みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

自治労の徳永秀昭委員長、労働格差の改善を提案 -「正規職員と非正規職員が賃金をシェアすべきだ」

2010-08-31 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
労組の幹部から驚くべき発言が出ました。

非正規公務員の待遇が正規職員より差別的に低く、
「官製ワーキングプア」とも呼ばれているのはよく知られています。
(特に公立保育所の「職員格差」は最悪)

現在、人事院が公務員の賃金引き下げを求めているところですが、
自治労の徳永委員長はその削減分を非正規職員の賃金に充当するよう
労使交渉で求めてはどうかと提案されたのです。

一般に正規公務員の意識としては、話題になった大阪のように
「既得権しがみつき」「自分の利害が何よりも最優先」
であるとのイメージが世間に定着していますが、
或いはそうした現状も少し変わるかも知れません。

但し、連合の幹部も非正規労働者の待遇改善を唱えながら
実際には殆ど何もしていないに等しい状況です。
(ただ口先で同情するだけで、実効性ある提案がほぼゼロ)

自治労も組合員の利害が絡んでくると猛反発必至です。
結果的にはごく平凡なリップサービス、つまり
「政治的なポーズ」で終わってしまう可能性が高い。





『たった1%の賃下げが99%を幸せにする』(城繁幸,東洋経済新報社)

この徳永委員長の提案も、実は根本的な問題を解決できません。
既に城繁幸氏によって指摘されている年功賃金の弊害はそのままです。

世界的に見て恵まれ過ぎている公務員の年功賃金カーブをどうするか、
税収が伸びない低成長期において、どのような公務員制度が望ましいのか。

答えを出せないまま当事者が既得権に必死にしがみついており、
その分は若い世代に負担としてしわ寄せされている

これが日本の労働者の現状なのです。





『経済成長って何で必要なんだろう?』(芹沢 一也,荻上 チキ,飯田 泰之,岡田 靖,赤木 智弘,湯浅 誠)


究極的には、50代以降の公務員の年功賃金カーブをフラットにし、
非正規職員の待遇改善に投入するとともに、
早期退職制度を設けて民間に人材を供給すべきではないでしょうか。

また、年収800万~1000万円の層(※)の所得税率を数%引き上げて
給付付き税額控除等の雇用改善策に充当することも必要です。

※ 公務員の中では高所得層であり、贅沢しなければまず生活には困らない。


徳永・自治労委員長:「非正規と賃金シェア」 勧告で削減分を転用(毎日新聞)
http://mainichi.jp/life/job/news/20100826k0000e040057000c.html

”自治労(全日本自治団体労組)の徳永秀昭委員長は26日、徳島市で開かれた定期
 大会のあいさつで、「正規職員と非正規職員が賃金をシェアすべきだ」と述べた。
 一例として、人事院勧告に準じて地方公務員の正規職員の給与が削減された場合、
 削減分を非正規職員に配分する方向で労使交渉を進めることを提案。正規と非正規
 の格差解消に向け、産別労組のトップが具体的な提案をするのは極めて異例で、労
 働界全体に影響を与えそうだ。
 徳永委員長は、一部の正社員が賃下げを受け入れて非正規雇用をなくした広島電鉄
 の例を挙げ、「正規・非正規の均等待遇を実現するためには、もう一歩進んだ運動
 展開が必要な時期に来ている」との考えを示した。
 自治労が09年に実施した調査によると、全国の自治体の非正規職員は推定60万
 人。特に財政の厳しい地方の町村では、正規を非正規に切り替える傾向が強く、職
 員の半数が非正規という状況にある
。また、非正規職員の6割が正規職員並みに働
 く一方、定期昇給はなく、各種手当も支払われないため、8割が年収200万円以
 下の「官製ワーキングプア」とされる。徳永委員長は「非正規職員が搾取されてい
 るのが実態」
と現状を指摘した。
 だが、公務員に対する国民の目は厳しく、非正規職員の処遇改善のための新たな原
 資は見込めないのが実情。人事院勧告に準じて全国の自治体が給与や手当を切り下
 げた場合、影響額は2340億円になると総務省が試算しており、徳永委員長は格
 差解消へ向けた原資として着目している。
 地方公務員の労使交渉は自治体ごとに行われる。徳永委員長の発言を受け、各単組
 がどのように取り組むかが注目される。【市川明代、井上卓也】”

