労組の幹部から驚くべき発言が出ました。
非正規公務員の待遇が正規職員より差別的に低く、
「官製ワーキングプア」とも呼ばれているのはよく知られています。
(特に公立保育所の「職員格差」は最悪)
現在、人事院が公務員の賃金引き下げを求めているところですが、
自治労の徳永委員長はその削減分を非正規職員の賃金に充当するよう
労使交渉で求めてはどうかと提案されたのです。
一般に正規公務員の意識としては、話題になった大阪のように
「既得権しがみつき」「自分の利害が何よりも最優先」
であるとのイメージが世間に定着していますが、
或いはそうした現状も少し変わるかも知れません。
但し、連合の幹部も非正規労働者の待遇改善を唱えながら
実際には殆ど何もしていないに等しい状況です。
(ただ口先で同情するだけで、実効性ある提案がほぼゼロ)
自治労も組合員の利害が絡んでくると猛反発必至です。
結果的にはごく平凡なリップサービス、つまり
「政治的なポーズ」で終わってしまう可能性が高い。
この徳永委員長の提案も、実は根本的な問題を解決できません。
既に城繁幸氏によって指摘されている年功賃金の弊害はそのままです。
世界的に見て恵まれ過ぎている公務員の年功賃金カーブをどうするか、
税収が伸びない低成長期において、どのような公務員制度が望ましいのか。
答えを出せないまま当事者が既得権に必死にしがみついており、
その分は若い世代に負担としてしわ寄せされている。
これが日本の労働者の現状なのです。
究極的には、50代以降の公務員の年功賃金カーブをフラットにし、
非正規職員の待遇改善に投入するとともに、
早期退職制度を設けて民間に人材を供給すべきではないでしょうか。
また、年収800万~1000万円の層(※)の所得税率を数%引き上げて
給付付き税額控除等の雇用改善策に充当することも必要です。
※ 公務員の中では高所得層であり、贅沢しなければまず生活には困らない。
徳永・自治労委員長:「非正規と賃金シェア」 勧告で削減分を転用(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/job/news/20100826k0000e040057000c.html
”自治労(全日本自治団体労組)の徳永秀昭委員長は26日、徳島市で開かれた定期
大会のあいさつで、「正規職員と非正規職員が賃金をシェアすべきだ」と述べた。
一例として、人事院勧告に準じて地方公務員の正規職員の給与が削減された場合、
削減分を非正規職員に配分する方向で労使交渉を進めることを提案。正規と非正規
の格差解消に向け、産別労組のトップが具体的な提案をするのは極めて異例で、労
働界全体に影響を与えそうだ。
徳永委員長は、一部の正社員が賃下げを受け入れて非正規雇用をなくした広島電鉄
の例を挙げ、「正規・非正規の均等待遇を実現するためには、もう一歩進んだ運動
展開が必要な時期に来ている」との考えを示した。
自治労が09年に実施した調査によると、全国の自治体の非正規職員は推定60万
人。特に財政の厳しい地方の町村では、正規を非正規に切り替える傾向が強く、職
員の半数が非正規という状況にある。また、非正規職員の6割が正規職員並みに働
く一方、定期昇給はなく、各種手当も支払われないため、8割が年収200万円以
下の「官製ワーキングプア」とされる。徳永委員長は「非正規職員が搾取されてい
るのが実態」と現状を指摘した。
だが、公務員に対する国民の目は厳しく、非正規職員の処遇改善のための新たな原
資は見込めないのが実情。人事院勧告に準じて全国の自治体が給与や手当を切り下
げた場合、影響額は2340億円になると総務省が試算しており、徳永委員長は格
差解消へ向けた原資として着目している。
地方公務員の労使交渉は自治体ごとに行われる。徳永委員長の発言を受け、各単組
がどのように取り組むかが注目される。【市川明代、井上卓也】”
当ウェブログでも一度紹介しましたが、
広島電鉄の事例は日本の労組にとって革新的な取り組みです。
この発言がどこまで本気なのか、
そして自治労の組合員の本音はどうなのか。
懐疑的ながらも、まずは期待して見守りたいと思います。
非正規公務員の待遇が正規職員より差別的に低く、
