ヨーロッパチャンピオンズリーグベスト16、カンプノウでの対ミラン戦でバルセロナFCは「4-0」で快勝。ミランのホームでの「0-2」の敗退を上回ってベスト8へ進出した。クラシコでレアルに連敗し、最高峰・バルサのイメージに陰りが出てきた中、見事なパスワークサッカーによって、ミランを打ちのめした戦い方は、改めてバルサのサッカーの質の高さを世界に示したものだった。
特に際立ったのは開始直後と前半終了近くのメッシが挙げた2得点であった。それは単にメッシのシュートが際立っていただけではない。他チームの追随を許さないパスワークから、バイタルエリアでの堅固なイタリアの守備陣の中に「時空の隙間」を創り出したバルササッカーの“戦略”の見事さを示していたからだ。
2点差に打ち勝つには開始直後の様子見の時間帯にリスクを賭けて集中力を発揮し、出来るだけ早く得点を取ることが必要だ。開始5分後の得点は、バルサのチーム力の粋をメッシに賭けた得点だ。
左サイドに持込み、ミランの最終ラインを下げさせ、中盤ラインとの間にスペースを作る。チャビも左に上がってミランの中盤が左により、中央が空く。そこを中央深くのブスケツにボールを戻し、ゆっくりと前へ出たメッシにブスケツから短いクサビのパスが入る。ポイントはメッシとミラン最終ラインとの距離が離れていたことだ。
メッシは近くに寄ったチャビへダイレクトで出し、ミラン最終ラインとの距離を縮めるように前に出ながらワンツーパスを受け、左足のアウトで左にトラップ、ペナルティエリアに少し入った処から素早くふたりのディフェンダーの隙間を通すシュート!2本のダイレクトパス、トラップとシュートの素早さに、ミランGKは全く動けず、ボールはゴールに吸い込まれるように突き刺さった。
ところで、ふたりのディフェンダーは全く判断ができなかったように見えた。
動いているが、それはメッシの動きに単に機械的について行っただけで、様子見から切替えが出来ずにいたのだ。メッシのプレーを読んで果敢にタックルに入ったのではなく、メッシの右側の第1ディフェンダーがチョコッと足を出しただけで、左側の第2ディフェンダーはカバーに向けて少し下がってしまった。
テレビ放映で解説の福西氏が「メッシにしかできないプレー」と絶賛したが、確かにその通りであった。しかし、それはメッシのプレーを引き出した左サイドでのイニエスタの自在なボールさばき、中央からのブスケツのくさびのパス、メッシの近くでのワンツーで、メッシの動きに合わせてディフェンダーとの距離を縮めたチャビの絶妙のパス、があってこそ出来た技である。
バイタルエリアで相手ディフェンスを抜ききらずに、混戦でもなく、メッシにシュートの時空を創り出した処に、バルサの緻密な戦略とそれを実行できるチーム力及び技術力が示されている。どのような「研究と練習」を積み重ねてきたのか?
メッシの2点目も同じようなシュートであった。中盤でボールの競り合いからミラン選手がボールを前に運ぼうとする処をイニエスタが巧みに奪い取り、フリーで前へドリブル、深く持ち込まずに前線右でディフェンダーふたりの真ん中に構えるメッシへアウトサイドでパスした。
メッシは少し下がってディフェンダーとの距離をとり、左足で少しボールを浮かせてその場でトラップ、中央側から距離を詰めるディフェンダーに対して逆を取るように左足でボールを左へ動かし、シュートの体勢へ入る。ディフェンダーは踏ん張ってシュートのボールをカットしようとタックルに入る。しかし、シュートはタックルに入って伸ばした右足の下、股間を通ってゴールへ。GKのセーブも及ばなかった。
メッシがシュート体勢に入った時、GKがメッシからみて少しゴール左へ動いた。これはメッシの体勢からゴール左上隅を狙っていると読んだに違いない。ディフェンダーが少し足を上げたのは、その方向にボールが飛ぶと判断したのだろう。その読みを外してメッシは、腰を右にひねりながらゴロでディフェンダーの股間からGKの逆を取り、右を抜くシュートを放った。この瞬間の判断もメッシの計算の内なのだ。
得点を取るには卓越したストライカーが必要だというのが世界の大勢である。それを大別すると以下の二つに分けられる。
1)スピード、体格、体力…例.ロナウド、ベンゼマ、エトー
2)スピード、キープ力、フェイント…例.ロナウジーニョ、ネイマール
メッシは特に卓越した体ではなく、2)に属するが少し違い、華麗なフェイントを見せるわけではない。ボールが常に足下にあり、敵のタイミングを外すドリブル、そのコースはゴール前を横切り、マークの受け渡しの判断を狂わす。それがある意味ではバルサで生き、一方でバルサのチーム力を向上させている。これまでに世界的名声を博した選手からメッシを区別する処があるとすれば、そこなのだ。
