今週の『週刊エコノミスト』の特集は「円高株安」でした。
やや後追い気味。そろそろポジティブシナリオも出てくるでしょう。
為替の見通しについてはエコノミストのメイン特集よりも
ダイヤモンド誌の田中泰輔氏の分析の方が優れていると思う。
サブ特集の「原発経営の破綻」の方が興味深い。
日本の原子力は本当にどうしようもなく後進的であり、
現場がいくら頑張ってもこれでは如何ともしがたい。
サブ特集「原発経営の破綻」はP78から。
電力自由化が進めば原発は生き残れないという、至極当然の議論です。
大注目としては立命館大学・金森准教授による論考、
「見えない原発コスト 電力会社はさらなる情報開示を」。
除染によって31兆円の特損すら生じる可能性があり、
廃炉コストも情報公開が不充分であると疑いの目を向けている。
50年超の費用を詳細に公開している英国ブリティッシュ・エナジー社と比べ、
我が国の電力会社がいかに不誠実で情報公開を怠っているかよく分かる
素晴らしい記事と言えよう。
尚、P85の猪瀬副知事へのインタビューも興味深い。
樫谷隆夫公認会計士を東電の社外取締役として送り込み、
一歩一歩防壁を取り除いてゆく戦略のようだ。
確かに副知事が「大阪市(の橋下市長)はやりようがあった」とする批判は正しい。
東京都のガス火力新設は電力需給と投資効率を理解していない愚策であるが、
地域独占の打破においては一定の成果を挙げそうだ。期待しよう。
◇ ◇ ◇ ◇
他にはP48の殿村美樹・TMオフィス代表へのインタビューが面白い。
PR分野のかなりのやり手だろうと拝察する。
しかし「青森の人口を増やす」のをPRで実現するのは無理がある。
自治体の注文がそもそも間違っていると思う。
デンマークの社会政策の真似すればすぐに人口が増えるのに、
自治体幹部は矢張り政策リテラシーが低い。
◇ ◇ ◇ ◇
今週の週刊ダイヤモンドの生活保護特集は鋭い。
予想通り今年前半での最高の特集と思う。
河本問題の後、生活保護受給希望者が急増したと言う。
案の定、本当の弱者は救われず、図々しい連中が生活保護にたかってきた。
就労支援の成功例として埼玉のNPO「ワーカーズコープ」が
紹介されているのが唯一の救いだ。
……ただ矢張り当ウェブログの予想通り甚大な手間がかかる模様。
処方箋としては鈴木亘教授が何点か提案されているが今一歩。
北欧のような職業訓練もしくは軽作業の強制、
職業斡旋の拒否を許さない厳しさを取り入れるべきだと考える。
投資家にはP21の田中泰輔氏のコラムが必読。
欧米の金利差と財政プレミアムでドルユーロの変動が説明できるそうです。
本当に流石だ。「為替は投機」と言っている評論家のレベルの低さが分かる。
田中氏によればシステミック・リスクがなければ
ユーロは対ドルで1.2が下限だろうとのこと。
◇ ◇ ◇ ◇
週刊東洋経済は特集「あなたを襲う相続税」。
日本人って本当に自分の財布しか心配していないことが如実に分かる。
P9の八代教授のコラムでも熟読して反省すべきだろう。
「給付は多く、負担は少なくという無責任な仕組み」と批判し、
女性と高齢層の就業率を高めて社会保障負担を軽減すべきで、
年金支給年齢引き上げと社会保険制度改革が必要との堂々の正論である。
山田昌弘教授の連載コラムも相変わらず切れ味鋭い。
P118「国際結婚から見える経済的地位の低下」によれば、
○日本人女性と外国人男性の結婚が増えている
○過疎地に来るアジア人花嫁が減っている
○日本国内の都市部の非正規雇用の女性が過疎地の婚活ターゲットに
○アジアのグローバル都市で結婚生活を送った方が育児と仕事を両立し易い
つまり日本の経済的地位の低下ということだそうだ。
最後の部分はどうせ現地のナニーやハウスキーパーを
格安の値段で雇えるということだろうから耳半端に聞く必要があるが
日本女性の方が日本男性より婚姻での国際競争力が高いのは間違いない。
実際に置きているトレンドであることは確実だろう。
▽ ところで来週の特集は売れそうな予感。
サブ特集で生活保護を取り上げるようだ。
週刊ダイヤモンドより一週間遅れ、出来の優劣はどうだろうか。
メイン特集でないということは鋭い切り込みができていないと自覚した結果か。
目立たないページで旧態依然の弱者擁護を展開するようななまくら記事でないことを祈るが。
やや後追い気味。そろそろポジティブシナリオも出てくるでしょう。
