みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

GMがデット・エクイティ・スワップ(債務の株式化)を要請か - VIX恐怖指数も急降下、市場心理改善

2008-11-30 | 注目投資対象・株価の推移
日本経済新聞がWSJ電子版の報道を伝えています。
これは100%間違いなく好材料です。

金融市場のルールの範囲内で自力の財務改善ができますし、
債権者側にとってもメリットが大きいです。
渋る有権者の意向を気にする議会よりも
遥かに機動的に事態を動かせるでしょう。

(注:危機から脱する訳ではありません)

直近1年の豪ドルの推移
http://quote.yahoo.co.jp/q?s=audjpy=x&d=c&k=c3&h=on&z=m

 → 久々に穏やかな動きでした。
   61~63円の狭いレンジでの値動き。
   為替の動きがばらついてきて、
   それぞれの通貨の新しい実力が見えてきそうです。

▽ infoseek にドル円20年チャートあり。
http://finance.www.infoseek.co.jp/MnForex/fxchart/?fx=F1001

先週は持ちこたえたばかりか、
(戸惑いながら?)上伸すらしました。
一旦ショートを買い戻す動きが出そうです。

土曜日に面白い報道が出ていました。

GM、債権者に債務株式化を要請 米紙報道(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20081129AT2M2901J29112008.html

”米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は28日、政府支援要請中
 の米ゼネラル・モーターズ(GM)が債権者に対し、債務を新株と交換す
 る「債務の株式化」を要請していると報じた。負債軽減で財務体質を改善
 し、政府に自助努力を訴える狙いもあるとみられている。
 同紙によると、債務の株式化などによる負債削減策を12月2日までに米議
 会へ提出する再建計画に盛り込むことを検討している。GMが米連邦破産
 法11条(日本の民事再生法に相当)適用を申請した場合、債権者は大幅な
 債権カットを求められる可能性が高い。GMは、債務の株式化の方が債権
 者にとって有利であると説明しやすいと判断しているもようだ。”

 → これは「おおっ!!」という感じでした。
   冒頭で書いたように、期待できる動きです。

   それにしても今世紀初頭の日本企業の苦境を
   しみじみと思い出しますよ。
   立場は変われば変わるものだ。。

投資家の不安心理映すVIX指数、4日間の低下幅が過去最大に(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200811270035.html

”投資家の不安心理を映すシカゴ・オプション取引所(CBOE)ボラティ
 リティー(VIX)指数は26日、5.98ポイント(9.82%)低下
 して54.92となった。
 今週は感謝祭の休日で営業日が1日少ないが、リスク認識の後退を反映し、
 同指数のここ4営業日の低下幅は過去最大となった。
 過去4営業日に同指数は合わせて25.94ポイント低下している。先週
 20日には過去最高水準の80.86に上昇していた。
 26日のS&P総合500種指数は30.29ポイント(3.53%)高
 の887.68で引けた。
 ニューヨークのオンライン情報サイト、ワッツトレーディング・ドット・
 コムのオプションストラテジスト、フレデリック・ラフィー氏は「VIX
 指数の急低下は、特に金融セクターについてのリスク認識の劇的な変化を
 反映している」と指摘した。”

 → 理由はよく分かりませんが、
   小康状態に入りつつあります。
   悪材料でも売り切れなくなった、というところでしょうか。

第4四半期の米銀評価損、約440億ドルの見通し=オッペンハイマー(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200811260127.html

”オッペンハイマーのアナリスト、メレディス・ホイットニー氏は顧客向け
 リポートで、米主要銀行が第4・四半期におよそ440億ドルの評価損や
 損失引当金を計上するとの見通しを示した。
 また、米財務省の不良資産救済プログラム(TARP)からの資本注入に
 ついて、銀行セクターの成長を刺激することはなく、各行のバランスシー
 トの穴埋めに投じられるとしている。
 2009年末から適用される会計基準の変更により、1年間で250億ド
 ルの追加引当金が必要になると指摘。TARPによって調達した資本の多
 くはクレジットカード事業の損失引き当てに使われ、貸し出しに回る部分
 は少ないとの見方を示した。
 同氏は純評価損や信用悪化、TARPなどの資本調達に伴う優先株配当支
 払いを反映し、2008年と09年の主要金融機関の利益見通しを平均で
 17%引き下げた。”

