みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

中国当局の「爆買い潰し」開始か、1兆円を越える「転売市場」壊滅の危機 -「誰も買わなくなる」との声

2015-08-31 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
日本政府もメディアも中国人観光客の「爆買い」に幻想を抱いている。
「爆買い」は中国の関税の高さと異常な円安とがもたらした「事故」のようなもので、
着実に毎年伸びてゆくものではないし、日本経済を力強く成長させるものでもない。

中国人観光客の「爆買い」は確かに数字の上では伸びているが、
その代わりに対中輸出が大幅に落ち込んでいる。だから真実は一つしかない。
日本で「爆買い」している分、日本からの対中輸出が減っただけなのだ
つまりこれは不毛なゼロサム・ゲームである可能性が高い。

当ウェブログは「中国人観光客の「爆買」は日本経済を成長させていない」と指摘したが、
日本経済のマイナス成長と消費の弱さを見れば、自明のことであろう。

本当に観光政策によって日本経済を成長させたいのであれば、
訪日客数ではなく観光収入を目標としなければならないし、
内需への波及効果の低い輸入品の買い物ではなく
観光収入の大半を占める宿泊と食事を重視しなければならない。


また、多くの雇用創出が見込める文化財修復と有料ガイド、
そして海外富裕層向けの宿泊施設の新設に注力すべきである。

中国や台湾の「買い物ツアー」への依存度が高まるのは、逆に危険ですらある。
それでは中国経済急変の直撃を避けられなくなる。

「現在、親日的なアセアンをはじめ訪日観光客が順調に増えており、
 「隠れた輸出産業」として威力を発揮しつつある。
 (福島原発事故がなければもっと伸びていたであろう)」

「御用メディアは「日本政府のプロモーションの成果」としているが、
 とんでもない間違いである。訪日観光客に調査してみるがいい。
 口コミで日本に興味を持ったり、ソフトパワーの影響で好印象を持っているケースが多く、
 他の観光先進国に比べて政策的に卓越した面は殆どないに等しい」

「真相は円安で日本観光がディスカウントされていること、
 新興アジアの成長率が高く、停滞している日本が「お買い得」になっているためだ。
 アジアの経済成長という「神風」の恩恵に過ぎない」

「ただ問題は、日本の観光政策のレベルがいまだ低く、
 マーケティングもまるでなっていないことだ」

「日本の観光政策ではセグメント別の分析が決定的に欠けており、
 毎年のマーケティングやブランディング戦略が全く見えない。
 大きな潜在力を活かしていないのである」

「日本はもっと海外富裕層を迎え入れることが上手にならなければならない。
 無料で通訳や観光案内をつけても良い位である。それでも充分にペイできる」

「日本の観光にはまだポテンシャルがあり、充分に発揮できていない。
 他国の観光政策やマーケティング、ブランディングから謙虚に学ぶことが必要だ」

とした当ウェブログの警告は、遠からず事実が証明することになろう。

▽ マーケティングが巧みなスペインはフランスより観光収入に勝り、日本より遥かに上の「観光先進国」

『人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか――スペイン サン・セバスチャンの奇跡』(高城剛,祥伝社)


これからの中国経済の大減速は、既に市場が予言している。
爆買いの大減速も避けることはできない。

「残念ながら中国人観光客の「爆買」は日本経済を成長させていない。
 訪日外国人観光客の消費額が過去最高に達したにも関わらず、
 4~6月期の日本経済はマイナス成長が確定している」

「これは愚劣な安倍政権の円安誘導、言わば「自国窮乏化政策」の必然の結果であり、
 経済政策や安全保障政策ばかりではなく観光政策でも「次元が低い」という
 情けない実力の乏しさがまた発覚してしまった訳だ」

「スペインやイギリスのように観光収入において日本より遥かに優れている
 「観光先進国」と比較すると、自国を大幅に安売りしてもタイや韓国にすら及ばない
 日本の観光政策の劣後は明白である」

「今日の事態を正しく予見していたのが元ゴールドマンのアトキンソン氏で、
 中国人訪日観光客の「爆買」は効果が限定的であると見抜いていた」

「氏は日本経済への貢献度の低い輸入品を買い漁る中国人よりも、
 自然や文化に関心が強く長期滞在する豪州や欧州の訪日客を増やすべきと提唱している」

次元の低い安倍政権は観光客数に固執してチャイナリスクを高めている。
この愚行のツケで、日本経済が高い代償を払わされることになろう。

 ↓ 参考

訪日外国人の消費が過去最高でもマイナス成長、観光政策でも「次元の低い」安倍政権 - 円安依存の病弊
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/280d9cb45870c4d76e98a0657e178054‎

日本はポルトガルに劣る、海外投資家の長期滞在促進を - カナダの教訓に学び英語限定と国籍条項を忘れず
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/714bfa8fbc264627321d47145afa06c2‎

日本に必要なのは「海外の金持ち優遇」、国内富裕層への利益誘導ではない - シンガポールは大の日本好き
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0facd0770c1b7fb9e502d35c6f5e5234

▽ 親日的なインドネシアも、中国経済の大減速によって打撃を受ける

『経済大国インドネシア - 21世紀の成長条件』(佐藤百合,中央公論新社)


▽ 勿論シンガポールも中国経済大減速の打撃をもろに受ける

『物語 シンガポールの歴史』(岩崎育夫,中央公論新社)


訪日客1100万人突破 「爆買い」牽引、五輪前の政府目標達成“射程圏”に(sankeibiz)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/150820/mca1508200500001-n1.htm
”訪日外国人客の増加ペースが一段と加速している。日本政府観光局が19日発表した1~7月累計の訪日客数は前年同期比46.9%増の1105万8300人(推計値)となった。「爆買い」といわれる中国人観光客が牽引(けんいん)する形で、年間では過去最高だった昨年(1341万人)を大幅に上回る1900万人のペースで推移している。
〔中略〕
 訪日客が1000万人を突破するのは3年連続だが、2013年の12月、14年の10月より大幅に早い。東京五輪イヤーの20年までに訪日客を年間2000万人にする政府目標の前倒し達成も“射程圏”に入ってきた。
 政府観光局は円安傾向が続いていることに加え、クルーズ船の寄港が大幅に増えたことや航空路線の拡大などが訪日客の増加に寄与したとみている。
 1~7月の国・地域別では、中国がトップで前年同期比2.1倍の275万5500人を記録。2位は韓国で41.7%増の216万3100人、3位は台湾で29.0%増の215万4300人となった。また、中国は7月だけで57万6900人となり、全ての国・地域を通じて初めて単月で50万人を超えた。
 一方、人民元の切り下げなど中国経済の先行きに不透明感が漂っているが、観光庁の久保成人長官は19日の記者会見で「訪日客の動向にはさまざまな要素がからむため、為替や株価動向の影響は一概に言えないが、現時点で中国発の訪日ツアーに特段の影響は見られない」と述べた。”

このフジサンケイ報道は、中国人観光客の増加に浮かれていて、
中国人依存度を高めたために招来する「チャイナ・リスク」を完全に忘却している。
このままでは中国政府の規制や中国経済のクラッシュの直撃を日本が受けることとなろう。

今必要なのは、中国人の爆買いに喜び浮かれることではない。
観光分野でもチャイナ・リスクの軽減、即ちアセアンや欧米、オセアニアの観光客招致である。

…因にアトキンソン氏は、英政府の目標(2030年に4800~6200万人)と比較すると
日本政府の訪日観光客数の目標は低過ぎると指摘しており、
2020年に2000万人・2030年に3000万人という目標ではなく
2020年に5600万人・2030年に8200万人が妥当な目標数であるとしている。

▽ こちら参照のこと

『デービッド・アトキンソン 新・観光立国論』(東洋経済新報社)


