晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

がん-4000年の歴史(上下)ー補遺 8/14

2020-08-14 | 健康

2020.8.14(金)快晴

  自分自身の細胞が変異して増殖し、元の身体を滅ぼしてしまうというのは自然淘汰の考え方からみると大きな矛盾だと書いたが、よく考えるとそうでもないという気がしてきた。雨読「残酷な進化論」(2020.2.10参照)で書いたのだが、「生殖が終われば進化は個体の生存など考えてくれない」ということと「自然淘汰が働くためには死ぬ個体が必要だ」ということならば、老化した個体にがん細胞が発生し、その個体を死に至らしめるのは矛盾でもなく、進化の道理である。

 ただ先の文書で「生殖が終わる年齢は20代の中盤、、」と書いたのは間違いである。改めて訂正致したい。それは女性なら閉経となり、男性なら更年期障害の出てくる50代と見るのが妥当だろう。この年代ががん発生のひつのピークでもある。ここでがんについての興味深い実験を見つけたので紹介しよう。研究者が使うがん細胞株で最も悪性なのはS180という細胞株で、マウスにの体内に注入すると例外なく1ヶ月以内に死亡するという。ところがあるマウスだけががんにかかることなく通常に生きたという。研究を続けるためにはマイティマウスと呼ばれたそのマウスの子孫を作らねばならない。がんに対して抵抗力の無い雌との間に子孫が出来、その孫の1/2は同じように抵抗力があったという。(潜性遺伝であれば子にはで出ないので孫を使用した)何百倍のS180を投与してもがんにはかからず腹水もたまらなかった。ところが不在にしていて研究室に戻ったとき異変が起こった。全てのマウスががんに冒され、腹水が溜まっていたのだ。それが二週間(人間の1~2年の相当)するとまたがんが消え、腹水も無くなったのだ。がんに抵抗力のあるはずのマウスががんに冒されたのは生まれて6ヶ月後、人間に相当すると50歳ということだ。これは人間のいわゆる更年期障害の起こる時期ではないだろうか。マイティマウスではこの時期に免疫機能が低下したと考えられる。私の周囲で60代半ばでがんによって亡くなられた方が複数おられる。遺伝子の最初の変異は10年~15年前といわれており、50代ががん発生の一つのピークといわれているのもうなづける。
 生殖機能がある間は子供を作るのが仕事なら、それが終われば死ぬことが仕事になる、進化(自然淘汰)とは残酷なものだが、それが生物の宿命なら致し方ない。そうすると自分の細胞が変異して増殖をするというがんは、死に至るための約束されたメカニズムなのかもしれない。そう考えると、がんをむやみに恐れることはないのではないか。それよりも、がんと言われたときにどうするか、しっかりと心構えをしておくことが肝要かと思うのである。

【今日の”のびちゃん”】NO. 36
 かみさんがじょんの夢を見たという。わたしはじょんではなかったが見たこともない捨て犬を抱いて歩いている夢を見た。「お盆やし帰ってきてるんやで」線香を焚いて般若心経をあげる。

おにい、帰ってきてたらのびにおせーてやってくれ、「寝てばっかいんじゃねえぞ」

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