▲<11月6日、那覇空港の夕陽>
第4章 「世界の中心はどこにあるか(5)」
アドラーの「嫌われる勇気」岸見一郎+古賀史健著より 189~194P
e.より大きな共同体の声を聴け
例えば、定年退職をした途端、元気を失くす人がいます。会社という共同体から離れ、肩書や名刺を失い、「ただの人」になる事が受け入れられず、一気に老け込んでしまう。でも、これは単に会社という小さな共同体から切り離されたに過ぎないのです。
誰もが、別の共同体に属しています。アドラーの言う共同体とは、家庭や会社のように目に見えるものだけでなく、共同体の範囲は「無限大」で、目に見えない「宇宙」まで含んでいる。
所属する会社(=共同体)で、理不尽な目に遭ったとしても、「もっと大きな共同体がある事」を知っておいて欲しいのです。
そして我々は誰しも、複数の共同体の一員なのです。ひとたび世界の大きさを知れば、自分の苦しみは、「コップの中の嵐」であった事が解ります。
我々が、対人関係の中で困難に遭った時、先ず「より大きな共同体の声を聴け」という行動原則を覚えておいて欲しい。
「人間社会」という共同体で考えるなら、お互い対等の「人間」です。
理不尽な要求を突きつけられたら、異を唱えても構わないのです。あなたが異を唱える事によって崩れてしまう程度の関係なら、そんな関係など最初から結ぶ必要などは無いのです。
関係が崩れる事だけを恐れて生きる事は、他者のために生きる不自由な生き方です。
目の前の小さな共同体に固執せず、もっと大きな共同体が存在している事を知っておいて欲しい。
※定年を迎えたビジネスマンには、他の「もっと大きな共同体」を知る事は、なかなか難しい。主婦のように、日頃から、ご近所付き合いがある訳でなく、突然に近所仲間に入る事は難しい。でも、これからは、会社以外の世界に生きて行かなければならない。部下を自分の都合で酒に誘っては嫌われるだけだ。新しい共同体を探して飛び込むしかありません。