中国税関の検査厳格化で“爆買い”終了へ!? 1兆5,000億円規模の転売市場に激震!(cyzo)
http://news.infoseek.co.jp/article/cyzo_20150825_704231/
”物欲をむき出しに金に物を言わせるその姿に批判が集まる一方、日本経済への恩恵も期待されている中国人による爆買いだが、そう長くは続かないかもしれない。
 中国税関当局が、密輸や代理購買を厳しく取り締まる新政策をまとめ、9月1日より海外から旅客によって持ち込まれる手荷物や、郵送品の開封検査を厳格化することを決定したのだ。
 同時に罰則も強化される。
手荷物や郵便物の税関申告書に書かれた内容物の金額に5%以上の誤りや虚偽があった場合、高額な罰金が科せられることとなる。さらに10%以上で、密輸品として没収される可能性もあるという。
 中国からの団体ツアーに添乗するガイドの男性は、この新政策の衝撃の大きさについてこう話す。
「中国人が日本で爆買いしている商品の多くは、実は国内でも買うことができる。それでもみんなこぞって日本で買っていたのは、“同じ商品でも、日本で売られている物のほうが品質がいい”と信じられていたこともありますが、やはり日本で買ったほうが安いから。送料や中間マージンに加え、中国輸入時に課せられる関税で、商品によっては日本と中国で2倍以上の価格差がある場合も少なくない。これまでも、消費財を海外から郵送や手荷物として持ち込む場合は、申告して関税を納める義務があったのですが、そのルールは形骸化されていた。新政策により、中国人旅行者にとって日本で物を買うお得感は半減することとなります」
 中国版LINEともいえるチャットアプリ「微信」を利用し、日本の商品を中国人に転売している在日中国人の女性(27)はこう話す。
「紙おむつや化粧品、日本の米はもちろんのこと、今は医療関係者しか手に入らないダイエットの薬などが売れ筋で、過去1年間で500万円分くらい売りました。利益はそのうち約4割くらいですね。しかし新政策がスタートすれば、例えば化粧品なら50%の関税がかかるようになる。課税されるのは商品の受け取り側ですが、誰も買わなくなるでしょう。私も、新しい収入源を探さなければなりませんね」
 こうした税関検査の厳格化の狙いについて、中国事情に詳しいフリーライターの吉井透氏は話す。
「税関検査の厳格化の一方で、今年6月から当局は輸入品に対する関税率を平均50%減税させている。これによって、正規輸入品の価格は過去に比べ安くなっている。つまり、中国当局は海外にそのまま資金が流出するだけの転売品ではなく、国内にも金が落ちる正規輸入品を国民に買わせたいということ。昨年の海外からの転売品市場は1兆5,000億円にも達しており、その一部を国内に還流させるのが政府の狙いです」〔以下略〕”

問題はこちら。どこまで影響があるのか未知数だが、
中国人転売者の証言から、事態が容易でないことが分かる。
今まさに、「爆買い」が大収縮する瞬間を迎えているのかもしれない。
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米金利1%上昇は資金調達で50%のコスト増、意想外に大きいマグニチュード - 火薬庫は中国だけでない

2015-08-30 | 注目投資対象・株価の推移
              ↑ USD/JPY(ZAI) ドル急落の打撃が大きい

追記:ゴールドマンがTOPIXの見通しを10%ほど引き下げた。外国人が買ってこなくなる可能性あり。

今回の急落の背景がおおよそ分かってきたようだ。
中国の元切り下げが発端であるのは間違いなく、
次いで上海市場の異常な急落で恐怖が拡大、
NY市場で5年ぶりのフラッシュ・クラッシュで恐怖が頂点に達した。

その後は中国当局の利下げで下げ止まり感が出てきて、
各国市場の急反発が相次いで漸くひと息、
米GDPの上方修正で勢いがついたという展開だ。

日経平均が何事もなかったかのように2万円を再び越えるとの楽観論もあるが、
そうした主張は、何故これほど市場が荒れたのかという疑問に全く答えていない。
異常な暴落には、市場を底知れない恐怖に陥れる不透明で無気味な元凶が必ずある。
(そうでもなければ、先週のような異常事態は起きない筈だ)

…だから、問題はこれからである。
上海市場は当局が必死に操作してもどうしようもない代物だ。
原油価格は急激な買い戻しがあっても需要悪化は隠しようがない。
FRBは遅かれ早かれ利上げせざるを得ず、確実に市場に影響を与える。
ドル円と東証がどこまで戻れるか、予断なく監視することが必要だろう。

「東証が7月のように急反発すると考えてはならない。
 恐らくモメンタムは大きく低下し、反発力が弱ければ深刻な事態になる」

「北野一氏は最近、日本経済が後退局面に入った可能性があることを指摘していたし、
 藤戸則弘氏は上海市場の下落が米ITバブル崩壊時のチャートによく似ていると指摘していた」

「富国生命の市岡繁男氏は早くから2015年に中国で経済危機が生じる恐れがあること、
 米株式市場の高値が社債発行による自社株買いに支えられていることを指摘していた」

「先週の「主役」と言うか「悪役」とも言える上海市場。
 悲惨な暴落となっており、思い上がった株価操作のツケが回ってきた形だ。
 次は中共と同様の愚劣な株価操作を行っている安倍政権の番だろう」

当ウェブログは、以上のような先週通りのスタンスを維持している。
以下の見方も同様である。

「ダウの下げが不気味だ。原油の下げも不吉な兆しである。
 東証は比較的堅調だが、独歩高になれるような市場ではない」

「ほぼ予想通りの米雇用統計に対してドル円が押し戻され、
 ダウは続落に沈むという奇妙な市況も気になる」

「NYをアウトパフォームできるなどと調子に乗っていると、
 ミッドウェーのような痛恨の一撃を食らう原因となろう。
 公的マネーも無限に投入できる訳ではなく、警戒を緩めてはならない局面だ」

「中国はPMIばかりか、貿易額も酷い数字だった。
 「中国経済の成長鈍化は疑いようがない」との見方を維持する。
 先週は「中国の実際の成長率は政府発表の半分程度」との見方も出ていたが、道理と言えよう」

「ブラジルとトルコの銀行セクターの下げも尋常ではない。
 中国経済ばかりか、新興国の幾つかで本当に「危機」が生じるかもしれない。
 久々の米利上げ局面が接近しつつあるのだから尚更である」

「かつては円が「不況通貨」で市況悪化で買われる展開が多かったが、
 最近はユーロが「不況通貨」となりつつある。
 これでまた南欧にしわ寄せがゆくだろう」

「ダウの動きも、資源価格の動きも、東証の動きも変調を感じさせる。
 上海と香港は元々まともな市場ではないから不思議ではないが、こちらもおかしい」

「恐怖による売りと言うよりも、砂地が崩れるような不気味な脆さがある。
 このような状況でどこかが想定外の事態でパニックに陥ると、
 市場は想像もできないような反応をすることがある。
 ここ暫くは警戒レベルを二段階ほど上げておく必要がある」

「ゴールドマンが米株売りを宣告したことは、「東証売り」を宣告したも同然だ」
 また、資源価格と資源国経済の急変は必ず日本株にも悪影響を与える」

「東証が1万8000円を割り込んで、黒田日銀が追加緩和に追い込まれる
 不吉なシナリオを想定しておく必要があると判断した」

戻りを試す局面だが、決して油断してはならない。
今年は紛れもなく、「苦渋の年」になりつつある。

「中国富裕層は基本的に自国を全く信用していないので、
 以前からあった資本流出に益々拍車がかかっている。
 彼らの上海・香港株のエクスポージャーは大幅低下している筈である」

「東証が急反発したのはアメリカ側の要因であり、
 日本経済の脆弱さは依然として覆い隠されている。
 「市場が堅調でも実体経済は弱いまま」というバブルを支えるのは株価操作であり、
 当ウェブログが予言しているように、いずれ東証も上海に似た崩壊を迎えるだろう」

「安倍政権の次元の低さは完璧に証明された。
 IMFよりもこの下方修正の値は厳しいものになっている。
 日本の2015年の成長率の更なる下方修正は避けられないだろう」

「全世界にチャイナリスクを印象づけ、
 つい最近までメディアを使って株投資を煽っていた中国当局が
 大慌てで責任転嫁を始める醜態に、株価操作の末路が象徴されている」

「なりふり構わない中国当局の株価操作で上海・香港の下落が止まった。
 「悪質な株投資の煽り」を行った中国当局が取り締まりを強化するという
 実に馬鹿馬鹿しい状況である。
 市場を侮る中国は市場によって大打撃を受けることになろう」

「豪ドルの反発が限定的なところから見ても
 当局がいかに誤摩化そうが、中国経済減速の現実は全く変わっていない」

「株式市場は経済の「尻尾」に過ぎず、新しい富を生み出す打ち出の小槌ではない。
 市場操作によって実体経済を粉飾するような愚行は、
 市場の神によって罰せられるしかないのである。
 つまり上海市場の現状は、中国経済の暗い未来を示すものである」

「安倍政権も中共も、成長率低迷の苦い現実を株価で誤摩化そうとする
 あさましい路線を驀進して自滅への道を刻々と進んでいる」

「ギリシャ問題がどのみち長期化するのは間違いないが、
 気になるのは原油価格と豪ドルが急落していることだ」

「これは中国経済が大きく減速している証左であり、
 技術を他国から盗むのが当然の国が急激な省エネに成功する訳がなく、
 インドのエネルギー消費が急増することも考え難い以上、
 巨大な中国経済の変調が市場に影響を与えていると考えざるを得ない」

