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みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

夏の新刊 -『縮む韓国』『新しい階級社会』『子どもは誰のものか?』『はずれ値だらけの日本人』等

2025-07-21 | こんな本を読んでいます
連休ですので恒例ながら新刊紹介です。
丁度、参院選にも影響を与えていそうなテーマも取り上げられています。

ただ残念ながら参院選における与野党の公約からも分かるように
経済政策関連は本当に日本では劣化する一方であるのが憂慮されます。


『縮む韓国 苦悩のゆくえ 超少子高齢化、移民、一極集中』(朝日新聞取材班,朝日新聞出版)


 → 日本と似ているようでかなり違う韓国、
   深刻な少子高齢化で日本以上の窮地に陥りつつある。


『新しい階級社会 最新データが明かす<格差拡大の果て>』(橋本健二,講談社)


 → 「新自由主義右翼」の存在が興味深い、
   沖縄に差別的で米軍基地の負担押し付けを当然視しており
   日本社会や日本経済の歪みの一因でもあろう。

   但しこの本の再分配の定義は完全に間違っており、
   北欧のような真の意味での平等主義では全くなく
   豊かな層から出させる欺瞞的で他人事なタカリ気質に堕している。


『子どもは誰のものか? 離婚後「共同親権」が日本を救う』(嘉田由紀子,文藝春秋)


 → フェミニズムに違和感を感じた時期の記述が興味深い、
   日本のフェミニズムを「男性を悪者にしないと成り立たない思想」とばっさり。
   但しタイトルの「日本を救う」は言い過ぎであり、豪州等の事例を見ても
   共同親権は問題も孕んでいることに注意が必要である。


『統計で問い直すはずれ値だらけの日本人』(本川裕,講談社)


 → 日本の男女は統計的に世界の外れ値、夫の所得への依存度も
   妻の家事育児の負担もともに世界一で先進国の中では異例。


『新型インフレ 日本経済を蝕む「デフレ後遺症」』(永濱利廣,朝日新聞出版)


 → ここからは批判的分析が必要な経済関連。
   局面に応じて言説を翻す世渡り上手の著者だが群馬を賞賛しているのは単純ミス、
   コストコが進出してきて時給が引き上げられただけの話で企業補助ではなく
   「対内投資促進」が正しい政策である。
   (事実、ゼロ成長に陥った第二次安倍政権時には対内投資が低迷し続けた)


『日本経済の死角 ――収奪的システムを解き明かす』(河野龍太郎,筑摩書房)


 → 生産性が上がっても賃金上昇が見劣りするとの指摘は正しいが、
   高齢者偏重の社会保障制度の方が遥かに収奪的であり
   働き方改革より年収の壁の方が影響が大きい。しかも
   アベノミクスの大失政で経済成長率において他国より劣る事実は揺るがない。


『検証 異次元緩和』(原田泰,筑摩書房)


 → 日経新聞報道で異次元緩和の効果を研究者の大半が否定しているとバレたため言い訳が満載、
   実質賃金が低迷しているのを「時給では上がっている」と負け惜しみ。
   人口動態の分析もお粗末で、2010年代以降の雇用改善は
   円安によるドル建て賃金切り下げと団塊世代の大量退職でほぼ説明できる。


『ルポ 「トランプ信者」潜入一年』(横田増生,小学館)


 → 数々の秀作ルポを出したジャーナリスト横田氏がトランプ支持層の集団病理を暴く、
   「自分の聞きたいことしか聞かない」点で斎藤兵庫県知事を支持した層と酷似しており
   民主主義の劣化は日米両国とも深刻である。
   2020年のトランプの大統領選敗北のレポートに加筆したものだが、
   デジタルポピュリズムが民主主義を蝕む今回の参院選の不吉な予言になってもいる。。


『カラー版 日本の聖地100選』(日本の聖地研究会,宝島社)


 → 「聖地」は勿論サブカルのではなく神道・仏教のもので貴重な企画、
   綺麗なカラー写真が多いのが美点で国内旅行先を考えるのにも良い。

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GWの新刊 -『「低度」外国人材』『世界を変えたスパイたち』『「東大卒」の研究』『関係人口』等

2025-05-02 | こんな本を読んでいます
連休ですので恒例の新刊紹介です。
相変わらず玉石混淆かな。。良書はよく探しましょう。
トランプの朝令暮改による世界の大迷惑について新刊はもう少し先か。