「官製ワーキングプア」とも呼ばれているのはよく知られています。
(特に公立保育所の「職員格差」は最悪)
現在、人事院が公務員の賃金引き下げを求めているところですが、
自治労の徳永委員長はその削減分を非正規職員の賃金に充当するよう
労使交渉で求めてはどうかと提案されたのです。
一般に正規公務員の意識としては、話題になった大阪のように
「既得権しがみつき」「自分の利害が何よりも最優先」
であるとのイメージが世間に定着していますが、
或いはそうした現状も少し変わるかも知れません。
但し、連合の幹部も非正規労働者の待遇改善を唱えながら
実際には殆ど何もしていないに等しい状況です。
(ただ口先で同情するだけで、実効性ある提案がほぼゼロ)
自治労も組合員の利害が絡んでくると猛反発必至です。
結果的にはごく平凡なリップサービス、つまり
「政治的なポーズ」で終わってしまう可能性が高い。
『たった1%の賃下げが99%を幸せにする』(城繁幸,東洋経済新報社) |
この徳永委員長の提案も、実は根本的な問題を解決できません。
既に城繁幸氏によって指摘されている年功賃金の弊害はそのままです。
世界的に見て恵まれ過ぎている公務員の年功賃金カーブをどうするか、
税収が伸びない低成長期において、どのような公務員制度が望ましいのか。
答えを出せないまま当事者が既得権に必死にしがみついており、
その分は若い世代に負担としてしわ寄せされている。
これが日本の労働者の現状なのです。
『経済成長って何で必要なんだろう?』(芹沢 一也,荻上 チキ,飯田 泰之,岡田 靖,赤木 智弘,湯浅 誠) |
究極的には、50代以降の公務員の年功賃金カーブをフラットにし、
非正規職員の待遇改善に投入するとともに、
早期退職制度を設けて民間に人材を供給すべきではないでしょうか。
また、年収800万~1000万円の層(※)の所得税率を数%引き上げて
給付付き税額控除等の雇用改善策に充当することも必要です。
※ 公務員の中では高所得層であり、贅沢しなければまず生活には困らない。
徳永・自治労委員長:「非正規と賃金シェア」 勧告で削減分を転用(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/job/news/20100826k0000e040057000c.html
”自治労(全日本自治団体労組)の徳永秀昭委員長は26日、徳島市で開かれた定期
大会のあいさつで、「正規職員と非正規職員が賃金をシェアすべきだ」と述べた。
一例として、人事院勧告に準じて地方公務員の正規職員の給与が削減された場合、
削減分を非正規職員に配分する方向で労使交渉を進めることを提案。正規と非正規
の格差解消に向け、産別労組のトップが具体的な提案をするのは極めて異例で、労
働界全体に影響を与えそうだ。
徳永委員長は、一部の正社員が賃下げを受け入れて非正規雇用をなくした広島電鉄
の例を挙げ、「正規・非正規の均等待遇を実現するためには、もう一歩進んだ運動
展開が必要な時期に来ている」との考えを示した。
自治労が09年に実施した調査によると、全国の自治体の非正規職員は推定60万
人。特に財政の厳しい地方の町村では、正規を非正規に切り替える傾向が強く、職
員の半数が非正規という状況にある。また、非正規職員の6割が正規職員並みに働
く一方、定期昇給はなく、各種手当も支払われないため、8割が年収200万円以
下の「官製ワーキングプア」とされる。徳永委員長は「非正規職員が搾取されてい
るのが実態」と現状を指摘した。
だが、公務員に対する国民の目は厳しく、非正規職員の処遇改善のための新たな原
資は見込めないのが実情。人事院勧告に準じて全国の自治体が給与や手当を切り下
げた場合、影響額は2340億円になると総務省が試算しており、徳永委員長は格
差解消へ向けた原資として着目している。
地方公務員の労使交渉は自治体ごとに行われる。徳永委員長の発言を受け、各単組
がどのように取り組むかが注目される。【市川明代、井上卓也】”
当ウェブログでも一度紹介しましたが、
広島電鉄の事例は日本の労組にとって革新的な取り組みです。
この発言がどこまで本気なのか、
そして自治労の組合員の本音はどうなのか。
懐疑的ながらも、まずは期待して見守りたいと思います。