 → 安心するのはまだ早い、という報道です。
   これがいつ出てくるのか、
   そして市場の予測を上回るか下回るか。
   前途多難であることは依然として変わっていません。

    ◇      ◇     ◇     ◇

注目銘柄です。
今週の市況はショートの買い戻しを予想します。

ショートポジションを決済するとともに、
短期的な底打ち感の出てきたホンダ・マツダ・昭和シェルの
ロングポジションを構築する戦略とします。
(これは長期のポジションではありません)

  【住友金属鉱山(東証一部 5713)の株価推移】 > ショート

 [9月29日] [11月28日]
 1,152円 → 908円 ▽ 244(+21.2%)

  【住友化学(東証一部 4005)の株価推移】 > ショート

 [10月11日] [11月28 日]
   375円 → 333円 ▽ 38(+10.1%)

  【新日本製鐵(東証一部 5401)の株価推移】 > ショート

 [9月29日] [11月7日]
   429円 → 297円 ▽ 132(+30.8%)

  【日立建機(東証一部 6305)の株価推移】 > ショート

 [10月3日]  [11月28日]
  1,973円 → 1069円 ▽ 904(+45.8%)

  【昭和シェル石油(東証一部 5002)の株価推移】

 [7月14日]  [11月28日]
  1,175円 → 790円 ▼ 385(-32.8%)

  【富士重工(東証一部 7270)の株価推移】

 [11月4日]  [11月28日]
   355円 → 287円 ▼ 66(-18.6%)

「鉄鋼・機械など重厚長大のシクリカル銘柄は
 そう簡単に回復することはできないでしょう」

見方は変わりませんが、
マーケットはかなりの悪材料を織り込みました。

短期的には上に戻しやすいでしょう。

富士重が急反落、債権取立て不能など発表を嫌気(サーチナ)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081127-00000043-scn-biz

”富士重工業が4日ぶりに急反落。東証一部市場値下がり率ランキングで5位
 となっている。後場下げ幅を拡大し36円安の284円まで下げている。27日前
 引け後に、「取引先である米エクリプス社が11月25日付で米連邦破産法11
 条の適用申請を行ったことに伴い、債権の取り立て不能または取り立て遅
 延及び資産の毀損が発生する恐れが生じた」と発表したことが嫌気されて
 いる。
 エクリプス社は小型ジェット機の開発・製造・販売を手がける。富士重の
 エ社に対する債権及び資産は、売掛債権23億5500万円、出資金4億7500万
 円、棚卸し資産65億8400万円。富士重は「今後予定されるエ社の債権者説
 明会などの結果を踏まえ、対応を図るとしており、取り立て不能・遅延及
 び資産の毀損額は精査中だとし、業績予想値の修正が必要なら速やかに公
 表する」とコメントしている。”

 → これにはさすがに驚きました。
   株価は意外に下がりませんでしたが、
   いずれにせよ不透明感が強まりましたので、
   ポジションは縮小した方が良いでしょう。
   昭和シェルの方が安心して見ていられます。

富士重の10月世界生産は+0.1%、国内生産は+9.2%(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR200811270041.html

”富士重工業が27日発表した10月の世界生産実績は、前年比0.1%増
 の5万3595台だった。国内生産は同9.2%増の4万5787台、輸
 出は同16.2%増の2万4797台だった。”