「人民元切り下げの余波はひとまず収まったように見えるが、そうではない。
 中国への輸出が多いアセアンやブラジルの経済も減速確実である」

「次元の低い安倍政権が必死で株価操作を行っても、
 支持率の低下や成長率低迷は一向に変わっていない。
 問題は現下の日本の大企業の収益が完全に円安に依存している(=人件費切り下げ)ことであり、
 偽装された株高の中で所得低迷と経済停滞が続く理由がそこにある」

「GDPと株価のギャップが「ワニの口」のように拡大しているだけでなく、
 安倍政権の支持率と株価のギャップも「ワニの口」のように同じく拡大している。
 これは明白なインバランスであり、どこかで重大な揺り戻しが来るであろう。
 今は、地震に喩えればプレートが動き続けて歪みが拡大している状況である」

とした当ウェブログの見通しも維持している。
資源国は苦境に陥るだろうが、インドは寧ろ助かるだろう。

「ギリシャ国民は緊縮策に大反対でもユーロを維持したいらしい。
 自分への増税は嫌だが社会保障給付は寄越せと要求する我が国の一部の国民とそっくりだ。
 日本ほどの産業基盤も勤勉さもないギリシャでは、日本を遥かに超える深刻な窮状に陥るだろう」

「上海市場は愈々断末魔の状況になってきた。
 前回のバブルを見ても分かるようにまともな市場ではない。
 政府が必死で操作しようとしても効果は限定的なものに終わるしかない」

「バブル崩壊後の不良債権処理を先送りしていた時期の日本も同じで、
 海外からの「正論」に感情的に反発し、非合理な願望を平気で維持していた。
 (責任をとりたくない、自分には非がない、日本経済の現状を認めたくない、等々)」

としてきた当ウェブログのギリシャ・中国に対する見方は変更しない。
中国当局があれほど必死に操作してもムンバイ市場と香港市場の差は縮まっていない。

「日経平均がITバブル以来の高値と聞いたら、
 「バブルの可能性大」と疑うのが健全な良識というものである」

「何しろ2000年当時は今よりも日本の人口動態が若く、
 成長率もそこそこの水準で高齢者三経費の負担も今より遥かに軽かった」

「成長率が低下し、人口が減少し、高齢化が進んで労働力が恒常的に減少すれば
 相当無理矢理に株価を誤摩化さないと同じような高値にできる筈がない」

「日本国民を貧しくし、労働力も製品も海外に安売りすることで
 大企業を儲けさせ、高値を偽造したに過ぎない。
 従って、PERの水準でバブルを否定するのは根本的に誤っている」

「バブルの最中は愚民大衆とメディアはバブルであると認識しないものだ。
 金融関係者も、バブルを予見できるのはごくひと握りに過ぎない。
 バックミラーしか見ていない彼らは、バブルが崩壊して初めて真相を察するのである。
 経済リテラシーの低い閣僚が「バブルではない」と言っていること自体が、
 現下の市場がバブルであることの明白な証拠である。
 (事実、この閣僚はリーマンショック前に全く信用バブルに気づいていなかった)」

「ギリシャは好条件を引き出すまではいつまでもゴネる
 北朝鮮並みの瀬戸際作戦を続けるだろうと予想している」

としてきた当ウェブログの見方も正しかったと言える。
6月の高値は、露骨な株価操作と心理的な要因に基づく明白なバブルである。

「上海では街中でにわか株式講座や株式談義が盛んになっているとか。
 これは、かつてJFKの父ジョセフ・ケネディが大恐慌の直前に
 街の靴磨きまでが株の話をしているのを聞いて、
 売りを決断したと伝えられる状況と同じである」

「そうした株価操作で今、沈没しそうなのが中国経済だ。
 歪んだ人口動態や官製経済において株価を永遠に上げ続けることはできない」

「国内の景況や各指標が悪いからこそ株価操作で愚民を欺くという、
 近視眼で自ら災厄を招く株価操作に熱心な安倍政権と中共は実によく似ている」

「先月下旬からの東証の急上昇は、全く業績に裏付けのない小型バブルであり、
 公的マネーで株価操作をして経済界の歓心を買おうとする政権の策動と、
 米欧市場の軟調で運用先に困った海外スペックの同床異夢の共同作業に過ぎない。
 理由もなく上昇したのだから、心理悪化だけで下落するのは至極当然の話と言える」

「現下の株価は先走りし過ぎており
 指標が良くても下落する理由は「思惑先行のバブルだから」と言うより他ない」

「GPIFの「弾」はまだ残っているので急に崩壊することは考えにくく、
 FRBの利上げまでは株価操作は相応にワークすると思われるが、
 株価操作の報いで来年以降は凄まじい苦境に陥るのは間違いない」

としてきた当ウェブログの見方は的中しつつある。

「ダウが1万8000円台を維持できず後退を強いられているのは、
 「悪い金利上昇」になりつつある顕著な兆候である。
 景気腰折れとまでは行かないだろうが、波瀾要因になる可能性はある」

「東証の急伸は完全に外国人主導で
 円売り・先物買いの恒例のパターンであったため、
 円高に転じるとあっと言う間に叩き売られる性質のものである。
 GPIFが高値を掴まされる危険性も想定しておかなければならない」

「LTCMの件を見ても分かるように、市場が崩壊する時は市場のプロも悉く予想を外すものである」

「日本株が上昇しても国民は豊かにならないことは、
 バブル期においても2006年頃の信用バブルの時期にも
 完全に証明されていたが、健忘症の強欲な連中は相変わらず傍若無人の踊りを踊っている」

「リーマンショック時と同じく、この歪みのツケは一般国民が払わされる。
 恥知らずな強欲人が臆面もなく責任転嫁することも、また繰り返されるであろう」

と書いた当ウェブログの見通しも維持しているが、
ギリシャデフォルトのシステミック・リスクは以前よりも低下している。
繰り返すが、今は「あの2007年とかなり似ている」状況だ。

「決定的な転換点があった。
 ドル円が長らく続いたレンジ圏を突破できるだけのモメンタムを示し、
 まずは125円、次に2001年の水準である135円に向けての進軍を開始した」

「これは古代ギリシャにおけるシチリア遠征のような「亡国の行軍」であり、
 (得意の絶頂にあったアテナイは、国力を弁えないこの自滅策で覇権を失い没落した)
 日本経済が再起不能な打撃を受け、安倍政権が崩壊する「終わりの始まり」となろう」

「当ウェブログの見方は海外ファンド勢に近い。
 米独の金利上昇を起点としイエレン発言で勢いがついた円安に乗じ、
 俊敏な海外勢が大挙して円の売り叩きを開始したと判断する」

「円安に連動する日経平均が次々と高値を更新する度に
 輸入インフレが進行して国民が貧しくなり、
 安倍政権が「一部の金持ちを更に金持ちにし、大多数の国民を更に貧乏にする」ものであると
 誰の目にも明らかになり、消費と経済成長率の数字がそれを完璧に立証する」

とした当ウェブログの想定は、ギリシャ問題で速度が低下したものの基本的に変わらない。
海外スペックの「売り時」はギリシャデフォルトではない。まだ特大の「売り」が控えている。

「ウォーレン・バフェットに続き、イエレンも米株の割高を指摘した。
 その言葉が発せられた状況や動機はさておき、PEファンドの投資先枯渇、
 JGBの外国人投資家比率の上昇、バフェット・インディケーターの警告と、
 複数の証拠が明白な金融バブルを示唆している」

「勿論、前回の信用バブルの際もリスクが指摘され始めてから
 市場が恐怖に陥るまでかなり時間を要しているので
 全力で売る局面はまだ先であろう。
 (とはいえ、常に市場の一寸先が闇であることは忘れてはならない)」

とした当ウェブログの見方も変更なし。
停滞する日本経済において、金融市場だけが明確なバブルに突入した。
上海バブルと同様に、深刻な打撃を経済に与えることになろう。

「日本は安倍政権の株価操作政策で一部の連中だけが
 好景気であるかのように吹聴しているが、マイナス成長の現実はびくともしない。
 表面的な糊塗を重ねて誤摩化しを続けるほどこの反動は甚大なものとなろう」

「これは政策要因で突発高になっている香港市場も同様であり、
 今年人口動態においてポイント・オブ・ノーリターンを通過する中国経済は
 日本と同様かそれ以上の長い苦渋の時代を経験することになろう。
 (中国の統計はいい加減極まりないから、日本よりも悲惨な人口動態劣化の可能性が高い)」

