個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!
今週の『週刊 東洋経済』のメイン特集は「街の格差」でした。
『週刊東洋経済』の定期購読(レビュー投稿で1,000円券プレゼント付)
最新の記事内容紹介は、こちらの方が早いです。
http://www.toyokeizai.co.jp/mag/toyo/
P35から ”あなたの「街」の格差 ”の特集が始まります。
いきなり目に入るのは、驚愕すべき日本の将来です。
・大多数の都道府県で総人口が10%以上減少する
・大多数の都道府県で子供が30%以上減少する
・首都圏ではすさまじい勢いで高齢者が増加する
(東京で65%増、埼玉で125%増の予想)
更には「資産の偏在による老老格差」、「非正規労働者の増加による若者の格差」、
「人口・フロー・ストックが特定都市に集中し地域間格差が拡大」とのこと。
飛躍した喩えですが、日中戦争の頃から日本は全く成長していないですね。
自らの国の真の姿から目を背けて自分自身を欺いていること、
そして自分の属する社会の将来を碌に考えもしないことは、
この日本の歴史的な通弊です。
「公共的な精神が失われた」という論がありますが、
それは歴史的には完全に間違っていて、もともと「同化圧力」で動いてきた国です。
(山本七平 氏『空気の研究』等で幾度も指摘されています)
今週の『東洋経済』に表れている25年後の日本の惨状は、
日本の50代、60代の世代の公共精神がいかに希薄であるかを証明するものです。
さて、『東洋経済』では『ダイヤモンド』の同種の特集と結論が違いますが、
いとすぎは『東洋経済』の多角的な分析の方を評価したいです。
特集内容だけではなく、北陸が評価されているのも『ダイヤモンド』と一致しています。
(相手の手の内が間違いなく分かっているのでしょう)
互いに競って良い記事を書いてもらうのは、読者にとって喜ばしいことです。
… 記事を見ていて気付いた点をふたつ。
出生率が高いことで有名な沖縄では、
10代で出産する女性の比率が全国平均の2倍
だそうです。
何も、キャリアを捨てて子供を産めと言っているのではないのですが、
沖縄の方が生物学的には「正常」です。
沖縄は平均所得が低く失業率が高いことで有名ですから、
「労働環境が良ければ出生率が高くなる」、という論理は疑わしくなります。
10代でも出生率が高いと云う否定しようのない事実は、
原因が男性一般や社会制度のみにあるのではなく、
社会全体の意識や価値観のウエイトの高さを示唆しているのではないでしょうか。
(女性が追求できるキャリアが少ない、という問題もあるかもしれません)
◇ ◇ ◇ ◇
後日再度触れるかもしれませんが、
P148の山田昌弘 教授の寄稿は抜群にすばらしいです。
・「未婚の母」への偏見をなくしても子どもは増えない
・「出会いがない」は口実で「都合の良い相手がいない」が正しい
・キャリア追求で育児が妨げられる女性は決して多くない
2005年段階で30代前半の女性は480万人、4大卒が78万人なので、
「専門職でキャリアを追求する女性は少数派」、
大多数の若年女性はフリーターや派遣など非正規雇用形態であり、
「単純サービス業を続けたいから結婚・出産したくない人はいない」とのこと。
「追求すべきキャリアを持たない」多数派の女性は、
研究者や評論家、政策立案者の周囲にはいないので
少子化対策に「実情が反映されない」のだ、と山田教授は主張されています。
皮肉がたっぷり効いていますが、ぜひお読み下さい。強力にお薦めします。
日本人はこのような「苦い真実」をもの凄く嫌がるのですが、
「良薬は口に苦し」は紛れもない事実です。
例の誘拐事件に関して、産経Web が詳しく報道しています。
3容疑者、謎の接点 … 妻はテレビで夫の逮捕を知る(ZAKZAK)
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_06/t2006062735.html
「 韓国籍の男の横浜市鶴見区にある自宅には多くの報道陣が集まった。
容疑者は屋根の修理業など職を転々としており、最近3、4年は自宅
に戻っていない。この間、妻が新聞配達などで生計を立て、息子2人
娘1人を育ててきた。容疑者の妻は午前5時すぎのニュースで夫の逮
捕を知り、叔母(65)に「どうしよう」と泣きながら電話してきた。」
犯行自体は凶悪かつ計画的であり、情状酌量の余地ゼロですが、
家族の方々にとっては気の毒な話です、本当に。
(子供が辛い目に会わないといいのですが)
一方、岩手県出身の日本人容疑者の方は ……
「 見張り役の日本人の男は平成2年、福島県二本松市の東北道で居眠り
運転で死亡事故を起こし、逮捕されていた。同年4月22日未明、東
北道下り線で大型トラックを別のトラックに追突させた。追突された
トラックは横転し、乗用車に衝突。乗用車に乗っていた幼稚園教諭の
女性(20)はじめ5人が死亡した。」
5名が亡くなるという大事故を起こしても、
このような驚くべき短期間で出所できるのですね。
「更正」のあり方について、
あの大阪府の姉妹殺害事件と同様に考えさせられます。
極端な話、凶悪事件を起こした犯人の移動を完全許可制とし、
常に公安・警察の監視下に置き、
違反があれば即逮捕するというシステムにせざるを得ないかも知れません。