 → 数値は健闘しているとの観があります。
   ただ、特殊要因を調べていないので悪しからず。

    ◇      ◇     ◇     ◇

  【 いとすぎの為替ポジション 】

両建てを継続中で、暇です。。

必ず上か下に出てくるので、
その瞬間が好機です。

 2008/11/11 65.78 AUD/JPY Lev ×5 (ショート)
 2008/11/07 66.58 AUD/JPY Lev ×5

    現在 > 62.60 豪ドル/円 (損益78%)

  ▼ ポジション解消済み
 2008/11/06 65.33 AUD/JPY Lev ×4
 2008/10/29 61.08 AUD/JPY Lev ×5
 2008/10/24 58.49 AUD/JPY Lev ×5 (ショート)
 2008/10/17 70.33 AUD/JPY Lev ×6 (ショート)
 2008/10/10 63.58 AUD/JPY Lev ×3 (ショート)
 2008/10/06 77.21 AUD/JPY Lev ×10 (ショート)
 2008/09/30 83.32 AUD/JPY Lev ×4
 2008/10/01 83.65 AUD/JPY Lev ×3
 2008/10/02 82.58 AUD/JPY Lev ×3
 2008/09/19 87.10 AUD/JPY Lev ×4 (ショート)
 2008/09/18 84.02 AUD/JPY Lev ×3 (ショート)
 2008/09/20 89.04 AUD/JPY Lev ×3 (ショート)
 2008/09/12 88.02 AUD/JPY Lev ×3 (ショート)
 2008/09/11 87.58 AUD/JPY Lev ×4 (ショート)
 2008/09/10 85.29 AUD/JPY Lev ×3 (ショート)
 2008/09/01 92.84 AUD/JPY Lev ×10 (ショート)
 2008/08/28 94.43 AUD/JPY Lev ×10
 2008/08/11 94.12 AUD/JPY Lev ×10 (ショート)
 2008/08/05 99.18 AUD/JPY Lev ×5.0 (ショート)
 2008/08/04 99.98 AUD/JPY Lev ×5.0 (ショート)
 2008/07/16 101.87 AUD/JPY Lev ×2.5 (ショート)
 2008/07/15 104.40 CAD/JPY Lev ×5.0 (ショート)

 …以下省略…


「資源国通貨の時代は終わりました。
 豪ドルは今後、主としてショートの対象となるでしょう」

中長期的な見通しは変わりません。

「下方圧力がやや緩和、
 57~67円/豪ドルのボックス圏か」

短期的な見通しは以上のように変更します。
65円を超えてきたらショートの好機と考えます。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログのこちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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東京都、CO2削減の最前線を疾走する -「環境減税」2009年から施行か

2008-11-29 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
東京都の都税制調査会が、環境税ならぬ
「環境減税」の施行を提言しているようです。
効果は僅かなものですが、有効であるのは間違いないです。

一言付け加えれば、二酸化炭素の大口排出源の電力会社とガス会社に
高い法人税を課し(この分は消費者への転嫁を認める)、
その分をヒートポンプやガスコージェネ、太陽光発電、
バイオマス熱利用へのインセンティブに投入した方が遥かに
削減効果が高い上に、環境対応技術を育成できるでしょう。

経産省と協議して工夫して欲しいものです。。

都税調:CO2削減で減税 中小企業や家庭対象(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/science/news/20081120k0000m010150000c.html

”東京都知事の諮問機関である都税制調査会(会長・神野直彦東大大学院教授)
 は19日、二酸化炭素(CO2 )排出量の削減に取り組んだ中小企業や家庭
 に都税を軽減するよう答申した。都は法人2税(法人都民税と法人事業税)
 や固定資産税の軽減を軸に、早ければ09年度にも導入する方針。
 都は2020年までに温室効果ガス排出量を00年比で25%削減する目標
 を掲げており、10年度から大規模事業所に削減を義務化する。答申を受け、
 中小企業や家庭にも都税を軽減する制度を導入し、さらに削減を促したい狙
 いだ。減税の基準や規模は今後検討する。
 都税調は都独自の環境税導入についても検討を重ねてきたが、厳しい経済情
 勢や他地域との公平性に配慮し、答申では「さらに検討を進めていく」との
 表現にとどめた。【木村健二】”