「日経平均2万円は偶然と株価操作の産物に過ぎず、
 決して日本経済や日本企業の強さを示すものでは全くない」

「公的年金基金が過大なリスクを取って株価を無理に押し上げても
 その分が消費に全く回らないのは明白だ。
 冷厳な低成長の現実を変えることはできない」

「2015年も2%に満たない低成長は確定である。
 次元の低い安倍政権が真の成長政策を全く行っていないので当然の話だ。
 消費マインドの改善もごく僅か、日経報道が示唆するように
 「実際の消費増」は殆ど見られていないのが実態である」

「長らくリードされていたムンバイに急速な勢いで
 キャッチアップしつつある香港だが、実力かどうかは何とも言えない。
 一時的な政策要因で今年の天井となる可能性もある。
 成長率では遠からず中印逆転となるのは間違いないので「最後のあがき」かもしれない」

としてきた見方も変更しない。
早くも今年、成長率での中印逆転は実現したようだ。
(インデックスでもムンバイが香港をアウトパフォームしている)

「当ウェブログが最も警戒しているのは
 巨額の先物を買い込んで相場をリードしてきたスペックの動向だ」

「「バフェット指標」は東証が既にバブルに突入したか、
 或いはかなり接近している状態であることを示唆しており
 今の東証の水準がまともだと思ってはならない」

「官製市場が言われてきても小幅の調整は経ている訳だから、
 今年年初の下落と2月以降の急騰は外国人の売買なくして説明できない」

「日本では、金融緩和によるデフレ脱却という、
 歴史の教訓を完全無視した馬鹿馬鹿しい宗教が金融当局を蝕んでいる」

「黒田日銀は完全にリフレ・ドグマに浸潤されて、
 デフレ脱却という愚劣な目標が自滅的であることに全く気づいていない。
 特定層だけを潤し、日本経済を破局へ追い込む追加緩和に追い込まれるより他に道はないのだ」

「GPIFの巨額買い支えも急ぎ過ぎて今年でほぼ弾切れの可能性があり、
 新規投入される三共済年金マネーもGPIFの4分の1弱の規模である。
 所詮は株価操作でしかなく、信用バブルと同様に持続的に市場を上昇させることはできない」

「GPIFの買い余力は5兆円強だから、
 三共済マネー3.5兆円との「連合軍」でも総計8.5兆円程度、
 2013年の外国人買い15兆円の半分強に過ぎない」

「官が株価操作している今の官製市場においては、
 見せかけの好況では成長率も1人当たりGDPも改善する訳がない」

「安倍政権の中には株価さえ上げておけば何とかなるとあさはかな了見を持つ者がいるのだろう。
 そうした近視眼の輩の愚行の報いで日本経済が危機に陥ることになる。
 歴史は真実を語っており、株価を操作しても実体経済を欺くことはできない」

「「東証がバブルに突入した」と判断した。
 カネ余りで急速にPERが上昇する現象は、2007年にも起きていた。
 業績に直結しないテーマで浮かれた上昇が続出していたのである。
 経験則では、こうした異常事態が起きると2年以内に景況が暗転する。
 2007年ばかりではなく、2000年もそうだった」

「アベノミクスの「三本の矢」は間違いなくインチキだが
 東証を支える株価操作の「三本の柱」は強固だ。
 この株価操作の報いで日本市場は遠からず塗炭の苦しみを味わうことになるだろう」

「米経済は矢張り減速感が強まってきており、楽観視できない。
 インデックスで東証にアウトパフォームされたのは
 日本経済が強い訳では全くない。米経済が想定外に弱いためだ」

「当ウェブログの懸念通り原油安でシェール産業が苦しくなり、
 アメリカの投資と雇用にも悪影響が生じつつある」

「結局ギリシャ問題は何とか峠を越えたものの、
 ウクライナ問題の余波とユーロ安誘導の困難で欧州経済の低迷は変わらないであろう」

「今の世界経済にはドル独歩高の負担は重過ぎる」

としてきた当ウェブログのスタンスは今週も維持する。
「バブル突入」は完全に確認できた。下手すると今年でバーストする。

「RBA(豪中銀)が予想外の利下げを行い、
 資源国の苦境が改めて浮き彫りになっている。
 原油大幅安を受け、今後も資源国の景況下振れのリスクに注意が必要だ」

「外国人投資家からは「日銀緩和しか円安材料がない」との声が上がっており、
 当ウェブログが予想したように今年最大の材料は追加緩和ということになりそうだ。
 今年に限っては米利上げより大きなイベントになり得る」

「原油安にとって最も大きな打撃を受けるのがシェール業界である。
 アメリカ経済の回復に大きな貢献を果たしてきたシェール産業は、
 ハイイールド債市場で大きなプレゼンスを持っているため、
 シェールバブル崩壊の余波で米経済は更なる下振れも考えられる」

としてきた当ウェブログの想定も依然として維持する。
2015年は完全に「我慢の年」ではなく「バブルの年」となった。

「ECBもQEを実行することとなり、市場では効果が覿面に出ている。
 ロイター調査ではQEの効果に懐疑的な意見が多数を占め、
 ずるずると量的緩和策を続けざるを得ないとの見方が優勢である。
 (日銀についても間違いなく同様の結果となるだろう)」

「漸く日銀は、自らの掲げた物価目標が誤っていることを認める路線に軌道修正し始めている。
 物価目標は未達確実、成長率見通しも下方修正なのだから、
 黒田日銀のこれまでの政策そのものが間違っていた訳である」

「追加緩和を行っても日本経済が停滞から脱却する筈がない」

「原油安が続くとの世銀の見通しも重要である。
 エネルギー投資は費用も労力もかかる。そう簡単にV字回復する状況にはない」

「一部の層に収益機会を提供する点で「投資家の神」だが
 経済全体は成長せず「一般国民の疫病神」である黒い日銀は、
 マイナス成長を受けてもまだ目が覚めていない」

「最後には日本財政の救世主になるが、その代わりに経済危機の「A級戦犯」となる。
 概ねそのような結末しか残っていない。
 (因にジム・ロジャーズ氏は2016年から17年頃の危機を予想している)」

東証の「片肺飛行」でも官製マネーで内需関連は続伸した。
GPIFの買いは意想外に大きいことが明らかになり、「バブル」との判断は的中した。
黒田日銀の追加緩和は東証バブルを受け、年後半に延期されよう。

「焦点はエネルギー価格に景況が大きく左右されるロシアだ。
 ロシア経済のエネルギー依存体質は全く変わっていない。
 これほど急激かつ大幅に原油価格が下落すると、
 ロシア経済に甚大な打撃が与えられるのは間違いない」

「為替急落の後は実体経済の悪化が来るのが通例だ。
 原油急落は必ずしもOPEC減産見送り要因ばかりでなく、
 世界経済の減速による需要停滞観測も確実にあるものと言えよう。
 暗い影がかかっているのはロシア経済ばかりではない」

「最悪の場合、鼠のレミングのように
 自滅的な集団行動へと向かっているとも考えられよう」

「当ウェブログは黒田総裁が異例の辞任に追い込まれると予想しているが、
 その見通しを補強する会合内容と言えよう。
 ここまで理のある反対意見を押し切って追加緩和を決断したからには、
 これから確実に生じる甚大な副作用の責は全て総裁に帰する以外にない」

「ここ数年、見たことのないような原油価格急落だった。
 OPECの減産見送りの背景には、OPEC内での多極化の進展だけでなく、
 サウジ等の大産出国がアメリカのシェールオイル採掘を牽制し、
 体力勝負に出た側面もあろう。
 それがもって回ってロシアを直撃しつつある状況、
 場合によってはロシア発の危機や地政学リスクの再燃もあり得る」

「今は恩恵が大きいように見える原油大幅安だが、
 デフレ脱却という愚かな宗教に感染した黒田日銀の追加緩和を招くだけでなく、
 コージェネをはじめとする省エネの努力を怠らせて電力利権を延命させる副作用もある。
 決して良い話ばかりではない」

と書いてきた当ウェブログのスタンスも変更しない。

尚、昨年の追加緩和の時点では以下のように想定していた。

「追加緩和の決定は天災と同じような緊急速報で伝えられたが、
 日本国民に甚大な被害をもたらす点でも天災と似ている」

「黒田日銀総裁は市場の裏をかいて追加緩和を行った訳ではなく、
 異次元緩和の効果が出ていない失策を糊塗するために決断したようだ。
 これで任期途中の辞任の可能性が高まったと言える」

