HAVE A NICE DAY!

徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

from the NEW WORLD Vol.3

2011年01月16日 | FoZZtone
第七章 HELLO, C Q D

今自分はどこを歩いているんだろう?
ただ、ただ歩いている。
急ぎ足で。
何かを見つけるためなのか
救いを探しているのか

足が痛いとか
そんなことも感じない。

自分がどんな顔をして
歩いているのかもわからない。

こんなにも東京には人がいるのに
こんなにも人が溢れているのに

誰も俺を助けられないのか。
俺に行くべき道を教えてくれないのか。


何もかも無くなってしまった。
今俺には何も無い。
そんな思いがグルグル回っている。

電車が通り過ぎる音も
車のクラクションの音も
何も聞こえない。

まるで無音の世界にいるようだ。

大事な人たちがいなくなった。
何を支えにしていけばいいのか。
何のために音楽をやってきたのか。

俺は今息をしているのか?
今生きているのか?

あたりはいつの間にか夜のとばりを下し
俺は新宿の歌舞伎町あたりに来ていた。
怪しい誘いの声
厚化粧の女達
バカ笑い

失せろ
すべて消えちまえ
俺自身も消えちまえ

歩いて
歩いて
歩いても

そこには終わりがなくて

おれはこの暗闇に沈んで行くばかりだ。
助けてくれと叫ぶ力すらない。
タクシーのヘッドライトが
まるで夜の海を照らす燈台の光みたいに
俺の横を通り過ぎて行く。
光っては消え、光っては消え
つかの間の光のあとは闇がやってくる。
俺は誰にも気付かれずに
このまま闇の海に溺れて行くんだろうか。


人とぶつかった
そして道に倒れ込んだ。

「気をつけろってんだ。」

つばを吐き、そいつらは歩いて行った。

人の良さそうな酔っぱらいのおっさんが
「大丈夫か。」と俺を立ち上がらせる。

「いっしょに飲まねえか。」

「金無いのか?大丈夫、俺のおごりだ。」

黙っている俺をそのおっさんはひっぱって
小さな飲み屋に連れてった。

「まあ、飲めや。」

俺は何を話したのか
何の話を聞いていたのかも覚えてない。

ただ、そのおっさんが金ボタンのついた
派手なジャケットを着ていたので
どこかの船長みたいだなとずっと思っていた。

俺はぼんやり思っていた。

こいつは船長で
俺はこれから船に乗って
航海に出る。
何もかも捨てて
俺はまだ見ぬ世界を探して
海に出るんだ。

気がついたら俺は家にいた。

いつの間にか自分のベッドに寝転がっていた。
どうして戻って来たのか
まったくわからなかった。

果たしてほんとうにあの船長みたいなおっさんと
いっしょに飲んだのかもわからない。

白い朝がいつものように
カーテンを揺らしてた。

それをぼんやり見ながら
俺は作るしかない。
曲を作るしかない。
とにかく作らないと。
そう思った。

数日経ったある日、玄関のベルが鳴った。

出るとバンドのギタリストが立っていた。

「おい、オマエどうしたんだよ。
事務所の社長がぜんぜん連絡とれないって
心配してたぜ。その顔、無人島にでも
行ってたみたいだな。今日は次のライブのリハだから
遅れずに来いよ。みんな心配してるから。」