大変な労力とコストがかかりますが、
異様な事件が増えればそれもやむなし、とされるのではないでしょうか。
◇ ◇ ◇ ◇
被害者の形成外科医の方は、マスコミが面白おかしく報道するのとはかなり違い、
相当の努力家ですね。
月に百件も豊胸手術を行うというのは並大抵のことではないでしょう。
患者の方々に信頼されているからこそです。
超セレブ母娘の素顔(ZAKZAK)
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_06/t2006062710.html
女だけの世帯なのに不用意に世間へ自分の富裕ぶりをさらけ出してしまったのは
致命的と言っていいほど不用意なことであり、
本来なら六本木ヒルズのように人目の多い場所に住むべきだったと思います。
(某大企業の会長宅で起こった残忍な強盗事件を他人事と思っていたのでしょうか)
しかし、母娘を危険に晒したマスコミの報道にも責任があるはずです。
◇ ◇ ◇ ◇
同日に呆れた話がふたつ報道されていましたので、載せておきます。
東北大の教授がセクハラを認めず退職勧告を無視し、解雇処分(ZAKZAK)
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_06/t2006062702.html
勤務先を盗みで解雇された介護士、逆恨みで車に落書き(ZAKZAK)
http://www.zakzak.co.jp/top/2006_06/t2006062703.html
「世の中にはこんな人もいるのか」と嫌な意味での勉強になりました。
… 正直、こんな連中と同じ日本人だと思いたくないです。
最近報道を見ていてつくづく思うのですが、
金融の教科書を新たに書き替えるべき時代に入っているのではないでしょうか。
ほとんどすべてのマーケットが同時に同じ方向に向かって動くというのは
まさに前代未聞の事態です。
今週の『週刊エコノミスト』は世界同時株安の特集でした。
『週刊エコノミスト』の内容案内(← 内容の更新が依然として止まっている)
最新号の内容の確認は、こちらの毎日新聞のサイトの方が正確で早いです。
但し、定期購読しても全くディスカウントされません
http://www.mainichi.co.jp/syuppan/economist/
P20は「バブル崩壊の瀬戸際」という恐ろしいタイトルの割には
内容が意外に(?)穏当です。
「 外国人投資家は日本株を売り切ったまま
現金を大量に抱え込み、次の投資機会を探っている」
とのUBS証券の平川昇二チーフストラテジストの分析も悪い話ではないですし、
日本国内は設備投資も経常黒字も増額と予測されています。
P23の株価騰落率を見ると散々な有様ですが、
中国やアメリカの景況がいきなり急失速するような非常事態ならともかく、
現状はかなり楽観的に解釈できるのではないでしょうか。
個人投資家として読むべきところは2箇所あります。
P36は資源関連銘柄の株主は間違いなく必見の記事、
『資源インフレ - 日本を襲う経済リスクの正体』の柴田明夫 氏が寄稿されています。
商品市況の急落は一時的な調整であり、
BRICsがエネルギー・資源多消費型の経済成長路線に入っている以上、
商品市場の需給ファンダメンタルは強い、との見解のようです。
… これは、三菱商事や丸紅の株主にとっては心強いコメントでしょう。
P28の草野豊己 氏のヘッジファンド分析では、
CTA(コモディティー・トレーディング・アドバイザーズ)の投資スタイルが
紹介されています。(必見です)
現物取引を行わず、先物とオプションに特化して
15~30倍という巨大なレバレッジを用いて自在に売買する存在だそうです。
今年3月以降の日経平均の騰落は、見事にCTA勢のポジションと一致しており、
先物に現物市場が左右される事態に至っている、と言うのです。
日経平均・TOPIX先物市場での外国人投資家の売買シェア8割、
ファンダメンタルを無視したシステム運用が大半
と聞くと、今回のような乱高下が生じるのも尤もだと思われます。
ちなみに「システム運用」というのは、トレンドフォローとかブレイクアウト、
ボリューム(売買高)、モメンタムといったテクニカルな自動売買が中心だそうです。
…「一方向に大きく先物主導で動く」ことを理解しておけば、
今後の投資に大きく役立ちそうです。
◇ ◇ ◇ ◇
さて、P48のインタビューはあの立花隆 氏です。
「かつての日本人は戦争に熱狂し、世論を煽っていた」との指摘は
極めて正しいものです。
上杉仲吉、簑田胸喜、平泉澄の3名がみな東大出身だという事実を知り、
私は今更ながら驚きました。
(この3名はアルカイダと原理的に同質で、違いは暴力を直接用いないだけ)
ただ、立花氏は高度成長期を肯定的に見ていますが、
「高校、大学を出ればどこかに就職できる」というのは
世界的に見れば明らかに「異常な時代」ですよ。
「平等原則」を重視した結果が赤字まみれの高速道路だったり、
土建依存自治体だったり、「お手盛り」の公務員給与だったり、
愚劣な「ハコモノ」建築であるのなら、
そんな腐敗した平等原則など粉々に破壊されれば良いのです。
◇ ◇ ◇ ◇
P42の「社会保険庁解体論」も読まなければなりません。
会計検査院の調査によれば、何と!
