HAVE A NICE DAY!

徒然なるままに特に音楽の話を中心にあーだこーだと書き連ねます。

from the NEW WORLD Vol.2

2011年01月15日 | FoZZtone
まず最初にしつこく言いますが

これはあくまで私の超主観と妄想が混じり合った
FoZZtoneのオーダーメイドアルバムの選曲理由の
お話であるので、そこをご理解願います。

私がこのブログを始めた理由は音楽について
なかなかお話出来る人もいなくて
言いたいことがあるのに言えないのを
文字で書き連ねるということからでした。

最初は本当にごく少数の方が見に来て下さっていて
その頃の方が今も来て下さっているかは
わかりませんし、もう来てもらっていないかもしれません。

本当に音楽好きな人だけに来てもらえたら
一番うれしいなともちろん宣伝することもなく
ひっそりと書き続けてきました。

何かの広告を入れたりとかも
一切しないでシンプルにしてきました。

ゆえにここにあえて来て下さる方は
本当にわざわざ見つけて来て下さった方ばかりで
本当に見て頂いただけでも感謝します。

最近はランキングで驚く順位になることもあって
たくさんの方に見ていただいているんだと
思うと、無責任なことは書けないなと
改めて心を引き締めるわけですが、

このオーダーメイドアルバムの勝手なストーリーに
関しては許してください。

もちろん、無責任に書くわけではなく
いろんな思いを込めて書いています。

ただ、実際に映画にするシナリオにするには
原稿用紙で400枚以上は書かないと無理だし
ここでちらりと書いている分では
あらすじぐらいにしかなりません。

だから薄く感じてしまう方もいると
思うのは確かです。

フォズのファンの方で
「え~」って思われる方もいることでしょう。

でも、それも許してください。

これは私の妄想に過ぎないのですから。

この間3曲目まで書いて

果たしてよかったのかと自問自答しました。

3曲でやめちゃおうかなとも思いました。


でも、やっぱり書いた限りは終わらせないと
なんかよくないんじゃないかと

それはコメントをいただいたおかげも
あるかもしれませんが

書くことにしました。

ゆえに

「なんだこれ」と思われたら
すぐにオフしてください。


では前置き長過ぎましたが、続きを書きます。

********************************************

第四章 レインメイカー

今日はオフの日だったので
渋谷のタワレコにでも行こうかと
ぶらりと出かけた。

最初にいつも本を借りる区民図書館へ行き、
この間借りていた本を返して、新しい本を
今日は一冊だけ借りた。

そこは立派な図書館じゃなくて
鉄筋のふつうの役所の建物の中にある
小規模な図書館だった。でも、案外読みたい本が
置いてあるので、よく利用している。
そこの受付の女の子はだいたいいっしょで
よく行くから顔見知りになっていた。
といっても、たくさん話すっていうわけじゃなく
彼女のところに本を持って行くとにこりと微笑んで
処理をしながら、「来週お好きそうな本が入ってきますよ」とか
そういうことをちらりと言ってくれるようになったという
ことだけなんだけど。それでも俺を覚えてくれていて
俺の嗜好をわかってくれているっていうのはうれしかった。
今どきの女の子とはちょっと違って、着物着たら
似合いそうな女の子だけれど、どこか芯がしっかりしたものが
ありそうな勝ち気な目をしている。
きっと俺がバンドで歌を歌っているなんて知らないんだろうな。
そんなことを思いながら、図書館を出た。

たまたま通りがかったフルーツショップの前に
グレープフルーツが段ボール箱に山盛り置いてあった。

その香りがなんともいえない
なつかしさを連れて来た。

俺の家族は柑橘系が好きで
何かとグレープフルーツやカリフォルニアオレンジとか
あるいは愛媛みかんだったり、ダイダイだったり
そんな季節の柑橘類が食卓に並ぶことが多かった。

