12時40分、「燕山荘」へ到着した。
先ずはテント設営のための受付を済まそうと小屋へと向かったのだが、真正面に広がるあまりにも広大な北アルプスの稜線に完全に目を奪われてしまった。
見覚えのある峰々、登ったことのある山、未踏峰の山。
南は穂高・槍から北は鹿島槍・白馬までの180°の北アルプスが将に一望できたのだ。
夏に登った槍ヶ岳とはまたひと味違った北アルプスの大展望。
感動はあった。
確かにあったのだが、その感動とは明らかに違う何かに心を揺さぶられた。
知らず知らずの内に涙が流れてきてしまった。
(「あれっ、俺って一体どうしたんだろう・・・」)
何故涙が流れたのか自分でも分からない。
かといって、その理由を敢えて探し出そうとは思わなかった。
テント場を確認するが、今日はがら空きのようで何処でもOK状態。
だが、できるだけ好条件のポイントに設営するためにはやはり早い者勝ちだ。
小屋に入り受付を済ませた。
所場代500円なり。
いやぁ~実に安いものだ。
山小屋泊まりが一泊二食で9000円程度だから、この格安さは驚異と言ってもよい。
テントと言うごく限られたスペースではあるが、完全に自分だけのスペースであり、プライベートな極小空間。
いくら衣食住すべてを完全自立しなければならないとは言え、それはそれで登山ならではの楽しみとして捉えられる。
(まぁ天候にもよるのだが・・・)
テントの設営場所を決めるポイントは幾つかある。
できる限り地面が平らであり、且つ水平であること。
ペグダウンのし易さ。
風向きや陽当たり。
景観。
トイレには近からず遠からず。
隣に騒がしい輩がいないこと。
まぁこんなところだろうか。
ザックを置き、小屋前にあるテーブルへと向かった。
手に持っているのはガスストーブ(バーナー)と水、マイカップ、そして珈琲だ。
やや空腹感はあったのだが、それよりもこの絶景を見ながらドリップ珈琲が飲みたくて仕方がなかった。
もうそれだけで十分すぎるほど満足だった。
地図を広げてみた。
おそらくは燕岳に隠れているだけで、あの向こうには「劔岳」が見えているはずだ。
30分もあれば燕の頂へは行けることは知っていた。
だが、今日は敢えてこれ以上の行動はしなかった。
明日も間違いなく好天。
明日の朝、今よりももっと澄んだ空気の時間帯に劔を見ようと決めた。
テント設営は慌てることなくゆっくりと行えた。
そして選んだ場所はやや強い西風の影響を受けにくいところを第一とした。
できればテントの出入り口から燕を拝めれば申し分なかったのだが、長方形の設営地にテントの形状を合わせなければならない為、また、出入り口を風下としなければならない為それは叶わなかった。
それでも出入り口から顔を出し、ちょいと左を向けば目の前には燕だ。
これ以上は贅沢というもの。
設営を終えしばし周囲を歩いた。
特徴のある花崗岩が小屋の周りに点在していた。
富士も見える。
表銀座や裏銀座、後立山連峰もはっきりと見える。
ひとつ残念なことは騒がしいほどの人の声だった。
やたらとキャンキャラ声が響き渡っていたのだ。
山ガール達のいくつもの団体様が、あっちでキャーキャーこっちでキャーキャーと騒がしい。
楽しいのは分かるのだが、ちょっと勘弁してほしいほどの騒がしさだった。
まぁ彼女たちには彼女たちの世界があるわけで、俺は俺の世界に浸ることとした。
それでもあまりにもバカらしい喧騒に嫌気がさし、テントへと戻った。
何だかんだと言ってもやはり腹は減るもの。
夕食の時間にはまだ早すぎるのだが、非常食として持参してきたカップ麺を食べることにした。
燕を見ながら湯を沸かした。
沸点が低くすぐに湯が沸いた。
家で食べるラーメンと同じ物であるのに、まったく別物の様に美味い!
