五里霧中

★ マンガなどの感想 ★

◆ 先々月のナポレオン

2018年10月04日 | ◆[不定期] ヤングキング・アワーズ

ヤングキングアワーズ 2018年9月号より
 
 2ヶ月ほど遅れています・・・申し訳ありません。
 ここから追い上げたい所ですが、まだ忙しいのでどうなることか・・・
 
 

以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)

 
 
 
 
 

●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)

 

 コミックス15巻は、9月29日に発売済み! 感想遅れてます!!

 そんな今回、ロシア遠征・敗走編。
 冬となり、雪のつもったロシアの大地で、フランス軍兵士が1人、逃走中。

 味方からはぐれてしまい、極度の不安から周囲がコサック兵に見える状況で、
 とにかく味方がいないか捜していた所、砲撃の音が・・・

 しかし、音は1つだけで銃声もなし。
 一体何事かと近づいてみると、そこにいたのは髭面の大男。
 彼は大砲1つで、コサックを近寄らせないよう戦っているのだとか。

 そんな髭面の勇者に感動した兵士は、推薦をもらえるようにすると申し出るも、
 勇者は「これ以上出世できん」と述べて帽子をとると、そこには赤毛の元帥の顔が!

 といった感じに今回は、冒頭いきなり、ネイ元帥の人間離れした活躍が描かれつつ、
 過酷な撤退戦における伝説となった彼の姿を、活写するエピソードとなっていました。

 

 

 

 ネイについて語り合う老人たち。

 冒頭の話は、どうも伝聞らしいものの、ネイならやりかねんと話すあたり、
 ネイ元帥がどう思われていたかを察せられて面白い所。
 それだけ並外れた行動力とタフネスを持っていた、ということでしょうね。

 そして、彼らがいるこの時間は「第2帝政期」、つまりナポレオン3世の時代。
 ナポレオン栄光の時代は終わりを告げ、ネイ元帥も亡くなって久しい様子。

 12月7日というネイ元帥の命日に、彼の話に花を咲かせる男たちは
 元フランス軍の兵士で、だいぶ元帥を慕っていたことがうかがえます。

 

 

 

 伝説となった男。

 ロシアからの撤退戦において、切り離されたネイの第3軍。
 救出は不可能と判断したナポレオンは、退却を急ぐよう指示。
 冷徹な判断ではありますが、この状況ではやむを得ないものなのでしょう。

 そんな中、敵から投降を呼びかけられても、それを拒絶するだけでなく
 「貴君をわが軍の捕虜にする」などと、のたまっていたのが面白すぎでした。

 窮地にいるのはネイの方なのに、敵を捕虜にするとは戯言にも程がある・・・
 と思っていたら、本当にそれをやりとげてしまったのだから、脱帽です。
 凍えるほどの寒さの中、疲労の際にありながら、どれだけの超人ぶりなのかと。

 さらに、凍えた兵士に自分の持つ保温した水を与えたり、
 凍傷にならないよう助言をしたりと、自分のことより兵士を慮るネイ元帥の行動が、
 この苦境にあっても頼もし過ぎて、ただただ惚れ惚れせざるを得ませんでした。

 

 

 

 追撃を受けながら・・・

 撤退のために、生きて帰るために、最善を尽くすネイ元帥。
 コサック兵に追いつかれても、統率のとれた反撃で寄せ付けないのは凄まじい。
 寒さの中で疲労も限界でしょうに、どれだけ神がかっているのかと・・・

 それを繰り返し、不眠不休でもくじけない精神力は、最大級の称賛に値します。
 人間離れしたネイ元帥の活躍は、「化け物」と評されていて、むしろ痛快。

 ついに、ナポレオンの軍に追いつき合流できたのは、もはや奇蹟ですが、
 それを可能にしたのは、ネイ元帥の力あってこそなのでしょう。

 こんなの見せられたら、ネイのことが好きになるしかないじゃないですか!
 どれだけ強靭で、勇敢で、前向きで、カッコイイんだと・・・
 と同時に、彼がどのような道をたどるのか知っているだけに、切なくもなりますね。

 

 

 

 ダメ伍長の話。

 そして驚いたのは、もう一つの話。
 ネイについて語り合っていた老人の中に、ダメ伍長の後輩らしき人物が。

 これって、ルカくんですよね?
 戦友に会えたと述べている時に、セルゲイさんを思い出していたことからも
 間違いないですよね・・・生き残ったんだ、彼。

 そして、そのダメ伍長=ビクトルさんがどうなったかという話にも、
 驚かざるを得ませんでしたが、それでも大往生だったようですし、
 ここまでルカくんとも交流を保っていたことも、何だか嬉しい要素でありました。

 

 

 

 ミシェル・ネイ。

 ここで話を聞いていた新聞記者の話は、興味深いものでした。
 人が弱った時、絶望した時に求めるのは、英雄であると。

 モスクワからの撤退という悲惨な状況の中、希望として求められたのが
 ネイ元帥その人だったというのは、納得できる内容でしたね。

 さらに、「面白い部分以外は歴史家にまかせるよ」と述べていたのも愉快。
 新聞記者という立場ゆえに、面白い話はどんどん取り入れてゆくものの、
 地味な部分、大したことではないと思われる話は、学者先生に委ねると。

 これって、まさにこのマンガにも適用できる話なのかな、と思わされました。
 事実かどうかわからない話だってあるでしょうけど、面白ければ「逸話」として
 紹介できるのは、歴史の側面を感じさせてくれます。

 記者さんの語る「ロシア遠征の幕切れ」の話も、嘘くさいと言われつつも、
 デュマ将軍の回想録の内容というので、真実味を帯びているのは面白い所でした。

 伝説となった男、ミシェル・ネイ。
 彼を慕う老人たちの乾杯の音頭が、しみじみとした余韻を残しつつ・・・
 今後も楽しみです!

 

◆ ヤングキングアワーズ 感想は後日・・・

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。