なるほど会長が神野教授でしたか。
この環境減税にとどまらず次の展開に期待したいです。




『財政のしくみがわかる本』(神野直彦,岩波書店)

△ 財政音痴の多い日本の有権者に最適。スウェーデンの事例は必見。
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日本政府も経団連も「ルック・ウエスト!」- 移民政策の範はシンガポール、永住権レターを送れ

2008-11-27 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
先月、日本経団連が移民政策の議論を求める声明を出しました。

私は甚だ不思議に思っているのですが、
日本は伝統的に他国の長所を巧みに取り入れるのが
世界一と言ってよいほど得意であるのに、
なぜ移民政策や社会保障政策に関しては
全く他国を手本にしようとしないのでしょうか。

伝統的な進取の気質が劣化したとは思いたくありませんが。

移民受け入れと言うとすぐ韓国中国と騒ぎ始める
無教養で公正さの欠落した方々にもうんざりです。

日本は有能な人材、魅力ある人材には敬意を払う社会なので、
移民政策が円滑に実施され得るとしたら
「シンガポール型」しかあり得ません。

竹島慎吾 シンガポールの移民政策(nikkeibp)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20070523/125447/

”もし外国に住んでいて、「永住権取得を考えてみませんか?」という書き出
 しで始まる手紙と申請書類一式が、その国の政府からあなたの元に送付され
 てきたら、恐らく驚くのではなかろうか。しかし、シンガポールでは、永住
 権取得を勧誘するレターに出くわすことは珍しくない。
 「シンガポールはあなた自身のキャリアアップや家族との生活に適した理想
 の都市であり、この地を生活の基盤とすることでシンガポールの発展に貢献
 することを歓迎する」。シンガポール政府から送られてくるレターにはこう
 した趣旨の内容が記されている。よく読むと、「本状は永住権取得を保証す
 るものではない」と釘を刺しているものの、しかるべき手続きを踏めば永住
 権が得られる可能性が高いと思わせる内容となっている。
 シンガポール政府が海外からの移民受け入れに積極的な背景には、急速に進
 む少子化がある。5月に発表されたシンガポールの2006年の合計特殊出生率
 (女性が生涯の間に出産する子供の数)は、1.26と前年の1.25からわずかに
 上昇したが、既に人口が減少に転じた日本は1.25(2005年時点)とほぼ同
 水準にあり、アジアでも有数の少子化国と言える。もっともアジアを見渡す
 と、香港は0.97(2005年)や韓国は1.13(2006年)など、さらに出生率
 が低い国・地域もあるが、少子化が深刻な問題になっているという点は共通
 である。
 一般に所得水準が上昇すると出生率は低下する傾向にある。所得水準が上昇
 するにつれ、子供に家計扶助の役割を期待するメリットが小さくなる一方、
 教育費や女性の機会費用などのコストが大きくなるためである。女性の機会
 費用とは、出産・育児により失われる所得のことで、女性の社会進出が進む
 につれ、就業機会の増加と賃金が上昇する分、機会費用も大きくなる。”

 → シンガポールの移民受け入れ政策に関しては、
   この日経BPの記事が参考になります。

   この永住権レターでどれほどの人が
   シンガポール国民となったのか分かりませんが、
   高度人材を狙って国内に受け入れるには、
   有効な施策であることは確かです。

   特定の国を対象に、フルブライトやローズのような
   奨学生制度と組み合わせて実施するのも有望です。
   (これで東南アジアや南アジアとの太いパイプができる)

▽ 少しシンガポールの研究をしてみようと思う。




『目覚めよ日本―リー・クアンユー21の提言』(リー・クアンユー,たちばな出版)





『シンガポールの国家建設―ナショナリズム、エスニシティ、ジェンダー』(田村慶子,明石書店)

日本経済の競争力維持へ移民受け入れを 経団連が提言書(日本経済新聞)
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20081014AT3S1401L14102008.html