当ウェブログでも一度紹介しましたが、
広島電鉄の事例は日本の労組にとって革新的な取り組みです。

この発言がどこまで本気なのか、
そして自治労の組合員の本音はどうなのか。
懐疑的ながらも、まずは期待して見守りたいと思います。
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『週刊エコノミスト』9月7日号 - 日本総研・藤井英彦氏の警告「日本から毎年10万人が海外へ流出」

2010-08-30 | 『週刊エコノミスト』より
今週の『週刊エコノミスト』の特集は「インド攻略」でした。

中国経済は2015年頃には成長鈍化を迎えることが予想され、
2010年代後半はインドとベトナムの時代でしょう。
そうした意味で時宜を得た特集です。

ただ産業別・分野別に分類すると更に良くなるでしょう。
次に期待しています。
特にエネルギー分野は日本と状況が似ており両国関係の深化は必至です。

『週刊エコノミスト』の内容案内

最新号の内容の確認は、こちらの毎日新聞のサイトの方が正確で早いです。
(定期購読は方式によりディスカウント率が複雑なので御注意下さい)
http://www.mainichi.co.jp/publish/magazine.html

P29の「中間層台頭と小売革命」が注目記事です。
直観ですが中国市場よりも浸透しやすいとの印象を受けます。

(但し特集にあるように電機では韓国勢が手強いので要注意!)

インド初心者にはP31の「インドを読み解くQ&A」が良いでしょう。

    ◇     ◇     ◇     ◇

最も衝撃的だったのは、P42の日本総研・藤井英彦調査部長の寄稿です。
「日本でも始まった? 人口減少のマイナススパイラル」
と題して、日本の人口減が自然減ではなく社会減、
つまり日本人が海外に流出していることを明らかにされています。

藤井氏によれば自然減は6万人ほどですが社会減は12万人!
2009年だけでも7.7万の日本人が海外に出ているそうです。

更に、中印越やインドネシアといった高成長の新興各国の
近くに位置している日本から人口流出が加速するのではないかとの
懸念も示されており、全く同感です。

本当に、当ウェブログで前々から主張しているように
日本は高度人材の移民政策を一刻も早く推進しなければなりません。
この寄稿を読んで確信しました。

    ◇     ◇     ◇     ◇

P108のシリーズ「不都合な高齢化社会」は堂々の正論でした。

鈴木準・主任研究員が日本の年金問題を分析して、
制度改革が遅れている現状を批判した勇敢な論考です。

一時期話題になったOECDの年金代替率の件は、
(日本の年金給付水準が欧州各国より低いとされた)
単身男性の数値なので日本と比較するのは間違っているそうです。
矢張りそういうトリックがあったのですね。

「もし、引退層が多少の給付抑制に反対し、際限のない
 負担増に賛成するような状況が続けば、年金システム
 自体が維持できなくなるだろう」

とする問題意識は至当です。

ただ、改善策としては世代間対立を深刻化させないため
「世代内扶養」の観点が絶対に必要になると思いますが。

    ◇     ◇     ◇     ◇

今週の『週刊ダイヤモンド』の「Data focus」は小林慶一郎氏の執筆、
すっかり有名になったロゴフの「政府債務累増で経済成長が鈍化」説を
解説されています。





『週刊ダイヤモンド』2010年 9/4号


まだ仮説のようですが、ここ十年の日本経済の状況を考えると
真剣に捉えざるを得ない問題です。
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「市場は米指標悪化を織り込んだ」との観測 - 日銀の金融緩和策ももはや既定路線

2010-08-29 | 注目投資対象・株価の推移
           ↑ USD/JPY(infoseek)漸く買い戻しが来たが。。

週末に理由不明の反発がありましたが、
これは単なる買い戻しに過ぎません。
大底を打った形ではなく、情勢はまだまだ不透明です。

依然として野村のノードビッグ氏の予言(ドルが今後数週間上昇する)
は生きていますが、それがいつまでかは分かりません。

円売りバイアスの強い日本の個人投資家は
ひとまず助かった形ですが、勿論のこと油断は禁物。
今は判断の難しい局面にあります。


↓ EUR/JPY(infoseek)大きく下げたため、上昇余地あり


直近の豪ドルの推移
http://money.www.infoseek.co.jp/MnForex/fxchart/?fx=F1004

 ↑ 火曜日より急落、一時は75円を割込みましたが持続せず。
   木曜によく粘って反転開始。
   週末にドル反発・株式大幅高とともに76円前半まで大きく戻しました。