為替の見通しについてはエコノミストのメイン特集よりも
ダイヤモンド誌の田中泰輔氏の分析の方が優れていると思う。
サブ特集の「原発経営の破綻」の方が興味深い。
日本の原子力は本当にどうしようもなく後進的であり、
現場がいくら頑張ってもこれでは如何ともしがたい。
『エコノミスト』2012年 7/3号 | |
サブ特集「原発経営の破綻」はP78から。
電力自由化が進めば原発は生き残れないという、至極当然の議論です。
大注目としては立命館大学・金森准教授による論考、
「見えない原発コスト 電力会社はさらなる情報開示を」。
除染によって31兆円の特損すら生じる可能性があり、
廃炉コストも情報公開が不充分であると疑いの目を向けている。
50年超の費用を詳細に公開している英国ブリティッシュ・エナジー社と比べ、
我が国の電力会社がいかに不誠実で情報公開を怠っているかよく分かる
素晴らしい記事と言えよう。
尚、P85の猪瀬副知事へのインタビューも興味深い。
樫谷隆夫公認会計士を東電の社外取締役として送り込み、
一歩一歩防壁を取り除いてゆく戦略のようだ。
確かに副知事が「大阪市(の橋下市長)はやりようがあった」とする批判は正しい。
東京都のガス火力新設は電力需給と投資効率を理解していない愚策であるが、
地域独占の打破においては一定の成果を挙げそうだ。期待しよう。
◇ ◇ ◇ ◇
他にはP48の殿村美樹・TMオフィス代表へのインタビューが面白い。
PR分野のかなりのやり手だろうと拝察する。
しかし「青森の人口を増やす」のをPRで実現するのは無理がある。
自治体の注文がそもそも間違っていると思う。
デンマークの社会政策の真似すればすぐに人口が増えるのに、
自治体幹部は矢張り政策リテラシーが低い。
◇ ◇ ◇ ◇
今週の週刊ダイヤモンドの生活保護特集は鋭い。
予想通り今年前半での最高の特集と思う。
河本問題の後、生活保護受給希望者が急増したと言う。
案の定、本当の弱者は救われず、図々しい連中が生活保護にたかってきた。
就労支援の成功例として埼玉のNPO「ワーカーズコープ」が
紹介されているのが唯一の救いだ。
……ただ矢張り当ウェブログの予想通り甚大な手間がかかる模様。
処方箋としては鈴木亘教授が何点か提案されているが今一歩。
北欧のような職業訓練もしくは軽作業の強制、
職業斡旋の拒否を許さない厳しさを取り入れるべきだと考える。
『週刊ダイヤモンド』2012年 6/30号 | |
投資家にはP21の田中泰輔氏のコラムが必読。
欧米の金利差と財政プレミアムでドルユーロの変動が説明できるそうです。
本当に流石だ。「為替は投機」と言っている評論家のレベルの低さが分かる。
田中氏によればシステミック・リスクがなければ
ユーロは対ドルで1.2が下限だろうとのこと。
◇ ◇ ◇ ◇
週刊東洋経済は特集「あなたを襲う相続税」。
日本人って本当に自分の財布しか心配していないことが如実に分かる。
P9の八代教授のコラムでも熟読して反省すべきだろう。
「給付は多く、負担は少なくという無責任な仕組み」と批判し、
女性と高齢層の就業率を高めて社会保障負担を軽減すべきで、
年金支給年齢引き上げと社会保険制度改革が必要との堂々の正論である。
『週刊東洋経済』2012年 6/30号 | |
山田昌弘教授の連載コラムも相変わらず切れ味鋭い。
P118「国際結婚から見える経済的地位の低下」によれば、
○日本人女性と外国人男性の結婚が増えている
○過疎地に来るアジア人花嫁が減っている
○日本国内の都市部の非正規雇用の女性が過疎地の婚活ターゲットに
○アジアのグローバル都市で結婚生活を送った方が育児と仕事を両立し易い
つまり日本の経済的地位の低下ということだそうだ。
最後の部分はどうせ現地のナニーやハウスキーパーを
格安の値段で雇えるということだろうから耳半端に聞く必要があるが
日本女性の方が日本男性より婚姻での国際競争力が高いのは間違いない。
実際に置きているトレンドであることは確実だろう。
▽ ところで来週の特集は売れそうな予感。
『週刊東洋経済』2012年 7/7号 | |
サブ特集で生活保護を取り上げるようだ。
週刊ダイヤモンドより一週間遅れ、出来の優劣はどうだろうか。
メイン特集でないということは鋭い切り込みができていないと自覚した結果か。
目立たないページで旧態依然の弱者擁護を展開するようななまくら記事でないことを祈るが。