らんかみち

童話から老話まで

となりの婆やは良く見える

2011年11月13日 | 暮らしの落とし穴
 数日前、親戚のお姉さんから電話があり、母親の介護やら何やらで非常に疲れている様子。そのときはうちの母も良くない状態だったので、世間というのがどれほど理不尽なものか、お互いの傷を舐め合うというよりは、入院患者同士が自分の病気がどれほど重篤なものか披瀝し合うように、お互いの母親の呆け自慢をしたものです。

 このところ母も体調が少し回復したので、「おばさんの具合が悪そうだ」と、母を伴って親戚を見舞いました。おばさんは見た目が綺麗なのと口が達者なので、一見しただけでは認知症と思えません。がしかし自分の服すら脱いだり着たり出来ない状態なので、母よりは重い状態であろうと思われます。

 母も口は達者だし自力で動けるので、他人が見たら介護は必要なさそうに思えるはずです。そんなだから親戚のお姉さんも母に色々たずねたりしてましたが、「うちの婆やと同じこと言うねぇ、これなら婆やと同じ程度かも」と納得したようです。
 そうなんですよ、公共交通機関はもちろん使えないけど、短時間なら自力で外に出られる母の方が憂うべき状態かも知れないのです。

 お姉さんもぼくも自分の不幸を呪っておりましたが、お互いの母親を見て、そこはかとなく落ち着きました。なぁんだ、あんたのカードもその程度なの? キングのワンペアとクイーンのワンペアぐらいの違いしかないんだね、と互いの手の内を見たような安心感とでもいうのでしょうか、青く見えていた芝生も、実は手をかけて養生しているのだと気付かされたのです。時々は同じ境遇の人と会って話してみるのも生きていく上での貴重な糧となるんですね。

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