熱唱です。 ドスのきいた 
「地上の星」も迫力満点。 MCを極力カットして“歌う中島みゆき”に焦点を 
あて、ある年代の音楽ファンを映画館に呼び込もうとする新たな試みです。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://utatabi-movie.jp/top.php 

【Book】 

■城内実 「政治家の裏事情」(幻冬舎、12/05/10 ★★★★) 
政治家は企業・団体献金に頼らず、個人献金のみで政治活動を行なうべ 
きで、政党交付金にも否定的な衆議院議員である著者が、政治家と金に 
まつわる具体的な事例として自分の収支報告を提示。外務省を辞職して、 
当選⇒落選⇒当選の議員活動を通じて無所属議員の短所と長所に触れ、 
民主・自民両党の問題点を指摘し、政治主導のパフォーマンスを否定して 
います。小泉政権時代の米国からの“命令書”である「年次改革要望書」 
に言及した点とTPP導入とメディアの報道姿勢の問題など興味深いです。 
http://www.m-kiuchi.com/2012/05/10/seijikanourajijou/ 
政治家の裏事情
城内 実
幻冬舎

■西多昌規 「水曜日に「疲れた」とつぶやかない50の方法」(朝日新書、 
12/05/30 ★★★) サントリーの「Twitter」調査によると、①「疲れた」は 
3秒に1回つぶやかれ ②水曜日に「疲れた」が急増 ③「眠い」と「疲れた」 
はほぼ同数で比例するそうです。 精神科医の著者がブルーマンディから 
週末まで曜日ごとに各章を設け、若い世代向けにアドバイス。週の“中日 
(なかび)”である水曜日に疲労が表面化しやすく、うまく活用すればその 
週を無事通過できる鍵になると助言。 そして、木曜・金曜・週末の過ごし 
方が翌週につながる・・・と、いかに自分のペースで日々を送るかが問題。 
http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=13786 

【オマケ、今週の気になった言葉】 

同じ時代に生まれてくれて、ありがとう 
(by 中島みゆき、「歌旅 劇場版」より) 

映画「歌旅」の中で、唯一MC場面の「お土産ことば」として観客にひと言。 
ラストの3曲のうち、2曲(「本日、未熟者」と「地上の星」)で青いセミアコの 
ギターを持ち、ラスト「背広の下のロックンロール」で白いジャケットを脱ぎ、 
赤いサイレントギターを弾く姿が、なんともカッコイイ!充実したステージを 
終え、舞台の袖から客席の反応を見つめる中島さんの視線が印象的です。 
彼女と仕事の関係で直接お会いしたのはちょうど10年前ですが、あのころ 
と5年前のライブ映像は基本的に変わっていません。凛としたチャーミング 
な一面と、男性的な“図太さ”と“芯の強さ”を兼ね備えています。 37年間、 
デビューからずっと第一線を走り続け、ファンへの感謝表明が素晴らしい。

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その91

2012年04月28日 01時12分18秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その91

「ふじのくにの“旬”を食べ尽くす会」に夫婦で参加。 静岡県産の食材を
使い、地産地消を積極的に推進することを目的にした会ですが、つまりは
「食いしん坊」の集まりです。 カキと菜の花のパイ、駿河シャモとフォアグラ
のキャベツ巻き、由比産タチウオ、牛ロース等に県知事賞を受賞した清酒
「正雪」とキリンビールがコラボ。県職員の参加者が多く、「(皆さま)日ごろ
からイイもん食べてるなぁ~」と思いながら、東京の省庁から出向している
若手職員と彼の上司のやり取りが可笑しく、和気あいあい楽しい会でした。

3人揃っての「イタリア会」は12月初め以来4ヶ月半ぶり。 いつものお店
でイタリア料理に赤ワイン。 伊豆から新東名高速を使い駆けつけたTさん
と、週末は三河湾に近い別宅で過ごされるUさんとで、新東名の話題から。
平日でも、景色の良い「駿河湾沼津SA」と、ガンダム人気の「静岡SA」は
満車で、本線側道に渋滞ができていたそうです。 また西部は入口となる
「三ヶ日JCT」から新東名に入る車で渋滞が起き、東名はガラガラだとか。
イタ車に乗るTさんは瞬間で○○○km/時出して、そのスピードにビックリ。

英国のトレンチコートなどで有名な「アクアスキュータム」が破産申請を
行ったというニュース。 1851年創業の老舗ブランドで、英国王室御用達と
しても有名でした。結局、日本では、創業が5年遅い「バーバリー」の戦略
と知名度に勝てないまま、『高品質なんだけれど認知度がイマ一歩!』と
いう状態でした。 実は、2月中旬、御殿場プレミアム・アウトレット内にある
アクアスキュータムのお店で、“70%OFF”のジャケットを購入したんですが、
考えてみれば、既にあの時点で厳しい販売状況だったのかもしれません。
http://www.asahi.com/business/update/0418/JJT201204180031.html

先週の書評で触れた『風流夢譚』(深沢七郎)と『政治少年死す』(大江
健三郎)の2つの小説は、“表向き”は著者或いは出版社側の意向により、
彼らのどの本や全集にも収録されていません。 高校時代、倫理・社会を
担当していたT先生から、この2作品の掲載誌コピーをもらい、今でも所有
していますが、本の内容自体はどちらも“小説”(フィクション:虚構)であり、
当時なぜ殺傷事件が起きたり、大問題となったのか「そういう時代だった」
としか思うほかなく1961年の出来事なのでもう半世紀以上前なんですね。

【演劇】

■東京ヴォードヴィルショー 「トノに降る雨」(シアタートラム、12/04/21
★★★☆)創立40周年記念興行の第1弾。中島淳彦:作、ラサール石井:
演出。落ち武者(山口良一)の語りで始まり、戦火から山林に逃げ込んだ
バカ殿(佐藤B作)の周辺で起きるドタバタ喜劇です。客演の松金よね子、
ベンガル(東京乾電池)、えなりかずき他、出演者全員楽しんでいる舞台。
“ヴォードヴィル:軽演劇”という言葉自体今ではほとんど死語ですが(笑)
戦国時代に戦(いくさ)から逃げる武士たちをテーマに笑わせ、主題歌は
前川清(元クール・ファイブ)が歌う凝った演出で貴重な老舗の劇団です。
http://www.vaudeville-show.com/66/

