らんかみち

童話から老話まで

かわいい年寄りには旅をさせよ

2010年04月20日 | 暮らしの落とし穴
 とんぼっ子の童話合同合評会で広島に出かけないといけないってのに、朝から親戚の葬式に行く準備であわただしい。親戚とはいえぼくは知らない人なんですが、母と叔母さんはどうしても列席しないとまずい。送迎しようにも時間が合わなくて二人で行ってもらうしかないけど、仲の悪いボケ老人同士でだいじょうぶかなぁ。葬儀会館までは交通機関を三つ乗り継がないといけないので、二人にとってはちょっとした冒険ではなかろうか。
 
 しかし、「バリアフリーは年寄りを年寄らせる。安全なバリア有りーこそが年寄りを若返られるのだ」と、お師匠さまは説いておられる。なるほど、ポムッ(←ひざを打った効果音)これや! かわいい年寄りには旅をさせよって言葉もあることだし、この先二人に寝込まれるようなことがあっては、それこそぼくにとってのバリア有りーになってしまう。ここは二人にがんばってもらうしかなかろう。
 
 でもなんでだろう、葬式と聞いた二人はシャキシャキ動いて朝から美容院に行き、香典や喪服を用意してすでに臨戦の構え。
「まだ若いのに、気の毒なことよねぇ」などと悼む声にも張りがあって、これなら毎日でも葬式があればどうなんだろう、などと束の間のバリア有りー効果を実感するわけですが、ああ本当に大丈夫なんだろうか……。