思った程の指標悪化が見られず、株価が反騰している上に
腰の重い日銀がどうやら本気で動き出したので
ショート勢はひとまず益出しして撤退といったところでしょう


ドルが対円・スイスフランで上昇、FRB議長発言受け(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201008280012.html

”27日のニューヨーク外国為替市場では、ドルが円とスイスフランに対して上昇した。
 ドルの上昇は、バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長がこの日の講演で、予想
 よりも減速した米経済成長を促進するためにFRBは手段を講じる用意ができている
 と発言したことを受けたもの。
 同議長は具体的な方法や時期については言及しなかった。このため、アナリストから
 は、同議長はFRBが追加緩和策を導入するとの強いコミットメントを示さなかった
 ためドルは当面底堅く推移するとの見方が出ている。
 GFTフォレックスの外為調査部門のディレクター、ボリス・シュロスバーグ氏は
 「結局、バーナンキ議長の発言内容は予想の範囲を超えなかった。自身の見方を変え
 ることもなかったし、追加緩和策の実施を確約することもなかった」
と指摘。このた
 め「主要通貨の取引パターンは、同議長の発言前から変わらないとみている」と述べ
 た。   
 終盤の取引で、ドルは対円で1.1%高の85.35円。一時は85.49円まで上昇
 した。ユーロは対ドルで0.1%高の1.2733ドル。
 ドルは対スイスフランで一時1.0300フランまで上昇。その後は0.6%高の1.
 0295フランで推移した。
 この日発表された米国の第2・四半期の実質国内総生産(GDP)改定値(季節調整
 済み)は年率換算で前期比1.6%増と、速報値の2.4%増から下方修正された。
 ただ予想は上回ったことで、ドルは朝方から上昇していた。 
 また、トレーダーによると、日本の菅直人首相が記者会見を開くと報じられ、ドル/
 円のショートポジションに対する利食い売りが発生した。

 菅首相は為替について、必要な時には断固たる措置をとると述べ、米国に出張中の白
 川方明日銀総裁が帰国次第、会談する予定であることを明らかにした。白川総裁は米
 ワイオミング州ジャクソンホールでのFRB関連の会合に出席しており、30日に帰
 国する。
 ナブキャピタルの外為ストラテジスト、ギャビン・フレンド氏は「例えば1日の取引
 でドルが円に対し3円下落するなど、無秩序な動きが見られない限り、現在の為替水
 準では、市場介入があるとは考えていない」と述べた。 
 またこの日は、日銀が週明けにも臨時の金融政策決定会合を開催する方向で検討に入
 ったとの関係筋の話が伝わったが、為替相場への影響は軽微だった。
 日本の通貨当局による円売り介入や、日銀による追加緩和策の導入などのリスクが予
 想されているものの、市場関係者の間では、円は1995年4月につけた過去最高値
 の79.75円を試す可能性があるとの見方が出ている
。”

 → バーナンキ発言はそう目新しいものではありませんでした。
   それにも関わらず市場が過敏な反応を見せたということは、
   多分に心理的要因によるものでしょう。

   売り崩せないので買い戻さざるを得なかったということです。
   従ってまだ一時的な現象に過ぎません。
   最後の一言をよくよく見ておきましょう。


東京外為市場・15時=ドル84円前半、政府は介入排除せずとのメッセージ伝える(reuters)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201008250068.html