■サンプル 「自慢の息子」(こまばアゴラ劇場、12/04/21 ★★★★)
作・演出:松井周。 2010年の岸田國士戯曲賞受賞作の再演。 アパート
の一室に“王国”を築いた息子のもとを訪れる母親と観光ガイド。 そんな
部屋に“亡命”を求める兄と妹。すごい音量で音楽をかけながら、洗濯物
を干す隣の女。 その限られた空間が彼らのシェルター/逃避行先となり、
そこでは“愛憎”の関係が起こり、動物の人形に囲まれ”モラトリアム”の
世界に浸っていた息子の国が、徐々に崩壊していく様子が描かれます。
ロープにより分割された国境線と、シーツで覆われた人と空間が象徴的。
http://www.komaba-agora.com/line_up/2012/04/sample/

【映画】

■裏切りのサーカス <原題 Tinker Tailer Soldier Spy>(★★★★☆)
ジョン・ル・カレ原作の映画化。“サーカス”と呼ばれる英諜報機関に潜り
込んだ二重スパイ(もぐら)を巡るミステリー。1960年代、冷戦下における
対KGB活動に失敗して、辞職した元諜報員(ゲイリー・オールドマン)が、
ロンドンを舞台に極秘調査を展開します。 派手な銃撃戦やアクションは
なく、地道な裏づけをとり、集められた断片から事実を探し求める姿勢が
貫かれています。 ある意味、“PC導入以前”の古き良きスパイの時代で
あり、自ら動いて確認していた情報機関員へのオマージュともとれます。
公式HP(音声注意) ⇒ http://uragiri.gaga.ne.jp/

■捜査官X <原題 武侠> (★★★★☆)
1917年雲南省の山村で起きた2人組の強盗事件が発端。調査のために
訪れた捜査官(金城武:好演)が、紙職人(ドニー・イェン)の行動を疑い、
推理小説の謎解き展開になります。ただし、それはあくまで“イントロ”で、
後半は『父と子』の壮絶なカンフーによるアクション映画。 ワイヤーやCG、
スロー・モーションによる体の動きと、血管を流れる血液で内臓の動きを
連動させる映像が強烈です。また、効果音による破壊もすさまじく、最後
の最後まで息を抜けずスクリーンから目が離せない迫力満点のひととき。
公式HP(音声注意) ⇒ http://www.sousakan-x.com/

【Book】

■橋爪大三郎×大澤真幸 「ふしぎなキリスト教」(講談社現代新書、
11/05/20 ★★★★☆) 「新書大賞2012」で第1位となり、既に30万部を
超えたベストセラー。 とにかく分かりやすい対談で、ユダヤ教とキリスト教
の違いは、“ほとんど同じ”で、たったひとつの違う点はイエス・キリストが
いるかどうか(笑) 一神教であり、偶像崇拝を禁止しており、新約聖書の
4つの福音書の関係とパウロの書簡に触れ、ユダの裏切りの解釈も興味
深く、ローマ・カトリック(ラテン語)とギリシャ正教(ギリシャ語)がどのよう
に分離して、哲学と神学、宗教改革とプロテスタントなど、全体像を説明。
http://www.bookclub.kodansha.co.jp/bc2_bc/search_view.jsp?b=2881004

ふしぎなキリスト教 (講談社現代新書)
橋爪 大三郎,大澤 真幸
講談社


■上杉隆 「ニュースにならなかった危ない話」(PHP、12/03/17 ★★★☆)
3.11以後、政府と東京電力とメディアが発言してきた“ウソ”の検証記録。
「メルトダウンはしていません」から、「ただちに健康に影響はありません」
「計画停電」、「6~9ヶ月で収束」、昨年末野田首相の「収束宣言」まで。
海外メディアと国内大手メディアの報道内容の違いを指摘。 特に日本の
食品の危ない真実(農産物と海産物の放射能汚染)に関しては、完全な
除染は難しく、食品の年齢指定(R指定等)を実施することを提言しており、
「記者クラブ制度」の一元化された情報は多様な情報の受け入れで対抗。
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-80312-8

【オマケ、今週の気になった言葉】

時が経てば、メッキが剥げてしまうものも多い。早く実った果実は、早く
に腐ってしまうのだ。美術の世界でもそうだなぁ。そして、時が経つほどに、
力を増して輝き始めるものもある。 そう思える曲を聴いていると、こうして
歳を重ねて生きてこれたことに感謝してしまう。 (by 奈良美智)
「変わることなく変わり続ける」より  http://ynfoil.exblog.jp/m2012-03-01/

CDを整理して『聴こうと思ったらいつでも聴けるようなものは箱に詰めた』
と、現代画家の3月のブログを読み、CD棚の写真を眺めていると、彼とは
年齢が近くて、共通する音楽(ブリティッシュ・トラッドやニール・ヤング)を
聴いていた世代であることが分かり、思わずニヤッとします。以前は本棚
の書籍の背表紙を見れば、(たとえ未読でも)その人がたどってきた思考
の流れが分かると思われた時期がありました。 音楽好きならCDやLPの
ジャケットからその人の過ごした時間・嗜好性がなんとなく想像つきます。
iPodなどで、音楽データをダウンロードするのが当たり前の世代にはピン
とこないかもしれませんが、LPならAB両面で45分前後、CDなら70数分と
MAXの容量のなかで、いつ発売されどの曲がどのあたりに入っているか、
前後の曲との関連など、目で見えないデータが頭の中にインプットされて
います。 結局リマスター盤などで、1960~'70年代、'80年代初頭の音楽
を一番よく聴いてしまうのは、単なる懐かしさからではなく、その曲がもつ
力強さと新たな発見があるからで、“今聴ける仕合わせ(幸せ)”ですね。


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その90

2012年04月20日 14時08分36秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】


 

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その90

 

 

 

 

