今日はRamazan Festival Day(イスラム教のお祭りの日)という祝日で、職場もお休み。しかしながら、出勤する。永遠に終わりそうのない書類の山を見ながら、裾のほうから片付けていく。R親方が昼飯にと作って持ってきてくれたカレーを食べる。
昼からは、知り合いになったM建築家が教鞭をとるColombo School of Architectureで、学生の課題設計「津波被災者を対象とした低予算住宅」のプレゼンがあるということで見に行く(写真)。政府が掲げている基準の500平方フィート、約50万ルピー(約60万円)に照らし合わせながら、学生がさまざまな案を提案する。リゾートハウスのような作品から伝統的なデザインの作品もあり、自分も住んでみたいと思わせる作品が多かった。
役所の人も来ており、「さまざまな階層の被災者を考慮しなければいけない。そのために、デザインにはGeneralization(=一般化)が必要だ!」と豪語していたが、そうするとごくありふれた家ができあがってしまうと思われる。
彼が述べた4つの階層は以下の通り。
1)自分の土地を持っている層(=比較的裕福な層)
2)以前の土地を立ち退き、政府から新しい土地を入手した層
3)地主から土地を借りている層
4)何も持っていない層(=貧困層)
土地を持っている層にとっては、少しばかり自腹を出しても、自分の土地や嗜好に合わせてデザインを選択できるほうが好ましいだろう。細部まで作りこんでしまっては、不評を買いやすいと思われる。一方で、何も持っていない層は、その逆らしい。低所得者への公共住宅政策の難しさを垣間見た気がする。
最終学年の6年生ということは、日本の大学院修士2年に相当するのだろう。スリランカでも同様の方法でプレゼンがされていることに驚きつつも、自分の学生時代を懐かしみながら楽しんでいると、講評をするようにM建築家から指名される。挑戦してみるも、自分の形容詞の語彙の少なさに落胆する。“まず褒めてから、鋭く批評する”という恩師の助言を思い出しながら、話してみたが相手に伝わったのかどうかわからない。
学生のためというよりも、自分の能力を試されているような時間であったが、住宅を設計するって楽しいなあと実感した。時間があったら自分もエスキス(スケッチ)してみたい。そういえば、模型材料の入手方法を聞くのを忘れた。
途中でプレゼンに合流した同僚のM嬢と夕飯を食べながら仕事の話を3時間近くして各自帰宅。充実した一日だった。