”日本経団連は14日、人口減少社会に向けた提言書を公表した。高度な技能
 を持つ人材や留学生を中心とする移民を海外から受け入れ、日本経済の競
 争力を保つべきだとの見解を示した。これまでも外国人の働き手が必要と
 主張してきたが、移民の受け入れまで踏み込んだのは初めてとなる。
 「人口減少に対応した経済社会のあり方」と題する提言をまとめた。今後
 50年の間に、日本では働き手となる15―64歳の人口は4600万人弱に減る。
 今よりも半減することを踏まえ、人材確保が欠かせないと強調した。その
 柱として「日本型移民政策」の検討を掲げ、関連法整備や担当大臣設置を
 求めた。高度人材や留学生に加え、看護師といった一定の資格をもつ「中
 度人材」の活用にもふれた。
 経団連の試算によると、現状の医療・介護分野のサービスを維持するには
 2055年時点で約180万人が足りないという。単純労働者については「先
 進国の過去の移民政策の失敗もあり、さらに議論を深めていくべきだ」と
 慎重な姿勢を崩していないが、相当規模の受け入れを想定した議論が欠か
 せないとした。”

これが日本経団連の発表要旨です。

…… 議論としてはこれで構わないのですが、
経済界は本気で移民受け入れのコストを払うのですか?
既に愛知県では日系人の子弟の教育コストを
地元自治体に押し付けていますよねえ。

きっと自動車産業などは、下請けが雇っているのだから
俺の知ったことではない、と言うに違いありません。
「総論賛成、各論反対」になりそうな予感。。

尚、医療・介護に関しては人件費を値切ろうとするから
こうなるのであって、まともな給与さえ払えば
働く人はいくらでもいます。

(日本の女性の労働力率の低さを見よ)
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駒沢大学デリバティブ損失事件を巡る妄言妄説 - 日本の金融リテラシー、向上まで道遠し

2008-11-26 | 株式・為替マーケット全般
駒沢大学がデリバティブで大損失を被ったと先週報じられましたが、
その後の報道やコラムを見る限り、この事件の意味を
理解できている人が非常に少ないです。

また、的確に説明できる専門家が少ないのもまずい。
大学の行う資産運用の意味・目的・位置づけ、
(これらの条件次第で必然的に取れるリスクが違ってくる)
そしてアセットアロケーションをどうすべきか。
そこまで解説しないと不充分です。

まずは「最も悪い事例」から。

立正大、駒沢大の多額損失計上の背景(moneyzine)
http://moneyzine.jp/article/detail/110736/

”立正大学(東京都品川区)が20日、資産運用を目的とする金融取引で、今年
 9月末時点で約148億円の評価損を抱えていることが明らかにした。また、既
 に駒沢大学(東京都世田谷区)が資産運用で154億円の損失を計上したこと
 が判明しており、世界金融危機は企業のみならず、大学経営をも直撃してい
 る。
 なぜ教育や学生サービスを基幹事業とする大学が、投機性の高い商品に手を
 出していたのだろうか。これには国内の少子化の影響が少なからず関係して
 いる。現在多くの大学では、学生が減ったことで授業料収入の減少が経営上
 の問題となっている。授業料の引き上げを行わないかぎり収入の落ち込みに
 つながるが、大学の人気にもかかわってくる授業料をそう簡単に引き上げる
 わけにもいかず、そこで取り組んだのが積極的な資産運用だ。
 たとえば米国では2兆5000億円の基金を有したハーバード大学が、過去10年
 の平均運用利回り15%という高いパフォーマンスを見せており、またイェー
 ル大学、プリンストン大学なども高収益を何年にも渡って得ている。これま
 で日本の大学でも、現預金中心に運用が行われてはいたが、今後、大学経営
 を支えるためには海外の例に倣い、リスクとリターンを踏まえた積極的な資
 産運用に取り組む必要に迫られていたのだ

