ジャガイモ畑に通い,花と虫のつながりについて継続観察してきました。 目が慣れてくると,というか,つながり方が見えてくると,というか,実態がわかってくると,自然のありのままの姿が解きほぐされるように明らかになり始めました。
それと呼応するかのように,印象に残るシーンを目にする機会が多くなりました。
ヒラタアブたちの活躍は特筆したい例です。一つの花に2匹もの個体がごく当たり前のように訪れていたり。
わたしが至近距離に近づいても,ちっとも気がついていなかったり。もちろんこれは,気づかれないよう細心の注意を払ってきたわたしの慎重さの結果でもあります。こういう場面を画像として克明に残せたのは,わたしにとってかけがえのない撮影経験になるでしょう。
このとき,ヒラタアブはしきりに蕊の先に関心を向けていました。なにしろ10分近く,その場を離れなかったのですから。
送受粉が,こうした昆虫のはたらきで完了しているとは,ふつう考えかけもしないでしょう。次のように言い表すと大上段に聞こえるかもしれませんが,「花を見ていても,花が見えていない」からです。わたしもまた,昨年のこの時期にはそこに関心はほとんどありませんでしたから。心ここにあらざれば見(視)れども見えず,だったのです。
なにがしかのきっかけで,物事を詳しくとらえようとする動機が心の内に生まれるかどうか,このことが人の知的好奇心の発展のしかたを左右します。なんでも粗末に考えないことです。
ジャガイモの花に乾杯!