朝顔

日々の見聞からトンガったことを探して、できるだけ丸く書いてみたいと思います。

浮世絵に描かれた子どもたち

2015-04-23 | もろもろの事
滋賀県立近代美術館(大津市瀬田町)で開催されているこの展示会に行きました。



「江戸へようこそ」と副題がついています。

浮世絵といえば、美人、役者、あるいは風景を題材とする江戸時代の版画だと思ってしまいますが、なんと子供を描いた風俗画が多く残されています。



テレビ地域ニュースでも紹介されていました。(引用:NHK京都)



ブリューゲルの中世オランダ風俗画は、それまでの西洋画家が宗教絵画や王室や貴族のお抱えで肖像画を描いていたことから飛躍して、一般市民の生活を描き始めたことで有名です。

ところが、日本の浮世絵でもこんな庶民の子供を中心とした風俗画に人気があって、多く描かれていたことを知って驚きました。


鈴木春信「夏姿 母と子」明和4〜5年(1767〜68) 公文教育研究会蔵(引用:http://www.shiga-kinbi.jp/?p=18963

子供の腹巻きには魔除けの意味があったということです。でもおむつはしていません!


歌川豊国「風流てらこ吉書はじめけいこの図(3枚続きのうち左)」享和4年(1804) 公文教育研究会蔵 (引用:同上)

紙が貴重であったので、黒くなった紙の上に何度も筆をおろしています。後ろのほうでは、退屈した女の子がなにやら叫んでいます。

江戸時代には、社会が安定し町民の生活が豊かになって、子女に読み書きを教える寺子屋が広がりました。識字率が向上し勉学に励む町民階層や下級武士が増え、それが厳格な階級制度、封建制度であった江戸時代を終結させて明治維新につながる基礎になりました。その時代の東アジアでほとんど唯一西欧の軍事圧力を跳ね返して、市民的改革に成功したことは民族として幸運なことだと思います。

コメント (2)
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