アゲハの庭園にキンカンが一本植わっています。その木に,アゲハが産卵に訪れます。卵を探すと見つかることがよくあって,日頃から関心をもって見ています。先頃,ほんの10cmの範囲内に卵が3粒もあったので,どれか一つでも孵化する場面を見たいなと思っていました。
そのうち1個が孵化。二つめがこれに続くだろうと期待していたところ,とんでもない結果になりました。じつは,寄生バチが中からでてきたのです。ルーペで見ると,ごく小さなハエが数匹卵の表面やら周辺にいるので,びっくり。卵を見ると,うんと小さな真ん丸い穴がぽっかり一つ。
卵の直径は1.5mm。 ハチの体長はその4分の1程度,すなわち0.4mmぐらいでしょう。とすると,穴はさらに小さくて,0.2mmぐらいでしょうか。
中をじっくり覗くと,ハチの姿がありました。これから出てくる成虫です。
結局,中から,この成虫が出てくる瞬間を見届けることはできませんでしたが,こんな小さな卵にも,天敵が産卵していたというふしぎを深く感じました。
こういう出来事は,もう顕微鏡で迫るほかない小宇宙での話。自然の実態って,ほんとうに深く,広く,限りないものです。