らんかみち

童話から老話まで

ブランド鯵じゃないけど、活け作り

2013年05月29日 | 酒、食
「アジがたくさん釣れたよ」と、ご近所さんが30cmくらいのマアジ(ヒラアジ)のお裾分けを下さった。うちだけでは食べきれないので日頃お世話になっている人に持って行く。あとは刺身にして頂いたけど、美味しさの点では15cmくらいの小アジとかわりはない。

 関アジ、関サバといえば高級ブランドで知られている。西予市の知人に三瓶という所に連れて行ってもらい、奥地アジというブランドアジを食べさせてもらったことがあるが、そりゃあ美味しいものだった。
 三瓶なのでカメアジで良いじゃないかと思うんだけど、亀アジと誤解されては意味不明になるということか。

 関アジも奥地アジも同じ海域で捕れるマアジなのに、関アジの方が先にブランド化されたので値が高いそうだ。両者に共通しているのは、網漁ではなく一本釣りしたものを一昼夜だけ水槽で泳がせ、活け締めという手法で鮮度を保つことらしい。
 網で漁をしたら魚は傷ついて死んでしまう。一本釣りしたらそれはないけど、魚が抵抗したときに筋肉痛を患ってしまうから水槽で休ませる、ということなんだとか。

 関アジ、奥地アジは、手間暇かけたら大衆魚も美味しくなってブランド化される良い見本だけど、うちの田舎じゃそんなことには無頓着。釣り上げて船のいけすに放り込んでいたのを、まだピチピチはねているうちに刺身にする。
 このやり方が一番美味しいのかどうか知らない。一晩休ませた方が美味しくなるという人もいるが、漁師たちはそんなの待っていられない。早く一杯やりたいから。

 魚の美味しさは鮮度抜きには語れないけど、それだけじゃなく、しめ方や血抜きも大事なんだろう。しかし刺身においては、やっぱ包丁捌きだろうな。どんなに鮮度の良い魚でも包丁の切れ目が鋭角に立ってないようでは美味しくはない。
 恥を明かさねばならないけど、良い魚を頂いたときには、ご近所の腕自慢に刺身にしてもらう。ぼくが煮付けにしか耐えられるほどの包丁技しか持ち合わせていないのは無残だけど、現実を直視して美味という実利を優先したいと思う。