自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

久々のマムシグサ

2015-05-10 | 植物

山あいの林間を散策しているとき,偶然マムシグサを見かけました。林道の脇に生えた草の間から,茎がニョキッと飛び出していました。

「久しぶりだなあ」と思って,辺りを見ていくと,向こうの方にたくさん生えているのが目にとまりました。

「これはスゴイ!」と思い,近づいていきました。そこは林の間にある放棄田。今は背の低い草が生えて,その中にポツンと数箇所,マムシグサが茎を伸ばしていました。

ここに。


そこに。


さらに周りを見ると,大小のマムシグサが所狭しと生えていました。確かにスゴイ光景です。


林の木はスギ。要するにスギの人工林があって,昔田だったと推測できる平地との境界辺り一帯です。マムシグサなど,人は利用しないでしょうから,無数に生えてきているのです。

マムシグサはどうもスギ林を好むようです。というより,針葉樹の林は陽が入らないとか,土壌が貧弱なために下草が生えないのですが,この草はそうした過酷な環境でもたくましく生きていくようです。大したものです。

じつは,このマムシグサ,わたしにとってはとくべつな意味のある草です。それで,冒頭で“久しぶり” ということばを使ったのでした。マムシグサは格好の野草紙の素材です。この草は他に類を見ないほど,魅力的な紙材料になってくれます。

写真を撮っていると,近くの年配者が脇を通りかかられました。わたしは,マムシグサがこの辺りに多いのか尋ねました。すると,「そんな名前なんですか。知らなかった」「マムシがやって来るんですか」「わたし,その草を引いて家に植えたんです。今は腐ってありませんが」とおっしゃいました。

この山あいはその昔棚田であり,今は放棄田で荒れ放題になっているのだとか。林道を登って,奥にある棚田に案内していただき,はっきりわかりました。古い時代が偲ばれます。びっくりしたのですが,道中の林間にはマムシグサが無数に生えていました。