クリティカルシンキングの必要な新刊も相変わらずで
特に妙に売れているものは寧ろ人々の欠点を助長するようなタイプが多く。。


『世界を変えたスパイたち ソ連崩壊とプーチン報復の真相』(春名幹男,朝日新聞出版)


 → プーチンとロシア情報機関がトランプを操り利用している数々の証拠を明記、
   矢鱈とロシアに甘く北方領土のエサにすぐ釣られる
   日本の元外務省の論者達が足許にも及ばない良書である。

   本書を読むとロシアが対米国の情報工作で次々と成功を収めたことが
   寧ろプーチンの情勢判断を狂わせてロシア軍が対ウクライナで
   歴史的大打撃を受ける失態に繋がったと推測できる。


『「低度」外国人材 移民焼き畑国家、日本』(安田峰俊,KADOKAWA)


 → あの労作が記載を追加して新書化、外国人に寛容だった著者が
   取材を通して懸念を強めて行く過程が興味深い。


『「東大卒」の研究 ――データからみる学歴エリート』(久保京子,筑摩書房)


 → 東大の地方女子を弱者に見せたい心理バイアスが強烈、
   遥かに貧困率の高い非大卒女子は完全無視して
   東大女子の恵まれた立場や状況は認めたくなさそうな筆致が不可解。

   ただ矢張り下方婚も多い東大男子と異なり
   同類婚ばかりである東大女子の特異性は隠せないでいる。


『子どもの体験 学びと格差 負の連鎖を断ち切るために』(おおたとしまさ,文藝春秋)


 → 良い取材をしても分析になると総花的あるいは一面的になるのが著者の通弊、
   この一冊も結局マインドセットの問題に矮小化させており非常に残念。


『沈む祖国を救うには』(内田樹,マガジンハウス)


 → 語りとしては面白いが中身が相当薄い、将来世代・現役世代にとって深刻な
   少子高齢化問題を軽視して派閥対立と社会分断が深刻な韓国を見習うべきとする等、
   専門外の分野における軽躁な主張は浅慮である上に無責任では。

   我が子の教育に熱心なアジア系は米国でも低出生率なのであり
   農業振興なら米加豪のような大規模機械化か欧州のような高負担しかないのが現実、
   著者を呼んで講演させる自治体には根本的な錯誤があろう。。


『学歴社会は誰のため』(勅使川原真衣,PHP研究所)


 → 読者からの共感ばかりを狙って実効性が乏しく
   教育哲学的な回りくどさと現実からの遊離が目立つ、
   問題解決より自己の言説への需要増大に熱心との印象を受けた。


『沖縄戦 なぜ20万人が犠牲になったのか』(林博史,集英社)


 → 地上戦のみならず戦争マラリアの被害やゲリラ戦における惨状も収録しており
   まさに帯にある通り決定版、ただ現在の沖縄と南西諸島の置かれた地政学・
   安全保障における重大な意味を理解しておらず台湾有事の懸念にも無力である。


『関係人口~都市と地方を同時並行で生きる~』(高橋博之,光文社)


 → 最近、市場で話題になっている雨風太陽の創業者の執筆。
   残念ながら問題の根本的解決には殆どならないが、
   現場で奮闘する人々の思いと最新状況を一冊に纏めた好著。


『イタリア食紀行 南北1200キロの農山漁村と郷土料理』(大石尚子,中央公論新社)


 → 上掲書よりは楽しく発見の多い内容、
   アグリツーリスモは過疎化する日本の地方自治体にとって非常に参考になる。

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春の新刊 -『科学的根拠で子育て』『現代日本の医療問題』『観光"未"立国』『世界の貧困に挑む』等

2025-03-20 | こんな本を読んでいます
休日にはいつもの新刊紹介です。
玉石混淆で良書はよく探さないと見つかりません。
トランプのポピュリズムが大混乱をもたらしている
米国と似た状況が日本の書籍マーケットにも生じているような。

公益性や公正さではなく欲望やドグマに根差した本に未来はありません。
賢明な読者はリテラシーを大切にし是々非々で見てゆく必要があります。


『科学的根拠(エビデンス)で子育て――教育経済学の最前線』(中室牧子,ダイヤモンド社)