無心に曲を作るっていうのはどういうことなのか。
感情が停止してしまっている状況の中で作るっていうのは。

でもそこから湧きあがるメロディや言葉こそ
俺の理性を超えた本当の俺の魂の叫びなんだ。

誰かに媚を売るような
かっこうをつけるような
売れ筋に妥協するような
そんなものが一切入らない。

俺の真っ裸の魂だけで成り立つ音楽なんだ。
俺自身も押さえつけたり、コントロールしたりできない音楽なんだ。


俺はその時できた2曲をレコーダーに入れて、
リハに向かった。

俺の知らない俺がこれからを照らしてくれるような
光を放つ曲を作りあげたんだ。
そして、今、本当に産声をあげようとしていた。

第八章 ロードストーン

リハで俺は新しい曲をメンバーに聞かせた。
メンバーはそれを聞いたあとに
すぐさま、自分たちの楽器のアレンジを考え始めた。

気に入ってくれたんだ。


やつらは無言だったけれど
そこにやつらの決意が感じられた。


俺たちはまた始めれるっていう。


かつてお世話になったプロデューサーのおかげで
サポートメンバーも決まった。

これからの俺たちがどういう形になっていくかは
まだまだ未知数だけれど
新しく何かが始まるのは確かだ。


リハを次のライブに向けて
サポートメンバーも含めて
何度も重ねた。
新曲がどうやらライブでやれそうだ。


リハが終わって、
俺は次のライブをやるライブハウスへでかけた。

そこはいつも俺たちがお世話になっているライブハウスだ。
店長がものすごくいい人で、本当に音楽が好きなんだと
その全身から伝わってくるような人だ。

まだ昼間でオープンはしてないライブハウスで
ちょっと店長と話してから出ると、外に貼ってある
イベントのポスターをじっと見ている人がいた。

その人は俺に気がついてこちらを見た。

その顔を見て俺は驚いた。

彼女が言った。

「こんにちは」

「あ、こんにちは、こんな所で会うとは。」

「バンドやってらっしゃたんですね。」

「えぇ、まあ。」

「この間、たまたまここの前を通りがかって
ポスター見たら、見たことある人が写ってるって
思って見たら、あなたで。そこでCDショップに
行って、そのバンドのCD買ったんです。
そこに書かれているクレジットの名前見たら
図書館でいつも書かれているあなたの名前があって。
わぁ~すごいな~って。そして歌聞いたら、ものすごく
素敵で。すっかりファンになってしまいました。」

そう言って彼女はにこりといつものように微笑んだ。

「このライブのチケットはもう買ったんですよ。
今日もこの近くに来たから、またポスター見たくなって。
なんか、早くライブが見たくてうずうずしてしまって。」

俺は心の中で思った。

こんなにもまだまだ俺の音楽を喜んでくれる人がいるんだ。
新しく知ってくれる人がいるんだ。
ライブを待ち望んでくれる人がいるんだ。

こうしてこれから先も

「こんにちは」

「こんにちは」

「こんにちは」

「ハロー」

「ハロー」

「ハロー」

って何人とかわすのだろう。

絶対にこの広い世界のどこかに
まだまだ俺たちを必要としてくれる人たちは存在するんだ。


どこにあるかわからない島に向かって航海するように
それは終わりのない旅なのかもしれないけれど
それでも、俺には信じられる。

かならず待っていてくれる人がいるって。
俺の音楽と出会うのを待っていてくれる人がいるって。


だから俺は叫ぶ。


待ってろよ!世界!


---fin----

***********************************************************

というわけで長々と私の妄想におつきあいしていただき
本当にありがとうございました。


何度も何度も言いますが、これはあくまで私の選択理由です。
確かにこれらの音楽からイメージをもらいました。
曲を聞いていてストーリーがどんどん膨らんできました。

また、私は関西に住んでいるので東京のことをそう知っているわけでは
ありません。幼稚園から小学校1年まで住んでいた記憶と去年久しぶりに
東京へ行ったときのことを思い出しながら書いたわけなので
多少変なところもあるかもしれません。それは大目に見てください。



私には好きなバンドがたくさんいます。
そして、いろんなバンドの苦しい出来事や
話を聞いたりしてきました。
ここに登場するバンドにはいろんなバンドへの
思いがこもっています。

今あるバンドも
もうすでになくなってしまったバンドも
彼らの音楽はまだまだ旅を終えてないということを
知ってほしいなと思っています。

音楽には終わりはないんです。

あなたたちが生み出した音楽は
この世界のどこかで
絶対に誰かが今も聞いています。
それは断言できます。

ゼロになんて絶対にならない。

世代を超えても
それは受け継いでいくはず。


あなたの音楽はきっといろんな人のロードストーンになって
いろんな人の人生を支えていくんだと思います。

少なくとも私にとっては大事なロードストーンです。


新しい企画
新しい活動
新しい音楽

とともに今を進み続けている
すべてのバンドやアーティストに

心より贈りたい言葉は


ありがとう!
そして
あなたたちは最高!























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2 コメント

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Unknown (のぶ)
2011-01-17 04:41:19
「音速ライン」という2人組のロックバンドをご存知ですか?
ノスタルジックな歌声に、切ない歌詞が印象的です
宜しければ、聴いてみてみて下さい
HP:http://bit.ly/hLJSyG
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音速ライン (FB17)
2011-01-19 00:12:19
のぶさんへ☆

初めまして。音速ラインというバンドは知っていますよ。
ただ、ちゃんと聴いたことはありませんでした。

私が彼らの名前を知ったのは結構前で、その頃出て来たLost in timeとシュノーケルと音速ラインがどうもバンドの雰囲気が似ていて、ついついジャンルをひとくくりにしていました。Lost in timeを聴いてみようかなと思ったのはFoZZtoneの渡曾さんの先輩が海北さんということからで、シュノーケルの方は西村さんのバンドに私が好きなJet Lily Starの薮内さんがギターで参加したことから興味を持ちました。

そして、今回のぶさんにこうしてコメントをいただいて、音速ラインを一度しっかり聴いてみようかなとYOU TUBEとかで聴いてみました。ほんとノスタルジックですね。

かつてひとくくりにしていたバンドのそれぞれの良さをこうして、今別々に丁寧に聴いてみることで知り得えた気がします。

これも縁というのでしょうね。

教えていただいてありがとうございました☆
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