ヤングキングアワーズ 2014年6月号
以下、ネタばれあります。 (未読の方はご注意ください)
●ナポレオン -覇道進撃- (長谷川哲也 先生)
プロシア王妃ルイーゼの怒り!
フリードリヒ・ヴィルヘルム3世の奥方にして、
プロシアにおける反フランスの中心人物とも言えるほど、苛烈な女性。
その彼女が、度重なるナポレオンの横暴にお冠で、
夫をたきつけ、対仏への決意を促し、ついにフランスとの戦端を開かせることに・・・
ここに、ドイツ・ポーランド戦役が始まります。
短い平和は終わりを告げ、新たなる戦いへ・・・
ナポレオンがルイーゼ王妃を「美人の王妃」と評しつつ、
彼女が「戦闘を見たがっていると聞く」「見せてやろう」と言葉を続けているのが、
王妃への敵意というか対抗心のようなものを感じさせてくれて、思わずニヤリとしましたね。
また、ここで「大隊方陣」と呼ばれる進軍隊形について、説明があったのは興味深く、
ナポレオンによる兵の運用が、高度な柔軟性を志向しているのだと、うかがえます。
かつてフランス軍は7年戦争において、プロシア軍に苦しめられたらしく、
そのあたりから応用をきかせるようになった、とも言われていますね。
そして、その柔軟性を形にできるのが、ベルティエと参謀本部、
各軍を率いる元帥たちの力量に負うところが大きいと、示されている場面は圧巻でした!
ゲルハルト・フォン・シャルンホルスト。
プロシアの軍人であるシャルンホルストさん。
後に、ドイツの軍艦に名前が付けられるほどの著名人であります。
かなり優秀な人物で、プロシアの軍制改革者として有名になるのですが、
この時はまだ、プロシアの古参将校たちが壁となり、思うような改革はできなかったらしく、
「プロシア軍は老人クラブに堕落している」などと、厳しいことをおっしゃっておられる。
しかし確かに、7年戦争をかのフリードリヒ大王のもとで戦った古参の軍人たちは、
その栄光に浴しているためか、現状維持を望む気分が強かったようで、
シャルンホルストさんの言うことも、間違ってはいないのですよね。
ただ、ブリッヒャー将軍などの理解者もいたようで、
ここでも、フランスのカルノーを引き合いに出しながら、軍隊内での体罰をとがめていたり、
改革の芽がプロシアに存在していることを感じさせてくれます。
けれど改革のためには、1度こてんぱんに敗れなければならないと考えているところが、
シャルンホルストという人物の凄味になっていましたね。
彼の真価は、まさにナポレオンの没落期に証明されることになるのですが、どうなることか。
フランス対プロシア、戦闘開始!
プロシア軍はルードヴィヒ親王が指揮を執り、
余裕を見せますが、その結果は散々なものでした。
密集隊形のプロシア軍に対して、フランス軍は散兵戦術。
敵をなめきっていたルードヴィヒ親王の軍は、
ランヌ率いるフランス軍によって、恰好の標的に。
さらに、側面からの攻撃がダメ押しとなり、ついに指揮官である親王自身が戦死!
「ルードヴィヒ親王は名もなき伍長に殺された」という言葉が、重くも痛快に響きます。
それにしても登場時、ルードヴィヒ親王が「フリードリヒ大王の孫」と紹介されてましたけど、
どうでしたっけ・・・ 私も詳しくは知らないのですが、「孫」だったかどうか自信がないですね。
イエナ・アウエルシュタットの戦いへ・・・
まずナポレオンは、山上に砲を並べ、敵を討とうと考えているようですが、
その砲を運ぶことが困難であるとランヌに意見されています。
が、何やら陛下には秘策があるようで・・・?
フランス軍とプロシア軍、双方の主力のよる決戦が近づいてきましたが、
ここで大活躍することになるのは、ダヴーですよね。
イエナ・アウエルシュタットの戦いが、どう描かれることになるのか・・・
ナポレオンの秘策とは? もろもろ気になりつつ、今後も楽しみです!