晴徨雨読

晴れた日は自転車で彷徨い、雨の日は本を読む。こんな旅をしたときに始めたブログです。

死の起源-2 9/9

2020-09-09 | 健康

2020.9.9(水)曇り、雨 がん・認知症・老化(7)
 
 老化については本書の目的ではないので詳しくは書かれていないが、再生系細胞の分裂寿命がつきると細胞の老化となり、個体の老化に繋がっていくという風に書かれている。非再生系細胞についても同様である。
 前回紹介した湊先生の講演では、正常細胞は一定の寿命を持ちやがて死んでいくのだが(アポトーシス)このプログラムを外れるケースがある。一つはがん化でもう一つは強いストレス下で安全装置が働いて分裂を停止する場合でこれを「細胞老化」という。という風に書かれている。本書の細胞老化とプロセスは違うようだが、できあがった老化細胞は同一のようだ。老化細胞は細胞としての機能は徐々に失いつつかなり安定的に生き、多くの炎症因子を放出する。これは個体の老化と同一の現象ではないか。

 いくつかの文献で、遺伝子、細胞から見た老化、死、がんについて大まかに理解することができた。
「死の起源」は遺伝子、細胞と言った生化学的、科学的な方面から死を探究されているが、最終二章は哲学的に死を解説されている。第7章「なぜ死ぬのか」第8章「有限による無限」は本書の真骨頂である。死を科学的に見ることと、哲学的に見ることはアプローチが違っても同じ頂に到達する登山道の様に思える。
「生を明らめ、死を明らむるは仏家一大事の因縁なり」修証義の冒頭にあるように、生死の意味を見極めるのは人間の最も大切なことである。特に遺伝子操作により永遠の命や同一個体の発現等の可能性が見えてきた今日、生死について確たる信念を持ち得ないと、人類の未来は多分に危険なものとなってしまう。そういう意味で遺伝子や細胞に興味のない方でも本書は一読して欲しい一冊である。おわり

【今日の”のびちゃん”】NO. 38
 
のびちゃんなんでか田んぼが大好きなのだ。カエルだのイナゴだのいるとダッシュする。保護されるまでこういうの食ってたんかと思うと愛おしくなってくる。
 

コメント
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