みんなの心にも投資 … ソーシャルインベスター(社会投資家)への道

個人投資家の”いとすぎ ”が為替・株式投資を通じた社会貢献に挑戦します。すべてのステークホルダーに良い成果を!

イオンがガスコージェネ投資、電力の3割自給へ - 続々と増える企業の省エネ・再生可能エネ投資

2013-02-28 | いとすぎの見るこの社会-地球環境を考える
安倍政権は「安全な」原発は再稼働させてエネルギーコストを下げるとしているが、
依然として実体経済への理解度が低いと言わざるを得ない。

我が国の高度成長期を支えたのは原子力発電ではなく火力発電だった。
原子力発電のシェアが一挙に拡大した1980~90年代こそ、
日本の経済成長率が低落し続けてゼロ成長へ突入する時代だったのである。
(この殆どの期間において自民党政権だったという歴然たる事実が示唆的だ)

事実、原発の多くが停止しても成長率は下がらず、日本株は上昇している。
それどころか省エネ・再生可能エネ投資が急増して活況を呈しているのが実態である。
例えば日経新聞は、企業の再生可能エネ投資が一年で35%増えたと伝えている。

日本の成長率は、コージェネや風力発電に注力した欧州国よりも明らかに低い。
熱需要を探してエネルギー効率を向上させる努力を怠っているのだから当然の結果だ。

原子力大国のフランスは、人口動態が日本より遥かに良好なのに成長率は低迷している。
原子力発電が経済成長に資するものではないことは実体経済に照らせば明らかである。

チャールズ・モリスは、
公共企業など特権的な地位にある産業は
いずれ太りすぎて経済の重荷になる
と喝破している。
我々は、日本経済の成長のために原子力利権を撃滅しなければならないということだ。

▽ こちら参照

『なぜ、アメリカ経済は崩壊に向かうのか―信用バブルという怪物』(チャールズ・モリス,日本経済新聞出版社)


 ↓ 太陽光発電の急速なイノベーションが、原子力技術より遥かに速く進んでいる

変換効率85%の太陽電池を石橋晃・北大教授らが開発 - 東大発ベンチャーは熱回収型、進化する太陽電池
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/9475b1a58d2b957c020e95a36999d90d

昭和シェル「補助金なしで太陽光発電が拡大する」- パネル製造コストを半減、中国企業に勝つ自信を示す
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/11e0d6174039ae71edec2876bbc97ced

▽ 日本のガスコージェネ技術も世界最高水準である

『原発ゼロ社会へ! 新エネルギー論』(広瀬隆,集英社)


イオン、100店にガス熱電併給 食品売り場の電力3割自給(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGF2703L_X20C13A2TJ0000/
イオンは2020年度までに全国の大型スーパー100店にガスコージェネレーション(熱電併給)設備を導入する。主力の総合スーパーの約3分の1にあたる規模で、投資額は100億円を上回るとみられる。店で最も電気が必要な食品売り場で電力の約3割を自給。災害などによる停電時も冷蔵・冷凍ケースを動かせるようにし事業継続を可能にする。電力会社の値上げ申請が相次ぐなか、電力のコスト削減と安定確保も目指す。〔以下略〕”

このガスコージェネは上掲書にあるGHP(ガスヒートポンプ)が主であろう。
従って、コスト削減効果は限定的と見られる。

宿泊施設や介護施設といった大量の熱需要のある場所でガスコージェネを導入し、
家庭ではホンダのエコウィルを導入した方が更に大きな省エネ効果を期待できる。


レオパレス、アパート屋根で発電 7000棟にパネル(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNZO51586160Z00C13A2TJC000/
賃貸住宅大手のレオパレス21は管理物件7千棟の屋根に太陽光パネルを設置し合計出力10万キロワットの発電事業を始める。投資額は約300億円。20年間の売電収入で回収する。発電を手掛ける特定目的会社(SPC)を設立し、設備施工を手がけて建築事業を拡大する。
 太陽光パネルはアパートのオーナーの了解を得て4月に設置を開始。2014年3月末までに完了する。〔以下略〕”

