らんかみち

童話から老話まで

一人のヒーローが時代を変える

2013年05月08日 | 釣り船とバイク
 松山出身の松山選手といえばゴルフだけど、プロ転向2戦目で優勝とはすごい。石川遼選手が高校生で男子ツアーを征したときに驚いたほどじゃないけど、1勝もできずに引退する選手が圧倒的な中で21歳で優勝してしまうんだから、ただ事じゃない。しかも学生というプロパティーが、プロ初優勝に花を添える。

 オートバイの世界選手権では、20歳になったばかりのマルク・マルケス選手が最高峰のMotoGPクラス2戦目で初優勝。あどけなさを残す風貌でありながら、去年のチャンピオンにぶち当たって怒らせるほどのアグレッシブな操縦で、今年度チャンピオンシップのトップに躍り出た。
 下位カテゴリーの頃から「悪ク・悪ケス」と揶揄されていたほど危険な操縦は非常に魅力的で、テレビ中継の視聴率は世界中で急上昇し、安全を最優先にするはずのレースディレクションも目をつむるほどだ。

 たった一人のヒーローの出現で、人気を失った業界が活気を取り戻すことがある。将棋なら羽生善治さんで、七冠を奪取したときのフィーバーぶりが懐かしい。ゴルフ界も石川選手には驚喜したろうけど、アメリカへ行ってしまったあげく、あの低迷では松山選手の双肩にかかる期待は重く大きい。

 バイクの業界も日本では右肩下がりが止まらない。90年代は「バリバリ伝説」などの漫画の影響もあり、バイク世界選手権には日本人がウヨウヨいてチャンピオンを排出していた。2000年代はイタリア人の時代となり、今はスペイン人の時代だけど、やがて中国人、インド人が活躍する時代が来るだろう。

 諸行無常、栄枯盛衰が世の常とはいえ、自分の生きた時代が蔑ろにされるのは寂しい。というわけでヒーローを待ち望んでいるぼくのようなおじさんが多いらしい。ところが、オートバイに回帰した高齢者の事故が多発しているとあっては、これはこれで辛いなぁ。