朝一で、技術職員R呼び出し、いくつかの現場の写真を見せながら、説明を求める。
私「ここの柱がないんやけど」
R「あ、それは盗まれました」
私「は?」
R「先週までは、あったのですが、同じ敷地内の避難所で暮らす被災者に盗まれました」
確かに資材置き場で資材が盗難されるケースは、これまで何回かあったが、建てた家の柱を抜き取るとは考えられない。それに、梁に柱との接合跡がないこともチェックしていたので、Rのミスには違いない。正直に答えれば、一緒に対策を考えようと思っていたが、そんな態度に出るなら容赦しない。
私「1棟だけではなく、何十棟も柱がなかったが、すべて盗まれたというのか?」
R「そうです」
私「床の仕上げをする前に気が付かなかったのか?」
R「自分がいない間に業者が勝手に進めました」
私「他にも図面との相違点がいくつか見られるが、その理由は?」
R「・・・。図面そのものが間違っていたので変えました。すべてはP(=P師匠)のミスです」
私「(プチンッ)では、なぜこれらを報告しなかったのか」
R「する必要がないと思っていました」
私「どこが間違っているか説明してくれ」
R「あの、その。。。。。 (うにゃ、うにゃ、うにゃ)」
私「話にならん。お前なんか、Engineerちゃうわ!」
と、そのままCチーフの元に向かう。Cチーフの指示で、Rに文章による回答を求め、適切な回答が得られなければ首にするということになった。
昼に同僚らと中華料理を食べに行く。普段は昼食を食べに行く時間がないが、今日は気分転換に出かける。「さっき、えらい怒ってたなぁ」と聞かれたので、理由を話すと共感された。Rは雇用契約時にも都合のよい嘘をついていたらしい。
午後から気を取り直して作業をしていると、大工養成学校の現場で開村式が明日行われることに急に決まり、電気工事の段取りを頼まれる。急な工事なので多少の増額は仕方ないが業者の示された工事金額があまりにも高かったので、R親方に電話すると明日に間に合わせるためには条件をのむしかないとのこと。しかし、現場のS君はそんな金額はありえないと抗議電話してくる。決断を迫られるが、事務所には技術的なことを相談できる人が誰もいないので、どうしようもなくKatmanduのP師匠に国際電話する。が、奥さんが出てこられて、外出中のこと。う-ん、とうなっていると開村式が来週に延期との連絡が入った。
放心状態で机に座っていると、R姉御に、「最近、働きすぎじゃないの? 私生活も楽しみなさい」と肩を叩かれたので、「そんなこと言われても・・・・」と、国際機関で働く難しさをつい愚痴ってしまう。「私も最初(?0年前)はそうだったけど、時期に慣れるわよ」とあっさりしたもの。でも、そんな会話の表面的な軽さ(実際に意味するものは重い)が、自分にそんなものかなと思えるきっかけを与えてくれる。
仕事にキリがついたので、先ほどお騒がせしたお詫びをとP師匠宅に再度電話する。「急ぎでお聞きしたいことがあったので、申し訳ないとは思いながら日中にお電話したのですが、無事に解決しました」と伝えると「そうか、そうか、電話してきてくれてありがとう」といつもの調子。それ以上の仕事の話はしないつもりであったが、私の置かれている環境を一番わかってくださるP師匠についつい話が長くなる。「そんなことになるだろうとはわかっていたよ。でもな、Things will get better, soon.」と聞き慣れていたコメントを久しぶりに聞いて、なんだかホッとした。近況を尋ねたところ、数年ぶりの自宅暮らしを楽しみ、ガーデニングをはじめたとのことであった。電話の向こうから、小学生の娘さんの歌声が聞こえていた。
Negomboにうちの機関が200戸近い仮設住宅を建設することが正式に決まった。
私「ここの柱がないんやけど」
R「あ、それは盗まれました」
私「は?」
R「先週までは、あったのですが、同じ敷地内の避難所で暮らす被災者に盗まれました」
確かに資材置き場で資材が盗難されるケースは、これまで何回かあったが、建てた家の柱を抜き取るとは考えられない。それに、梁に柱との接合跡がないこともチェックしていたので、Rのミスには違いない。正直に答えれば、一緒に対策を考えようと思っていたが、そんな態度に出るなら容赦しない。
私「1棟だけではなく、何十棟も柱がなかったが、すべて盗まれたというのか?」
R「そうです」
私「床の仕上げをする前に気が付かなかったのか?」
R「自分がいない間に業者が勝手に進めました」
私「他にも図面との相違点がいくつか見られるが、その理由は?」
R「・・・。図面そのものが間違っていたので変えました。すべてはP(=P師匠)のミスです」
私「(プチンッ)では、なぜこれらを報告しなかったのか」
R「する必要がないと思っていました」
私「どこが間違っているか説明してくれ」
R「あの、その。。。。。 (うにゃ、うにゃ、うにゃ)」
私「話にならん。お前なんか、Engineerちゃうわ!」
と、そのままCチーフの元に向かう。Cチーフの指示で、Rに文章による回答を求め、適切な回答が得られなければ首にするということになった。
昼に同僚らと中華料理を食べに行く。普段は昼食を食べに行く時間がないが、今日は気分転換に出かける。「さっき、えらい怒ってたなぁ」と聞かれたので、理由を話すと共感された。Rは雇用契約時にも都合のよい嘘をついていたらしい。
午後から気を取り直して作業をしていると、大工養成学校の現場で開村式が明日行われることに急に決まり、電気工事の段取りを頼まれる。急な工事なので多少の増額は仕方ないが業者の示された工事金額があまりにも高かったので、R親方に電話すると明日に間に合わせるためには条件をのむしかないとのこと。しかし、現場のS君はそんな金額はありえないと抗議電話してくる。決断を迫られるが、事務所には技術的なことを相談できる人が誰もいないので、どうしようもなくKatmanduのP師匠に国際電話する。が、奥さんが出てこられて、外出中のこと。う-ん、とうなっていると開村式が来週に延期との連絡が入った。
放心状態で机に座っていると、R姉御に、「最近、働きすぎじゃないの? 私生活も楽しみなさい」と肩を叩かれたので、「そんなこと言われても・・・・」と、国際機関で働く難しさをつい愚痴ってしまう。「私も最初(?0年前)はそうだったけど、時期に慣れるわよ」とあっさりしたもの。でも、そんな会話の表面的な軽さ(実際に意味するものは重い)が、自分にそんなものかなと思えるきっかけを与えてくれる。
仕事にキリがついたので、先ほどお騒がせしたお詫びをとP師匠宅に再度電話する。「急ぎでお聞きしたいことがあったので、申し訳ないとは思いながら日中にお電話したのですが、無事に解決しました」と伝えると「そうか、そうか、電話してきてくれてありがとう」といつもの調子。それ以上の仕事の話はしないつもりであったが、私の置かれている環境を一番わかってくださるP師匠についつい話が長くなる。「そんなことになるだろうとはわかっていたよ。でもな、Things will get better, soon.」と聞き慣れていたコメントを久しぶりに聞いて、なんだかホッとした。近況を尋ねたところ、数年ぶりの自宅暮らしを楽しみ、ガーデニングをはじめたとのことであった。電話の向こうから、小学生の娘さんの歌声が聞こえていた。
Negomboにうちの機関が200戸近い仮設住宅を建設することが正式に決まった。