らんかみち

童話から老話まで

レディーの嫁ぎ先

2011年06月26日 | クラシック音楽
 レディー・ガガさんという方のことはほとんど知らないのですが、超大物の彼女が原発禍まっただ中の日本に来てくれたとあれば、オートバイレーサーたちも考え直してくれるでしょうか、ありがたいことです。
 やって来るレディーがいれば出て行くレディーもいましたね、レディー・ブラントのことです。12.7億円で嫁にもらわれていったのは、祝福すべきなのかそうでないのか。

 日本音楽財団は収益の全てを東日本大震災の復興に充てると発表されてますが、なにもストラディバリウスでなくても良かったんじゃないか、という声も聞かれます。バイオリンは工芸作品ですから、飾っていても仕方ないという意見と、楽器制作家の指標となるから手を付けるべきではない、という意見の狭間で財団も苦しんだことでしょう。

 どこのどなたが落札したのか知らないけど、あの楽器は財団が保有していたときと同じように、今後も演奏されないような気がします。現在活躍しているストラディバリほどには鳴らないだろうから。
 300年にわたって名手たちに演奏され続けてこそのストラディバリであって、当時はドイツ人制作家、ヤコプ・シュタイナーのバイオリンの方が良く鳴ったといわれてます。

 ストラディバリには伝説も多くあって、「木が絶滅してしまった」とか、「ニスの処方が失われてしまった」などと、もっともらしい理屈はあるんですが、ほとんどは価格をつり上げるために流布されたもの、とのことです。
 製作技術に関しては今の製作家の方が上であるだけでなく、中国の量産品だって負けてはいないはず。だって、ストラディバリは昔の量産品なのですから。

 現代の名工が製作した新作バイオリンとストラディバリを弾き比べる催しなどもありますけど、聴衆は両者の違いが分からないといいます。そりゃそうでしょう、弦をどのメーカーにするのか、弓をだれのにするかで音は変わるんですから。
 千住真理子さんも改造されていないストラッド「デュランティ」を演奏されてますが、鳴り具合というのは演奏家本人にしか分からないと思います。演奏家が鳴らしやすいと感じたならそれが全てでしょう。


アントニオ・ストラディバリ(1644-1737)

レディ・ブラント(1721年)日本音楽財団→?

デュランティ(1716年)千住真理子

ポリニャック伯爵夫人(1699年)ギル・シャハム


 ギル・シャハムさんくらいの演奏家に嫁ぐのなら、レディー・ブラントも幸せだろう、などと思ったりしてます。

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