 運用自体は運用会社への外部委託が一般的だ。今回の件においても、立正大
 学は国内の証券会社を通じて、駒沢大学は外資系金融機関2社との間で取引
 を行っていた。大学による資産運用はほとんどが、株式だけではなく複数の
 金融商品に投資する「分散投資」や長期投資の考え方に基づき行っていたは
 ずだが、それでも今回のような多額の損失を計上してしまったのは、未曾有
 の金融危機が勃発してしまったことに他ならない。世界中のほとんどすべて
 の市場が下落しているような状況では分散投資をもってしてもリスクを軽減
 することができなかったのだ。その結果、少子化による授業料の減収と金融
 危機というダブルショックが今、国内大学の経営を脅かしている。”

 → 日本語の誤りもかなり目立つのですが、
   そもそも「背景」の説明にすらなっていません。
   学生の減少と積極的な資産運用の因果関係が
   かなりいい加減に書かれていると思うのですが。

   最も宜しくないのは「リスクとリターンを踏まえた」
   とある部分で、もしそれが本当だったら
   100億のエクスポージャーで150億の損失の出る商品など
   持っている筈がありません。

   駒沢大学の担当者が「リスクとリターンを理解していない」
   「金融商品の中身を全く分かっていない」ことこそが
   今回の事件を招いた最大の原因です。

金融マンにカモにされる大学 駒澤大と立正大は氷山の一角(diamond.jp)
http://news.goo.ne.jp/article/diamond/business/2008112604-diamond.html

”11月21日には、立正大学で148億円の含み損があることが明らかになった。
 国債、地方債、社債、投資信託だけならまだしも、豪ドルを組み込んだ仕
 組み債までも抱えていて、3月末時点で96億円だった評価損がやはり金融
 市場の混乱や円高の影響で拡大した模様だ。しかし立正大は各種金融取引
 について、「満期保有を基本としているため、最終的な損失額は確定して
 いない」と言っていて、現時点では評価損を計上していない。後述するが、
 こうした認識には大いに心配な点がある。
 19日付の朝日新聞の記事によると、全国約650の大学・短期大学のうち、
 少なくとも75大学がデリバティブ取引を行っていたという(日本私立学校
 振興・共済事業団調査。2005年度の集計と古いため、数はさらに増えてい
 る可能性もある)。むろん、このご時勢に資産運用で苦労していないとこ
 ろはないだろうが、率直に言って、大学は金融機関(特に外資系)のいい
 カモになっている。”

 → これは山崎元氏です。
   氏のコラムには、誰かを批判する際には歯切れが良いのに
   「どうすべきか」を明言しないという癖があります。

   大学の資産運用は教育の充実のためにも必須です。
   金融機関の利幅の大きいデリバティブを一律禁止させるべき、
   程度のことは提言できるでしょうに。

   日本の場合、専門家の層が圧倒的に薄いのも問題です。
   アセットアロケーションまで踏み込まないと
   解説にすらならないはず。

大学の資産運用失敗!? ~駒澤大学のデリバティブ損失と慶応大学の評価損~(為替王)
http://blog.livedoor.jp/kawase_oh/archives/51415524.html

”駒沢大学の事例は、「日本の投資家が外資系金融機関の食い物にされた」
 ニュースが過去に何度もありましたが、まるでその焼き回しのようです。
 企業の余資運用や年金基金の運用に、外資系金融機関が複雑な仕組み債や
 デリバティブなど、ニーズに合っていないと思われるような金融商品(ま
 たは投資家側に不利と思われるような粗悪な金融商品)をセールスし、担
 当者もリスクを充分に理解せずに購入してポートフォリオに組み込んでし
 まうというケースです。今から10年前のアジア通貨危機直後に、ヤクルト
 が巨額のデリバティブ損失を抱えていることが発覚し、幹部辞任や株主訴
 訟に発展しましたが、類似の事例は枚挙に暇がありません。
 この場合の問題点は、担当者の勉強不足。およびチェック体制の不備。資
 産運用について理論武装ができている担当者ならば、デリバティブ金融商
 品を組み入れることによる、メリット・デメリット、最大許容損失などす
 べて事前に考慮しますから、それができるレベルに担当者が達していなか
 ったことと、チェック機能を果たす上司(理事会)も無防備だったこと、
 そこを外資系金融機関に付け込まれたということ、もひとつ加えるならば、
 担当者や理事が外資系のセールスマンたちのお得意の接待攻勢に負けてし
 まったこと、などが原因と考えられます
。(駒沢大学のケースは接待の有
 無は知りませんが、かつてのヤクルトのケースでは、接待にとどまらずリ
 ベートまでありました)”