「勿論、「悪い円安」は確定である。
 1日で3%以上も円が急落することは、日本のGDPに換算すると
 ドル建てで15兆円以上も日本が貧しくなっていることになる」

「70年代や80年代の教訓から正しく学んでいれば、
 デフレ脱却で日本経済が好転するなどというカルト宗教の虚妄は明白である。
 資産価格バブルが健全な経済をもたらさないことも言う迄もない」

「実質的な円の切り下げは資産家を急速に豊かにし、
 ミドルクラスには資源・エネルギー・食料の悪性インフレをもたらす。
 アンダークラスにとっては最悪の状況で、エンゲル係数の高い家計が行き詰まる。
 軽犯罪が増え、日本の治安は悪化する可能性が高い」

「これから円安倒産が急増し「クロダ倒産」と呼ばれるようになり、
 愚劣な黒田バズーカ第2弾が、庶民の生活を破壊することが明らかになろう。
 昭和恐慌時の団琢磨と同様に、テロの標的とされる恐れすらある」

「投資家の稼ぎは日本が貧しくなった分の付け替えであり、特に為替は所得移転に過ぎない。
 人々の暮らしが苦しくなるのと引き換えに、一部の者に富が転がり込んだのである」

「2015年は安倍内閣が破滅の淵に叩き込まれるだけでなく、激動の修羅場となる。
 「円安=日本株高」という今世紀の常識がどこかで通用しなくなるだろう」

「当ウェブログは、これほど粗暴で破壊的な緩和策を全く予想していなかった。
 今迄の見方を全て転換し、「悪い円安」が急速に接近していると判断した。

「日本経済は危険な激動期に突入しつつある。
 マーケットのボラティリティが急激に拡大するなかで
 一部の者だけが豊かになり、足蹴にされた国民が憎しみの目で彼らを見る」

……当ウェブログが予想した事態は、より速く、より深刻な形で実現しつつある。

「ドル高円安が進行することで日本の輸入物価高・CPI上昇を招き、
 スペックの仕掛けによる自己実現的な円安トレンド定着の可能性も見えてきた。
 2013年前半にジョージ・ソロスが不吉な予言を行ったように、
 「円安が止まらなくなる可能性」を見ておくべきである」

「財務省の法人統計で衝撃的な数字が出た。
 米経済回復でドル高円安が進み輸出業に大きな恩恵が及んだにも関わらず、
 日本企業の自己資本比率は過去最高の水準となったのである。
 投資増の勢いは依然として弱く、人件費に至っては前年比で5%も減少している。
 自民党政権と経済界が結託して労働者の実質所得を減らしていると考えざるを得ない」

「このような内向きの日本企業を優遇したところで、
 日本経済が強く回復する筈がないのは火を見るよりも明らかである。

「成長率が低下しているにも関わらず政策に嘴を挟む大企業と癒着し、
 経営層や株主ばかりに恩恵を及ぼす自民党の旧態依然の体質が露見する。
 2014年に急落するのは間違いなく安倍政権の支持率である。
 2015年にはリフレ派への評価は地に墜ち、アベノミクスは嘲笑の対象となろう」

一方、余計な追加緩和によって「事実上のマネタイズ」との見方はほぼ的中した。

「目先の円安に幻惑され、日本の将来に不吉な影がかかっている」

「当ウェブログが予測していた「悪い円安」が、異様な速度で到来することになる。
 安倍・黒田コンビが市場を軽視したために、財政危機もほぼ確実に接近する。
 「剣によって立つ者は剣によって滅びる」との箴言と同じく、
 金融政策によって立つ者は金融政策によって滅びるのであろう」

「黒田総裁の「次元の違う」量的・質的緩和は、事実上のマネタイズである」

「日本の国債市場は再起不能になり、財政再建を果たす可能性はほぼ失われた」

「黒田バブルに便乗して億単位の稼ぎを得る者が続出するだろうが、
 今から警告しておく。決して調子に乗って騒いではならない。
 ツケを回された国民の強い怒りは決してそのような輩を許さないであろう」

「今年は苦難の始まりの年となるだろう」とした予言が、悲しいことに実現しかけている。
危険な「悪い円安」の時代は「もうすぐそこまで迫っている」のではなく、既に「迎えつつある」のだ。

↓ EUR/JPY(ZAI) ユーロは奇妙な安定


↓ GBP/JPY(ZAI) 戻りが鈍く、「下落余地は大きく、ボラティリティが上昇する」と先週書いた通り



嵐の一週間が過ぎて呆然としている向きもあると思うが、
2015年後半から2016年はリーマンショック時に比肩できるような激動となる可能性がある。
しっかりと目を見開いて何が起きているかを掴んでおきたい。


リーマン時上回る日本株乱高下、過剰流動性が振幅を拡大(reuters)
http://jp.reuters.com/article/2015/08/28/idJPL4N1132ZA20150828
”日本株は、まれにみる乱高下を続けている。過去1週間、日経平均の1日平均変動幅は591円と「リーマン・ショック」直後を上回った。過剰流動性を背景とした金融相場の反動といえるが、まさにジェットコースターのような急落・急騰だ。
 現在は自律反発局面にあるものの、市場心理が不安定化しており、再急落の可能性があるとの見方も少なくない。

 <過去2回の「ショック」上回る変動幅>
 今回の日本株の乱高下ぶりは、2008年9月の「リーマン・ショック」と2013年5月の「バーナンキ・ショック」の直後を上回る。
 過去1週間、日経平均の前日比は24日895円安、25日733円安、26日570円高、27日197円高、28日561円高。1日平均の変動幅は591円、平均変化率は3.17%となった。
 「リーマン」直後の08年9月15─22日が平均321円(平均変化率2.7%)、「バーナンキ」直後の13年5月23─29日が385円(同2.5%)であり、それを大きく上回るボラタイルな相場となっている。
 米ダウも過去1週間の1日平均は462ドル。変化率は2.83%と、3.39%のリーマン時より低かったが、変動幅は当時の374ドルを上回った(「バーナンキ」時は62ドル、0.39%)。

 <グローバル金融相場の反動>
 急落後に大きなリバウンドが到来するのは相場の常だが、今回「リーマン・ショック」さえ上回るほどの相場変動となったのは、グローバル金融相場の反動があると見られている。米利上げが接近したことで過剰マネーの巻き戻しが起きたという。
 09年に日米欧合計で5兆ドル程度だった中央銀行のバランスシート規模は、量的緩和策を導入した結果、10兆ドル(約1200兆円)を超える水準まで拡大。金利は一部の国でマイナス圏に突入するなど、過剰流動性と歴史的な低金利が世界的な株高を演出した。

 日経平均は6月24日に2万0952円に上昇し、18年ぶり高値を更新。米ダウは今年5月に史上最高値を付けていた。日米ともに企業業績は堅調で、バブル色がそれほど強かったわけではないが、株高の背景に緩和マネーがあったのは確かだ。
 JPモルガン・アセット・マネジメントのストラテジスト、重見吉徳氏は「米利上げの接近が相場急変動の要因だ。世界的な株安に見舞われたが、米国は利上げしないという選択肢はないだろう。見送れば市場の失望を買う。上げても金融相場は大きく影響を受けるいばらの道だ」と指摘。しばらく相場の乱高下は続くとみる。 

 <金利上昇のインパクト>
 27日に発表された4─6月期米GDP(国内総生産)改定値。速報値の2.3%から3.7%に上方修正され、9月の米利上げ観測が再び強まったが、米ダウは369ドルの大幅高となった。
 米株市場が米利上げを織り込んだとも受け止められるが、市場では「米株が自律反発過程にあるだけ。決して米利上げを織り込んで安定したわけではない」(外資系投信)と慎重な見方が多い。
 米経済は堅調だとしても、利上げが金融市場に大きな影響を与えるのは避けられないだろう。「現在、2%の米10年国債金利が3%に上昇すれば、数値的には1%の上昇のようにみえるが、変化率でみれば1.5倍。資金調達では50%のコストアップとなる」と外資系金融アドバイザー社長は語る。
〔中略〕
 さらに今回、市場の不安を増幅させたのが中国だ。予想されていたこととはいえ景気が一段と減速、株価下落に対する当局の対応策も市場の失望を買った。
 りそな銀行アセットマネジメント部チーフ・エコノミストの黒瀬浩一氏は、世界同時株安の要因を「中国政府の政策に対する信頼感が低下したことだ」と見る。
 政策対応で株価や経済を下支えしたとしても、需要対策など小手先の弥縫策は、将来に大きな禍根を残してしまう。また過度な金融緩和はバブルを生みかねない。過度な財政出動は過剰設備をまた増やすだけだ。

