らんかみち

童話から老話まで

チンチン型急須とはこれいかに

2010年04月22日 | 陶芸
 バラ祭り2010で販売する陶芸作品を焼こうにも、まだ窯が一杯になるだけの作品ができておりません。かくなる上は大作を一点でもこしらえて誤魔化すしかないのに、急須みたいな面倒なもの作ってたら間に合わんがな。
「その急須の注ぎ口、まるでチンチンみたいやな」
 平べったい方の急須を組み上げて眺めていたところ、おばちゃんがいちゃもんを付けてきました。陶芸クラブに入って1年半、ようやく気がつくなんて自分でも相当鈍いなと思うんですが、うちのクラブって下品! 
 
 童話講座はお師匠さまという重石を頂いているので、チンチンのチの声も聞きかない上品なコミュニティですが、陶芸クラブには先生がいません。重鎮がいるとしたら86歳の要釉斎先生ですが、率先して下品な女体像作りにいそしんでおられる体たらく。おばちゃんたちまでたがの外れたことを言い出すのも無理からぬことです。

「君ぃ、注ぎ口がチンチンとは、どういうことかね」
 今度は茶人でいらっしゃる要釉斎先生がお出ましになられました。
「いや、そういうあれではなくて、どういったら良いか、注ぎ口を反り返らせてみたんです」
 急須の注ぎ口って反らせる必要はないみたいですが、反っているのも多いんです。だからといってチンチンに見えるかぁ? もしかしたらこういうものって、男と女では見え方が違うのかもしれません。
 
「急須は注ぎ口が命じゃ。君は命がチンチンで良いのかね」
 だからチンチンを作ったんじゃないって!
「うむ、チンチンとしてなら立派な形じゃ、がしかし、これでは小便の切れが悪かろう」
 そうおっしゃって、黒板に急須の分類を書いてくれました。
「君の作ったものは後手(うしろで)と呼ばれ、正式な茶会で使用するものじゃ。君は茶を飲まんなら、どうしてこんなものを作るのかね」
 横手という急須もあって、これでお茶を注ぐと急須の底がお客に見えてしまうので、尻を人に見せるように下品なことなんだそうです。

「年寄りの小便みたいに、垂れるチンチンはいかん、急須とて同じことじゃ、心して作りたまえ」
 ぼくはお茶を飲まないけど、どなたかにプレゼントするならコーヒーカップとか急須はまあ使い道があるかなって思います。でも注ぎ口がチンチンに見えるとしたら、人に差し上げるわけにはいかんがな。次回からは心して作る所存にございますぅ。