結局、本当の意味で勉強になる解説は、
為替王さんたった一人だけでした。
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『週刊エコノミスト』12月2日号 -「日本輸出株式会社」は新興国シフトに反転できるのか

2008-11-25 | 『週刊エコノミスト』より
今週の特集は「ドル落日」でした。
昨年なら耳目を集めたであろうタイトル、
今ではすっかり「想定内」になりました。。

「米金融〈帝国〉の落日」の方が良かったのでは??

『週刊エコノミスト』の内容案内

最新号の内容の確認は、こちらの毎日新聞のサイトの方が正確で早いです。
(定期購読は方式によりディスカウント率が複雑なので御注意下さい)
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/

ほとんど何も決まらなかったG20の金融サミットに関しては
第一生命の熊野英生 主席エコノミストの分析が
秀逸でしょう。どこかの首相が法螺を吹いていましたが、
日本政府のプレゼンスと戦略性が極小だったのは明らかです。

これは! と思ったのはP25の田村秀男 産経新聞編集委員の寄稿で、
「国際通貨を巡る主導権争い 欧州・中国・日本の深謀遠慮」
は非常に刺激的な論で、面白かった。

円建て米国債をワシントンに発行させるべきとの主張で、
私も全く同意見です。
為替リスクは立場の弱い方に取らせるのが当然。
アメリカはこれまでやりたい放題してきたのですから、
今度ばかりは文句は言わせません。

数年前の米国なら一蹴したでしょうが、
これから数年はいくらでもチャンスがあります。
アメリカの足元を見て揺さぶりをかけ、妥協させればいいのです。

    ◇     ◇     ◇     ◇

そうそう、最近お馴染みの水野和夫MUFJチーフエコノミストの
「米投資銀行モデルの破綻はドル本位制の崩壊を意味する」
も(P28)実に素晴らしい分析でした。


”これまで資本主義国では、中産階級を多く育てるほど
 資本利潤率が高くなったが、70年代半ば以降の新自由
 主義下の資本主義は中産階級を無産階級に陥れている。
 米家計の2世帯に1世帯は総資産12万ドル以下で、負
 債は10万ドルに達する。純資産はわずか2万ドルしか
 ない。年2800ドル貯蓄を取り崩しているから、あと7
 年で5割の世帯は債務超過に陥る。”


水野氏は日本の輸出先を新興国へシフトさせることを
主張されており、かなり時間がかかるものの
傾聴すべき意見であると思いました。

個人的には、北欧のノルディック・モデル経済も
見倣って外乱効果を抑制すべきだと思います。
(今回の金融危機で北欧の被害は相対的に少ない)

    ◇     ◇     ◇     ◇

尚、今週の『週刊ダイヤモンド』では
半年以上前の段階で「豪ドル70円台への下落」を予想されていた
リーマンの田中泰輔 為替ストラテジストによる
今後の為替市場の見通しを掲載しております。




『週刊ダイヤモンド』2008年 11/29号

氏は豪ドルの現在の水準がオーバーシュートではとの見解ですが、
いとすぎは到底そのような楽観はできません。。

現にCRB商品指数は200台割れに向けて驀進中です。
2003年の頃の水準への後退が見えてきています。
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