らんかみち

童話から老話まで

26年、大島窯・窯出し展

2014年05月12日 | 陶芸
                  

 人口8000人ほどのこの島に窯元が二つある。ちょっと前まで「呆丹窯」という優れた職人さんの窯もあったけど、残念なことに病気で亡くなられた。ろくろの技術はトップクラスだった、と気が付いたのは、彼の職人さんへのオマージュとして、作品を真似をしようとしたときだ。ちょっとやそっとで辿り着ける境地じゃないことが理解できて萎えてしまった。

 もう一軒は萩焼の流れをくむ窯で、白い釉薬が分厚くかかった梅花皮状の縮れを特徴としている。瀬戸内海の荒れた白波に見立てた荒々しさが魅力なのだけど、陶工さんにお会いしたことはない。作品を所有していないぼくが言うのも変だけど、根強いファンを持つ味わい深い作風だ。

 今回紹介するのは、陶芸界のどの流派にも属さずに活躍されている「大島窯」の窯出し展。この方のレベルになると、女流という呼び方は失礼でしかない。陶芸は重労働なんだけど、大きな作品を、練り込みという技法で焼き上げている。登り窯なので、さすがに窯焚きは専門職のアシストを仰ぐらしいが。

 こちらの先生ほどになると、もはや入選歴といったものは意味がない。陶芸というのは、有名公募で受賞したからといって食っていけるというほど甘い世界じゃない。どこかの会派に属して個展を開きながら名声を得るのが通常らしいけど、こちらの先生は体勢に迎合することもなく、作品も独自の技術と世界観を確立している。
 この窯の作品をひとことで表現するなら、似たようなものが無いということ。よって、非常に高価。大物はちょっと手が出ないわけだけど、目の保養のために出かけてみようと思っている。

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