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in Switzerland  酪農場の国にて

ただいま、復興支援中。
このブログは著者の恩師・知人・家族への近況報告です。

車いす

2009年05月26日 | Weblog
職業病というのかな、経験上のこともあって、車いすや松葉杖を使っている人にどうしても目がいってしまう。最後の避難民がたどり着いたZone4には、負傷した人がとても多い。毎日たくさんのテントやトイレをたてているけれど、車いすの人が使えるデザインまでにはなっていない。28万人の避難民をまかなうには、どうしても数が優先されてしまう。心苦しい。

今日会った人(写真)に聞いてみると、家族がビニール袋を使って排泄の世話をしているとのこと。Kilinochchiの赤十字事務所で監視員をしていた時に爆撃にあい、股関節から左足を失った。車いすは、Vavuniyaの病院で支給された。プラステックのいすが脚を切られてうまく収めてある。こうした車いすの数も足りていなくて、共有の車いすで交代でキャンプを移動している人がいる。

避難民キャンプの人々の苦悶

2009年05月24日 | Weblog
昨日の国連総長の訪問について、今日も事務所内はその話で盛り上がる。

好意的な感想が多いものと思っていたら、昨日国連総長との質疑応答が無かったことについて、「避難民キャンプにいる親戚家族を連れ出すために、直談判したかったのに」という残念を通り越して怒っているスリランカ人スタッフが7,8名いて、浮かれ気味だった自分を反省した。

潘基文氏がどんな感想を残していたかは気になるところで、ニュースでは"I'm humbled"という表現が使われていた。「くじかれた」ということだが、国連機関の力の及ばなさ(避難民を思うように支援できない状況)に言及したのだろうか。彼は、"It was a very sobering visit, very sad and very moving"(今回の訪問は、非常に酷くて悲しい、とても考えさせるものでした)とも述べている。

同時期に取材に来られたBBCの記者が以下のように表現している。
Agony in Sri Lanka's refugee camp
Agonyとは、(精神又は肉体の)苦しみ, 苦悶を意味する(グローバル英和辞典より)。それをみて、あー、自分はこういう表現がしたかったんやと気がつく。語彙が限られていると、自分の置かれた状況や心情をうまく表現できない。あたり前やけど、そのことに気がついた。

国連総長来訪

2009年05月23日 | Weblog
昨夜スリランカに到着された潘基文(バン・キムン)国連総長は、本日午前7時からコロンボで大ボスや国連機関トップらと朝食会後に、ヘリコプターで午前10時前にVavuniyaのManic Farmに到着した。そして、Zone 1の避難民が生活するモデル・ビレッジとZone 4の診療所を見学された。

さらにManic Farm近くの倉庫に集まった国際機関職員らを前にねぎらいの言葉と、避難民の一刻も早い開放をスリランカ政府に働きかけたいと挨拶された(写真)。「とても難しい環境の中での仕事だけれど、君たちがここに居るから私は希望がもてる」とのスピーチは、簡潔ながらも感銘を受けて、涙が出そうになった。

朝6時に現場事務所を出発し、朝7時半(セキュリティの関係で4時間前)に会場に到着して待ち続けた甲斐があった。しっかり握手もしてもらった。嬉しかった。

笑わない子供

2009年05月22日 | Weblog
毎日新聞の夕刊(関東版)に記事が掲載される。

昨晩、電話による取材対応で、避難民キャンプのこと、日本の支援のこと、うちの機関の活動のことなど1時間強お話させていただいた。その内容が、時差を考えると半日程度で記事になるのには驚く。

ジャーナリストや一般人の入場が制限されている中で、こうした情報は貴重らしい。実際のところ、「心のケア」ですませるような単純なものでもないが、政府を批判する内容は一切記事にできないので、政治的な配慮を踏まえ、ニュースになる話題性でまとめられている。記者さんの力量に感心。実際のキャンプは、もっともっと酷い。

あとは、私の個人情報よりも、うちの機関が具体的に何をしているのか、記述してほしかった(=組織人)なあ。それでも、全国紙に名前が出ただけでも素晴らしいことだと思わねば。

