晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

雨読  旅と交通の民俗 1/13

2012-01-14 | 雨読

2012.1.13(金)曇

 古道や峠を散策するのは楽しい。菅笠や蓑のいでたちで、荷を背負った人たちが行き来する様子を想像しながら歩いてゆく。
 古道や峠の歴史を探るのはもっと楽しい。かつての旅人はわたしたちのように悠長な気分で街道を行き来してはいない。今長距離トラックの運転手がよっぴきで高速道路を走っているのと同じだろう。中にはお伊勢参りなどの信仰ともレクリエーションともつかない旅路もあっただろうけど、それにしたって命がけの旅なわけだ。
 そんな旅や交通の民俗についての文献は余り多くない。わたしが現在所持しているものは二冊あり、その一冊を今日読み終えたので紹介しよう。
 「旅と交通の民俗」北見俊夫著 岩崎美術社 1995年9月新装第一刷 定価2,000円 購入価200円

 岩崎美術社という出版社は民俗関係の本を沢山出版されている。タイトルに魅せられていくつか所蔵しているが、内容は今ひとつインパクトがない。本書も序章を読む限り学者が能書きたれてるなという感じを受けた。
 各論に入って様々な興味ある記事が出てきた。旅宿のことや信仰に係わることなど知りたい事柄が多くあり、新たに知ることも多かったのだが、読後感としてはなんとなく物足りない感じだ。一般的、表面的な事ばかりで、著者による探究、思考の跡というものがうかがえない。P1000795
 
旅に関する本二冊。


 文中に古文書なども出てくるのだが、そのまま記載してあるだけで、現代訳文がない。一応読んでみるが、はたして読み取った意味があっているのか不安が残る。「こんな事も読み取れないのか」と馬鹿にされているようで嫌な気分になる。
 最終項では地域別の陸上交通について著者が研究された地域についてかかれているのだが、表面的なことが多く著者の考察、著者の意図が不明である。
 帯紙に、商業・交通の民俗学的研究への基本図書とある。基本的な項目を並べておくから、ここから研究を進めてよという本ならその意義は充分にある本だ。
 
 旅の語義について書かれている項があり、興味深いものなので紹介しよう。
 元々旅をすることは食糧を行く先々で乞い求めるものであり、それにより自己の衰弱の回復を図るとか、こちらからは物的ないし精神的な祝言などを与えている。こういうものをタベとか呼んでいたのが語源になったのではないかという。
 トビというのは訪問する際に持って行く食物のこと(語源大辞典)、贈り物を受けたときのお返し(全国方言辞典)とある。柳田国男は、給ふ(タブ)の命令形、給べ(タベ)から変化したのではと解いている。はてさて。

今日のじょん:足跡ウオッチング
 雪道の散歩は動物たちの足跡が残っていて楽しい。実はここ二三日犬の足跡が続いているのだ。実にまめに各家を廻っているのと、イノシシなどの立ち回り先は必ず行っている。その跡をじょんがまた嗅いで行くものだから散歩も大変。それでも雪の無いときの不可解なじょんの行動がなるほどこういうことかとよく解る足跡である。P1000782P1000758


玄関に入っている跡とイノシシを追っている跡  

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