”午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場の午後5時時点から小幅高の84円前半。
 菅首相、仙谷官房長官、野田財務相は昼に3者会談を開いたが、新鮮なメッセージは
 出てこなかった。
 午後に入って複数の政府筋が円売り介入を排除していないとしたことが伝わり、ドル
 は一時的に小反発したが、アジア株安のなかドル/円、クロス円とも上値が重い展開
 となった。
 海外市場での円全面高の流れを受け、アジア時間早朝の取引ではドルが一時83.9
 1円、ユーロ/円は一時105.90円まで下落した。ドルは前日の海外市場で83.
 58円と15年2カ月ぶり、ユーロは105.44円と9年ぶりの安値を付けた。  
 「日経平均が9000円を割り込み、グローバルな株価低迷が進む中、円高が長期化
 する可能性がある。9000円以下が定着すれば、ドル/円も85円以下の水準が定
 着してしまうかもしれない」と東海東京証券金融市場部トレーディンググループマネ
 ージャーの二瓶洋氏は言う。
 円高に圧迫される日経平均以外にも上海総合指数や韓国の総合株価指数などアジア株
 に軟調な動きがみられ、ユーロ/円等のクロス円の戻りは鈍いものとなった。市場で
 は「世界の株安連鎖が続くようだとクロス円が再び売られかねず、ドル/円への圧迫
 が懸念される」(邦銀)との声が聞かれる。 
   <介入への思惑>
 この日は政府高官からのコメントが相次いだ。
 野田佳彦財務相は25日昼、菅直人首相、仙谷由人官房長官との会談で、首相からマ
 ーケット動向を注意深く見守って欲しいとの指示があったことを明らかにした。これ
 に対し、野田佳彦財務相は「必要なときに適切な対応をとる」と話した。
 また介入についてはコメントできないとし、「適切な対応をとるということだ」と繰
 り返した。会談では「現在の経済・景気動向について意見交換を行った」という。
 ドルは3者会談前の84.45円付近から、会談の結果を受けて、一時84.25円付
 近まで軟化した。
 「コメントは新鮮味に乏しく、かえって政府の考えが一本化されていないという印象
 を市場に与えている」と二瓶氏は指摘する。
 〔中略〕 
 午後に入って、複数の政府筋がロイターに対して、為替市場での円売り介入について
 排除していない、と語った。
 野田財務相は84円前半に円高が進行した24日夕には、「G7声明の趣旨を踏まえ
 て適切に対応する」と述べ、さらに一時83円台に突入した市場動向を踏まえ、25
 日朝、「必要なときには適切な対応をとる」とし、為替介入の可能性を示唆している。
 ある政府筋は、こうした大臣発言について、介入は排除しないとのメッセージを発し
 続けていると説明。また、別の政府筋は、今回の円高局面における日本単独の為替介
 入の可能性についても「もともと選択肢として排除しているものではない」と語った。
 〔中略〕
 市場では、日銀の追加緩和に対する期待が再び広がっているが、予想されている新型
 オペ規模の10兆円拡大や期間の6カ月への延長などはすでにかなり織り込んでいる
 ため、ドル/円の押し上げ効果は限定的との声が多い

 この日は、84.50円付近でドルを売る輸出企業が見られ、ドル売りのターゲット
 は85円に集中しているという。「ただ、85円までの50銭が近くて遠いものにな
 っている」(証券会社)との指摘もある。”

 → これは円高への悲観に覆われた25日の報道。
   日本政府当局が散々に批判された日です。
   ただ結果論ですが遅まきながら口先介入に成功したとも言えます。

   為替介入も、現実的に不可能なのではありません。
   市場は時に危ういバランスの上に成り立っています。
   実施する前に「効果がない」とするのはとんでもない誤りです。


東京外為市場・15時=ドル84円後半、クロス円主導で買い戻し(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/news/reuters/RTR201008260078.html

”午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場の午後5時時点から小幅高の84円後半で
 推移している。クロス円主導で緩やかに買い戻された。ただ85円台では売りが厚い
 とみられ、この手前で伸び悩んだ。リスク回避トレンドが続くなかで市場の下値不安
 は根強く、ドル/円の戻りには限度があるとの声が多い。
 ショートカバーやファンドの手仕舞いとみられる買いでクロス円が上昇。これによる
 円売りがドル/円に波及し、ドル/円は朝方84.89円まで買われて24日に83.
 58円まで売られた後の戻り高値をつけた。
 しかし、その後のドルは伸び悩んだ。「84.00円付近に強力な買いが入っている
 ようだ」(セントラル短資FX執行役員、武田明久氏)との見方からしっかりの値動
 きではあったが、「85─86円にかけては輸出企業の売り注文が並んでいる」(武
 田氏)ことから85円の上値も攻めきれず、84円後半でもみあった。
 きょうのところはドル/円下落が一服したものの、米指標の悪化が続き、欧州ソブリ
 ンリスク再燃も懸念されるなかで、ドル/円に下げ止まり感はない。このため「上値
 には輸出企業の売りが多いほか、(短期筋も)ストップロスを置くより戻り売りのス
 タンス。介入など強力な買い手掛かりがなければ85円台を買い上がる地合いではな
 い」(大手銀行)との声が上がっている。
 〔中略〕
 前日の米国市場では、7月米新築住宅販売が予想を下回ったにもかかわらず、米国株
 ・米長期金利とも上昇したことが関心を集め、米指標悪化の織り込みが進んだ可能性
 を指摘する声も出ていた
。しかし「ファンドのポジション手仕舞いによる一時的な需
 給のあやの可能性もあり、米金利低下や株価下落が一巡したかどうかはまだわからな
 い」(大手銀行)との声も聞かれる。米新築住宅販売は統計開始以来の低水準となっ
 たが「より市場規模の大きい中古住宅販売の下振れを通過したあとだったため市場の
 反応が小さかった可能性がある。きょうの米失業保険申請件数が下振れたほうが、市
 場への影響は大きそうだ」(大手銀行)との声が出ている。米週間失業保険申請件数
 のロイター予想は49万件で、前週発表された9カ月ぶり高水準となる50万件から
 はやや減少する見通し。 
   <白川総裁は米国出張で新型オペ拡充の次の手を模索との声> 
 白川日銀総裁がジャクソンホールでのカンザス地区連銀のシンポジウムに出席するが、
 株安・円高が進展する厳しい市場環境のなかであえて日本を留守にする目的は「欧米
 景気がどのくらい悪いのか、各国中銀と本音ベースの話をするためだろう。(輸出型
 の)日本経済は欧米景気に依存しており、今後、ますます厳しくなる見通しだ
」(伊
 藤忠商事、中島氏)との声が出ている。
 これまでくすぶり続けた追加緩和期待のなかで、可能性が高いとみられている新型オ
 ペの拡充はかなりの程度織り込み済みとなっており「インパクトは限定的」(別の大
 手銀行)との見方がコンセンサスだ。すでに政策催促相場が始まっており「新型オペ
 の次は国債買い入れ増額やリスク資産の買い入れ」(国内銀行)と、市場は日銀の次
 の次の一手まで視野に入れている。

