ファーストリテイリングの柳井会長が絶句するような少子化対策を提唱している。
少し調べれば事実誤認が幾つも含まれると分かるような内容だ。
会長自身がよく調べて発言するような時間がないのだから
自社のイメージを引き下げるような迂闊な発言は慎んだ方が良いのではないか。
このままでは、「完全にワンマンのオーナー経営者の感覚で
好き勝手を言っているだけ」と見られてしまって
いずれ業績が左前になった際に批判される材料となってしまう。
周知のように企業経営者は稼いだ金で評価される。
会長は鋭い見識で社会に評価されているのではなく、
今までファーストリテイリングという企業を育て上げてきたから評価されている。
だから、その発言も検証されず必要以上に取り上げられてしまうという弊害もあるのだ。
会長が主張するのは、移民や難民を受け入れないと国が滅ぶ、
子育て支援には外国人の家政婦やメイドが不可欠というものである。
これはまず少子化についての認識が間違っており、
大前研一氏がかなり前から明言している通り
日本の少子化は余りにも深刻で減少数が多過ぎ、
移民受け入れで補うことは不可能に近い。
日本は香港やシンガポールのような小さな島ではなく、
1億人を超える人口を抱えている人口大国である。
そしてこれから、平均して毎年100万人前後の加速度的な人口減少が起きる。
毎年100万人規模の移民受け入れが可能と考えるのは正気の沙汰ではない。
日本より遥かに治安が悪く、殺人事件も日常的に起きているアメリカ、
日本の倍以上の人口を抱え国土も数倍に及ぶアメリカと同水準か、
それ以上の数を受け入れなければならないのである。
また、外国人メイドを活用している代表的な国・地域は香港とシンガポールであるが、
ともに日本を下回る程の極端な低出生率であるのはあまりにも有名だ。
どうしてその程度のことにすら考えが及ばないのだろうか。
外国人を安く使うという発想は企業経営層にとっては常識的であるが、
少子化対策では全くない。企業経営と国政を完全に混同している。
日本の出生率が低迷し、女性就労率が低い理由は、完全に政策要因である。
高齢層に30兆円以上の税金をバラ撒いているのに育児支援にはケチっていて、
雇用政策にも先進国中で最低水準の予算しか出していないからだ。
▽ 会長はこの本を読んで勉強された方がいい
今回の件で、日本の企業経営者の誤った認識も
日本の社会問題の元凶となっていることが図らずも発覚したと言えよう。
「グローバル人材育成を能天気に称える安倍首相の軽い言葉に対し、当ウェブログは
「日本企業は単に「語学が堪能で外国人より従順で使いやすい」人材を求めているだけ」
だと指摘したが、それを裏付ける報道が出ている」
「日本の電機大手の人事担当者によれば、
「外国人社員は5年で50%は辞める」そうだ。
これでは流石に「最近の若者はこらえ性がない」といった類いの低次元の言い訳はできまい。
まさか「最近の外国人はこらえ性がない」とでも言うのだろうか」
「日本経済の活力を維持したければ、
まず日本企業自身が外国人を活用できないと話にならない。
現時点ではその段階でまず失格である」
「企業の言い分など所詮は衆愚的な「組織の論理」に過ぎない。
真に受けると寧ろ国益を損ないかねない」
「高度人材には逃げられ、単純労働者に関しては負担を社会にツケ回し。
これまでの「実績」から言えばこうなるのだから、信用する方が間違っている」
「また、日本経済の労働生産性の劣後は、
無駄な長時間労働を改めない企業経営にも大きな責任がある。
それが有能な外国人に忌避される要因の一つになっている」
「どうせまた、リーマンショックの時の日系人労働者と同じく
景況が悪化したら日本人の雇用を守るために容赦なくクビを切り、
おまけに尻拭いは日本社会にさせるつもりであろう」
「日本企業によくある、安く使える従順な外国人を望む虫の良さを反省しない限り、
外国人活用など夢のまた夢である」
「円安と露骨な市場操作で日本企業は浮かれており、
実力で収益を高めた企業がほんの一握りである実態を忘れている」
「ドル建てで20%以上も労働コストを切り下げて価格競争力をつけたのだから、
円建てで収益が上がるのは当たり前の話だ。経営努力の結果ではない。
ウォン安誘導で労せず儲かっていた韓国企業と同じである」
「自民党政権のこれまでの「実績」から容易に判断できるのは、