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは

海外滞在が長く、

 

外国語にもご堪能な方ですが、

一週間程度で物凄い量のものを見る、読む、聴く。




 

私も見習いたいと思っております。 

 

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。



 


読者の皆様、感想等ございましたら

私が責任を持ってお伝えしますので

 


ぜひコメント欄にお願いします。

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週末は、甲州市「勝沼ぶどうの丘」で、大学の先輩方の同窓会に夫婦で 
飛び入り参加させていただき、総勢8名でバーベキュー(女3、男5)。東京、 
千葉から来られたメンバーと、甲府在住の先輩 Eさんと恩師 Y名誉教授と 
一緒に、『勝沼ぶどう郷駅』の桜並木と、『王仁(わに)塚の桜』を訪問して、 
そのあとは樹齢約2000年!の『山高神代桜』(実相寺)を満喫。当日は雨 
だったせいか、昨年ほど混雑はなく傘をさしながらゆっくり鑑賞できました。 
『眞原(さねはら)桜並木』が、まだツボミ状態で早かったのがちょっと残念。 
http://yamanashinow.blog137.fc2.com/blog-entry-255.html 
http://www.pension-raccoon.com/contents/kofu_nirasaki/wanitsuka/wanitsuka.html 

先週末に開通した静岡県下の新東名高速道路の「新富士-浜松浜北」 
間の下り車線を走りました。片側3車線が結構あり、幅広な車線とカーブの 
少なさが走りやすく、トンネルも多くて、140~150km/時はすぐ出せますが、 
スピード違反にはくれぐれも注意が必要ですね(笑) まだ開通2日目という 
こともあり、どこのサービスエリアも「満車」状態でした。 東名の海岸線沿い 
を敢えて避けた内陸ルートで、高低さを減らすためほとんど高架橋で、当然 
ナビも効かず夜間走行はおりるインターチェンジ周辺のチェックを忘れずに。 

映画『アーティスト』(THE ARTIST)に重要な役で出演している“アギー 
(犬)の演技が素晴らしくて、“死んだフリ”にはつい笑ってしまいましたが、 
「ジャック・ラッセル・テリア」という犬種、2月に観た『人生はビギナーズ』で 
準主役のアーサーもそうでした。日本では、糸井重里・樋口可南子夫妻が 
飼っている“ブイヨン”が多分一番有名ですが、先週『アーティスト』の映画 
評を読んだ会社OBで首都圏在住のSさんから、ご自宅で飼う“ジャック”の 
写真付きメールが届き「どっちが可愛い?」と聞くのはオヤバカでしょう(笑) 
http://www.cinemacafe.net/news/cgi/report/2012/02/12161/ 

朝家を出ようとしたとき、玄関脇の棚の角に額の上部をぶつけ、ざっくり 
3cmほど切ってしまい、出血はバンドエイドで応急措置をして特に縫うほど 
の傷ではなく、数日後傷口も固まってきたため、バンドエイドを取りました。 
実は半年前にも全く同じことをしており、180cmを超える長身でもないのに、 
靴をはくためにかがんで、そのままの状態で立ち上がれば問題ないのに、 
なぜか斜め方向が気になり頭をぶつけてしまうという、これは平衡感覚の 
衰えなのか、棚の存在をつい忘れてしまう“健忘症=老化”なんでしょうか。 


【コンサート】 

■神保彰 「ワンマンオーケストラ」<桜座、12/04/14 ★★★★> 
甲府市内のライブハウスで、土間のステージにドラムをセットして約2時間、 
2部構成のコンサート。 カシオペアの「晴れ」で開始し、YMOメドレー:東風 
~ライディーンでテクノを、ピアソラ作「Libertango」とC・コリア作「スペイン」 
でラテンを。自作曲の「Smile Smile」と「It's my time」(ドトール・テーマ曲) 
のMCで笑わせ、被災地を回った体験を語り、カシオペアの「ASAYAKE」と 
「上を向いて歩こう」を演奏。いつもの生ドラムと電子パッド・システム説明 
コーナーがあり映画音楽・ジャズメドレーの超絶技法プレイは見事でした。 
http://akira-jimbo.uh-oh.jp/ 

【映画】 

■バトルシップ <原題 BATTLESHIP>(★★★) 
環太平洋の各国海軍がハワイ沖で合同演習中に、宇宙からの侵略者が 
襲ってくるSF海戦もの。米海軍の新人将校(T・キッチュ)に海上自衛隊の 
ナガタ艦長(浅野忠信)がサポートしてまるでTPP加盟を暗示しており(笑) 
米軍が中心となり、地球を救う荒唐無稽な内容。最新の特撮とCG技術を 
ふんだんに使った迫力ある映像が“売り”です。 「チキンブリトー:chicken 
burrito」という“メキシコ風春巻き:タコス”は、ドジな将校のチキンハート= 
臆病風を皮肉ったオチでしたがエンディング後の映像は続編予告ですか。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://battleship-movie.jp/ 

■ジョン・カーター <原題 John Carter> (★★☆) 
SFの古典『火星のプリンセス』を原作にしたSFアクション大作。 南北戦争 
で妻と子どもを失い実業家として成功したジョン・カーター(T・キッチュ)が、 
部族間の戦いに明け暮れる惑星にワープして、“救世主”として活躍する 
冒険ファンタジー。主人公が遺した日記から、過去にフラッシュバックする 
方法が取られます。 魅力的な登場人物があまり出演しておらず、惑星の 
キャラクターたちがなんとも中途半端です。 続編を予想させる終わり方に 
なっていますがこの内容の続きをぜひ観たいという期待感がもてません。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://www.disney.co.jp/johncarter/ 