 伊藤忠商事の中島氏は「白川総裁は、秋以降のより踏み込んだ金融政策の構築のため
 ジャクソンホールに情報収集に行くのではないか。海外経済の悪化に円高が加わる日
 本経済の先行きをにらみ、日銀のバランスシート拡大などが視野に入ってくる
」とし
 ている。”

 → これは円高が止まり反転を始めた26日の午後。

   日銀の金融緩和策はほぼ市場に読まれています。
   従って、時間差で意表をつくか欧米の指標改善を待つか。
   いずれにしてもナローパスです。

   しかし、海外の情勢にただ流されるだけでなく、
   本来ならば自律的な意思決定を市場やメディアに促される前に
   先んじて策定し実行するのが中央銀行の役割ではないでしょうか。

    ◇     ◇     ◇     ◇

注目銘柄。

 丸紅(東証一部 8002) 404 → 437 / 453 → 587 / 450 → 587
             542 / 494

 三菱商事(東証一部 8058) 1,700 → 1,890 / 1,914 → 2,442
               2,287 → 2,442 / 2,129
               2,046

 マツダ(東証一部 7261)  232
               201 → 238

 ユナイテッドアローズ(東証一部 7606) 1,044 → 1,215

 SUMCO(東証一部 3436) 1,743 → 2,014
               1,590 → 1,793

 住友金属鉱山(東証一部 5713) 1,492

 昭和シェル石油(東証一部 5002) 987 → 1059 / 966
                  716 → 723 / 688

やれやれ、どうにか踏ん張りました。


NY原油、大幅続伸(時事通信)
http://news.goo.ne.jp/article/jiji/business/jiji-100828X183.html

”【ニューヨーク時事】週末27日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油
 先物相場は、米株価の急伸につれ高となり、大幅続伸した。米国産標準油種WTI
 の中心限月10月物は前日終値比1.81ドル(2.5%)高の1バレル=75.1
 7ドルで終了した。”

 → 原油先物が金曜だけで大きな反発を見せました。
   この傾向が続けば問題ないのですが、どうでしょう。
   (原油先物には先行指標としての性質は乏しい)






『日経会社情報』2010年夏号


    ◇      ◇     ◇     ◇

  【 いとすぎの為替ポジション 】

上値が異様に重かった火曜からショートヘッジしましたが、
金曜の急反発を受けて既にそのショートは解消済み。

 2010/05/03 87.43 AUD/JPY Lev ×3.0
 2010/03/31 85.75 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)