日本企業の経営層の地位を脅かさない程度の人材しか日本には来ず、
差別的な待遇で外国人をこき使う「移民受け入れ」にしかならないということだ。
現下の外国人実習生の恥ずべき実態を見れば明白である。
(献金に熱心な経済団体は、この問題でも自浄力が全くないことを自ら証明している)」
「外国人労働者を受け入れたがる業界は低付加価値・労働集約的・低収益の業界だ。
日本の経済界は「おとなしく安い賃金で働いてくれる労働者」を求めているのであり、
外国人を安くこき使って自分達が楽に儲けることを望んでいるのである」
と当ウェブログが指摘した通りである。少子化問題ばかりではなく、
移民政策においても、企業経営者の発言は自社の利益増進のためであり、
日本経済のためのものではないことが愈々明確になってきている。
▽ ファーストリテイリングはインディテックスより粗利が10%ほど低いと推測される(=商品価値が低い)
▽ ファーストリテイリングの利益の多くは、低い人件費率に由来する
また、難民・移民受け入れは欧州が重要なケース・スタディを提供している。
そうした事例から全く学習していない者が、経営者を含め多くいるのは嘆かわしい限りだ。
「ドイツが必ずしも倫理的な側面だけで難民受け入れを行っている訳ではなく、
拙速な行動により重大な禍根を後に残す可能性があることも重要である」
「ドイツ経済がユーロ統合の恩恵を目一杯に受け、
マルク高から解放されて低コストの労働者を必要としているからだ」
「日本の場合、正義感の強い単純なリベラルが
ドイツのようにシリア難民受け入れを推進した場合、
同じような失敗を繰り返す可能性が極めて高い」
「何故なら、我が国の労働市場が差別的で、
安くこき使える従順な単純技能の外国人ばかり求めているからだ」
「経済界自身が変わろうとせずに外国人材の活用を図っても、
結局はお互いに不満を溜めて仲違いするだけに終わるであろう」
「今回の難民受け入れの件でも同じである。
日本企業は間違いなく、雇用の調整弁として外国人を使い捨てるだろう。
リーマンショック後に日系人をポイ捨てしたように」
特に経済界は、リーマンショック後の外国人大量クビ切りの責任を忘れ、
能天気な移民受け入れを主張する傾向が極めて強い。
↓ 参考
ドイツの難民受け入れの裏に「打算」あり、後で必ず問題が起きる -「難民」と「経済移民」の区別はあるか
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1fca0f148c0094396820b7923aa0aa77
経済産業省が次元の低い移民政策を提言、恥ずべき研修生問題は完全無視 - 高度人材が来ないのは当然
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f1656ef4054d182f187041b5f9ef8601
5年で半分が辞める外国人社員、あっさり見捨てられる日本企業 -「優秀な人が集まらない」実態
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/12aad41d2655b0b15690f2678187c1a1
▽ FRも含め、日本の自称グローバル企業は多様性でも離職率でもイケアに大きく劣っている
「移民受け入れないと国が滅ぶ」 ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏(sankeibiz)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/151126/mca1511260500009-n1.htm
この発言には、様々な裏がある。
ユニクロが急成長したのは「給料が増えるような展望もない」からであり、
もし高度成長期のように給料が増えていたらユニクロの商品がこれほど売れる訳がない。
また、「政府に頼めば何とかなる、という発想」はまさに
今の日本の経済団体すべてに当てはまる話であり、
円安や国土強靭化に依存している業界はすべてアウトであろう。
本気でゼネコンや金融、輸出産業を批判しなければならない。
日本が低成長なのに法人減税をゴネる財界も批判しなければならない。
本気でその論理を貫徹するつもりなのだろうか?