 → 女子校出身だと将来の年収が低下し婚姻率も出生率も低下するという衝撃の研究結果、
   男子校では生じない現象なのに(別学だとジェンダー意識が固定的になり易いそうなのでそれが一因かも)。


『自己肯定感は高くないとダメなのか』(榎本博明,筑摩書房)


 → 自己肯定感が高い諸外国の人々は自己愛が強く共感が鈍いとの指摘は鋭い、
   学力から言えば自信のない日本人の方が優秀でありとかく日本に問題あると思い込みがちなバイアスの歪みを批判し
   文化的背景の影響を説いた好著(ただ学術研究では遺伝的要因の影響が指摘されており科学的分析として加えたいところ)。


『観光"未"立国~ニッポンの現状~』(永谷亜矢子,扶桑社)


 → プロモーション側なので典型的なポジショントーク、提言としては玉石混淆。
   今はオーバーツーリズムを抑止して自国安売り観光をやめるためビザ厳格化と
   富裕層ターゲティングこそ必要な政策の筈でポイントがズレている。


『静かな退職という働き方』(海老原嗣生,PHP研究所)


 → 労働市場の新たな動きを捉えているのは美点だが女性就業の本質を外している、
   フルタイマー総合職女性は2割以下の少数派に過ぎず時短や「年収の壁」を甘受する就業抑制派がマジョリティである。

   団塊・バブル世代の逃げ切り既得権という本質を隠蔽して日本型雇用を擁護した
   この著者のかつての持論と同様に焦点をぼやかしている。


『女性政治家が増えたら何が変わるのか』(秋山訓子,集英社)


 → 根本的にドグマ優先であり東大で刷り込まれたフェミニズム言説の影響を疑わせる内容、
   「(女性政治家の増加で)男性も生きやすくなる」は何ら根拠ない宣伝文句に過ぎず
   欧州の極右政党での女性幹部の増加や日本において男性に優る女性の幸福度といった
   不都合な事実からも目を背けている。


『現代日本の医療問題』(木下翔太郎,講談社)


 → 医療側に都合の悪い論点を巧みに避けており誠実な議論とは言えない、
   欧州で開業規制や診療科の学生数制限が行われていることや日本の各都道府県における
   健康度とはほぼ無関係の医療費格差・医師数格差の大きさにも知らん顔である。
   (それに筒井医師の著作を引用するなら地方や過酷な診療科を避け私生活を優先する若手「ゆるふわ」女医批判にも言及すべきだ!)


『世界の貧困に挑む マイクロファイナンスの可能性』(慎泰俊,岩波書店)


 → マイクロファイナンスについて問題点も精緻に分析する本格派の一冊、
   自社の宣伝ともなってはいるが誠実さを評価したい。


『近代日本の対中国感情 なぜ民衆は嫌悪していったか』(金山泰志,中央公論新社)


 → アジア侮蔑が愛国心の表れと見られていた戦前のポピュリズム・メディアの歪み、
   現代のネトウヨ・自称保守と酷似しているのに驚き。


『至高の近代建築―明治・大正・昭和 人と建物の物語―』(小川格,新潮社)


 → 最後にこちら。
   内容は良いとして、カラー写真をもっと増やして
   観光案内にもなる本格版にすべきだったのでは。

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冬の新刊 -『持続不可能な財政』『移民リスク』『続・日本軍兵士』『人生は生い立ちが8割』等

2025-02-23 | こんな本を読んでいます
連休なので新刊紹介です。
良書はちらほら出ていますが余り注目されません。
所謂「良薬は口に苦し」ですね。

対照的に氾濫する教育関連本は大衆迎合、売らんかな主義が多いです。
昔「キャリア・ポルノ」という造語ありましたが似たようなもの。
皆様、くれぐれも甘言に釣られないようご注意下さい。


『持続不可能な財政 再建のための選択肢』(河村小百合,講談社)


 → 後期高齢者の公的医療は5割近くが公費であり
   自身の負担は8%に過ぎないという典型的なモラルハザード、
   しかもその世代に日本全体の過半にも及ぶ数百兆円もの金融資産が集中している!
   (これこそ日本経済衰退の一大要因でもある)


『移民リスク』(三好範英,新潮社)


