子供の頃、この辺の田舎の人たちは梅雨時から秋まで稲を作り、その後冬から春にかけては麦(裸麦)を栽培するのが普通でした。子供の頃に麦踏をした記憶がかすかに残っています。
春、麦刈りが済むと急いで田植えの準備をしなくてはなりませんがその頃はまだトラクターや耕運機といった機械作業ではなく牛馬によるスキという道具を使って田起こしをするか、或は人力
で「はねくり備中」という道具を使って田起こしをしました。大体どこでも3反ぐらいの田んぼを持っていましたからこれを一人で作業するのは大変だったでしょう。
そして昭和30年代に耕運機が登場して機械化が一気に進んでいって農作業が飛躍的に楽になっていたのです。
この「なねくり備中」ですが調べてみると大正の初めに名古屋市に住んでいた人が考案したといわれ足の力を利用することにより、それまでの麦田備中よりはるかに能率的にできる農具だ
ったとあります。
この農具ですが、去年友人の倉庫の片隅にホコリを被ったものが4台あるのを見つけてその中で比較的状態の良さそうなものを一つ貰ってきました。
相当古いので鉄の部分は錆びているものの木で作られている下駄の部分を直せば使えるので、木を削り、近所の自転車屋さんで古チューブを貰ってきて足をいれるところを造りました。
今日畑で使ってみました。これがなかなか具合が良く、固くなった土も「てこ」の原理で簡単に深く起こすことができます。固くなってしまった土は耕運機ではうまく起こすことができないのです
がこの道具を使えば簡単・・・。つくづく昔の人は偉かったなあと。
フォーク状の部分は焼き入れもしてあるようです 。広いところを起こすのは大変ですが10~20坪位なら簡単です。
支柱が1本のものは初期型らしい。
↓起こす前の畑は雑草も生えてかなり固くなっていますが簡単に耕起ができます