企業の太陽光発電も順調に進んでいる。
集合住宅はまだまだ大きなポテンシャルがあり、震災対策としても極めて有効である。
あとは固定買取価格を逓減させて企業努力を引き出すことが重要だ。


太陽光発電のパネル設置、学校屋根貸し出し 愛知県が企業に(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFD23020_S3A200C1CN8000/
愛知県は2013年度から、県立学校など公共施設の屋根を太陽光パネルの設置場所として民間企業に貸し出す。空き地が少なく、大規模な発電施設が設置できない県内の都市部での自然エネルギーの普及を図るのが狙い。
 計画によると、県が所有する学校や役所などの屋上を企業に有料で貸し、パネルを設置してもらう。企業は発電した電気を電力会社に販売し、収入を得る。〔以下略〕”

当ウェブログが以前から主張してきた通り、集合住宅だけでなく公共施設も重要である。
殆どの公共施設は日照に恵まれており、昼の稼働時間・利用時間が長い。太陽光発電に最適である。


太陽光など再生エネ拡大、発電能力35%増 12年度末(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDD240M6_W3A120C1TJC000/
”2012年7月に再生可能エネルギーで作った電力を固定価格で全量買い取る制度が始まったことを受け、企業が太陽光発電をはじめとする再生可能エネの導入を増やしている。売電目的で再生可能エネの発電設備を導入した企業(120社)の12年度末時点の発電能力は計157万キロワットの見込みで、11年度末に比べて35%増える。〔以下略〕”

このように、原発を再稼働せずに再生可能エネ・省エネに投資を続けた方が遥かに賢く、
明らかに日本経済に対する貢献度が大きい。

再生可能エネよりよりコスト優位性の高い省エネ分野はそれ以上に伸びている筈であるし、
経済波及効果を考えても、当然そうでなければならない。
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九州電力、高額の役員・顧問報酬を温存して一般社員の給与を削減 - 遂に社内からも経営陣に批判の声

2013-02-26 | いとすぎから見るこの社会-雇用と労働
電力自由化の際の暗闘と経産省内部での「粛正」を知っている者は
決して驚くことではないが、電力業界の「体質」は一般の企業社会と大きくかけ離れている。
これは現場で奮闘する社員が真面目に努力しても如何ともし難い問題である。

これまでは大手メディアにとって有り難い「広告主」様だったので
「不都合な事実」の報道を自主規制して貰っていたのであるが、
福島原発事故以来は誰も庇わない(利害関係者は除く)ようになったので
「不都合な事実」が続々と発覚するようになってしまった。

飛び抜けて高水準の企業年金や東電社員専用の病院といった特権の存在、
電力料金の水膨れした「原価」に通常の民間企業ではあり得ないコストが入っていること、
大手メディアの人間を抱き込んでメディア対策(限りなく口封じに近い)を図っていたこと。

原発再稼働の「やらせ」で一躍有名になった九州電力であるが、
今回の電力料金値上げでも興味深い動きを見せている。

一般社員の給与を大幅に削減していながら、
役員・顧問・相談役の高額な報酬は温存していたため、
消費者庁から批判されるという醜態を見せているのである。

九電の電力料金引き上げは、柏崎刈羽の件でも福島第一事故でも明らかなように、
供給リスクの高い原子力比率を高めた経営判断に全ての責任がある。
信賞必罰で経営陣の報酬を削減数するのが当然ではないか。

九電は最新型のコンバインドガス火力を1基しか持っておらず、
原発停止で無駄の多い火力で貴重な燃料を浪費しているのが実態である。

消費者に負担を押し付け、一般社員の給与を削減して平然としている感覚は
決して日本国民の理解できるものではないし、許容できよう筈がない。
電力大手はこのような理解に苦しむ話が余りにも多過ぎる。

 ↓ 参考

元社員からも批判された関西電力、顧問に年1.4億円を支給 - 元会長の「車代」も顧客に払わせる
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/cb999e65a0c87ab9b41b815d89a607e2