 中国の混乱は、経済関係の結びつきが強い新興国に影響する。新興国の経済規模は世界のGDPの半分近くになっており、その影響度はかつてないほど大きい。株価の乱高下が企業や消費者のマインドに影響するかも焦点だ。しかし、これらを見極めるには足元の経済指標ではまだ分からない。それも市場に不安を抱かせる要因となっている。 (伊賀大記 編集:石田仁志)”

日本株はバブルではないとたわ言を吐く論者がいるが、とんでもない話だ。
このロイター報道を熟読しても分かるように、間違いなくバブルである。
ただ上海ほど滅茶苦茶ではないというだけの話だ。
(これは米金利上昇の甚大な影響も指摘しており、熟読しておきたい良記事)


ドル反発、中国追加緩和でリスク回避一服=NY市場(reuters)
http://jp.reuters.com/article/2015/08/19/ny-forex-idJPKCN0QU2IZ20150825
”25日のニューヨーク外為市場で、ドルは主要通貨に対して反発した。24日の市場でドルは避難通貨とされる円やユーロに対して7か月ぶりの安値水準に下落していたが、中国人民銀行(中銀)が追加緩和策を発表し、ドルは買い戻されて1%超上昇した。
 中国人民銀行は25日、政策金利の0.25%、預金準備率の0.50%引き下げを決定。中国の主要株式指数は24日に8%以上急落したのに続いて25日も7%以上の大幅下落となり、昨年12月以来の安値を付けていたが、緩和発表後は欧米株が急反発し、原油価格も上昇した。
 ドルの主要6通貨に対するドル指数は一時1.25%高の94.505。ドル/円は終盤1.1%高の119.70円、ユーロ/ドルは1.6%安の1.1431ドル。
 BNPパリバ(ニューヨーク)の通貨ストラテジスト、バシリ・セレブリアコフ氏は「中国人民銀行の緩和策に対する市場の反応は前向きだった。リスク選好のセンチメントが強まり、円やユーロに対するドル上昇の支えになっている」と述べた。
〔中略〕
 またアナリストによると、8月の米消費者信頼感指数が101.5と、前月の91.0から上昇して7か月ぶりの高水準となり、7月の米新築1戸建て住宅販売戸数が年率換算で前月比5.4%増の50万7000戸と持ち直したこともドルの上昇要因となった。
 ただ、外為市場は今後も不安定な状態が続くとみるアナリストが多い。
 1カ月物のドル/円ボラティリティ(予想変動率)は25日の取引で約2年ぶりの水準となる13.36%に上昇した。

先週、決定的だったのはこの中国当局の利下げだった。
日経先物は軽く500円を超える大幅高で、市場心理の好転はここから始まった。
ただこれもあくまで「止血」に過ぎないので、どこまで持つかは未知数だが。


NY外為市場=ドル上昇、FRB当局者が9月利上げの可能性排除せず(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKCN0QX2JD.html‎‎‎
”28日のニューヨーク外為市場では、ドルが4営業日続伸。米連邦準備理事会(FRB)当局者数人が、今週初めの世界的な市場の混乱にもかかわらず、9月利上げの可能性を排除しなかったことを受け、ドルは主要通貨に対し約1週間ぶりの高値をつけた。
 主要6通貨に対するドル指数は、フィッシャーFRB副議長の発言を受け上昇。同副議長は、9月に利上げに踏み切るかどうかについてはまだ決定していないとしつつも、利上げ実施に向けた論拠が圧倒的となるまで待っていては遅過ぎるとの見解を示した。
 取引終盤、ドル指数は0.5%上昇の96.101。一時、96.324まで上昇した。ドル指数は24日につけた7カ月ぶりの低水準から回復し、週間では3%上昇と、1カ月ぶりの大幅な伸びを記録した。
 ドル/円は0.4%高の121.44円。
〔中略〕
 他のFRB当局者では、FOMCで投票権を持つアトランタ地区連銀のロックハート総裁が、9月利上げの確率が五分五分との予想は妥当との認識を示した。
 ブラード・セントルイス地区連銀総裁とメスター・クリーブランド地区連銀総裁はともに、最近の市場の乱高下の影響は軽微との見解を示した。
〔中略〕
 デイリーFXの為替アナリスト、デイビッド・ソン氏は「(来週発表される)8月の米雇用統計が、市場の予測を形成するうえでこれまで以上に大きな役割を果たすことになる可能性がある。失業率低下を伴って、雇用者数が増加すれば、9月の利上げ観測は高まるだろう」と述べた。”

金曜は米利上げ観測が再び強まり、ドルは急伸を続けた。
これがデッド・キャット・バウンドに過ぎないのか、
それとも戻りへの過程なのか。今週中に答えが出るだろう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

注目銘柄。中国の利下げ開始からショート削減開始、米GDPでロングに傾けた。
組み入れ比率は①任天堂、②竹内製作所、③ラオックス(ショート)に変更。

 ↓ 輸出関連(Yahoo.finance) 竹内が急角度で回復中、任天堂の強さも確認できる



 ラオックス(東証二部 8202)   498 (ショート)

 任天堂(東証一部 7974)     23,355

 竹内製作所(JASDAQ 6432)    2,122 

 トリドール(東証一部 3397)   1,718

 ユナイテッド(東証マザーズ 2497) 2,800 / 1,696

取りあえずは反発に付いて行く。
金曜のラオックスの下げが不気味で、引き続き上海の急変に注意。

 ↓ 食関連(Yahoo.finance) 食関連は比較的安定、8202の戻りが鈍い



東南ア、景気減速鮮明 主要5カ国4~6月4.2%成長(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM27H6C_Z20C15A8FF8000/
”【マニラ=佐竹実】東南アジアの経済に減速感が強まっている。29日までに出そろった主要5カ国の4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は、前年同期比4.2%と前の期よりも0.2ポイント低下した。中国の景気減速を受けて輸出が減っているほか、頼みの綱だった内需にも陰りが見える。投資家のマネー引き揚げで通貨安が一段と進めば消費に水を差す懸念もあり、域内の成長シナリオは軌道修正を迫られている。〔以下略〕”

アセアンが中国経済減速でドミノ倒れになりかけている。
経済規模が大きくはないだけに、ここに資源急落が加わったら
特に人口大国インドネシアは非常に苦しい局面に追い込まれるだろう。


▽ 株主優待バブルの終わりは、上海ショックにより接近しつつあるかもしれない

『株主優待ハンドブック 2015-2016年版』(日本経済新聞出版社)


    ◇     ◇     ◇     ◇

  【 いとすぎの為替ポジション 】

一応、米GDPを受けてロング転換したがどこまで行けるか。。

 2015/08/20 186.46 GBP/JPY Lev ×1.5

    現在 > 136.06 ユーロ/円(損益144%)← 今年の損益率
         187.21 ポンド/円
         121.70 米ドル/円

 ◎ 2014年の損益率(手数料等除外)> 128%
 ◎ 2013年の損益率(手数料等除外)> 164%
 ◎ 2012年の損益率(手数料等除外)> 142%
 ◎ 2011年の損益率(手数料等除外)> 138%
 ◎ 2010年の損益率(手数料等除外)> 147%
 ◎ 2008年秋~09年末の損益率(手数料等除外)> 353%

  ▼ ポジション解消済み
 2015/08/21 193.08 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/08/07 193.42 GBP/JPY Lev ×1.5
 2015/07/28 191.99 GBP/JPY Lev ×1.5
 2015/07/24 192.39 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/07/10 188.37 GBP/JPY Lev ×1.5
 2015/06/19 194.86 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/05/20 187.53 GBP/JPY Lev ×1.5
 2015/05/28 135.42 EUR/JPY Lev ×1.5
 2015/05/08 134.41 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/04/30 183.38 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/02/09 134.91 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/04/24 119.71 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/03/20 119.97 USD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2015/02/20 182.89 GBP/JPY Lev ×1.5
 2015/01/22 135.05 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)

 …以下省略…

「ドル100円割れ」はなくなったと判断している。
120円に達する速度が異様に速く、「ドル150円時代」が接近している。
黒い日銀が円を切り下げ、格差が急激に拡大するステージに入った。

海外スペックによる円の売り叩きは以前のモメンタムを失っており、
愚かな黒田日銀の異常な緩和策による「悪い円安」も小休止の観。
しかしその理由は「米中経済の減速」にある。