更に、多様性重視は結構な話であるが、イケアやインディテックスに比べ
商品ラインナップでも人材でも海外展開においても
ファーストリテイリングは大きく劣っているというのが事実だ。
(ついでに言えば、規模や雇用者数においても大きく劣っている)
ドメスティックな日本企業に勝っているだけで居丈高に語る資格はあるのだろうか。
最後に、移民・難民受け入れは「世界に尊敬される」ために行っているのではない。
虚栄心の強い経営者と違い、様々な政策オプションの中から冷静に選ばなければならないものだ。
なし崩しに単純労働者として移民を受け入れた欧州の現状も理解せずに
移民・難民受け入れを主張するのは、軽卒以外の何ものでもない。
潜伏先急襲:ブリュッセル貧困地区に武器闇市場、事件温床(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151119k0000m030097000c.html
ファーストリテイリング会長の言うような移民受け入れをなし崩し的に進めてきた欧州では、
労働市場で差別的な扱いを受ける移民とその家族がスラムを形成し、テロの温床となっている。
考えの浅い人間がただ労働力確保のために移民を受け入れるから、こうなるのだ。
ジェノサイドの研究者であるグナル・ハインゾーンは、
受け入れてくれた社会に過剰適応しようとする移民一世と違い、
移民二世の世代は欧州社会への感謝ではなく不満が強く、
様々な問題を引き起こしている事実を報告している。
▽ こちら参照のこと
こうした欧州の実態を全く知らない柳井氏の言うような移民受け入れを実施したら、
日本国内のあちこちに「日本版モレンベーク」が出現するであろう。
豪邸に住んでいる人間にとっては、日本の治安悪化など無関心なのだろう。
少し調べれば事実誤認が幾つも含まれると分かるような内容だ。
会長自身がよく調べて発言するような時間がないのだから
自社のイメージを引き下げるような迂闊な発言は慎んだ方が良いのではないか。
このままでは、「完全にワンマンのオーナー経営者の感覚で
好き勝手を言っているだけ」と見られてしまって
いずれ業績が左前になった際に批判される材料となってしまう。
周知のように企業経営者は稼いだ金で評価される。
会長は鋭い見識で社会に評価されているのではなく、
今までファーストリテイリングという企業を育て上げてきたから評価されている。
だから、その発言も検証されず必要以上に取り上げられてしまうという弊害もあるのだ。
会長が主張するのは、移民や難民を受け入れないと国が滅ぶ、
子育て支援には外国人の家政婦やメイドが不可欠というものである。
これはまず少子化についての認識が間違っており、
大前研一氏がかなり前から明言している通り
日本の少子化は余りにも深刻で減少数が多過ぎ、
移民受け入れで補うことは不可能に近い。
日本は香港やシンガポールのような小さな島ではなく、
1億人を超える人口を抱えている人口大国である。
そしてこれから、平均して毎年100万人前後の加速度的な人口減少が起きる。
毎年100万人規模の移民受け入れが可能と考えるのは正気の沙汰ではない。
日本より遥かに治安が悪く、殺人事件も日常的に起きているアメリカ、
日本の倍以上の人口を抱え国土も数倍に及ぶアメリカと同水準か、
それ以上の数を受け入れなければならないのである。
また、外国人メイドを活用している代表的な国・地域は香港とシンガポールであるが、
ともに日本を下回る程の極端な低出生率であるのはあまりにも有名だ。
どうしてその程度のことにすら考えが及ばないのだろうか。
外国人を安く使うという発想は企業経営層にとっては常識的であるが、
少子化対策では全くない。企業経営と国政を完全に混同している。
日本の出生率が低迷し、女性就労率が低い理由は、完全に政策要因である。
高齢層に30兆円以上の税金をバラ撒いているのに育児支援にはケチっていて、
