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常陸太田市の國安孝昌作品など―茨城県北芸術祭 KENPOKU ART 2016年遅い夏(10)

2016年10月06日 09時08分57秒 | 道外の国際芸術祭
(承前)

 常陸太田市の鯨ケ丘を歩いていたら「LIVING ROOM」と書かれた建物があった。
 これも茨城県北芸術祭のひとつで、北澤潤さんという方が「リビングルーム鯨ケ丘」というプロジェクトを行っている。

 むかし衣料品店だった場所を改装し、持ち寄ったものやそれと物々交換したものをおいているらしく、ソファがあったり、オーディオセットが設置されていたりして、妙にくつろげる空間になっている。
 この感じ、どっかで見たことあるなあと思っていたら、2015年3月に札幌のチ・カ・ホで行われた「PARC 4」に北澤さんがいらしていて、トークセッションを筆者も見ているのだった。

 ほとんど手ぶらだったので、物々交換に出せるものがなく残念。

 廃業してから長い年月がたっていて、きれいにするのが大変だったこと、いまは放課後の子どもたちが遊びに来ることなどを、ボランティアの方が話してくださった。
 北澤さんの実践は「コミュニティ」がテーマなので、このままのかたちだと人口密度の低い北海道に移植できるかな~、などとぼんやり考えた。


 車に戻り、鯨ケ丘地域から下界に降りることにした。

 だが、下におりる道がなかなか見つからず、行ったり来たり…。



 急坂を下って、パルティホール前に向かう。 






 この芝生に、國安孝昌さんの「常陸のおお田守る竜神」が設置されている。
 高さ16メートルに、木材や陶片を積み上げた大作だ。

 この斜めのラインが、國安さんらしくもあり、作品全体に大きな動感を与えている。

 なお、國安さんは筑波大で教壇に立っており、茨城県在住。
 公式のプロフィルには「1957年北海道生まれ」としかなく、道内のどこであるかを明示したテキストがまったくヒットしない。
 ただし、帯広柏陽高校の創立80周年記念モニュメントや、幕別町のモニュメントなどを手がけており、十勝の出身であろう。

 道立帯広美術館も彼の作品を所蔵しているが、モニュメントの本物ではなく、エスキースである。エスキースだけを見ていると、建築家が夢見た「実現しないプロジェクト」のように見えてくることもあるが、國安さんは巨大な作品をこんなふうに実現してしまうのがすごい。
 この物量作戦は、おなじ十勝出身の楢原武正さんと共通するものがあるような気がする。

 今回のKENPOKUでは、日立市の小貝ケ浜緑地にも作品を設置している。
 また、東京都美術館で10月2日まで開かれていた5人展「木々との対話」にも出品していた。

 

□青木隆直さんのブログ「秘境100選」に載っている國安孝昌「北辰の竜神」=札幌ドーム http://hikyou.sakura.ne.jp/v2/2012/06/626_2.html



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