権助の冒険

ノンセクションでぼちぼちと。

映画 ~川島雄三の世界(その2)

2015-07-07 16:45:33 | 映画

本日は池袋-新文芸座-川島雄三特集最後の日、早速出かけた。

貸間あり
 
ともかく面白い、げらげら笑う訳でもないのに面白い、筋をダラダラ紹介するのは好きではないが、 
 井伏鱒二の同名小説を原作に、大阪の風変わりなアパート屋敷に住むバイタリティにあふれた個性豊かな住人たちの悲喜劇を描いた群像ドラマ。
 アパートの2階に住む与田五郎は4ヵ国語に堪能で、小説、論文、翻訳などの代作を中心によろず引き受け業を営んでいた。
 そこへ、学生の江藤が受験の身代わりを申し込んできた。ついでに、1つ空いているアパートの空き室を借りようとするが、そこは一足先に陶芸一筋の三十娘、ユミ子が借りることに……。

フランキー堺、淡島千景が主人公とその恋人未満を演じて良い、そして小沢昭一(身代わり受験を頼み込む学生役)、これが最高。
今の時代でもその内容が色あせることなく、時代に遠慮することなく楽しめた。

イチかバチか
城山三郎の経済小説を原作としているだけあって立派な社会派ドラマに仕上がっている、でもそこは川島監督流の喜劇のエッセンスを加えて塩梅が良い。
 
 城山三郎の小説は読んだことは無いが、昔嵌ったアーサ・ヘイリーの雰囲気を感じさせた。世代をへだった人々が様々な思惑を持ってストーリが進行し、最後に大舞台を見せて収束する、そんな感じ。
でも喜劇のエッセンスがはいっているため楽しく見れるし、社会派ドラマなんだけども、その手の押し売りは無し。
(この間社会派映画監督・熊井啓の「日本の黒い夏」を見たけども「社会派映画でございます」を100回連呼された様な嫌な気分になった) 

これで川島雄三監督の映画を4本(「人も歩けば」、「特急にっぽん」、「貸間あり」、「イチかバチか」)程見たがどれも型に嵌らずに素晴らしい。
演じている役者陣や監督以下スタッフが皆良い仕事をしているし、これで総料金¥2,100は安い。
これまで洋画礼賛で来たが、邦画にも良いのが沢山あることが分かった、ただ残念なことにそのほとんどが過去それも50年程前の大昔。
時代を経ることに品質が低下するのは古代中国の陶磁器の様なもんだ、なんでこんなに邦画は駄目に成ったんだろうか。

なお、再びこの監督の映画が小屋に掛れば、是非足を運びたいと思う。

 

 

コメント
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