    現在 > 76.63 豪ドル/円(損益135%)← 今年の損益率

 ◎ 2008年秋~09年末の損益率(手数料等除外)> 353%

  ▼ ポジション解消済み
 2010/07/15 76.20 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2010/06/29 77.09 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2010/06/17 78.07 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2010/06/04 78.18 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2009/07/22 76.77 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2010/04/21 86.74 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2010/04/23 86.88 AUD/JPY Lev ×3.0
 2010/04/13 86.28 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2010/04/01 86.40 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2009/10/29 83.08 AUD/JPY Lev ×1.5
 2009/10/29 82.75 AUD/JPY Lev ×1.5
 2010/03/04 80.12 AUD/JPY Lev ×1.5
 2010/02/16 81.15 AUD/JPY Lev ×1.5
 2009/11/04 81.01 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2010/01/29 80.01 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2009/12/11 81.38 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2010/01/06 84.86 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2009/12/03 81.69 AUD/JPY Lev ×1.5
 2009/12/28 80.92 AUD/JPY Lev ×1.5

 …以下省略…


「資源国通貨は底打ちしました。
 豪中銀は政策金利を引き上げ始めており、
 豪ドルは緩やかな上昇トレンドに入っています」

中長期的な見通しは変更ありません。

「82円から72円のレンジ圏を想定」

短期的な見通しは変わりません。

「豪ドルの80~82円への到達は時間を要する」

米ドルの急反発、急反落に注意。
豪ドルは79円台突破まで時間がかかりそう。

勿論、急反落に備えレバレッジは抑制すること。
指標次第でまた戻り売りの可能性があります。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
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韓国企業の環境投資が急増、今後3年間で1.6兆円 - 競争激化で懸念される日本の地位低下

2010-08-27 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
「環境技術の日本」と今まで言われてきましたが、
どうやらその時代は過ぎつつあるようです。

自らの優位に思い上がって油断しているとこうなる。

日本企業は革新的な技術でリードしながらも
市場拡大と製品普及で劣り、薄い収益を強いられるという
苦しい状況になりつつあります。

太陽電池の分野で起きたことが、
リチウムイオン電池や風力発電機など
他の分野でも繰り返される可能性が充分にあります。





『危機の経営 ~ サムスンを世界一企業に変えた3つのイノベーション』(吉川良三,畑村洋太郎)


特に韓国企業の判断の早さと設備投資判断、
中国企業の低コスト経営とスピードは脅威だ。

日本政府が中韓の産業政策に学ぶだけでなく、
日本企業も彼らを研究する時代が来たのだ。


韓国企業、環境投資を5割増 風力発電や車・LED(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/category/article/g%3D96958A9C9381959FE2E7E2E0E58DE0E3E2EAE0E2E3E29C9C97E2E2E2%3Bat%3DDGXZZO0195165008122009000000

”【ソウル=島谷英明】韓国の主要企業は2011年からの3年間で自然エネルギーなど
 の環境産業分野に計22兆4000億ウォン(約1兆6000億円)を投資する計画だ。今
 年まで3年間の投資額より5割増やす。積極投資によって市場の急拡大が見込める
 環境産業を成長の原動力に育成する狙いで、日本や欧州などの企業との競争が熱を
 帯びそうだ。
 韓国政府機関の「グリーン成長委員会」が韓国の主要な30企業グループの投資額を
 集計した。分野別では太陽光エネルギーや風力発電など自然エネルギーに8兆9000
 億ウォン、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などのエコカーに5兆30
 00億ウォン、発光ダイオード(LED)や燃料電池などの次世代電力装置に4兆30
 00億ウォンを投じる。特にエコカーへの投資額は過去3年間に比べ2倍強に増える。
 同委員会は企業グループごとの投資額は明らかにしていない。ただサムスングルー
 プは20年までに、リチウムイオン電池やLEDなど環境を軸とする成長5分野の設
 備投資や研究開発に23兆3000億ウォンを投じる計画を明らかにしている。現代自動
 車やLG、ポスコなどのグループも新たな成長エンジンとして環境分野の強化を急
 いでいる。
 一方、政府は民間企業の投資効果を高めるための支援策を拡充する方針だ。環境分
 野の研究開発(R&D)後押しを狙い、税制優遇措置などに関する予算措置を 13年
 までに3兆5000億ウォンと08年比2.5倍に増額する。新しい技術を使った環境対応
 製品の政府調達も増やし、市場の創出を手助けする。
 環境産業の育成を巡っては、中国政府が新エネルギーの産業振興に大規模投資を検
 討するなど世界的な規模での競争激化は必至。韓国政府は民間企業の要望が強い海
 外市場の開拓や専門家の育成に関する支援にも積極的に取り組む構えだ。


 → 日本政府の鈍い動き、
   日本の「抵抗勢力」(日本経団連など)の政治運動と比較すると
   いかに日本が遅れているかよく分かります。


蓄電池など環境製品貿易 5年で倍増、15.5兆円に(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C93819696E0E6E2EBE08DE0E6E2EAE0E2E3E28698E0E2E2E2