 → ウィシュマさんは矢張り失踪した留学生で就労目的で難民申請していた、
   難民申請急増の元凶が自民党政権による外国人材の大規模受け入れと
   ビザ緩和である点に言及していないのは大失点だが、
   今の入管の状況をよく取材しており評価できる。


『ピークアウトする中国 「殺到する経済」と「合理的バブル」の限界』(梶谷懐/高口 康太,文藝春秋)


 → 数年前は中国を「幸福な監視国家」と呼んでいたが
    経済の急速な暗転で真逆のタイトルになった、
   単なる「表と裏」と言って済むような問題ではなく
   実態は遥かに深刻と認識すべきだろう。


『続・日本軍兵士―帝国陸海軍の現実』(吉田裕,中央公論新社)


 → 日米兵士には大きな体格差があり配給食糧の違いから
   それも必然であり戦場での栄養失調が問題化していた、
   旧日本軍兵士は本土ですら民家から略奪を行う
   不逞の輩が出ていたという悲しい史実。


『陸軍作戦部長 田中新一 なぜ参謀は対米開戦を叫んだのか?』(川田稔,文藝春秋)


 → 大勢の日本人を死に追いやった責任を取るべきだった一人、
   非常に情動的で地位を追われたがゆえに戦犯に指名されなかったのが皮肉。


『人生は生い立ちが8割 見えない貧困は連鎖する』(ヒオカ,集英社)


 → 再分配と格差是正には仏や北欧のような高負担が不可欠という厳然たる事実を無視、
   かなり重要な遺伝要因も軽視して教育重視の主張に固執するのは全く理解できない。
   (教育社会学や教育経済学を基礎から学んだ方が良いのでは)


『残酷すぎる 幸せとお金の経済学』(佐藤一磨,プレジデント社)


 → 昨年に出ていた一冊だが良書、
   経済成長しても幸福度は改善せず子供の幸福度はむしろ悪化する、
   女性も高齢者も子がいると生活満足度が低下する、妻が高学歴だと世帯収入が低い、
   夫が不幸で妻が幸福でないと結婚生活は持続しない、
   日本では男性がより不幸で女性はより幸福である、
   等々ノーベル経済学賞の研究者の実証分析よりも遥かに衝撃的で遥かに面白い。


『貧困と脳 「働かない」のではなく「働けない」』(鈴木大介,幻冬舎)


 → 力作レポートであり「貧困の罠」はイデオロギーに染まった研究者や論者の言う様に
   制度・政策要因ばかりではない、疾患としても捉える必要がある。
   (だからこそ支援に労力がかかる)


『集中力 やる気 学力がアップする 頭のよい子が育つ家のしかけ』(石田勝紀,日本文芸社)


 → 自分の子だけ競争に勝ち抜いて欲しいという家庭の欲望を
   狙いすました典型的なマーケティング本であり、教育書ではない。


『「好き」を言語化する技術 推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない』(三宅 香帆,ディスカヴァー・トゥエンティワン)


 → こちらも結局はマーケティング本。
   自己ブランディング力と集客能力が異様に高い、
   読者がマーケティングに釣られるのがよく分かる。


『京大思考』(鈴木洋仁,宝島社)


 → 最後にこちらを。
   上の三宅氏と都知事選で有名になった丸山氏がともに京大ということを知りかなり納得した
   (そう言えば資本主義について妙に尖がった主張を繰り返す藤井氏と中野氏、馬渕氏もみな京大だ!)、
   知人も偶々京大なので読みながらつい頷いてしまった。

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年末年始の新刊 -『地方消滅2』『ゾルゲ事件80年目の真実』『教員不足』『金利を考える』等

2025-01-13 | こんな本を読んでいます
連休なので恒例の新刊紹介です。
主に年末の新刊ですがよく見ていると良書は常にあります。

ただ有名人や専門家、識者でも玉石混淆なので
是々非々の姿勢で良書を見分け、ドグマやデマゴーグは排して
冷徹に現実を分析している本、公益に資する知を選別する必要があります。


『地方消滅2 加速する少子化と新たな人口ビジョン』(人口戦略会議,中央公論新社)


 → 前著が結局のところ自治体間の住民の奪い合いに終わった
   という事実に対する反省が信じられないほど稀薄であり、
   高齢層に大きく偏った日本の社会保障制度の歪みが
   少子化と地方衰退に繋がったとの事実認識も余りに弱過ぎる。