国民年金保険料の未納率の実態は5割強
だそうです。
P43に社会保険庁の醜態がまとめられている他、
(改めて見ると、まさに「日本社会に寄生する組織」です)
不祥事を起こした職員の「分限免職」が提言されております。
年金の現状をよく調べている方は、やはり結論はスウェーデン方式(※)ですね。
※ 保険料率を完全に固定し、最低保証年金と所得比例年金を組み合わせたもの。
「スウェーデン方式」に興味のある方は、こちらを御覧下さい。
小澤徳太郎『スウェーデンに学ぶ「持続可能な社会」』(朝日新聞社)
これは文句なしにすばらしい。格好いいなあ。
尊敬する人がまたひとり増えました。
ウォーレン・バフェット氏、300億ドル相当をビル・ゲイツ氏の財団に寄付(ロイター)
http://news.goo.ne.jp/news/reuters/kokusai/20060626/JAPAN-218690.html?C=S
世界第2位の富豪、4兆円超をビル・ゲイツ氏の慈善基金に寄付(朝日新聞)
http://news.goo.ne.jp/news/asahi/kokusai/20060626/K2006062602570.html
あのジョージ・ソロス氏の寄付も、もの凄いスケールですが、
こちらも全く負けていません。
日本でもこのような「社会に良い影響を与える」投資家が増えるに違いありません。
そうなって欲しいものです。
ライブドアや村上ファンドの類ばかりではどうしようもありませんから。
日本の「候補者」としてはやはりさわかみ投信の澤上社長、
マネックス証券の松本大 CEOの御両名かと。
女性ではインテグレックスの秋山をね 社長にも注目しております。
◇ ◇ ◇ ◇
それにしても、寄付するのが「自己資産の85%」ですか。
何しろ資産の額が桁違いなので、1%程度でも相当な巨額でしょう。
いとすぎも50歳あたりまでに、1億ほど寄付できるといいなあ。
◇ ◇ ◇ ◇
余談ながら、ロイターでは「バークシャー・ハザウェイ」、
朝日新聞では「バークシャー・ハサウェー」。
「th」の発音は「ザ」と「サ」のどちらが正しいのでしょうか。
昔から気になっていましたので、
もし御存知の方がいらっしゃいましたら御教示下さい。
毎日新聞が面白い調査結果を発表しました。
少子化対策は経済支援より労働環境の整備を(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060625k0000m040023000c.html
まず、優先すべき少子化対策としては「労働環境の整備」との回答が50%で最多、
「経済的支援」を支持したのは43%でした。
女性に限れば「労働環境」が52%、「経済的支援」が38%とのこと。
経済的支援のなかで「効果的な施策」としては、
第1位 教育費の補助 (30%)
第2位 子供の多い世帯への減税 (28%)
第3位 出産や乳幼児医療費の無料化 (17%)
第4位 児童手当の増額 (16%)
「教育費への補助」は高学歴層への偏りが予想され、
格差の是正に逆行するのではないでしょうか。
私は、開業医の方の子供の私立医科大の学費などは補助する必要性を全く感じません。
そもそも「子供の将来のための投資」つまり私的性質の強い教育費のために、
北欧のような重い間接税を負担する覚悟が日本国民にあるのでしょうか?
例によって、
「教育費の補助は欲しいけれど増税は絶対反対」
という意味不明な主張が出てきそうで不安です。
最後に、「少子化の原因」を五つの選択肢で訊ねたところ、
40歳代以上が「子育てより自分の生活を優先する人が増えた」を挙げ、
20歳代に限っては「働きながら子育てし難い」が40%に達し圧倒的多数とのこと。
少子化の原因は「非婚化」であることが現時点でも明確になっていますので、
この20代の回答は自己欺瞞(=自分で自分を欺いている)でしょう。
真の原因としては40代以上の層が洞察している通りですが、
対策には20代の視点を取り入れることが必要だと思われます。
◇ ◇ ◇ ◇
少子化対策で政府の施策と世論の要望に大きなズレ鮮明に(毎日新聞)
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20060625k0000m040116000c.html
改めて教育費の負担を数字で見るとすさまじいものがあります。
大学卒業までで800万~1,600万、学部によってはもっと必要でしょう。
「月額で約4万円」との試算があるようです。
ところで、
「子育てと仕事を両立できる条件が整えば、働いて負担を乗り越える意思が読み取れる」
というのは、本当なのでしょうか。
育児は「最も効率化・合理化の難しい分野」です。
実際には、どちらかに重点を置かざるを得ないはずですが ……
私が言う迄もなく、「こうであればいいなあ」という理想と現実は全く違います。
これも自己欺瞞の一種ではないかと心配です。
※ この件に関しては、後ほどこちらの別ウェブログで何点か補足します。