雇用政策にも先進国中で最低水準の予算しか出していないからだ。
▽ 会長はこの本を読んで勉強された方がいい
『低欲望社会 「大志なき時代」の新・国富論』(大前研一,小学館) | |
今回の件で、日本の企業経営者の誤った認識も
日本の社会問題の元凶となっていることが図らずも発覚したと言えよう。
「グローバル人材育成を能天気に称える安倍首相の軽い言葉に対し、当ウェブログは
「日本企業は単に「語学が堪能で外国人より従順で使いやすい」人材を求めているだけ」
だと指摘したが、それを裏付ける報道が出ている」
「日本の電機大手の人事担当者によれば、
「外国人社員は5年で50%は辞める」そうだ。
これでは流石に「最近の若者はこらえ性がない」といった類いの低次元の言い訳はできまい。
まさか「最近の外国人はこらえ性がない」とでも言うのだろうか」
「日本経済の活力を維持したければ、
まず日本企業自身が外国人を活用できないと話にならない。
現時点ではその段階でまず失格である」
「企業の言い分など所詮は衆愚的な「組織の論理」に過ぎない。
真に受けると寧ろ国益を損ないかねない」
「高度人材には逃げられ、単純労働者に関しては負担を社会にツケ回し。
これまでの「実績」から言えばこうなるのだから、信用する方が間違っている」
「また、日本経済の労働生産性の劣後は、
無駄な長時間労働を改めない企業経営にも大きな責任がある。
それが有能な外国人に忌避される要因の一つになっている」
「どうせまた、リーマンショックの時の日系人労働者と同じく
景況が悪化したら日本人の雇用を守るために容赦なくクビを切り、
おまけに尻拭いは日本社会にさせるつもりであろう」
「日本企業によくある、安く使える従順な外国人を望む虫の良さを反省しない限り、
外国人活用など夢のまた夢である」
「円安と露骨な市場操作で日本企業は浮かれており、
実力で収益を高めた企業がほんの一握りである実態を忘れている」
「ドル建てで20%以上も労働コストを切り下げて価格競争力をつけたのだから、
円建てで収益が上がるのは当たり前の話だ。経営努力の結果ではない。
ウォン安誘導で労せず儲かっていた韓国企業と同じである」
「自民党政権のこれまでの「実績」から容易に判断できるのは、
日本企業の経営層の地位を脅かさない程度の人材しか日本には来ず、
差別的な待遇で外国人をこき使う「移民受け入れ」にしかならないということだ。
現下の外国人実習生の恥ずべき実態を見れば明白である。
(献金に熱心な経済団体は、この問題でも自浄力が全くないことを自ら証明している)」
「外国人労働者を受け入れたがる業界は低付加価値・労働集約的・低収益の業界だ。
日本の経済界は「おとなしく安い賃金で働いてくれる労働者」を求めているのであり、
外国人を安くこき使って自分達が楽に儲けることを望んでいるのである」
と当ウェブログが指摘した通りである。少子化問題ばかりではなく、
移民政策においても、企業経営者の発言は自社の利益増進のためであり、
日本経済のためのものではないことが愈々明確になってきている。
▽ ファーストリテイリングはインディテックスより粗利が10%ほど低いと推測される(=商品価値が低い)
『ユニクロ対ZARA』(齊藤孝浩,日本経済新聞出版社) | |
▽ ファーストリテイリングの利益の多くは、低い人件費率に由来する
『ユニクロ帝国の光と影』(横田増生,文藝春秋) | |
また、難民・移民受け入れは欧州が重要なケース・スタディを提供している。
そうした事例から全く学習していない者が、経営者を含め多くいるのは嘆かわしい限りだ。
「ドイツが必ずしも倫理的な側面だけで難民受け入れを行っている訳ではなく、
拙速な行動により重大な禍根を後に残す可能性があることも重要である」
「ドイツ経済がユーロ統合の恩恵を目一杯に受け、
マルク高から解放されて低コストの労働者を必要としているからだ」
「日本の場合、正義感の強い単純なリベラルが
