自然となかよしおじさんの “ごった煮記”

風を聴き 水に触れ 土を匂う

“花と実(タネ)”とジャガイモとわたし,よもやま話(8)

2014-01-14 | 随想

そうそう,もう一冊,たいせつな情報を提供してくれた本があります。これも忘れられません。先に,ご紹介した『ジャガイモの花と実』(板倉聖宣著/国土社刊)です。むしろ,この本がサボテンの“ふしぎ”を示唆し,わたしの追求を刺激したといってもいいかもしれません。

本ではジャガイモの花と実の関係を解き明かす材料として,サボテンやチューリップ(後日取り上げます)が取り上げられています。

サボテンについては,品種改良の観点からかなり詳細におもしろい話題が紹介されています。それは,アメリカの育種家バーバンク(1849-1926)についてのエピソードです。棘のないサボテンをつくり出すことができないか,それが彼の関心事でした。バーバンクはジャガイモの品種改良でもよく知られた人物で,棘なしサボテンの研究でも名を遺しています。

そのサボテンは『バーバンク団扇(うちわ)』と名付けられ,サボテン愛好家にはよく知られているようです。バーバンクが棘なしのウチワサボテンを作ろうとした狙いは,それを家畜の飼料にしようというところにありました。合点できます。

サボテンの実生のことが気になっていた頃,わたしの身近にもウチワサボテンがあるのを思い出しました。意外なことに,周辺が見えていなかったとは! そこに行くと実がちょうどできていました。「これはしめた!」と,ゾクゾクッとしました。実を開くと,平たいかたちをした種子が詰まっていました。

 

 

赤紫色の実に入った種子を見ると,確かに種だという感じです。大きな実なので,比較的大きめの種子が入っています。 

 


「よし,これを植えればいいんだ」とわくわくしてきました。

播種期の春を迎え,砂を入れた植木鉢を用意してこれまでに準備してきた種子を植えました。植えるといっても,砂の表面にばら撒いた上で,鉢底から吸水し,その後ティッシュ・ガラス蓋を重ねて載せるだけです。種子の上に砂をかけるのは禁物。実に簡単!

 


野菜の冬 ~ハツカダイコンの表情(1)~

2014-01-14 | 生物

ハツカダイコンはアブラナ科に属する植物で,根が球状,楕円状,色が赤,白,紫など変化に富んでいます。ダイコンらしい食感があって調理が簡単なので,わたしは好んで栽培しています。

他のダイコンと同じように暑さを苦手とする植物なので,ふつう,秋に入ったばかりの頃に播種します。高原野菜が冷涼な気候を利用して作られ,ダイコンもその一つであることを思うと理解できます。

9月に蒔いた種が育ち,1カ月が経った頃から,食卓にずいぶんのぼりました。直径2cmの丸いダイコンは,まことに愛嬌があります。わたしの弁当の食材にも毎日のように登場しました。

種子一袋には十分な量の種が入っているので, 家族では食べ切れないほど収穫できたことになります。それで,食べ切れない分をそのまま放っておくと,根がどんどん大きくなってきました。冬の寒さには滅法強いので,株は枯れることがありません。霜が降りて雪が積もる今も青々と葉を付けています。

地表に現れた根がずいぶんおもしろい表情を見せています。ゴツゴツの肌。


パカッと割れた肌。


「これはおもしろい!」というわけで,引っこ抜いてみました。なるほど,これはおもしろそうです。地上部の表面はゴツゴツして褐色を帯びています。縦横に溝ができて,木質化し始めています。調理に最適なダイコン模様がすっかり姿を変えています。

下写真の根は,長さが20cm。側根が一列に並んで,先まで続いています。大きな根から,あちこちばらばらに生えているわけではないのです。見た目にはわかりにくても,特徴はダイコンそのもの。おもしろい,おもしろい。


こちらのダイコンは,長さ17cm。やはり,側根が 行儀よく並んでいます。


畑のハツカダイコンを一部,このまま春まで置いておこうと思っています。花を見たいのです。このページにアクセスしてくださっている方の中でも,自分の目でハツカダイコンの花を見たという方はそう多くないでしょう。

ずっと以前の話。5年生の理科学習で,Tさんがいいました。「カイワレダイコンって,このまま成長していったら,花が咲くのかなあ。咲くとしたら,どんな花が咲くんだろう」と。カイワレは花が咲くから種子ができ,その種子を蒔いて栽培するのですが,それは一つの理屈です。Tさんは実際に見たことがないので,確認したいという気持ちだったのです。結果はたいへん印象深いものでした。このことを,今思い出しました。

理屈ではわかっていても,ほんものが見たいと思う例は意外とあるものです。ハツカダイコンのような例は,ごく簡単に確かめることができます。今育っているのですから,放置しておけばいいだけです。まずは確認することにします。