【Book、新書】 

■堤未果 「政府は必ず嘘をつく」(角川SSC新書、12/02/25 ★★★★★ 
「9.11後」の10年間のアメリカと、「3.11後」の今の日本がいかに重なって 
いるかを検証。米政府の“過激思想取締法案”という名の「ネット検閲」と、 
3.11以後に日本政府が始めたネット監視と“サイバー刑法”。「復興特区」 
の名の下で市場化されつくした、ハリケーンの被災地「ニューオリンズ」と 
東日本大震災後の「東北」、そして両政府がもくろむTPP加盟の裏側。IT 
技術が米国の対世界戦略における“新しい主力兵器”となっている現状。 
米国の教育改革と大阪府の「教育基本条例」等、興味深い類似が満載。 
http://www.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201111000557 
政府は必ず嘘をつく アメリカの「失われた10年」が私たちに警告すること 角川SSC新書
堤 未果
角川マガジンズ(角川グループパブリッシング)


■川端幹人 「タブーの正体!」(ちくま新書、12/01/10 ★★★★☆) 
2004年に休刊した雑誌『噂の真相』の元副編集長だった著者がメディア・ 
タブーの要因を暴力・権力・経済の3つからアプローチします。「風流夢譚」 
事件や「政治少年死す」の'60年代前半から出版社の自主規制が始まり、 
皇室と宗教、政治家と検察・警察・財務の官僚機構、メディアと電力会社、 
企業の広告出稿量や、芸能プロダクションの所属タレントによる圧力など、 
経済による支配にシフトしている点を指摘。 メディア自身が経済効率や 
収益性を優先する経営方針で、低下するジャーナリズムの意識に言及。 
http://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480066459/ 
 
タブーの正体!: マスコミが「あのこと」に触れない理由 (ちくま新書)
川端 幹人
筑摩書房


【オマケ、今週の気になった言葉】 

3.11で明らかになったのは、情報に関して私たちは主権者として扱わ 
れていないという事実だろう。(by 堤未果 『政府は必ず嘘をつく』 より) 

「知らされるべき情報を握っているのは、一部の官僚、政治家、マスコミ 
上層部に財界人たちだ。彼らは情報を隠すことはできてもそれを隠ぺい 
しているという事実については隠しようがない」・・・と続きます。 一例で、 
東京都が被災地の「がれき処理」を受け入れた背景には、唖然とします。 
都内で1日100トン以上処理能力がある産業廃棄物処理施設をもつ業者 
は『東京臨海リサイクルパワー㈱』 1社しかなく、この会社の“95.5%”を 
出資しているのが、なんと“東京電力”=『子会社』なんですね。 つまり、 
東電はがれき処理にかかる費用を全く負担しないどころか、汚染がれき 
処理で“利益”を得て、がれき焼却による“発電”からも利益を上げてる! 
どのくらいの東京都民の人たちが“この事実”を知っているんでしょうか。

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その89

2012年04月12日 00時26分43秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その89

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは

海外滞在が長く、

外国語にもご堪能な方ですが、

一週間程度で物凄い量のものを見る、読む、聴く。




私も見習いたいと思っております。 

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。




読者の皆様、感想等ございましたら

私が責任を持ってお伝えしますので


ぜひコメント欄にお願いします。

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急遽、トルコから一時帰国したN氏を囲んで同期会がありました(男7)。 
市内の手打ち蕎麦屋さんで、珍味プレート>蒸し野菜のジュレ>鴨鍋> 
蕎麦寿司>蕎麦焼き味噌>蕎麦掻き揚げ>手打ち蕎麦・・・と蕎麦づくし。 
イスタンブールで単身赴任のN氏は、ゴルフ、テニス、スキーとトルコ国内 
で積極的なスポーツ活動を行い元気一杯で、食生活も充実しているとか。 
考えてみれば今年は入社30周年。月末にはゴルフ・コンペが予定されて、 
日ごろ職場で顔をあわせることのない同期とも、会う機会が増えそうです。



このところCDの「Box Set」がとんでもない安値となり、タワーレコードで 
マドンナの「Complete Studio Album 1983-2008」(11枚組)が3,990円! 
Amazon USAでは内田光子の「Mozart :The Piano Concertos」(8枚組) 
がUS$31.49で、アルゲリッチ 「The Solo Recordings」(8枚組)US$23.99 
なども、郵送料(数ドル)を支払っても、CD 1枚当たり@US$3.50~4.50で、 
1ドル82円で換算しても290~370円。もちろん、日本語解説や歌詞カード 
は入っていませんが、国内版との価格差は離れていくばかりですね(笑) 

【落語】 

■春風亭太独演会 (えんてつホール、12/04/04 ★★★☆) 
「落語家生活30周年記念」の独演会。 冒頭、恒例のジーンズ姿+マイク 
で昇太が立ったままMCを行ったあと、ゲストの三遊亭遊雀が『堪忍袋』。 
夫婦喧嘩を絶妙な語り口で披露、この噺家、ウマイです。そして、着物に 
着替えた昇太が、髪結の床屋で行われる将棋や貸本を語る『浮世床』に、 
ケチな上司が部下を夕食に誘う『リストラの宴』、恋患いに悩む若旦那の 
彼女を探すドタバタ喜劇の『崇徳院(すとくいん)』。今回は3席ともオチが 
イマイチ(苦笑)でしたが箱根駅伝や志の輔との旅の話には笑いました。 
http://www.shunputeishota.com/ 

【演劇】 

■「まほろば」(新国立劇場小劇場、12/04/07 ★★★★☆) 
題名は“住みやすい場所、素晴らしい場所”を意味する日本の古語から。 
2008年の岸田國士戯曲賞の受賞作で蓬莱竜太:作、栗山民也の演出。 
ある田舎祭りの夜、男たちは御輿(ミコシ)担ぎで出払い、本家に集まる 
4世代6人の女たち:祖母・母・娘2人・孫娘・村の女の子。 跡取り問題で 
悩む母親(三田和代)と、東京から休暇で里帰りした長女(秋山菜津子) 
が口論となり次女の娘が突然戻ってきたことから起きる、女だけの女性 
特有の話が延々と続き、これだけ男の存在感がない舞台も珍しい喜劇。 
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000440_play.html 