マカロニサラダの中にグレープフルーツが
混ざっていることもあった。

グレープフルーツは酸っぱさの中に
どこか苦さもあって、その微妙な感じが
子どもの頃は苦手だったけれど
今じゃ好きになってしまった。

段ボールからひとつグレープフルーツを
取り出して、店に入り、買った。

ちょうど手のひらに収まるサイズ。
女性の手だと大きいけれど
ギターとかやっている俺は
案外手が大きいから
手にはまるんだ。

まるでボールを持っているように。

リンゴのようにかじるわけ
いかないから、
買ったあとで
どうしようかと思った。

ふと俺はあるイタズラを考えついた。
行く先を急遽、神保町あたりに変えて、
古本屋を見て回ろうかと思った。

いくつかのぞいているうちに
あるアイデアが浮かんだ。

そうだ楽器店へ行こう。

ここらへんには
結構楽器店もある。

店員の感じのいいところもあれば
無愛想なところもある。

楽器店に入るとついつい
ギターが欲しくなってしまうんだけれど
何年も連れ添っているギターのことを
思うと、思いとどまってしまうんだ。

ある楽器店には二度といかないと
決めたことが過去にあった。

ものすごく感じの悪い店員が
「おまえは金がないだろう。」って
感じで、対応してきた店だ。

そこに今日はあえて入ることにした。

その憎たらしい店員の顔は忘れてないが
もういないようだった。

だから、その他の店員には関係ないのだけれど
ギターをちらちら見たあとに
楽譜コーナーに行った。

ここはあまり人がこないし、
声をかけてくる店員もいない。

だれかのスコアを探しているようなふりして
何冊かを引っ張り出して、積み重ねて
本棚の方に空間を作った。

ある程度空いたときに
その手にもっていたグレープフルーツを
その棚に置いた。

まわりには誰もいなくて
誰も見てなかった。

俺は素知らぬ顔をして
その店を出た。


やったぜ。
仕返しだ。


こういうことをやった小説あったよね。
そう、あれは爆弾なんだ。

あれがぱあ~んと爆発して
あたりいっぱいにグレープフルーツの
つぶつぶが散らばって、グレープフルーツの香りが
充満するんだ。

という妄想をめぐらせながら、

なんかちょっとだけ気持ちがカリフォルニアな気分になった。


それからブラブラと歩いて
ある公園に来たとき

ヨガをやっている集団があった。
こんなところでヨガなんてするんだなぁ~って
思ってみていた。

公園にはいろんなジャンルの人たちがいる。

自分の音楽をやるミュージシャン。
大道芸人。

ベビーカーで散歩する親子。
ジョギングする人。

ベンチで読書する人。

楽しげに歩く恋人たち。

俺は少しベンチに座って、そんな人たちを眺めていた。

今ここに大雨が降ってきたら
みんなどうするだろうか?

ミュージシャンは自分の大事な楽器が濡れないように
自分がずぶぬれになろうが、楽器を包み込むんだろう。

ヨガの人たちはとにかく、自分たちの道場へと
急いで帰っていくんだろう。

ベビーカーの親子はとにかく
雨をしのげる場所を探して走っていくだろう。

読書する人も。

恋人たちはおそらくびしょびしょになりながら
どちらかの家に行き、結局は愛し合うんだろうか?


俺は?
俺はどうするんだろう?


今の俺はこの雨のシャワーをおもいっきり
浴びて、何もかもすべてを流していってしまいたい。

どれだけびしょびしょになっても構わない。
くわえているメンソールが茶色い葉っぱを
パラパラと落としてしまって、
情けなくなってもいい。

そこなら思いっきり泣いたって
わからないだろう?
誰も気付かないだろう?

俺の今までもこれからも
雨でとにかく一度洗ってほしいんだ。

ふと気がつくと、あたりは穏やかに
時を刻んでいた。

メンソールは短くなっていたけれど
濡れてはいなかった。

雨は心の中で消え、実際は青空が広がっていた。

ヨガをやっている人たちは
指先とかで何かを伝えているようだった。
まるでパントマイムだ。

なんだかあの娘に会いたくなった。
デビューの頃まで付き合っていた彼女。

忙しくなって
いろいろあって
だんだん遠くなって
いつの間にか離れてしまった。

結局、俺は彼女のことを今でも好きなんだ。
でも、どうしようもない。

なんだか無性に彼女に会いたくなってきた。
ただ、会いたい。
それだけ。

俺もそうとうやばいな。


第五章 海へ行かないか

グレープフルーツ爆弾の記事は
もちろんニュースにも新聞記事にもなってない。

バカないたずらってことで
あの店の店員が処分したんだろうな。

案外食べてたりして。

あの日からいろいろあって
俺はもう何がなんだかわからなくなってきている。


今日もまた江の電に乗って、
湘南の海を見に来てる。

どこかの青春ドラマじゃないけれど
やっぱり海を見ていると心が
落ち着くんだ。


波が来ては行ったり
その音を聞きながら

数日前のことを思い出した。


「俺、バンドを辞める。」

突然だった。やつがバンドを脱退するなんて
想像もしてなかった。ずっとうまくやってきてると
信じてた。

「俺、別にこのバンドがイヤになったとか
そういうのじゃないんだ。俺自身の問題なんだ。
マラソン選手が自分の理想のタイムを思い描いていても
それに達することが無理だとわかったときに引退するように
俺も、俺が描いている演奏家にはなれないと感じたんだ。
俺がこうしてやりたいと思っていても、演奏がそれに
伴わない。それがくやしくて、もどかしくて。
でも、努力はずっとしてきた。俺は思ったんだ。
今決断しないとダメだって。俺の新しい人生を始めるのは今だって。
俺には大事な人もいて、その人を幸せにしたいという気持ちもある。
これからの人生をその人と歩みたいと思う。だから
今、違う道をしっかり見つけて家族を養える男になりたいんだ。」


俺はこんがらがって、何をやつが言ってるのかわからなかった。
俺は彼の演奏に不満なんてこれっぽっちも思ってなかった。
彼がこのバンドには必要だと思っていた。

どうして
どうして

俺がいつのまにか彼にそんな思いを抱かせちゃったのだろうか?