”太陽光パネル、蓄電池など世界の環境製品貿易が5年でほぼ倍増していることが分
 かった。日本貿易振興機構(ジェトロ)が24日まとめた「2010年版世界貿易投資報
 告」で公表、09年は1825億ドル(15兆5000億円)に達した。ただ、中国が国別で
 ドイツに次ぐ2位になる一方、日本は米国に次ぐ4位に落ちるなど日本の伸び悩み
 が鮮明になった。

 ジェトロは国際通貨基金(IMF)や各国の通関統計をともに、毎年世界の貿易動
 向を分析している。今回は初めて環境関連製品の動向を調査した。世界貿易機関
 (WTO)で関税の削減・撤廃交渉が協議されている「環境物品」43品目を対象に
 した。
 09年の世界全体の貿易は金融危機の影響で12兆2950億ドル(1045兆円、名目輸出)
 と前年比23%減ったが「環境物品」は16%の減少にとどまった。04年に比べると08
 年で2倍強、09年でも75%多い。
 地球温暖化防止の動きが高まるなか、太陽光パネルや鉛蓄電池、蒸気タービンなど
 再生可能エネルギー関連のほか、廃棄物処理ボイラー、上下水管理用品など各国が
 輸出を増やしている。
 特に増やしているのが中国。サンテックパワーや英利集団など太陽光発電メーカー
 の輸出拡大などにより5年で5倍に増え、1位のドイツに肉薄。日本は現地生産が
 進んだ影響もあるが、04年と同水準と伸び悩んでいる。
 日本は新興国市場の開拓でも出遅れている。日本製品が海外市場でどれだけ浸透し
 ているか、各国を所得水準別にわけて輸入全体に占めるシェアを見てみると、新興
 国(低所得国)における09年の日本の輸入シェアは4.7%。80年代後半の10%程度
 から半減した。

 一方、80年代に1%台だった韓国は09年に日本と同じ4.7%に拡大。80年代に3%
 台だった中国は16.7%と3.5倍に増えた。海外への直接投資残高も、日本は全体の
 7割弱が先進国向けなのに対し、韓国は新興国向けが5割強、中国(香港除く)は
 8割弱だ。
 調査を担当したジェトロ海外調査部の東野大・国際経済研究課長は「環境関連のイ
 ンフラ輸出を増やすなど新興国向けビジネスを拡大するには、徹底的な現地化や現
 地企業との提携がカギとなる」と指摘している。”

なぜこのような事実を直視しないのか理解できません。
産業における環境部門の伸長は明らかです。
このままでは日本の地位低下は進む一方でしょう。
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伊藤隆敏・東大教授の警告 -「日本も欧米と同じペースで金融緩和をしなければ、さらなる円高は必至」

2010-08-26 | 株式・為替マーケット全般

            直近のドル円の推移(infoseek)頭を抑えられている

15年ぶりの円高が進んでいます。

スズキの鈴木会長は「政争より「日本沈没」回避を」と
痛烈な政府批判を始めました。(全くその通りです)

様々な解説がなされていますが、
評論家のいい加減な放言も多いので、
東大の伊藤教授の指摘を紹介します。

端的に言えば、これは短期的には金融政策の問題です。
かつて日本経済を世界最速で立ち直らせた高橋是清のように、
「金融緩和、通貨安への誘導」を実施しないから、ということです。

/br>


『大恐慌を駆け抜けた男 高橋是清』(松元崇,中央公論新社)<



円高は止められるか?=東京大公共政策大学院副院長・伊藤隆敏(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/biz/kansoku/news/20100826ddm008070128000c.html

