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北玄展(12月10日で終了)

2006年12月12日 00時09分35秒 | 展覧会の紹介-書
 スカイホール全室を使ったハイレベルの書展です。
 全国団体「創玄書道会」の道内在住者でつくる「北海道創玄」の主催。
 わかりやすい記事が毎日新聞北海道版に出ていたので、ちょっとだけ引用します。
 
北海道創玄は69年の旗揚げ。創玄創立者の金子鴎亭(01年没)の提唱で74年、次代を担う気鋭の書家が意欲作を発表する場として「北玄12人展」を設け、毎日書道展毎日賞受賞者を中心に開催してきた。30回の節目を迎え、一科審以上の44人を今回と次回(来年12月)に分け、特別企画展として開催することになった。

 金子鷗(鴎)亭といえば、言わずと知れた近代詩文書の創始者であり、日本の近代書家の巨峰ですが、この展覧会は近代詩文にかぎらず、漢字、かなの書家も参加しており、作風も多彩です。
 ただ、あえて言うなら、近代詩文の共通の特性は、師匠とちがって「読めない」こと。
 まあ、気合が入ると、筆致はパワフルになって、その分読みづらくなるのはわかるのですが…。
 たとえば、高橋陌遙さんなどは、「咳をしても一人」という尾崎放哉の句と「鉄鉢の中へも雪」という種田山頭火の句の、自由律俳句をつづけて書いています。二人の句を続けて書くというのは、ちょっとビックリします。
 ろうけつ染めの石川錦京さんは、あいかわらず読みやすい文字ですが、以前より横長になったように感じます。
 我妻緑巣さんは、近代詩文ではなく、漢字を出品。甲骨文で、造形性に重きを置いた作品とお見受けしました。
 かなの大川壽美子さんは、「建礼門院右京太夫集」を、帖のような朱色の紙に小さな文字でつらねています。
 また、島田無響さんが、一般的な漢字ではなく、万葉がなとひらがなで和歌を一首ずつ、越智ウチタフでつかいでかいているのも、おやっとおもいました。
 名誉会員で今年100歳になった宇野静山さん(道書道展顧問)は杜甫の七言絶句を、89歳の赤石蘭邦さんは般若心経の一節を書き、健在振りを見せています。
 出品者は次のとおり。
安喰のり子、我妻緑巣、石川錦京、石崎閑雲、大川一涛、梶浦翠戀、加藤幸道、河合蕉竹、河原啓雲、小林融之、佐藤昭子、島田無響、鈴木大有、高橋海堂、高橋陌遙、瀧野喜星、竹内津代、辻井京雲、東地松亭

 紹介が間に合わなくて、すいません。

12月5日(火)-10日(日) 10:00-19:00(最終日-17:00)
スカイホール(中央区南1西3、大丸藤井セントラル7階 地図B)


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2 コメント

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Unknown (toraian)
2006-12-13 23:12:17
いつも詳しいレポートありがとうございます。
いまや北海道では、創玄会が主流といえるかもしれません。しかし、現在、行き詰まり感があるのも確かでしょう。現代書がパターン化してきているためです。(他の団体にも言えることですが。)だから試行的な作品が多いのでしょう。現在の書道における大きな課題でしょうね。生意気なこと言ってすみません。ちょっと感想まで。
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Unknown (ねむいヤナイ@北海道美術ネット)
2006-12-14 05:01:23
toraianさん、いつもありがとうございます。
筆者は、書道作品をあまりたくさんは見ていないので、なにを見てもわりあい新鮮に見えるのかもしれません。
ただ、近代詩文書は、北海道書道展などを見ると、パターン化しつつあるのは感じます。
北玄展の出品作は、それぞれに新たな道を模索しているように見えました。
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