ドイツのようにシリア難民受け入れを推進した場合、
同じような失敗を繰り返す可能性が極めて高い」
「何故なら、我が国の労働市場が差別的で、
安くこき使える従順な単純技能の外国人ばかり求めているからだ」
「経済界自身が変わろうとせずに外国人材の活用を図っても、
結局はお互いに不満を溜めて仲違いするだけに終わるであろう」
「今回の難民受け入れの件でも同じである。
日本企業は間違いなく、雇用の調整弁として外国人を使い捨てるだろう。
リーマンショック後に日系人をポイ捨てしたように」
特に経済界は、リーマンショック後の外国人大量クビ切りの責任を忘れ、
能天気な移民受け入れを主張する傾向が極めて強い。
↓ 参考
ドイツの難民受け入れの裏に「打算」あり、後で必ず問題が起きる -「難民」と「経済移民」の区別はあるか
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/1fca0f148c0094396820b7923aa0aa77
経済産業省が次元の低い移民政策を提言、恥ずべき研修生問題は完全無視 - 高度人材が来ないのは当然
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/f1656ef4054d182f187041b5f9ef8601
5年で半分が辞める外国人社員、あっさり見捨てられる日本企業 -「優秀な人が集まらない」実態
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/12aad41d2655b0b15690f2678187c1a1
▽ FRも含め、日本の自称グローバル企業は多様性でも離職率でもイケアに大きく劣っている
『イケアはなぜ「理念」で業績を伸ばせるのか』(立野井一恵,PHP研究所) | |
「移民受け入れないと国が滅ぶ」 ファーストリテイリング会長兼社長の柳井正氏(sankeibiz)
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/151126/mca1511260500009-n1.htm
”--日本の景気の現状をどうみるか
「良い分野は、訪日外国人の消費などインバウンドと、ラグジュアリー(高級品)に限られていて、全体としてはあまり良くない。国内の需要が少なく、先行きも不安だ。加えて重税感がある。若い人にとっては給料が増えるような展望もない」
--日本企業の問題点は
「完全な実力主義になっていないことだ。古い制度を根本から変えていく必要がある。国主導ではなく、民間が主体的に変えていくことも必要だ。政府に頼めば何とかなる、という発想をやめなくてはならない」
--人口減少問題も企業経営に影響する
「人口減少は非常に深刻な問題だ。このまま放っておくと、日本は労働人口が不足する社会になる。人口が減って栄えた国はない」
--安倍晋三首相は「新三本の矢」で希望出生率1.8を打ち出した
「本来、2以上の出生率がないと人口は減少していく。こうした背景もあり、女性の活用には子育て支援が必要になる。メイドや家政婦として外国人の活用なども欠かせないのではないか。この観点からも外国人の受け入れは重要だろう」
--シリア難民の対応が世界的課題になっている
「難民は欧州だけの問題ではない。カネだけを出して済ますのであれば、湾岸戦争のときと同じであり、国際的に尊敬される国になれない。現実問題として、日本では難民や移民の受け入れに否定的な意見も強いし、言葉や習慣の問題から日本で住みたいというシリア難民は極めて少ないかもしれない。それでも、グローバルに生きていくという日本が、国際協力の中で難民問題に取り組まなくてはならないのは当たり前だ」
--日本は何をすべきか
「すぐに受け入れるかどうかは別にして、移民や難民を受け入れる必要性や、受け入れるには何が必要なのかという議論、準備を国レベルで始めなくてはならない。