”今月の中旬以降、円高と日本株安が進行している。特に日銀が8月10日の金融政
 策決定会合で金融政策の現状維持を決めたのに対し、米連邦公開市場委員会が同日
 (日本時間11日未明)、金融緩和を打ち出したことが、日米長期金利差の縮小と
 円高につながった。
それが日本の株価押し下げに働いたようだ。
 円高による景気悪化を懸念して、政府は追加経済対策を検討、政府・日銀の協調を
 呼びかけている。菅直人首相と白川方明日銀総裁が23日に電話協議を行ったが、
 面談でなかったことで市場は失望し、電話協議の発表後に円高が進み、株価はさら
 に下落した。
 1ドル=83~85円はどれほどの円高か? 昨年12月17日の本欄で、日米の
 インフレ調整後の実質為替レートでみると、85円は極端な円高水準とはいえない
 と書いた。為替介入が大きな効果を持つのは、為替レートが何らかの投機的な動き
 で極端な円安や円高になっている場合である。実質レートで見る限り、たとえ日本
 が単独で為替介入をしても、円安への反転につながるような極端な状況ではない。
 購買力平価によれば、日本のデフレが継続する限り、名目レートは円高になる。
 では、介入以外の円高是正の方法はあるだろうか。金融緩和が正攻法だ。ただし、
 日本は政策金利がゼロに限りなく近いため、金融緩和の手段が非伝統的なものにな
 らざるを得ない。
量的緩和(中長期国債を買って中長期金利を引き下げる)や、期
 待に働きかける政策(デフレ脱却まではゼロ金利を継続と約束)などが候補である。
 欧米の景気が停滞し、さらなる金融緩和が見込まれるなか、日本も欧米と少なくと
 も同じペースで金融緩和をしなければ、さらなる円高は必至だ。


尚、当ウェブログに記録していますが、
アメリカのFRBだけでなく欧州のECBも緩和策を取っています。
為替介入も非伝統的な金融緩和策も行っていない日本は、
事実上の円高容認政策を自ら選択しているのです。

 ↓ 参考まで、当ウェブログのエントリー

野村證券のジェンズ・ノードビッグ氏「ドルが今後数週間上昇する可能性」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/2f0c732bf30194ed035f64cc7967cd03

”米連邦公開市場委員会(FOMC)では景気認識を下方修正し、MBSの償還分を米
 国債に再投資することを決めたが「これ自体は想定の範囲内」(国内金融機関)。し
 かし、円高/ドル安懸念がおさまらないのは「金融政策に打ち止め感がない。景気の
 一段の悪化があれば、さらなる景気テコ入れ策を打つ可能性がある。ドル安トレンド
 に歯止めはかかっていない」(国内金融機関)ためだ。
 今回の決定はFRBのバランスシートの規模維持だったが、市場では、今後は追加的
 な証券の買い入れによってバランスシートの拡大に踏み込む可能性を指摘する声も出
 ている。
 「米景気の異例な不透明な状況が払しょくされるまでには時間を要する。この間、中
 国景気が減速傾向となれば、リスクは円高方向になるだろう」日興コーディアル証券
 ・国際市場分析部・為替ストラテジスト松本圭史氏は指摘し、昨年11月の安値84.
 82円を割り込む可能性があると述べた。



機関投資家が円売りドル買いに転じた?! - 短期筋の円買いを押し戻す
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/21a4c7598f38ecd654ecdef8d0fbc0ff

”欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーのウェーバー独連銀総裁は、ECBは銀行
 への無制限の流動性供給を来年に入っても続けるべきと発言。
これを受けてユーロ
 圏の景気見通しに対する警戒感が高まり、ユーロ/ドルは約5週間ぶりの安値をつ
 けた。”

先週の段階で、いずれ円高に向かうのは明らかでした。
ロイター報道を見ていれば明らかです。


政争より「日本沈没」回避を=円高放置の民主を批判―スズキ会長
http://www.jiji.com/jc/c%3Fg%3Deco_30%26k%3D2010082600656

「政争は日本沈没を避ける改革策を立ててからにしてほしい」。スズキの鈴木修会長
 兼社長は26日、日本経済をけん引する輸出企業が円高で苦しむのを横目に、民主党
 が小沢一郎前幹事長の党代表選出馬表明で浮き足立っている状況を批判した。東京都
 内で開いた新型車の発表会見で述べた。
 円相場は15年ぶりに1ドル=83円台を付けた後も高止まりが続いている。鈴木会
 長は「当社の連結営業利益は1円の円高で年間約40億円目減りする」と説明。金融
 危機後にコスト削減策を尽くした後の円高だけに「15年前と異なり、もう一段のコ
 スト圧縮とはいかない。自助努力の限界を超えている」と強調した。
 その上で、政界の現状について「(民主党代表選といった)目先の重要案件もいろい
 ろあるようだが、日本が沈没したらそれもなくなる」と皮肉った。”

鈴木会長の怒りは尤もです。

日本では円高は輸入品の購買力を高めますが
賃金水準の高い輸出産業を苦しめ雇用を悪化させるので
全体で言うと明らかにマイナスとなります。

これから生じる景況悪化によって、
いい加減な円高歓迎論者の嘘が暴かれるでしょう。
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