特に際立ったのは開始直後と前半終了近くのメッシが挙げた2得点であった。それは単にメッシのシュートが際立っていただけではない。他チームの追随を許さないパスワークから、バイタルエリアでの堅固なイタリアの守備陣の中に「時空の隙間」を創り出したバルササッカーの“戦略”の見事さを示していたからだ。
2点差に打ち勝つには開始直後の様子見の時間帯にリスクを賭けて集中力を発揮し、出来るだけ早く得点を取ることが必要だ。開始5分後の得点は、バルサのチーム力の粋をメッシに賭けた得点だ。
左サイドに持込み、ミランの最終ラインを下げさせ、中盤ラインとの間にスペースを作る。チャビも左に上がってミランの中盤が左により、中央が空く。そこを中央深くのブスケツにボールを戻し、ゆっくりと前へ出たメッシにブスケツから短いクサビのパスが入る。ポイントはメッシとミラン最終ラインとの距離が離れていたことだ。
メッシは近くに寄ったチャビへダイレクトで出し、ミラン最終ラインとの距離を縮めるように前に出ながらワンツーパスを受け、左足のアウトで左にトラップ、ペナルティエリアに少し入った処から素早くふたりのディフェンダーの隙間を通すシュート!2本のダイレクトパス、トラップとシュートの素早さに、ミランGKは全く動けず、ボールはゴールに吸い込まれるように突き刺さった。
ところで、ふたりのディフェンダーは全く判断ができなかったように見えた。
動いているが、それはメッシの動きに単に機械的について行っただけで、様子見から切替えが出来ずにいたのだ。メッシのプレーを読んで果敢にタックルに入ったのではなく、メッシの右側の第1ディフェンダーがチョコッと足を出しただけで、左側の第2ディフェンダーはカバーに向けて少し下がってしまった。
テレビ放映で解説の福西氏が「メッシにしかできないプレー」と絶賛したが、確かにその通りであった。しかし、それはメッシのプレーを引き出した左サイドでのイニエスタの自在なボールさばき、中央からのブスケツのくさびのパス、メッシの近くでのワンツーで、メッシの動きに合わせてディフェンダーとの距離を縮めたチャビの絶妙のパス、があってこそ出来た技である。
バイタルエリアで相手ディフェンスを抜ききらずに、混戦でもなく、メッシにシュートの時空を創り出した処に、バルサの緻密な戦略とそれを実行できるチーム力及び技術力が示されている。どのような「研究と練習」を積み重ねてきたのか?
メッシの2点目も同じようなシュートであった。中盤でボールの競り合いからミラン選手がボールを前に運ぼうとする処をイニエスタが巧みに奪い取り、フリーで前へドリブル、深く持ち込まずに前線右でディフェンダーふたりの真ん中に構えるメッシへアウトサイドでパスした。
メッシは少し下がってディフェンダーとの距離をとり、左足で少しボールを浮かせてその場でトラップ、中央側から距離を詰めるディフェンダーに対して逆を取るように左足でボールを左へ動かし、シュートの体勢へ入る。ディフェンダーは踏ん張ってシュートのボールをカットしようとタックルに入る。しかし、シュートはタックルに入って伸ばした右足の下、股間を通ってゴールへ。GKのセーブも及ばなかった。
メッシがシュート体勢に入った時、GKがメッシからみて少しゴール左へ動いた。これはメッシの体勢からゴール左上隅を狙っていると読んだに違いない。ディフェンダーが少し足を上げたのは、その方向にボールが飛ぶと判断したのだろう。その読みを外してメッシは、腰を右にひねりながらゴロでディフェンダーの股間からGKの逆を取り、右を抜くシュートを放った。この瞬間の判断もメッシの計算の内なのだ。
得点を取るには卓越したストライカーが必要だというのが世界の大勢である。それを大別すると以下の二つに分けられる。
1)スピード、体格、体力…例.ロナウド、ベンゼマ、エトー
2)スピード、キープ力、フェイント…例.ロナウジーニョ、ネイマール
メッシは特に卓越した体ではなく、2)に属するが少し違い、華麗なフェイントを見せるわけではない。ボールが常に足下にあり、敵のタイミングを外すドリブル、そのコースはゴール前を横切り、マークの受け渡しの判断を狂わす。それがある意味ではバルサで生き、一方でバルサのチーム力を向上させている。これまでに世界的名声を博した選手からメッシを区別する処があるとすれば、そこなのだ。