一週間で結果が見え始めました。種子が割れてきたのです。「こんなに早く結果が出るとは!」とびっくり。そのうちにウチワサボテンからは双葉が出てきました。双葉のない種類のサボテンもありました。これは本来の双葉が退化しているからです。全体の印象から見ると,確かにサボテンは双子葉植物だと思える発芽ぶりでした。
発芽率はバッチリ。それほどに確かな結果だったのです。下写真はウチワサボテンの発芽状況です。花が咲けば種子ができ,種子は子孫を残すために発芽能力を失っていないことが確認できたのです。
やがて,双葉の間から棘が覗き始めました。さらに日が経つにつれて,棘部分が棒状に伸びてきました。柱状のサボテンの誕生です。これがウチワサボテンに変化していくのかと思うと,ふしぎな感じがしてきました。また,『サボテンの実生』の表紙写真と同種の球状サボテンも同じ経過をたどりました。
その後,ウチワサボテンはすこしずつ団扇状に広がっていきました。そして,数年後には,いかにも名にふさわしい姿になったのです。一方,他の品種で,ソフトボール程の大きさの球状に成長したものもありました。立派なサボテンでした。
百聞は一見に如かず,です。余談ですが,発芽実験の結果については,他の素材と併せて教材開発を編集の柱にしている雑誌に寄稿しました。栽培家の間では当たり前の事実であっても,教育現場で教材づくりをしている教師たちにはそうではありません。この事実を広く伝えたいと願ったのでした。幸い好評を得て,結果としてはよかったのではないかと感じています。
サボテンもやはり種子植物なのです。