一日の流れ

2009年05月20日 | Weblog

・朝一にUNHCRでミーティング。各機関の持ち分の確認と情報交換。
・現場事務所に戻ってスタッフ・ミーティング。
・電話での報道記者対応(日本語で)
・避難民キャンプの現場に出向く。満タンになった屎尿槽をのぞくと、何千という蛆虫がわいていた。これで、今日一日はカレーを食べる気が失せる。
・避難民キャンプで目にした人々。
 1)通りの側溝に倒れていた老婆。虫の音の息で、病院への搬送を手配したが、病院まで命がもったかわからない。
 2)先週土曜日から食料を手にしていず、このランチ一つを家族5人で分けなければならないと嘆く妊婦。
 3)戦闘が終わる一日前に、一緒だった兄・姉・妹を砲弾で失った。なす術もなく、その場で穴を掘って埋葬してきたと目に涙を浮かべる青年。
 4)20歳すぎの娘をレイプされた後に刺殺されたと泣き続ける母親。
 5)空腹が堪えられず、私のズボンの端を引っ張る男の子。
 6)共同簡易トイレが怖いのか、そこらじゅうで野糞する子供たち。
通訳してくれたスリランカ人職員たちは、もっと辛い思いをしただろう。

・質より量が優先され、いい加減になっていた作業を職員らに注意。
・事務所に戻り、コロンボ事務所および東京事務所への報告。
・建設予定の簡易診療所のデサインを職員と検討。
・スタッフ・ミーティングにて一日のまとめと明日の予定作成。
・不満や悩みのある現場職員の話を聞く。
・宿に戻って、国内他事務所で進行中の現場からの報告に目を通す(特にVakaraiの学校建設)。
・新規採用職員用の書類作成

毎日こんな感じ。

スリランカに日本の支援物資

2009年05月19日 | Weblog
昨日、大統領官邸で行われた日本政府からの緊急支援物資の引き渡し式の模様が今朝のNHKニュースで流れた。

その中に大ボスの鞄持ちでついていった私が映っていたらしく、思いがけず元気な姿を見られたと家族からの連絡。祖母も画面で私を認識できたらしい。日本で放映されるとは思ってもみなかったけど(日本人カメラマンは来ていなかったので)、よかった。

テント、給水容器、就寝用のマット、蚊帳など、支援物資がうちの機関によって、避難民の方のもとに届く。そのことが報道されていなかったことに、同僚ともども残念に思う。

外務省HPより スリランカ被災民に係る物資協力の実施

新型インフルエンザ

2009年05月18日 | Weblog
新型インフルエンザが大阪、神戸で広まっていると英字ニュースで知る。懐かしい地名や校名が出てきて、その風景を思い浮かべてみる。事態が一刻も早く終息されることを望む。

スリランカで新型インフルエンザは先月よりニュースにはなっているものの、それほどの深刻さはない。それよりも気になるのは、やはり内戦の結末か。

勝利宣言?

2009年05月17日 | Weblog
週末にコロンボに戻ってきた。この内戦は、ほぼ終結したということになって、コロンボはちょっとした祝賀モード。一方、北部の現状を知る人間としては単純に喜べない。まだまだテロの可能性が完全になくなったわけではないし、タミル人一般の地位とかが守られていくのか懸念される。そう、不安要素がなくなったわけではないのだ。

スリランカ人の同僚と、何を持って「平和」というかと話していたら、彼は「検問なしで自由に国内を移動できること」という。そう、VavuniyaからColombo間は、公共バスで移動しようものなら、10箇所以上ある検問のたびにバスを降り、荷物やIDをチェックされる。それが無くなれば、たしかに雲泥の差だ。早くそんな環境にならないだろうか。

大人買い

2009年05月15日 | Weblog
今日はロブスター(伊勢エビ?)を大人買いをした。
学校の建設現場の帰りに、エビを買おうとして魚市場によると、

「こんなのが入ったよ」

と、ロブスターを見せてくれた(写真)。せっかくだから、数尾買おうかと思って交渉していると、全部(9尾)で4,000ルピー(約3,600円、発砲スチールケースに氷付)。1尾400円!とは悪くない。同僚と5人で夕食にした。旨かった。

翌日コロンボに戻り、大家さん、D監督やスタッフ家族にお裾分け。子供らが、目を輝かせて見ていた。よく見たら、恐竜みたいだと。確かに。

きもちがかわく

2009年05月12日 | Weblog
そんな表現があるのかどうかわからないが、悲惨な状況に出くわしても、心が揺るがなく(動揺しにくく)なった。それを「気持ちが乾く」といえるだろうか。

体の中に潜む感情の魚が、酸欠状態で口をパクパクしていることに、長く気がついていなかった。そんな余裕がなかった。