〔中略〕
観光客が来てくれるのは歓迎だが移民や難民は受け入れたくないというのは通用しないし、日本は受け入れないと国そのものが滅んでしまうことになる」
--経営者としてダイバーシティー(多様性)を強調してきた
「今後の企業経営の大きなトレンドは大きく2つある。『グローバル化』と『デジタル化』だ。ヒトとヒト、モノとモノ、ヒトとモノなどあらゆる事柄が情報でつながっていく。それが瞬時に、かつあらゆるところに同時並行で、国を超えて進む。全世界規模で起きる大きな社会や経済の転換点だ。これに対応できるのは多様性しかない」
--企業は積極的に外国人を雇用すべきか
「違う文化、異なる習慣や考え方を受け入れ、理解する必要がある。グローバルの観点で進めるには、外国人と一緒に仕事したり生活したりすることが必要だ。多くの日本の人はこういったことを経験してこなかった。それが不安につながり、新しいことへの拒絶感を生んでいる面もある。日本の課題解決には、多様性を重視することが求められる。女性の活用とともに、外国人の受け入れに向けてすぐにでも議論を始めることが必要だ」”
この発言には、様々な裏がある。
ユニクロが急成長したのは「給料が増えるような展望もない」からであり、
もし高度成長期のように給料が増えていたらユニクロの商品がこれほど売れる訳がない。
また、「政府に頼めば何とかなる、という発想」はまさに
今の日本の経済団体すべてに当てはまる話であり、
円安や国土強靭化に依存している業界はすべてアウトであろう。
本気でゼネコンや金融、輸出産業を批判しなければならない。
日本が低成長なのに法人減税をゴネる財界も批判しなければならない。
本気でその論理を貫徹するつもりなのだろうか?
更に、多様性重視は結構な話であるが、イケアやインディテックスに比べ
商品ラインナップでも人材でも海外展開においても
ファーストリテイリングは大きく劣っているというのが事実だ。
(ついでに言えば、規模や雇用者数においても大きく劣っている)
ドメスティックな日本企業に勝っているだけで居丈高に語る資格はあるのだろうか。
最後に、移民・難民受け入れは「世界に尊敬される」ために行っているのではない。
虚栄心の強い経営者と違い、様々な政策オプションの中から冷静に選ばなければならないものだ。
なし崩しに単純労働者として移民を受け入れた欧州の現状も理解せずに
移民・難民受け入れを主張するのは、軽卒以外の何ものでもない。
潜伏先急襲:ブリュッセル貧困地区に武器闇市場、事件温床(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/news/20151119k0000m030097000c.html
”【ブリュッセル田中龍士】ベルギーの首都ブリュッセルの貧困地区モレンベークに、パリ同時多発テロ事件の容疑者として、捜査当局が行方を追っているサラ・アブデスラム容疑者(26)らが最近まで経営していたバーがある。観光名所のグランプラスから約4キロ。中心部の華やかさはない。
〔中略〕
18日朝に訪れると、周囲の人影はまばら。時々、ヘジャブ姿の女性やひげをはやした男性が通り過ぎる。モロッコ人が多く住み、アルジェリアやトルコからの移民もいる。
「何も話すことはない。帰ってくれ」。大通りに面した商店主の男性は、こちらが記者だと告げると取材を断った。
この街に暮らす女子大学生(21)が匿名を条件に取材に応じた。「あの店では警察が駆けつけるトラブルが絶えなかった」。1カ月に2、3回は警察ざたになり、地元では知られた存在だったという。
「過激派のたまり場で、ギャングのような人たちが集まっていた。10代の不良少年たちも出入りし、過激派グループにスカウトされていたようだ」。大学生は、客はアラブ系の人々が中心で、その他の客が入るのは難しい雰囲気だったと証言した。