関西電力、資材調達費の45%を身内の企業に発注 - 電力料金原価にはOB顧問への給与をも含める
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/2159a5ae1f7329d32ce485f2a33018a8

▽ 電力会社は発電機すら自分で製造できず、スイッチを入れ送電するのが仕事

『原発ゼロ社会へ! 新エネルギー論』(広瀬隆,集英社)


九州電力、基本給5%減提示 値上げへ、身を切る姿勢(朝日新聞)
http://www.asahi.com/business/update/0216/SEB201302160053.html
”【渡辺淳基】九州電力は、一般社員の基本給を4月から平均5%減らす案を労働組合に示した。4月の実施をめざす電気料金の値上げに合わせ、身を切る姿勢を示すことで、利用者の理解を得たい考えだ。基本給の削減は、1951年の会社設立以来はじめて。
 九電は、値上げ幅の算定根拠になる人件費を減らすため、一般社員の年収を平均で21%減らして826万円から650万円にする計画。具体策として、基本給の削減が避けられないと判断した。今夏の賞与については、全額カットを含め検討している。管理職の給与は10%程度減らす方針だ。
 組合側も受け入れる見込み。ただ九電は役員報酬について来年度以降も平均3200万円を出す方針。顧問や相談役にも平均約3千万円の報酬を予定している。社員からは「これを減らすのが先だ」という声が出ている。
 同じ4月の料金値上げをめざす関西電力は、すでに基本給5%程度の削減と賞与の全額カットを提案している。〔以下略〕”

管理職よりも一般社員の給与の方が削減率が大きいのもよく理解できない話だ。
役員報酬への社員からの不満も至極当然である。

当然の帰結とは言え、消費者庁から批判を受けることになった。


関電・九電に役員報酬の減額要請 消費者庁 値上げで(日本経済新聞)
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS01037_R00C13A2EE8000/
”消費者庁は1日、関西電力と九州電力の家庭用電気料金の値上げ申請で38項目のチェックポイントをまとめた。役員給与を他の民間企業や公務員幹部並みに引き下げるよう求めたほか、競争入札比率を現状の2倍に高め、コスト削減をさらに進めるべきだとした。
〔中略〕
 燃料費の増加を受け、来年4月から、関電は平均11.88%、九電は同8.51%の値上げを申請している。実際の値上げ幅は経済産業相と消費者担当相が協議して詰める。最終的に上げ幅は圧縮される可能性が高い。
 申請では1人当たり役員給与を、関西電力で4100万円、九州電力で3200万円を計上する。消費者庁は支払額について、国家公務員の指定職職員(事務次官なら2千万円)や上場会社の平均役員給与(3千万円程度)を参考に減額すべきだとした。調達費用は7%程度の削減を目指しているが、東京電力並みに10%まで効率化を進める必要があると強調した。”

消費者庁の指摘も、原子力依存度を高めたことが問題の原因であるのだから、
「上場企業の平均役員給与」を基準にするのは不適切である。
消費者庁が九電管内の顧客に直接アンケート調査を行って、その結果も基準に反映させるべきだ。

…我々はこのような業界に分不相応な特権を与えてしまっているのである。
恐らく、地域独占の利権を破壊しない限り体質は改まらないだろう。

電力自由化の際も、再生可能エネルギー導入の際の議論でも、
電力大手は自らの収益が少しでも脅かされる可能性に対して
あらゆる口実を総動員して妨害してきた。

▽ 電力大手上層部は、「僭越」とまで罵って再生可能エネの普及に反対した

『総力取材! エネルギーを選ぶ時代は来るのか』(NHK出版)

電力大手のシェアを着実に狭めていかない限り、「体質」は改まらないだろう。
発送電分離の議論ばかりが進んでいるが、託送料も公開して厳しく監視する必要がある。
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オーストラリア企業が日本でガス開発? - 日本政府も日本企業も無視するCBM、矢張り「黒船」が必要か

2013-02-26 | いとすぎから見るこの社会-対アジア・世界
最近、漸く日本でも「シェールガス革命」が知られてきたが、
シェールガスは所謂「非在来型ガス」の一種に過ぎない。
日本にとってより重要なガス資源があるのを忘れてはならない。