俺は昔やつとよく行った湘南のカフェに呼び出して
いろいろ話した。音楽について話した。
どれだけやつが大事かも話した。
そして、いつの間にか俺は泣いていた。

でも、やつの決意は固かった。

その固さはある意味
彼に守るべき大事なものができたということだ。

俺たちにはその大事なものに勝つ術はないということがわかった。

大事なもの

それは「愛」

俺はそのときほど「愛」っていうものがこんなにも強くて
すべてを負かしてしまうのかと知った。

恐いと思った。
この世で一番恐いものかもしれないと思った。

でも、俺はやつを恨むこともできないし、
結局、彼の決意を受け入れた。

バンドのメンバーの失望も心の揺れも
まるで前に見た白い鯨の夢のようだった。
大きな波が次々と襲って来て、
自分たちが息もつけないぐらいに
このまま死んでしまうんじゃないかというぐらい
になって、心の苦しい日々は何日も続いていた。


今日はひとりで海に来ている。

波はおだやかで静かだ。

俺の心も少しは静かになりつつあるのかな?

すべてを白紙になんて戻せないし、
いっしょに歩んで来た日々を忘れることなんてできない。
それがあるから今があるんだから。

あ~これからどうなるんだろう。

海の一番遠くってどこだろう。

俺はずっとずっと水平線の向こうを探した。

あの向こうに俺のこれからが待っていてくれるのかな。
あそこに向かって今、泳いで行ったら
そこに新しい島が見つかるんだろうか。

世界はすべて海で繋がれている。
海に終わりはなくて
始まりもない。

俺はただ泳ぎ続けるしかないんだ。



第六章 slow flicker

久しぶりに彼女に会った。
よく彼女と待ち合わせした喫茶店だ。
神保町にある喫茶店で階段を上がって
二階にある。

こんなところにこんなオアシスがあるんだと
思うように静かな落ち着いた喫茶店だ。

コーヒーカップが100客以上並んでいて
その中から好きなカップを客が選ぶことができる。

そして、それに選んだコーヒーを入れてくれるんだ。

俺はそこのオリジナルブレンド
彼女はカフェオーレを頼んだ。

俺はきれいなブルーのカップを
彼女はかわいい花が散りばめられたカップを選んだ。


「元気にしてた?」
「まあね。」
「何かあった?」
「いろいろと。」

そんな感じから始まったけれど
結局、昔話ばかりしていた。

俺は自分の今について
話せなかった。
それはもしかしたらプライドなのかもしれない。
あるいは彼女に心配されたくないからかもしれない。
本当は全部吐き出したいのに。

「で、君はどうなの、最近仕事は?」
「あ、実は辞めたの。」
「仕事変えるの?」
「いいえ、帰ることにしたの、鹿児島に。」
「え?」
「実は私の家は商売しているでしょ。父が体調が悪くなって
それで母が心細くなってしまったから、私が帰って手伝うことにしたの。」
「君にはお兄さんがいたんじゃ?」
「ええ、でも兄は会社に勤めているし、結婚して子どももいるから
簡単に辞めて、家を継ぐっていうわけにはいかないの。今の家の商売も
そんなに景気がいいわけじゃないから。」
「それは急な話だね。じゃあいつ帰るの?」
「今月中にはすべて整えて、帰るつもり。」
「じゃあ、俺が会いたいって連絡したのはギリギリだったんだ。」
「そうね。タイミングが凄いなって。よくわかったなって。」
「動物的勘なのかな?」って笑ってみせた。
でも、内心はすごく混乱していた。

彼女がいなくなる。
遠くにいってしまう。
鹿児島ってすごく遠いじゃないか。
いくら新幹線が伸びたからって
そう簡単に行けないし。

いくらバンドが有名になっても
そう頻繁にライブできる場所でもない。

今の俺なら尚更行けるメドなんてつかない。

「今、彼はいるの?」
「まさか」彼女は笑っている。
「いたら、鹿児島に帰るわけないじゃん。」

俺は心で「俺のために東京にいてくれないか。」と叫んだ。

実際は「そうか、いないのか。残念だな。」と返した。

「そう、悲しい事にそうなのよ。あなたはいるの?」
「いや、今それどころじゃなくて。」
「忙しいものね。音楽活動に。」
「まあ。」
「あなたは音楽が彼女みたいだから。」とちょっとだけ
寂しそうに彼女の顔がゆがんだ気がした。


結局、彼女をJRの駅まで送ってから
俺はしばらく歩き回った。

なんだか大事なものが
どんどん俺からすり抜けていくような気がした。

どんどん底へ向かって落ちて行くようだった。

JRのプラットホームで

「じゃあ、元気で。」
「あなたも元気で。ライブで鹿児島に来るときは連絡してよ。」
「わかった。」

そんな会話をして扉がしまった後、走り去った電車をじっと見ていた。

もう二度と会えないかもしれないな。
俺の愛が連れ去られていってしまった気がした。

*********************************************

長くなるので続きはまた次回に。


何度も言います。
これは架空の話で
まったくOMAとは関係ありません。






















コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« from the NEW WORLD Vol.1 | トップ | from the NEW WORLD Vol.3 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

FoZZtone」カテゴリの最新記事