らんかみち

童話から老話まで

猿が来たら人間は淘汰される

2013年05月16日 | 暮らしの落とし穴
 さる? 猿が入島したってぇ! 確たる根拠の無い流言だと思いたい。3頭が連れ立ってやって来たらしいが、嘘の三八というくらいで3という数字なら眉につばを付けた方が良かろう。しかしあり得ないことじゃない、いやそれどころか否定する方が難しい話だ。

 本当に猿なんですか、見間違いじゃないんですかと質したけど、嘘をついて楽しむようなタイプの人じゃない。それって、猿に似た人間じゃないんですか、と聞いたら、「人間に似た猿かも知れませんよ」と返ってきた。……ど、どちらであっても釈然としないが……。

 鹿が来る、遠からず鹿もアライグマも島にやって来るだろう。鹿は愛媛県指定天然記念物だから、駆除などしようものなら手が後ろに回る。カラスだって畑に入って悪さをするが、許可を得ない駆除は許されない。都会に住んでいる人には理解してもらえないかも知れないけど、雀だってかなりな厄介者だ。
 
 燕の季節なので家を開放してやりたいんだが、「蛇が来るけん燕を入れるな」と母が怖がる。燕の巣を狙う蛇は毒蛇じゃないけど、嫌いなものを無理強いはできん。こういう家庭が増えたせいで燕は巣作りに苦労している。ガラス張りの店舗に入って出ようとして透明な窓にぶつかる。一度痛い目をしてしまうと、窓を開放しても出られなくなるんだろう、不憫にもスーパーの店内を飛び回っている姿を良く見かける。

 燕の天敵は蛇や烏だけじゃなく、雀も燕を攻撃する。雀はかなり荒っぽい小鳥なんだけど、駆除はできない。焼鳥屋のメニューにあるじゃないかという人もいるだろうけど、あれはヒヨコを雀と詐称しているか、輸入雀と思う。
 猪や狸と戦うだけで精一杯の島に鹿や猿までが蔓延ったらどうなるのか。人がいなくなれば燕の将来もない。自然淘汰に任せるのが自然界にとって最も望ましいという考え方は分からなくもないが、そう主張する人は、淘汰される側に人間が位置していると考えていないのだろうか。

 猪も鹿もアライグマも烏も熊も狸も猿も増え続けている。乱開発によって自然破壊が進んだのは ’80年代までだろう。
 農業に窒素を使うから赤潮が発生するというが、うちの田舎じゃ海が澄み切って魚が住めなくなってしまった。
 政治家はいうまでもなく、環境活動家も分かってないんじゃないか。海洋生物調査に参加していたときにも感じたけど、人間活動も自然淘汰の一環なんだ。国家間の争いもさることながら、人類の滅亡は足下から始まっている。