らんかみち

童話から老話まで

陶芸窯もピザ窯も焼くよ

2013年05月20日 | 陶芸


 約束の時間に窯へ行ったら既に火が入っていた。要釉斎先生の手下たちが、彼らの作品を窯詰めしようとして早めに来たんだろう、もう100℃近くまで上がっている。早引きした埋め合わせなんだろうけど、あんまり嬉しくない。一から自分で炊き始めないと窯内の雰囲気を把握し辛いのだ。

 まあそんなことは500℃を超えることができたら関係のない話だし、昼ご飯を買ってきてくれたりと、気を遣ってくれる。窯詰めをしてもらったツケを払おうって昔気質は素敵だが、窯を一杯にしているのはぼくの作品群なのだ。
 それに、昼ご飯はこちらが用意している。すなわちカマドン(売れたはずが、キャンセルを食らった)による石窯ピザだ。石窯を一口に言うけど、ほとんどは耐火煉瓦で作られていて、カマドンのように耐火煉瓦の土で作られた陶芸作品も存在する。

 三つの窯を同時に面倒見るのは厳しいので、古窯は要釉斎先生とその手下に任せ、ぼくは新窯とカマドンに集中した。カマドンはガスコンロと薪を使う前提で設計(そんな、たいそうな!)しているので、薪だけで温度を上げるのは大変だ。
 それでもなんとか市販のピザ種を焼き上げ、さあ要釉斎先生、石窯ピザを召し上がれ。
「……うむ、うまい。君ぃ、君は、焼き物は、ろくなもんを焼けんが、ピザは上手に焼けるじゃないかね」
 当人を目の前にしてこの言い様なので裏側は無い人なのだろうけど、も、なんも言えねッ!

 まあそんなこんなで和気あいあいと窯焚きをしていたんだけど、先生、煙が出ております! 灯油窯を使っているので、1000℃を超えて煙が出るということは還元がかかるということ。酸化焼成を目指してこれでは、えらいことになるぞ!
 先生も対策に一生懸命なんだけど、口でどうにかできる問題じゃない。といっても給油量を減らすだけなんだけど、すぐに対応できなかった。ぼくの焼き直し作品も入っているけど、幸と出るか不幸と出るか、まそれが陶芸の醍醐味でもあるからね。

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