先日の記事で,ジャガイモが人形のようになったものやストロンで団子状につながったイモについて,わたしは「なにか自然条件が影響したのでしょうか。つくり方に問題があるのかもしれません。それとも,種イモの問題なのでしょうか」と書きました。
このことは,収穫期に触れた話題でもあり,以来ずっと気になっていたことです。なぜかといえば,昨夏はとくべつこのかたちのイモがたくさん獲れたからなのです。
収穫・保存しておいたそれらのイモから頂芽が盛んに出てきたので,改めて気になって調べているうちに謎が解けてきました。その周辺の話題を取り上げましょう。
結果からいえば,じつに簡単な話です。つくり方にもイモ自身にも問題があるわけではありません。自然条件,とくに気温と降水量に関係があるのだそうです。
こぶ状のイモができる,人形型になる,串刺ししたように鎖状になる,こういった例には,“二次生長”という専門用語が付けられているのです。一次生長が順調に続けば,かたちのよいイモができます。これに対して,生育中に高温乾燥が長く続くと,一旦生育が停止され,再び生育環境が戻ってくれば生育が再開されます。結果,別のイモが付け加わるような感じで新しいイモが出現するらしいのです。
これには合点がゆきます。ということは,ジャガイモは高温とか,乾燥とかが苦手だということです。アンデスや北海道などの冷涼な気候は,この点,ジャガイモの生育にはもってこいなのでしょう。
我が家にある人形型のジャガイモを見ると,すべてが二次生長でできたイモの頂部から芽が出ています。これが頂芽であることは明らかです。
下写真の頂芽は,異様な徒長ぶりです。長短さまざまな芽が密生しています。
小さなイモなのに,二次生長によるイモができています。その頂部から頂芽が勢いよく伸びています。芽の途中には節がいくつかあって,本来葉の出る位置がわかります。
話が飛びますが,表皮の赤いジャガイモは芽も赤くなっています。イモは茎,芽も茎。かたち,姿こそ違っていますが,どちらも茎として似通った性質を持っているのです。
人形型のジャガイモから,“知”の世界が広がります。