これも燕さんのおかげです。
燕さん、こんな美味いラーメンを食べさせてくれてありがとうね♪
17時。
そろそろ日が沈む頃だ。
急ぎカメラを持ち裏銀座方面を見た。
“SUN GOES DOWN”
稜線がシルエットとなり、空間を碧から黄、そして朱へのグラデーションへと染めて行く。
もう言葉などいらない。
わずかに数分間のグラデーションを愛おしみながら、沈み行く太陽を見送った。
先ずはテント設営のための受付を済まそうと小屋へと向かったのだが、真正面に広がるあまりにも広大な北アルプスの稜線に完全に目を奪われてしまった。
見覚えのある峰々、登ったことのある山、未踏峰の山。
南は穂高・槍から北は鹿島槍・白馬までの180°の北アルプスが将に一望できたのだ。
夏に登った槍ヶ岳とはまたひと味違った北アルプスの大展望。
感動はあった。
確かにあったのだが、その感動とは明らかに違う何かに心を揺さぶられた。
知らず知らずの内に涙が流れてきてしまった。
(「あれっ、俺って一体どうしたんだろう・・・」)
何故涙が流れたのか自分でも分からない。
かといって、その理由を敢えて探し出そうとは思わなかった。
テント場を確認するが、今日はがら空きのようで何処でもOK状態。
だが、できるだけ好条件のポイントに設営するためにはやはり早い者勝ちだ。
小屋に入り受付を済ませた。
所場代500円なり。
いやぁ~実に安いものだ。
山小屋泊まりが一泊二食で9000円程度だから、この格安さは驚異と言ってもよい。
テントと言うごく限られたスペースではあるが、完全に自分だけのスペースであり、プライベートな極小空間。
いくら衣食住すべてを完全自立しなければならないとは言え、それはそれで登山ならではの楽しみとして捉えられる。
(まぁ天候にもよるのだが・・・)
テントの設営場所を決めるポイントは幾つかある。
できる限り地面が平らであり、且つ水平であること。
ペグダウンのし易さ。
風向きや陽当たり。
景観。
トイレには近からず遠からず。
隣に騒がしい輩がいないこと。
まぁこんなところだろうか。
ザックを置き、小屋前にあるテーブルへと向かった。
手に持っているのはガスストーブ(バーナー)と水、マイカップ、そして珈琲だ。
やや空腹感はあったのだが、それよりもこの絶景を見ながらドリップ珈琲が飲みたくて仕方がなかった。
もうそれだけで十分すぎるほど満足だった。
地図を広げてみた。
おそらくは燕岳に隠れているだけで、あの向こうには「劔岳」が見えているはずだ。
30分もあれば燕の頂へは行けることは知っていた。
だが、今日は敢えてこれ以上の行動はしなかった。
明日も間違いなく好天。
明日の朝、今よりももっと澄んだ空気の時間帯に劔を見ようと決めた。
テント設営は慌てることなくゆっくりと行えた。
そして選んだ場所はやや強い西風の影響を受けにくいところを第一とした。
できればテントの出入り口から燕を拝めれば申し分なかったのだが、長方形の設営地にテントの形状を合わせなければならない為、また、出入り口を風下としなければならない為それは叶わなかった。
それでも出入り口から顔を出し、ちょいと左を向けば目の前には燕だ。
これ以上は贅沢というもの。
設営を終えしばし周囲を歩いた。
特徴のある花崗岩が小屋の周りに点在していた。
富士も見える。
表銀座や裏銀座、後立山連峰もはっきりと見える。
ひとつ残念なことは騒がしいほどの人の声だった。
やたらとキャンキャラ声が響き渡っていたのだ。
山ガール達のいくつもの団体様が、あっちでキャーキャーこっちでキャーキャーと騒がしい。
楽しいのは分かるのだが、ちょっと勘弁してほしいほどの騒がしさだった。
まぁ彼女たちには彼女たちの世界があるわけで、俺は俺の世界に浸ることとした。
それでもあまりにもバカらしい喧騒に嫌気がさし、テントへと戻った。
何だかんだと言ってもやはり腹は減るもの。
夕食の時間にはまだ早すぎるのだが、非常食として持参してきたカップ麺を食べることにした。
燕を見ながら湯を沸かした。
沸点が低くすぐに湯が沸いた。
家で食べるラーメンと同じ物であるのに、まったく別物の様に美味い!
これも燕さんのおかげです。
燕さん、こんな美味いラーメンを食べさせてくれてありがとうね♪
17時。
そろそろ日が沈む頃だ。
急ぎカメラを持ち裏銀座方面を見た。
“SUN GOES DOWN”
稜線がシルエットとなり、空間を碧から黄、そして朱へのグラデーションへと染めて行く。
もう言葉などいらない。
わずかに数分間のグラデーションを愛おしみながら、沈み行く太陽を見送った。