依然として「黒田日銀が追加緩和に追い込まれる可能性が高まっている」、
「上海・香港市場は富裕層・外国人が逃げ出して非常に深刻な状況にある」、
「6月で今年の高値となる可能性が上昇しつつある」との見方を維持する。
ひとまず市場について行く局面だが、再度の急落に注意したい。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログのこちらのカテゴリーも御覧下さい。)
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『週刊エコノミスト』9月1日号 - 自称「世界で最も厳しい規制」は嘘八百、お粗末な原発の安全対策

2015-08-28 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』の特集「物価大停滞」は良かったが、
日本の場合は70年代、80年代まで調べると「成長率とCPIの相関が弱い」こと、
そして生産年齢人口の増加率の方が遥かに影響が大きいことを明記すべきだろう。

その点では矢張り、富国生命の市岡繁男氏の分析(P94)がより勝っている。
安倍政権下で実質賃金ばかりか可処分所得の割合も低下しており、
アベノミクスのお粗末さは明白である。

尚、メイン特集では「失業率改善でも上がらない賃金」と
「データで見る世界の低インフレ度」が良い。
(ただ後者は、スウェーデンの成長率と賃金を加えて欲しい)

『週刊エコノミスト』2015年 9/1号


巻末の東海東京調査センター・隅谷俊夫氏の市場分析には驚嘆した。
歴史的にこの時期は米株が下落しやすく、
東証の外国人買いが少ないこと等から東証の軟調を予想し、
「日経平均2万円割れ」の可能性を完璧に言い当てている。
これは本当に完璧に言い当てているので、是非参考にされたい。

尚、エントリーのサブタイトルはP82、泉田裕彦・新潟県知事の寄稿から。
原発敷地内の消防車も免震重要棟も新潟県が中越沖地震の教訓を踏まえて
申し入れて設置されたものであること、それがなければ
福島事故で東京に人が住めたかどうかすら分からないこと、
米国と違い航空機テロへの備えが考慮されていないこと、
事故後ですら過酷事故時のマニュアルがないと東電がIAEAに指摘されたこと。
安倍政権や規制委の言う「世界最高水準」が全く信用できないものであることは明白だ。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊ダイヤモンド』の特集は悪くないが、
矢張りタイトルは「狙われる「食」」の方が正しいと思われる。

お薦めはP42のネスレ分析、
P45のカルビー松本会長や高岡ネスレ日本社長へのインタビューだ。
ともに業界関係者には必見だろう。

また、20兆円もマーケットが縮小したのはどう考えても少子高齢化の悪影響だ。
人口動態劣化を軽視して問題を先送りしたから危機的状況に陥ったのである。

『週刊ダイヤモンド』2015年 8/29号


政策関連ではP58「食の国際標準に遅れる日本」が良い。
安倍政権の「輸出1兆円計画」が毎度お馴染みの口先政策で、
早くも国際標準や食品表示、添加物の面で壁にぶつかっていることが分かる。

    ◇     ◇     ◇     ◇

『週刊東洋経済』の「下流老人」特集は良くない意味で予想通りだった。
我が国の金融資産の大半が高齢層に占有されている事実、
高齢者三経費に30兆円以上の巨額公費が投入されている事実を全く書いていない。

日本の金融資産の殆どを握っている富裕高齢層は「下流老人」を助けようとの意思は皆無だろう。
ミドル高齢層は「下流になりたくない」と思うばかりで自己防衛に走り、
結果的に困窮する同世代との連帯を放棄し、政府に責任を押し付けることとなろう。

「この特集がバカ売れしてバラ撒き強化なら、日本経済は「終わり」だ。
 主要読者層である中高年に媚び、彼らが1000兆円規模を保有する資本家である点を
 意図的に伏せている可能性あり」

とした当ウェブログの悪い予感は的中したと言えよう。

『週刊東洋経済』2015年 8/29号


ただ、「防止マニュアル」はなかなか実践的で、
P72の「清掃、タクシー、警備員がトップ3」「「管理職」への再就職は狭き門」は的確だ。
(矢張り、非営利セクターで雇用創出しないと高齢層雇用は増えないと確信した)
P80「知っておきたい医療費負担」も有益である。

    ◇     ◇     ◇     ◇

次週は久々にエコノミストに注目。話題のトランプ氏についても触れているようだ。

▽ 他誌も特集しているが、市場分析に関してはエコノミストが優っているのが通例

『週刊エコノミスト』2015年 9/8号


▽ ダイヤモンドは先週の東洋経済と比較したい

『週刊ダイヤモンド』2015年 9/5号


▽ 東洋経済は「政府放出株 本当の投資成績」に期待している

『週刊東洋経済』2015年 9/5号

池上氏のNHK分析の方が興味深いかもしれない。(「激辛口」を期待したい!)
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自由化と電力コスト上昇で新規投資が活発化、企業が漸く動き始めた - 原子力依存の「怠惰病」は滅ぶべき

2015-08-27 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
日本経済新聞は、首都圏だけで原発13基分・2兆円超の投資計画があると伝えている。
間違いなくこれは日本の内需を力強く支える成長分野である。

こうした動きは、原発停止によって尻に火がついた企業が漸くにして
他力本願を諦めてエネルギー投資に本腰を入れ始めたこと、
そして利権勢力による骨抜きの恐れがあるものの
曲がりなりに電力自由化が進みつつあることが背景だ。

利権勢力に牛耳られた日本では長らく
「経済成長率が低いのにエネルギー消費の伸びの方が大きい」という
どうしようもない病的な状態にあり、利権勢力にカネを上納し続けてきた。

勿論その元凶は、エネルギーを垂れ流し国内投資を抑圧してきた原子力だ。
企業も家庭もエネルギー効率化や省エネ投資に邁進し、
原子力を締め上げることによって日本経済は再び前進する。

電力自由化で電力利権が打撃を受けるのは間違いない。
必至に骨抜きを図る利権勢力の策動を打破するために、
国民はエネルギーコストを引き下げる賢明な企業を支持しなければならない。

「原子力は日本経済に有害なのである。
 成長率の低迷が何より雄弁にそれを証明している」

「異次元緩和などと「次元の低い」政策を行っている日本よりも
 明らかに成長率の高いドイツは、コージェネ発電の比率が13%に達している。
 日本経済のために、原子力を撃滅してコージェネに転換するべきなのである」

「ドイツはコージェネ発電の比率を2020年までに25%に引き上げようとしている。
 同じような少子高齢化が進む両国が、成長率で差がついている理由は明白だ。
 日本では原子力利権がのさばって経済成長を抑圧していからだ」

「賢明でかつ投資も増え、経済成長に繋がる合理的なコージェネが普及すると
 確実に電力大手の売上は減り、原子力の必要性が全くないことがバレるので
 利権勢力としては何としても国民にとっては非常に有益なコージェネを普及させたくないのだ」

「残念ながら自民内の脱原発派は強力な代案を出していない。
 コストの安い風力発電のため送電網を整備するとともに、
 (愚劣なバラ撒きである国土強靭化やリニアの10分の1以下の予算で可能だ)
 経済合理性の高いコージェネ発電の買取制度を創設し、
 地中熱での節電分をネガワット取引で売却できるようにすべきである」

「原発ゼロは可能であるばかりか、日本経済の成長のために必須である。
 原発利権を撃滅しなければ、今の低成長から脱することもできない。
 潜在エネルギー資源を豊富に持つ地方経済の「創生」の成否もそこにかかっている」

と主張してきた当ウェブログとしては、
利権癒着の自民党が与党に居座っている点が懸念材料だが
チャンスは確実にあると見ている。
まずは、平均気温の低い東日本や日本海側、内陸部でのコージェネ推進が鍵を握る。

▽ 発電でのエネルギーロスが非常に多い日本は、コージェネの成長余地が大きい

『エネルギーを選びなおす』(小澤祥司,岩波書店)


コージェネの普及が妨害される可能性は依然としてあるが、
それでも電力自由化での投資増は間違いない。

「日本経済新聞の報道によれば、原発停止と電力自由化を見据え
 火力発電への新規投資が2兆円を超えたとのことだ」

「当ウェブログは、原子力比率の高いフランスの成長率が低いこと、
 成長率でドイツに劣るばかりか製造業もドイツに劣っていることから、
 原子力はただのレント(政治利権)に過ぎず、経済成長の妨害要因だと指摘してきた」

「愚劣な安倍内閣の円安誘導による燃料費高騰の現実を無視し、
 電力料金の高騰ばかり強調して国民を「B層」扱いして欺き、
 原発再稼働を狙う醜悪な「第五列」の情報操作の悪質さと欺瞞は、
 報道によっても完璧に証明されつつある」