■東京セレソンデラックス 「ピリオド」(ザ・ポケット、12/04/08 ★★★☆) 
今年はじめに年末での「劇団解散」を発表した、宅間孝行(サタケミキオ) 
が作・演出する劇団の2003年初演作の再演。 ボクサーとして中途半端 
なまま引退を考える主人公(弓削智久)と離婚した前妻(広澤草)を軸に、 
下町の工務店を舞台にした人情話。みどりのおばさんと生保のおばさん 
が違和感なく登場して、家族や従業員と同じ空間にいるのは、いかにも 
“寅さん”的で、最後にホロリとさせる脚本は、いつもの宅間作品ですね。 
http://www.ts-dx.com/next/period2012/


【映画】 

■アーティスト <原題 THE ARTIST>(★★★★☆) 
本年度のアカデミー賞作品賞を受賞したフランス映画。 1927~30年代 
初頭のサイレント映画からトーキーへの移り変わる時代で、ハリウッドの 
映画スタジオが舞台。サイレントムービー界のスター(J・デュジャルダン) 
の人気絶頂からの凋落と、踊り子から看板女優になるぺピー(B・べジョ) 
の2人が描かれ、途中、グラスを置く音とBGM以外は、最後のセリフまで 
サイレント(無声)+モノクロ(白黒)です。彼らが知り合うことになるタップ 
ダンスはラストでたっぷり披露され、サイレント映画へのオマージュです。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://artist.gaga.ne.jp/ 

■ヘルプ 心がつなぐストーリー <原題 The Help> (★★★★) 
佳作です。1960年代前半、南部ミシシッピー州における上流社会の家で 
家政婦として働く黒人女性たちがテーマ。東部の大学を出て作家志望の 
スキーター(E・ストーン)が、地元記者として生活欄の読者からの質問に 
答えるコーナーを担当。 黒人メイドのインタビューから家主の差別的扱い 
に触れた内容の本を出版して町じゅうが大騒ぎになります。 激しい差別 
の南部にしては黒人の生活や教会の立派さに少し違和感がありました。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://disney-studio.jp/movies/help/ 

【Book】 

■佐野洋子 「死ぬ気まんまん」(光文社、11/06/25 ★★★★) 
2年前に72歳で亡くなった絵本作家・エッセイストが、亡くなる1、2年前に 
連載していたエッセイと、1998年にホスピスに入院した際のエピソードを 
まとめたもの。抗ガン剤を拒否して、「70前後はちょうどよい年齢で、まだ 
何とか自分で自分の始末ができる」と言い切る著者。闘病記が大嫌いで 
ジュリー(沢田研二)の5時間、81曲のコンサートに行き、感動して、自分 
の最後には、彼の『きめてやる今夜』にしてもらいたいというミーハーぶり。 
再発の告知を受けた日の帰り道、新車のジャガーを買う話もスゴイです。 
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334976484 
死ぬ気まんまん
佐野 洋子
光文社

■九里洋二 「ボクのつぶやき自伝」(新潮社、12/02/25 ★★★★) 
今月84歳になったアニメーター+漫画家が、1年半の間に彼のツイッター 
上でつぶやいた文章。『ヴェネチア映画祭で3回も受賞したのに、日本の 
マスコミは記事にしてくれない』とつぶやき、短編アニメの分野で'60年代 
から作品を発表。 最近はアニメーターを目指す若者に講義をしています。 
手塚治虫が『鉄腕アトム』のアニメを始めた話や深沢七郎が『楢山節考』 
を書いていたころの話が興味深く、ベランダにくる雀にエサをやる生活感 
あふれるつぶやきが、ほのぼのとしていて、何ともいえない雰囲気です。 
http://www.shinchosha.co.jp/book/351903/ 

【オマケ、今週の気になった言葉】 

100年後、1000年後、わたしたちが棄てた放射性廃棄物を受けとる 
未来の人びとは、どんな風に思うだろうか。すでに彼らには、原発はなく、 
もちろんその恩恵など受けず、ただ過去からの忌まわしい贈り物に悩ま 
されるだけなのである。 (by 高橋源一郎 『「あの日」からぼくが考えて 
いる「正しさ」について』 P231より) 

『100,000年後の安全』という映画があり、フィンランドが自国の原発から 
出てくる放射性廃棄物を、それが安全な水準になる“100,000年後”まで、 
地底500m、10数億年前からの安定した岩盤に埋める、その工事現場を 
映したドキュメンタリー映画を見ての高橋氏のコメント。日本にはどこにも 
そんな安定した地層はなく、青森県六ヶ所村の『原子燃料サイクル施設』 
と日本全国にある原発施設内に置かれています。原子力を推進してきて 
これからも推進しようとする人たちは、この廃棄物の“安定した置き場所” 
について何も言及しません。 何年か或いは何十年かで死んでいくボクラ 
の問題ではない“大きな負の遺産”について、まず話し合うことが先決で、 
目先の原発再稼働とか、電力不足に本当になるのかどうかとか、そんな 
今日、明日の問題よりももっと大きな負債をかかえていることを国会議員 
や官僚、電力会社従業員そして一般の人たちも忘れてはいけませんね。 


では。


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その88

2012年03月28日 09時29分50秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その88

 

私の知り合いであるミスター・ピーノさんは

海外滞在が長く、

 

外国語にもご堪能な方ですが、

一週間程度で物凄い量のものを見る、読む、聴く。




 

私も見習いたいと思っております。

 

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。



 


読者の皆様、感想等ございましたら

私が責任を持ってお伝えしますので

 


ぜひコメント欄にお願いします。

 



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初めて沖縄の「三線:さんしん」の実物を見たのは、ペルーの地上絵で 
有名なナスカの町の「Tokio」という名のペンションでした。 沖縄から移民 
した70歳近いおじいさんが経営する安宿で、3人の日本人バックパッカー 
の一人が持ってました。彼はアメリカ西海岸で皿洗いのバイトをして資金 
を貯め、自転車で南下の旅に出てナスカに到着。沖縄出身の彼が弾くと 
三線の音色と琉球の音階が、ほとんど雨の降らないナスカの乾燥した町 
にピッタリ合い、沖縄移民が多いペルーでは“高待遇”の宿泊者でした。 

当時ナスカでは、観光客向けに 3人+パイロットのセスナ機が一般的 
でした。 3社が競合していて、飛行時間は約1時間で料金はUS$70くらい 
だったと思いますが、「運が悪ければ墜落することもある!」と脅かされて 
実際数年に一度は墜ちていたみたいです(笑) 誓約書にサインした上で、

砂利と砂のとても滑走路には見えないところを助走して飛び立ちましたが、 

上空から見る地上図はさすがに素晴らしく、アメリカン・ハイウェイが横断 
しているため徐々に消えかけている、とは30年前から指摘されてました。 
http://allabout.co.jp/gm/gc/23272/ 

先週の睡眠について、元同僚から、「脳の睡眠の仕組みはそんな単純 
ではなく、睡眠は体が疲れたから取るわけではない。病気で不眠の人は 
どんなに体が疲れても眠ることができない。」との鋭い指摘を受けました。 
確かに彼の言う通りで、不眠に悩むひとが運動すれば解消する問題では 
なく、素人考えで間違ったことを書いてしまい、深くお詫び申し上げます。 
母親に関しては、徐々に強くなる睡眠薬と、さまざまな薬を服用する結果、 
薬漬けになることを心配しており86歳の彼女に運動は決して薦めません。


【講演会】 

■山折哲雄 「語る、聴く、沈黙する」 
京都在住の宗教学者による講演を拝聴。故郷の実家が宮沢賢治の生家 
(岩手県花巻)のすぐ近くにあり、彼の作品と東日本大震災の関連した話 
から始まりました。 震災の1ヵ月後に仙台から三陸海岸を訪問したときの 
印象、万葉集の大伴家持の歌「海行かば」の解説、『出迎え三歩、見送り 
七歩』という言葉から、茶道と井伊直弼の本『茶湯一会集(ちゃのゆいちえ 
しゅう)』(岩波文庫)の「独座独服の論」まで、幅広い内容で感心しました。 
世阿弥の『夢幻能』の「ワキ」と「シテ」に触れ話を聴くことの大切さに納得。

http://www.chunichi.co.jp/article/shizuoka/konwakai/list/CK2012032202000128.html 

【演劇】 

■THE SHAMPOO HAT 「一丁目ぞめき」(ザ・スズナリ、12/03/24 ★★★☆) 
俳優として外部出演が続く赤堀雅秋の作・演出。表題の“ぞめき”(騒き) 
は浮かれ騒ぐこと。 父親が亡くなったお通夜当日の実家の居間が舞台。 
20年間音信不通だった兄(赤堀)が現れ、勝手気ままな態度を取るなか、 
寝たきりの母親の面倒をみる弟と、お通夜を手伝いにきた従兄弟夫婦の 
離婚話が始まり、早く喪主(弟)と用件を済ませたい葬儀屋と、不倫疑惑 
の電気屋が参加し、お通夜の席が一転、暴力と不満の爆発に様変わり。 
http://www.shampoohat.com/top.html 

■「パーマ屋すみれ」(新国立劇場小劇場、12/03/24 ★★★★) 
作・演出:鄭義信。1960年代半ば、九州の炭鉱町アリラン峠の理髪店で、 
在日コリアンの三姉妹(根岸季衣・南果歩・星野園美)と、炭鉱で一酸化 
炭素中毒になった夫たち(松重豊・森下能幸)の物語。 題名は次女(南) 
が将来自分の店を持ちたいと夢を語るときの店名で、現実は、落盤事故 
にCO患者、炭鉱の閉鎖と訴訟争議。 報われることのない、底辺の弱者 
たちの生活を通して、高度成長に向かう日本の夜明け前の暗闇を表現。 
南果歩と松重豊の適度に軽さと重みのある演技が希望の光を与えます。 
http://www.nntt.jac.go.jp/play/20000439_play.html 

■コンドルズ 「狼たちの午後」(世田谷パブリックシアター、12/03/25 
★★★★) 高校の後輩、近藤良平が構成・映像・振付・主宰するダンス 
カンパニーの舞台。 数十名の“立見席”がでる盛況で5日間連続公演の 
中日(なかび)。 冒頭、野村萬斎に学ランを着せたビデオ出演で笑わせ、 
安田美沙子が日替わりゲストとして出演。 「赤ずきん」と「3匹の子豚」を 
題材に、「コーラスライン」のパロディあり、舞台真上からの俯瞰撮影あり、 
近藤のソロは気合い120%の迫力ある踊りを披露。メンバー総勢15人に 
よるラストは、まさに羽ばたくコンドルズたちが跳躍する圧巻のステージ。 
http://www.condors.jp/ 

【映画】 

■マリリン 7日間の恋 <原題 My Week with Marilyn>(★★★★) 
マリリン・モンロー(M・ウィリアムズ)が、1956年ロンドンで監督兼主役の 
ローレンス・オリビエ(K・ブラナー)のもと、『王子と踊り子』を撮影したとき 
の実話をベースにした映画。 “第3助監督”(ほとんどAD)として雇われた 
コリン(E・レッドメイン)から見た、常に精神的に不安定な状態のマリリン 
をミシェル・ウィリアムズが好演。当時のイギリス映画の製作現場を裏側 
から映し、ニュージーランド・ロケの田園風景がよく撮れています。封切り 
2日目の朝一番の回で観客が30名くらいというのはちょっと少なすぎます。 
公式HP ⇒ http://marilyn-7days-love.jp/ 

■僕達急行 A列車で行こう (★★★☆) 
森田芳光監督の遺作。 “鉄道マニア”である2人(松山ケンイチ・瑛太)を 
題材にして、わたらせ渓谷鉄道から、京急蒲田、九州のローカル線まで、 
出演者の役名が新幹線や特急・急行列車から拝借しているのも森田流 
のこだわりでしょうか。 肩がこらない大人のファンタジーで、土地の開発、 
小さな鉄工所、地方で急成長する食品メーカーという断片に、恋の予感 
と未来設計を重ねた心温まるラストで、これが遺作というのは残念です。 
公式HP ⇒ http://www.boku9.jp/index.html 