   猶、女性共著者だけこの点を明確に指摘しているが、
   男女の所得格差の最大要因が「年収の壁」であることに全く気付いていないので功罪半ば。


『ゾルゲ事件80年目の真実』(名越健郎,文藝春秋)


 → ロシアの本質は戦前から一貫して変わっていない、
   非人間的な手段による工作活動を常用しており
   核兵器もスパイによって西側から機密を盗んで開発した。


『教員不足──誰が子どもを支えるのか』(佐久間亜紀,岩波書店)


 → 教育関連の新刊は批判的に読むべきものが多い。例えばこの教員不足問題は
   人数の突出して多い団塊世代の大量退職による必要採用数の増加こそ問題の本質であり
   人口動態要因を軽視し過ぎ(その証拠に教員志願者数は安定推移しているではないか!)、
   異常に採用試験倍率の高かった2000年代から手を打っておかなかった後手後手の対応こそ元凶、
   昔は殆どいなかったクレーマー保護者の問題も無視して政府に責任転嫁している。


『教育にひそむジェンダー ――学校・家庭・メディアが「らしさ」を強いる』(中野円佳,筑摩書房)


 → 「刷り込まれる」との主張はドグマに等しく、寧ろ執筆者のバイアスの強さの方が顕著に示されており
   東大だけに拘って薬・看護・外語・心理等の女子学生のジェンダーバイアスは無視してLGBTQも無視。
   まるで女性に自由意志も自己決定権もないかのような狭隘なジェンダー観偏重の姿勢こそより問題であろう。
   (例えば女子学生には母親の影響が男子より強いことが研究で実証されているが、母親が元凶と批判するつもりなのか?)


『受験天才列伝ーー日本の受験はどこから来てどこへ行くのか』(じゅそうけん,講談社)


 → 日本の教育議論が公益観点ではなく自己・自家の差別化に終始しがちという典型例、
   これだけ少子化なのに中学受験の加熱ぶりが異常との指摘はかなり重要だ。
   (学費無償化が全く少子化対策にならないことの決定的な証左でもある)。


『カナダ―資源・ハイテク・移民が拓く未来の「準超大国」』(山野内勘二,中央公論新社)


 → あのカナダでも反移民世論が高まっているのに驚き、
   リベラルな社会でも移民の急増は弊害が大きく問題化することが分かる。


『金利を考える』(翁邦雄,筑摩書房)


 → これは良書として既に取り上げた。
   暗愚なアベクロによる無軌道な金融緩和が発端の現下の円安だが
   著者は円安は国民を貧しくし輸出企業への所得移転になると批判。
   優秀な海外人材の獲得でも不利になるという堂々の正論である。


『「日銀」が日本を滅ぼす 世界3大投資家が警告する日本の未来』(ジム・ロジャーズ,SBクリエイティブ)


 → 異次元緩和もアベノミクスも明白な失敗であり日本の競争力は低下した、
   本来重要なのは少子化対策だったと(漸く)指摘したのは評価できる。
   (移民で日本の大規模な労働力不足を補える筈がないという点ではまだ認識が不十分だが)


『世界秩序が変わるとき 新自由主義からのゲームチェンジ』(齋藤ジン,文藝春秋)


 → 投資家界隈は日本の衰退・貧困化など無視して
   自分達が幾ら稼げるかしか考えていないことがよく分かる一冊。
   日本のゼロ成長や実質賃金低迷を見ればジムロジャーズの方が遥かに正しいのは明白。


『「“右翼”雑誌」の舞台裏』(梶原麻衣子,講談社) (星海社新書 320)


 → 「安倍一辺倒」を読者から批判された右翼雑誌、
   因果応報というところだが第二次安倍政権こそ日本経済を低迷させ
   競争力を低下させた元凶であることをまだ理解できていないのが不思議。

   その証拠に1人当たりGDPや生産性の世界順位は下がる一方、
   出生数は戦後最悪となりコロナ禍における経済成長率では台湾に惨敗したではないか!


『カラー新書 入門 日本美術史』(山本陽子,筑摩書房)


 → 最後にこちらを。分かりやすくてカラー写真が多い、
   初心者にお勧めだが美術界での論争や主要論点も紹介して欲しいところ。

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