らんかみち

童話から老話まで

放置プレイから、たちあがれオレ

2010年04月14日 | 童話
 半年ほど前に味噌をあげた人に、「あんたのくれた味噌ね、食えんから捨てようと思ったけど、まあ最後のチャンスをやってもええか、いうて味見したんよ。そしたら曲がりなりにも食べられるようになってるじゃない」と慰められました。
 実は自分で醸造しておきながら、この味噌はだめだ、下手なものをあげてしまったな、しかも相手は自家味噌を造れる人なのに、と悔やんでいたところだったんです。
 ありがたいお言葉をいただき、半信半疑で味噌汁を作ってみたら、ありゃ本当に食えるがな! 絶品とまではよう言いませんが、そこそこの味になっているじゃありませんか。
 
 サントリーの創業者である(故)鳥井信治郎さんの口癖の一つに、「寝かしてみなはれ」というのがあるそうです。不味いウィスキーを大量につかまされて困惑する社員に、「寝かしてみなはれ」と、時の力に委ねるように指示します。樽に詰めたまま一年後に味見してみたら、おぉいける! てなエピソードが残されているそうです。
 とりあえず放置プレイしてみて、どうにもならんようならそこで考えようって教えですかね。時の力って素晴らしいもんですね、ぼくの味噌も捨てられなくて良かった。
 
 余談ながら、鳥居信治郎さんの口癖は他にも、「やってみなはれ」とか、「飲んでみなはれ」いうのがあるそうです。あの方ほどの大物の口癖ともなると、もはや箴言として認知されているようで、「やってみなければ結果は分からないのだから、失敗を恐れずに新しいことに挑戦しなさい」と諭されたり、「飲んでいるうちに慣れて好きになる」と、味覚の本質を教わったりするんですね。
 
 ただいま祝賀合評会向けの作品(しばらく放置していた)を書いてますが、間際になって作品を送り付けたりして怒られやせんかなと心配しつつも、「書いてみなはれ」という天の声が聞こえてきました(ような気がする)。まあ文句が出たら出たで、「後回しにしなはれ」と言われたらすむことです、よね?