「省エネと風力に注力する合理的なエネルギー政策を選択できれば日本経済は甦る。
 地中熱と木質バイオマス熱利用を推進すれば地方経済にもポジティブであるが、
 問題は今の自民党が原子力と癒着し、そうした「正しい」政策を妨害していることだ」

「それは同時に、新規雇用を生まない利権勢力に利益誘導し、
 日本経済の成長をも妨害するというより重大な問題を内包している」

「新電力はまだまだ比率が低い。
 需要側(企業・家庭)が省エネと自家発電(コージェネ・太陽光)を進めることで
 電力コストは低下し、投資も増え真の「経済の好循環」が実現するのである」

ネガワット取引による省エネ投資促進にも大きな効果がある。
利権癒着政党・自民を追い込んで正しい政策を実行させなければならない。

 ↓ 参考

原発停止で新規投資は首都圏だけで2兆円超の増加、原発13基分の出力増へ - 原子力は経済成長の敵だ
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/0a0a3271504d2f86ea356a830aae9581

コージェネレーションの急成長は確実、2030年迄に全電源の7%に -「15%を目指すべき」との声も
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b8067d44524b710bec11a333716f6b4f‎

日本は既に省エネ「劣等生」、コージェネが不十分でビルの消費エネルギーも多い -「世界トップから脱落」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/bdbe09d8dd34742ef530ce1011b5cb0c

▽ 天然ガスは無駄の多い大型火力ではなく、小規模分散のコージェネ利用が合理的でかつ低コスト

『天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学』(石井彰,日経BP社)


東ソー、自家発電増強に150億円 生産コスト抑制(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLZO90471610S5A810C1TJC000/
”東ソーは150億円を投じて自家用の発電設備を増強する。休止中の重油を使う火力発電設備を石炭を使う設備に改修するほか、稼働中の発電用タービンを順次補修する。東日本大震災後、産業用の電力料金が上昇しているため、自社設備を活用し電力コストを安く抑える。王子ホールディングスも自社が持つ水力発電設備の更新による効率化に乗り出すなど、生産コスト低減に向けた発電設備への投資が広がっている。
 東ソーは南陽事業所…〔以下略〕”

利権勢力の手先は、原発停止で企業が苦しんでいるかのように偽っているが、
とんでもない嘘である。円安誘導(=労働コスト切り下げ)で大企業は楽勝で儲けている。
エネルギー関連投資を行う余力は大きく、優勝劣敗により経済は効率化するのである。


電力会社6割「料金下がる」 家庭向け自由化、日経アンケート(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDJ17H1H_X10C15A7SHA000/
家庭向け電力小売りの自由化を2016年春に控え日本経済新聞社が電力会社にアンケート調査したところ、回答企業180社のうち6割が電気料金の下落を予想していることが分かった。下げ幅は1割未満が最も多かった。新たに130社が家庭向けで参入を決めたり検討したりしており、通信など他のサービスとのセット割引を中心に販売競争が本格化しそうだ。
 日本の電力市場のうち販売が自由化されている大口向けは販売電力量ベー…〔以下略〕”

電力自由化は必要条件ではあるが、十分条件ではない。
高コスト体質の電力大手にコスト合理化を迫るだけでは大して電気代は下がらず、
コージェネもしくは省エネによるネガワット取引でエネルギーコスト自体を引き下げる必要がある。


楽天が電力小売り、丸紅から調達 ネット出店者に安く(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDZ27HZG_X20C15A8MM8000/
楽天は丸紅と組み電力の小売りに乗り出す。ネット通販モールに出店する中小事業者に丸紅が用意した割安の電力を販売する。来年4月の電力小売り全面自由化をにらみ、大手電力、新電力、通信などが顧客の争奪に動く中、楽天は出店業者の支援と囲い込みに電力自由化を活用する。別分野の規制緩和を主力ビジネスの競争力強化につなげる先駆けとなりそうだ。
 楽天と丸紅は月内にも業務提携の大枠で合意する見通し。自由化に向けた電…〔以下略〕”

焦点となるのは小売やサービスの企業である。
首都圏は幸いにも原発再稼働の見通しが不透明で、低コストの電力への需要がある。
石炭火力には環境問題があり、容易に新設できない以上、天然ガスが主役になるのだ。

日本最大の電力市場である首都圏でコージェネとネガワット取引が急拡大するとしたら、
参入事業者が新規電力調達と流動性提供を行うことが必須条件となる。
(例えば楽天なら、省エネ投資を行った事業者から余剰電力を買って転売することができる)
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米の4~6月期実質GDPが速報値から上振れ、FOMCへの影響に注目集まる

2015-08-27 | 注目対象…譲渡益税分は寄付に廻して下さい
いち早く「米株売り」を唱えていたゴールドマンは
今週、絶妙のタイミングで「買い」に転じていたと聞く。

暴落してから慌てふためいて顔色を失っていた我が国のエコノミストは
先見力のあるゴールドマンに遠く及ばないことを自ら証明した訳である。
敗者の言い訳よりも勝者の言葉に耳を傾けたいものである。

さて市況であるが、中国の利下げによる「止血」がひとまず成功、
各国市場の急反発に米GDPの上方修正が加わって
市場心理の改善が明確になってきた。

上海市場はいつどのような暴落に転じるか全く分からないので、
盲信は厳禁であるもののFRBの利上げ観測が再び高まるまで
市場は暫くの間、小康状態を享受できそうだ。

「次は中南海と同じような株価操作政策を行っている
 東証にも甚大な災いが及ぶことになるであろう。
 次元の低い安倍政権が、株価操作によって愚民を欺く粉飾政策を行っているからだ。
 あさましいことに、中共の同類にまで堕ちたのだから自業自得である」

「米利上げが接近しているとの市場関係者の観測と、
 中国経済の減速懸念の二重苦でマーケットには重苦しい雰囲気が充溢し、
 ゴールドマンの「米株売り」宣言がその暗鬱さに拍車をかけている」

「中国当局がいかに株価を操作しようと、コモディティの需要減退を誤摩化すことはできない。
 また、米利上げが経常赤字の資源国経済を直撃することは歴史的経験から明白である。
 従って、今は東証を暢気にバイ&ホールドしている場合ではなくなってきている」

「中国の生産年齢人口は既にマイナスに転じた。
 日本の輸出関連セクターは多かれ少なかれ中国経済と関わっており、
 東証の中国関連は基本的にポートフォリオから外さなければならない」

と警告した当ウェブログのリスクシナリオはやや遠のいた。
(しかし、消えてはおらず水面下に潜っただけなので注意されたい)

▽ 中国経済は、かつての日本とよく似た「傲慢」という病に罹っている

『巨龍の苦闘 中国、GDP世界一位の幻想』(津上俊哉,KADOKAWA/角川書店)


米GDP、大幅上方改定=4~6月期は3.7%増に(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150827-00000165-jij-n_ame
”【ワシントン時事】米商務省が27日発表した2015年4~6月期の実質GDP(国内総生産)改定値は、季節調整済み年率換算で前期比3.7%増となった。
 輸入が下方修正される一方、設備投資や個人消費などは上方修正され、全体では速報値の2.3%増から大幅な上方改定となった。
 米景気の堅調な回復傾向が改めて示されており、連邦準備制度理事会(FRB)の年内利上げを後押しする内容といえる。ただ最近の世界の金融市場の混乱などが米経済に悪影響を及ぼす恐れがあるとの指摘もあり、FRBは9月16、17両日の連邦公開市場委員会(FOMC)で、利上げが可能かどうか慎重に見極める見通しだ。”

この堅調な指標を受け、米9月利上げ観測が再び強まりそうだ。
9月になるか、12月になるか、それとも年明けになるか。
いずれにせよ円高アノマリーのある東証はそこまでは何とかもつかもしれない。


 竹内製作所(Rakuten.sec) 2,122   先進国市場がメイン


 任天堂(Rakuten.sec)   23,355  急落の打撃が比較的小さい


 トリドール(Rakuten.sec) 1,718   ご存知、優待銘柄


あとは富士重工、ロックFといったところにも注目。
但し殆どに対して「戻り」以上のものは求めていない。


▽ 富国生命の市岡繁男氏が警告した中国経済の危機(人口動態要因)は、まだこれからが本番

『エコノミスト』2015年 7/28号


勿論、「中国経済は大幅な減速必至、どうあがいても米国を抜けない」とした
当ウェブログの見方は微塵も揺らいでいない。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログの こちらのカテゴリーも御覧下さい。)
Comment
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする