ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

残雪とリハビリ:「大人の遠足」

2013年07月06日 23時22分09秒 | Weblog
風の音さえ聞こえない。
静寂という名にふさわしい頂だった。

「俺、こんな贅沢な場所にいていいのだろうか」
「こんな贅沢な時間を過ごしていいのだろうか」
おそらくは1時間近く谷川岳の頂に独りでいただろう。


しかし、これがまた原因で顔面真っ赤っかの雪焼け状態となってしまったようだ。
それでもあまりにも貴重なひとときだったと思う。
本当に誰もいないという当たり前の事実が、この場に居るのが自分一人だけという事実が嬉しくて仕方がなかった。
家の中に一人きりでいるのとは全く違う、大自然の中での己の存在感を感じていた。
やっと出た言葉(音)は「さぁて、帰るか」だった。

下山は極めて楽ちん。
何故なら、斜度があり長い距離の下り坂は「シリセード」で一気にくだってしまうことができたからだ。
「おぉ~たまらん! こりゃ楽だわ(笑)」
本当に笑いが止まらないほど楽ちんだった。


シリセードは危険がない訳ではないので、トレースのない急斜面だけに限った。
おかげで1時間40分ほどで下山できた。

ゴンドラリフト駅に着くと、可愛らしい雪だるまがあった。
雪遊びに来ていた家族連れの子供達が作った物だ。
思わず「シャッターお願いしてもいいですか」と言い、雪だるまとツーショットの記念写真を撮った。

「いやぁー、それにしてもずいぶんと焼けてますね(笑)」
お父さんに言われたが、まだ鏡で確認していないだけに「そんなに焼けちゃったのか」と少々不安にもなった。


懸念していた右膝は大丈夫だった。
それは今回の雪山登山における最大の収穫と言っても良い。
そしてやはり人との出会いが思い出に残る。
面白いカメラマン、小屋で語り合った山男達。
何よりも谷川岳警備隊の方々には感謝の思いで一杯だ。
決して彼等の存在に甘えてはならない。
頼ってはならない。

登山とは「大人の遠足」である。
自分で登りたい(登れる)山を考え決める。
そしてそれに合った道具や衣服を選択する。
ルートを調べ、地図を見て状況を思い浮かべる。
そのためには道具の使い方、衣服の選択、地図の見方などにおける多くの知識が必要だ。
実際に登り、あらゆる危機や危険を回避する。
最後は無事下山しなければならない。
1から10までが自己責任であり、「自己完結」へとつながる。
それが大人の遠足だと考える。
遭難対策協会や山岳警備隊の方々は、自己完結のその先にいる人達なのだ。
決して一緒などではない。
決して甘えてはならない。