【Book】 

■内澤旬子 「飼い喰い」(岩波書店、12/02/22 ★★★★☆) 
先週紹介した『世界屠畜紀行』(2007)の続編。 千葉県で民家を借りて、 
種類の違う3匹の子豚を分けてもらい、名前をつけて、エサを与え、成長 
させて食べるまで、自らイラストを描きながら報告。 「そこまでやるの?」 
と思えるくらい、多くの知り合いに助けられながらも、“Do it yourself”の 
精神で一人で“初志貫徹”する姿はお見事です。唯一、残念だったのは 
メインとなるはずの「食べる会」のことが、イラスト1ページ+本文5ページ 
計6ページでしか触れておらず、この点は誇大タイトル(拍子抜け)です。 
http://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0258360/top.html 
飼い喰い――三匹の豚とわたし
内澤 旬子
岩波書店

■田中長徳 「屋根裏プラハ」(新潮社、12/01/30 ★★★★) 
1970年代に7年間ウィーンに在住し、1989年からプラハにアトリエを借り、 
東京と往復する写真家による、プラハの街のエッセイ。観光的な紹介は 
極力避けられ、古都プラハに一時滞在する東洋人の眼から見た1968年 
の「プラハの春」と、1989年の「ビロード革命」を経た現在のチェコの姿を、 
現地の友人Pとの交遊話をはさみながら報告。 カメラと車から東欧社会 
を論じ、自由主義陣営のウィーンとの往来、秘密警察のフィルム没収等、 
今だから語れる話題が面白く、カフカと「3.11」に触れた終わりが印象的。 
http://www.shinchosha.co.jp/book/331731/ 
屋根裏プラハ
田中 長徳
新潮社

【オマケ、今週の気になった言葉】 

食事は「食べ事」である。そもそも食に関わる家の仕事のすべてをさし

材料を求め買い物に行って、下ごしらえをして、料理して、ご飯を食べて、 
後片付けする このすべてを言う。これが日に二度、三度とおこなわれて 
人の暮らしとなる。(by 土井善晴<料理研究家>「Best Book 3月号」) 

食べることは、日常当たり前のように朝、昼、晩と三食、たまに朝と昼を 
一緒にしたり、昼と夜を一緒にして、二食にしてしまうことがありますが、 
基本的にお腹が空けば食べることを、産まれたときから繰り返してます。 
高校1年の夏休み後半から高3の初めにかけて兄と二人暮らしで、自炊 
が当たり前で、一度天ぷらを揚げてて火事になりそうになったこともあり 
ますが(笑) 高校の卒業式は、下井草の喫茶店の厨房で、コーヒーや 
ミックスサンド、パフェなどを作るバイトをして欠席してしまった次第です。 
朝食は毎朝ぼくが準備していますが、フルーツ3~4種(イチゴ、りんご、 
パイナップル、バナナ、甘夏など)をカットして盛り付け、たまに卵料理を 
追加するくらいで、夕食は「焼肉」のときだけ“自分流で”焼いています。 


では。


ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その87

2012年03月21日 08時30分42秒 | ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】

 

 

ミスター・ピーノの【見るが勝ち通信】その87

 
私の知り合いであるミスター・ピーノさんは

海外滞在が長く、

外国語にもご堪能な方ですが、

一週間程度で物凄い量のものを見る、読む、聴く。




私も見習いたいと思っております。

ピーノさんからいただいているメールマガジンを
ご本人の承諾を得てこのブログに転載しているものであります。




読者の皆様、感想等ございましたら

私が責任を持ってお伝えしますので


ぜひコメント欄にお願いします。



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初めてニューヨークに行ったのは1980年5月で2週間YMCAにいました。 
その時ブロードウェイで観た演劇・ミュージカルのひとつが、ナチスに迫害 
された同性愛者たちの姿を描いた『Bent』でした。主役は当時売出し中の 
リチャード・ギアで、「天国の日々」(1978)で印象的な若い農夫役をやり、 
「American Gigolo」(1980)のヒットでようやく名前と顔が知れ渡り始めた 
時期だったんですね。 30年以上も前に、彼が出演した舞台を観たという 
のは、今となっては自分の頭のなかで貴重な記憶のフラッシュなんです。 

年配のひとはよく眠れないので「睡眠薬を飲む」という話があり、実家 
の母も病院で診察を受けた上で、定期的に飲んでます。あの「眠れない」 
は、ここからは勝手な憶測ですが、結局運動不足が原因じゃないかなぁ 
と思ってしまうわけです。 一日中家にいてテレビや新聞を見ている時間 
が長く、買い物での外出は週に2回程度。朝晩、庭の草花に水をまくこと 
と食事・洗濯・掃除たまに昼寝をしてお風呂だと、1日の適度な運動量に 
達しないまま、「消費した体力を回復するための熟睡」にはならないです。 

三茶(三軒茶屋)には、「世田谷パブリックシアター」と「シアタートラム」

の2つの劇場があり、観劇後によく行く居酒屋が“名西(みょうざい)酒蔵 

です。 ここは、徳島県産の食材に特化していて、刺身も野菜も日本酒も 
こだわりがあり、オーナーも働いている従業員、そしてお客さんの多くが、 
徳島県の出身者か、東京農大OBか現役の農大の学生たちです。値段も 
手ごろな三茶価格。 店内に阿波踊りのポスターが貼られ、料理にスダチ 
がついてきます。トイレのドア裏の“徳島県地図”がドーンと圧倒されます。 
http://www.topics.or.jp/special/122545472032/2010/05/2010_1273454984.html 

【演劇】 

■「サド侯爵夫人」(世田谷パブリックシアター、12/03/17 ★★★★) 
三島由紀夫の戯曲を野村萬斎が演出。18世紀末、王政と旧体制が崩壊 
していくパリが舞台。 サド侯爵が投獄から開放までの19年間を三幕にて 
構成。侯爵は最後まで姿を現さず、彼を取り巻く6人の女:夫人(蒼井優)、 
母(白石加代子)、妹(美波)たちの思惑、策略が交差します。 自由奔放 
に行動するサン・フォン伯爵夫人役の麻実れいの妖艶な演技が印象的。 
貞淑で献身的な妻から、徐々に自我に目覚めていく夫人と母のやり取り 
がすさまじく、最後は井戸の底の牢獄のような雰囲気になる美術に感心。 
http://setagaya-pt.jp/theater_info/2012/03/post_268.html 

■「ガラスの動物園」(シアター・コクーン、12/03/17 ★★★★☆) 
T・ウィリアムズの戯曲(1945)を長塚圭史が演出。 1930年大恐慌時代、 
決して裕福ではない3人家族。 口やかましい母親(立石凉子)と極度に 
内気で小さなガラス細工の動物を愛する姉(深津絵里)が暮らす家から、 
できるだけ早く出たい弟(瑛太)。娘の行く末を心配する母の願いを聞き、  
夕食に誘った職場の同僚(鈴木浩介)との間で起きる感情のすれ違い。 
8人のダンサー兼黒子が登場することにより、舞台にアクセントが生まれ、 
常に進行役である瑛太と陰のヒロインである深津の静かな演技が見所。 
http://www.siscompany.com/03produce/37glass/ 

■「テキサス」(パルコ劇場、12/03/18 ★★★☆) 
長塚圭史の脚本を河原雅彦が演出。 マサル(星野源:SAKEROCK)が 
恋人(木南晴夏)を連れて、6年ぶりで故郷に帰ってみると、村では整形 
手術が流行。 姉(野波麻帆)をはじめ、多くの仲間たちの顔が変わって 
しまっていたという現実に、東京から追ってきた借金取り(岡田義徳)が 
加わり、闘鶏と村に群生する葉っぱビジネスが拡大していく中、今まで 
の古い慣習が壊れていく様子を描写。ナンセンス・コメディでありながら、 
“西部劇”を装った表題と冒頭シーンは、終盤のピストルの乱射で納得。 
http://www.parco-play.com/web/play/texas/ 

【映画】 

■マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 <原題 The Iron Lady>(★★★★) 
M・ストリープがアカデミー賞主演女優賞を受賞した英女性首相の半生を 
描いた自伝もので、認知症となった現在から過去を振り返る回想録です。 
階級制度の男社会のなかで“雑貨商の娘”と呼ばれながら、首相となり、 
財政赤字問題を抱えながらもフォークランド紛争におけるアルゼンチンと 
徹底抗戦を主張。亡き夫(J・ブロードベント)と一人で会話する姿と、娘が 
介護する“今”に戻ることで妻であり母親の一面を見せ、華麗だった政治 
の世界から孤立無援で立ち去るまで光と影の両面から丁寧な編集です。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://ironlady.gaga.ne.jp/ 

■シェイム <原題 SHAME>(★★★) 
ニューヨークで、“ほとんど病的”ともいえる主人公(M・ファスベンダー)の 
衝動は、若い男性なら多かれ少なかれ共感できます。ただ、ここまでいく 
と一線を超えた状態で、突然兄の部屋に転がり込むシンガーである妹は、 
“鏡”として存在して、兄以上に極端でエキセントリックな行動をとります。 
いつも虚無的で情熱的な視線を女性に投げかける一方、愛情を受けとめ 
ようとはせず、まるで修行僧のようです。 妹に一瞬救われたかと思えた 
最後の場面でも、「アレそっちに行くの」という懲りない暗示が結末でした。 
公式HP(音声注意) ⇒ http://shame.gaga.ne.jp/ 

【Book】 

■内澤旬子 「世界屠畜紀行」(角川文庫、11/05/25 ★★★★☆) 
(とさつ)ではなく「屠畜:とちく」。家畜が育てられたあと、どのように 
処理されるかを、“イラストルポライター”で女性の著者が、韓国、バリ島、 
エジプト、チェコ、インド、米国を訪問。 牛・豚・らくだ・羊・犬・ヤギなどの 
屠畜現場を取材。彼女が描く絵と詳細な説明文が素晴らしく、“食肉”に 
対する好奇心が旺盛で、「動物の命をもらって分かち合いながら生きる」 
という考え方をもち、徹底した現場での取材を貫くのは並大抵ではなく、 
東京の芝浦で日々こんな作業が行われていることを初めて知りました。 
http://www.kadokawa.co.jp/bunko/bk_detail.php?pcd=200906000469 
世界屠畜紀行
内澤 旬子
解放出版社

■牧野恭仁雄 「子供の名前が危ない」(ベスト新書、12/01/20 ★★★☆) 
10万人以上の名づけ相談を受けた命名研究家が現状の名前をレポート。 
奇抜な名前をもつ子どもたちが増えており、名前をつける親側の無力感 
の現れと、「世の中の常識に左右されない」 「自分の個性を発揮する」と 
いう誤った認識から起きていると指摘。 それらを珍奇ネームと総称して、 
幼稚園・小学校・病院などで誰も読めず男か女かの区別もできず、混乱 
が生じたり、就職(エントリーシート)で不利になったり、さまざまなケース 
を紹介。 時代による名前の流行りすたり画数の占いなど奥が深いです。 
http://www.kk-bestsellers.com/cgi-bin/detail.cgi?isbn=978-4-584-12357-7 
子供の名前が危ない (ベスト新書)
牧野 恭仁雄
ベストセラーズ

【オマケ、今週の気になった言葉】 

これから(浮気)したら締めます。当分、仕事ができないくらいにします。 
(by 山田優、12/03/14 結婚報告会見インタビューより) 
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/03/2012031401002560.htm 

3月14日に入籍した新郎で俳優 小栗旬が「今後もし浮気をしたら?」の 
質問に、新婦が“笑顔で”答えた内容です。 勿論、芸能人が入籍報告 
インタビューで笑いをとるためのジョークですが、沖縄出身のファッション 
モデルで女優でもある27歳の女性が、旦那が浮気したら「(クビを)締め 
たり」「仕事ができないくらい(ボコボコ)にする」という、ある種の本音が 
自然と言えるのは“沖縄=ラテンの血”でしょうか(笑) この言葉が現実 
に起こらないことを願うばかりですが、女性問題が起きたときには、この 
発言した映像が何度も繰り返しテレビで放映されることだけは確実です。



では。