晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

大栗峠考(27) 1/16

2012-01-17 | 山・峠

2012.1.16(月)曇

 次は杉、桜、栗などの樹木地名の問題である。身近な樹木名の地名は他の意味、特に地形的な意味を持っている、という風に書いたが(2011.12.22)必ずしもそうでないと言うことを付け加えたい。
 というのは大栗峠のある志古田大栗の隣に鳥垣のシデという小字がある。シデの山としてかつて茅かきの地であったところである。この地名について色々と考えたのだが、どうも樹木のシデによるものらしいのだ。
 シデというのはカバノキ科の落葉高木で、幹が硬くて建材などに使用されていた樹木である。Img_3193

シデの木、鳥垣林道で


 四手(しで)という言葉がある、玉串やしめ縄に使う紙を細長く切ったものをいう。槍の柄につける払子(ほっす)のようなものも言うらしい。和歌山県の方言ではたきや塵払いを”しで”という。これらはすべて同様の形状を表しており、シデの花の付き方からきているという説もある。つまりこれ等の言葉も樹木のシデに関連するものと考えてよいのだろう。
 死出の山という言葉が古文にある。死後におもむく冥土という意味だが、こういう言葉が地名になっている例は聞いたことがない。地名は佳名にするのが原則なのでこういう地名の付け方は無いと思うのである。
 従って、シデという地名は樹木のシデから来ていると考えざるを得ない。現実にシデの辺りにはシデが多く生えている。ただ上林の山にはどこにでもあるようで、特にこの地域にのみ植生があるというものではないようだ。
 どこにでもあるようなものを地名として付けることは無いという風に考えるのだが、新しい地名は別である。桜の名所や杉の産地にそれらしい地名がつくことはあるだろう。極端な例だが最近の分譲地などは強烈である。百合ヶ丘、桜ヶ丘、かしの木台、櫟の里、枚挙にいとまがない。
 鳥垣シデも古地名ではなく、シデが用材などに使用され、切り出されはじめた頃につけられたのだろう。ただ記録としてそういったものは見たこともないし、今後も出てきそうにはない。あくまで想像しているだけである。Img_3353_2
 
シデの山頂に向かう。(2011.7)


 地名の研究者の論文などを見ていると、自分の説に合ったものだけを公表し、都合の悪いことは黙っておくというようなものがある。これは他の学問についても同様かも知れないが、わたしも気になっていたのであえてシデのことを書いた。
 かといって大栗が栗の木に由来する地名だとはならないのである。

今日のじょん:ダーウィンが来たという動物番組で、コヨーテを特集していた。野生の中で生きるコヨーテは同じイヌ科でもえらい違いやなあと思ってみていたのだが、獲物を捕る動作を見てびっくりする。ネズミやジリスを捕まえるのだが、じょんのある動作と一緒なのだ。それはじょん語録でお知らせした半井飛びである。ぽんぽこぽんのとき跳ねるボールを捕まえるのにする動作があまりに可愛いので半井飛びとしたのだが、その動作こそ野生の本能だったのだ。うーむ。Img_3730
 

このあと。

 ボールを見つけても知らん顔していて、急に向きを変え、飛びついて両手で押さえるのが半井飛びである。

 

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