1月11日(土)。終齢幼虫は,これまでいたキンカンの葉を離れ,飼育箱の蓋裏に移動。そこで一日静止していました。ここでからだを固定して,前蛹になるのではないでしょうか。 盛んに絹糸を出した形跡があります。そして,胸脚の格好から見てなんとなくこの作業が続いているようです。
昨年末から今日まで,最低気温は-3℃,-4℃を頻繁に記録しています。そんな気温では,野外にいたらいのちは大きなダメージを受けると思われます。部屋の中で,マアマアなんとか生き続けているのは,やはり温度に大いに関係あるでしょう。
こうしてみると,温度をコントロールできる温室で,一年中生きている姿が観察できるのは当たり前という気がしてきました。それはあまりにも人為的な飼育法なので,自然とはかけ離れいかがかなという気がしないでもありません。いってみれば,常春・常夏をつくり出して,チョウを騙しているわけです。
その点,部屋の幼虫は自然界の影響を多少なりとも受けています。 緩やかな寒さを感じているはずです。「それだって,季節を欺いているではないか」といわれれば,そのとおりなのですが。
1月12日(日)。 蓋の裏で前蛹になると思っていたら,違っていました。蓋の,他の場所に移動。
1月13日(月)。飼育箱の入れているガラスコップの側面を登っていました。見ると,ガラスに糸がたくさん付いていました。落下しないための防御策です。
見ていると,からだを大きく曲げてなんとか葉に乗ろうとしました。
絹糸を出しているのがわかります。動きながらからだを常に固定しよう,落下するのを防ごうとする防衛本能のなさる知恵です。
1月27日(月)。13日以降,葉から蓋へ,と思ったら,また葉へ。と思っていたら,またまた蓋へ。26日まではそんな移動を,じつにゆっくり繰り返しました。ところが,この日,キンカンの葉を挿したコップの水に落ち死に絶えていたのです。なんとー! ほんとうに気の毒なことになってしまいました。わたしが,そうしてしまったというか。寒さでからだが自由には動かせない状態にあって,つい水面に落ちてしまったのでしょう。「これも自然」,そんなふうには割り切れぬ思いが残りました。
このままなんとか無事だったら,どう変化していったのか,気になります。