晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

地名のこと(1) 1/7

2012-01-07 | 上林地名考

2012.1.7(土)雨、雪、曇、晴

 鏡味完二氏が柳田国男氏に「地名にこだわっていてせっかくの青年期をむだにしないように」と言われたことは有名な逸話として残っている。柳田氏の「地名の研究」の中の地名と地理の項に以下の文がある。

 地名の研究に関しては、わたしはおかしいほどたくさんのむだな苦労をしている。そうしてまだこれという価値ある発見はないのである。以下略

 地名の研究には各分野の知識が必要で、様々な学問をしなければならないのに地名の研究そのものが学問として成り立たない、というようなことを語っておられるように解釈している。鏡味氏はその忠告にもかかわらず分布や統計など科学的な手法を以て地名を研究され、地名学という学問を作り上げられた功績者である。
 
 わたしはよく人に「地名について研究されていますね」と言われるが、実はそうでなくて、歴史について地名や伝説など民俗学的な要素を使って研究しているというのが正確だと思っている。古文書など存在しない過去のことを調べるのは発掘などの考古学的手法が最も効果的なのだが、わたしたちが直接発掘調査など出来ないわけで、現在に生きる歴史の化石といわれる地名を探ることが歴史を探るひとつの方法だと考えている。P1000765

地名を探るのに多くの辞書を見るが、それだけでは解決しない。 


 ところが地名を探るということは柳田氏が言われるようにもの凄く多くの周辺知識が必要なのである。それがむだとは思わないが、苦労は多いものである。
鏡味氏の功績に「地名の語源」という辞書がある。科学的に地名を考察された集大成というもので、アマチュアの地名研究家にはバイブルともなっている。多くの書物や論文に、地名語現時点によるというふうな書き方がしてあるのだが、どうみても意味をなさない場合が見受けられる。地名というのはただ辞書に合わせればいいってものではないということだ。つづく

今日のじょん:橋の上には多くの足跡があるが、犬と人のものばかりで獣が渡っている様子はない。川にはイノシシの足跡があり、どうやらもっぱらの通行は川を使っているようだ。 P1000746 P1000749 P1000748
 

 

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