サラ容疑者はパリのテロ事件で死亡した兄のブラヒム・アブデスラム容疑者(31)と店を経営していた。地元メディアの報道によると、サラ容疑者は、約2年前に店を開業し、パリでの事件直前に閉店した。主犯格のアブデルハミド・アバウド容疑者(27)やサラ容疑者をフランスからベルギーに車で逃がしたとしてベルギー当局に拘束されたフランス人の男も、モレンベークに住んでいた。
〔中略〕
テロの震源地になった「モレンベーク」。2001年の米同時多発テロに絡んだ暗殺事件に始まり、今月13日に起きたパリ同時多発テロまで、この地に関わる人間が手を染めてきた。テロが起きるたびに名前が挙がるこの街で何が起きているのだろうか。
〔中略〕
パリ同時多発テロの容疑者を捕まえるため、ベルギー警察当局は16日、モレンベークに特殊部隊を大量投入した。
警察は、女性の住居近くのビルに、テロに関与したとして指名手配中のサラ・アブデスラム容疑者(26)が潜伏していたとみて捜索したが、身柄を確保できなかった。女性は「過激派が住んでいたという話は聞いたことがないが、物騒だ」と眉間(みけん)にしわを寄せた。
特殊部隊の突入で、割れた窓ガラスが散乱する現場。ここから徒歩5分の場所に、サラ容疑者の家族が暮らす建物があった。近くの商店の男性(25)は「武器が周辺国から流れてくるといううわさは聞いた」と話す。しかし、多くの住民は固く口を閉ざした。
イスラム教徒のモロッコ人男性(25)は、サラ容疑者らの犯行を「イスラム教と関係ない」と語った。「モスク(イスラム礼拝所)で彼を一度も見たことがない。約2週間前には、サラ容疑者が女性を引き連れ、水たばこを楽しんでいる姿を見た」。男性は、イスラムの教義で禁じられる酒を自ら経営するバーで扱っていたサラ容疑者に信仰心はないはずだと断じた。
仏フィガロ紙によれば、モレンベークは住民の4人に1人がイスラム教徒。モスクの数は教会の4倍以上ある。また、13年の失業率は29%で、他の地区より7ポイントも高い。若者に限れば4割に近い。
モレンベークは、警察の目が届かず、「テロ活動の温床」とされている。14年にブリュッセルのユダヤ博物館で乱射し、4人を殺害した犯人はここに住んでいた。01年の米同時多発テロ直前、アフガニスタン北部同盟のマスード将軍に記者を装って近づき自爆テロで暗殺した男も出身だった。警察や市当局も武器の闇市場の存在を否定しない。
ベルギーのミシェル首相は今月15日、「ほとんど毎回(事件が起きるたびに)、モレンベークとつながりがある」と指摘。これまでは予防策を試みてきたが十分ではなく、首相は「今後は抑圧的にならざるを得ない。これまでは自由放任主義だったから、弛緩(しかん)していた。つけを払う時を迎えている」と話した。
地区内には原理主義者たちが情報交換をしていたというモスクがある。だが、警察や報道陣の目を避けているのか、近隣住民たちは「事件後、誰も立ち寄らない。外出すら皆、控えており、街はひっそりしている」と話した。【ブリュッセル田中龍士】”
ファーストリテイリング会長の言うような移民受け入れをなし崩し的に進めてきた欧州では、
労働市場で差別的な扱いを受ける移民とその家族がスラムを形成し、テロの温床となっている。
考えの浅い人間がただ労働力確保のために移民を受け入れるから、こうなるのだ。
ジェノサイドの研究者であるグナル・ハインゾーンは、
受け入れてくれた社会に過剰適応しようとする移民一世と違い、
移民二世の世代は欧州社会への感謝ではなく不満が強く、
様々な問題を引き起こしている事実を報告している。
▽ こちら参照のこと
『自爆する若者たち―人口学が警告する驚愕の未来』(グナル・ハインゾーン,新潮社) | |
こうした欧州の実態を全く知らない柳井氏の言うような移民受け入れを実施したら、
日本国内のあちこちに「日本版モレンベーク」が出現するであろう。
豪邸に住んでいる人間にとっては、日本の治安悪化など無関心なのだろう。