それは無論のことメタンハイドレートではない。
日本国内ではそれよりも優先されるべきガス資源がある。

福島原発事故以来、エネルギー問題への関心が高まったのは良いことだが
猛烈にコストの高い秋田のシェールオイルやメタンハイドレートに釣られるのは浅慮の証拠だ。
我が国にはよりコストが安く、実用化まで遥かに近いエネルギー資源がある。

それは、何度か当ウェブログが取り上げた北海道のCBM(炭層ガス)である。
以下の面から見て、他のエネルギー資源より有利な位置にあるのは明らかである。

1)アメリカにおいて既に採掘・利用技術が確立している
2)シェールガスより浅い層で採掘でき、環境破壊も少ない
3)北海道でのCBM資源の存在はほぼ確実である

埋蔵量に課題があるものの、北海道の炭層ガスが採掘されるようになれば、
到底コストでCBMに勝てない高コスト・高リスクの原子力発電は不要になる。
泊原発は存亡の危機に瀕し、北電の収益も深刻に脅かされるようになろう。

企業も家庭もコージェネレーションでエネルギーコストが激減するので
北海道もしくは東日本の居住者にとってはこれほど素晴らしいことはない。

しかし、原子力利権・電力利権勢力にとっては悪夢で、
恐怖の速度で地域独占が崩壊し、収益源である家庭向け電力需要が激減してしまう。
だからこそ利害関係のある官庁や企業がCBMに注目されないよう煙幕を張っているのであろう。

 ↓ 参考

【2012年の予言】国内ガス開発が始動し、メタンハイドレート開発は停滞する - 直近の本命はCBM
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/c72ce70420875d6b1acef3c1f0e095a5

メタンハイドレートに期待できない3つの理由 - 高コスト・技術的未熟・そして強力過ぎるライバル
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/b450f3f9f2a11105b83ce9bcb37c3698

▽ 北海道夕張に炭層ガスが埋蔵されているのは確実

『大転換する日本のエネルギー源 脱原発。天然ガス発電へ』(石井彰,アスキー・メディアワークス)


▽ ガス・コジェネレーションでエネルギー効率が高まり、電力の中央集権体制は崩壊する

『天然ガスが日本を救う 知られざる資源の政治経済学』(石井彰,日経BP社)


CBM開発に立ちはだかる壁 採掘コスト、調査費、補助金(zasshi.news.yahoo)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130122-00000501-sspa-soci
” ★2013年 日本は資源国になる!!
 まさに夢のような資源のCBMだが、問題も山積みだ。
 「いちばんの課題は掘削コスト。カナダではボーリング孔を1本掘るのに3000万円で済みますが、日本では1億円くらいかかってしまいます」
 もう一つは、調査費用がないということ。日本では、CBMの精密な埋蔵量調査はまだ行われていない。それがなければ、企業もなかなか開発には乗り出せない。
 大賀助教は、石狩炭田のなかにある夕張市に開発モデル鉱区を設定している。そのシミュレーションによると、「鉱区面積2.8km2,600m間隔で21本の掘削をする。世界屈指のCBM包蔵量25m3/tを誇る炭層から、約5億立方メートルを取り出せる」という。
 これが実証されれば、資源メジャーや地元の北海道ガス、北海道電力なども放ってはおかないだろう。ところがその実証に必要な資金がない。
 「21本すべてをやろうと思ったら、80億円ものお金がかかります。最初の1~2本を掘るだけの初期段階でも10億円は必要です」
〔中略〕
 では、国はどうなのか。経済産業省が’02~’07年に、この事業を「二酸化炭素固定化・有効利用技術等対策事業」として助成したことがある。それで石狩炭田のおおよその埋蔵量などがわかったのだが、以後は国からの本格的開発への支援はない。
 「CBMは、新エネルギーや再生可能エネルギーには分類されていません。石炭の中の天然ガスですから、どちらかというと『旧エネルギー』という扱いです。ですから、国からの開発助成がつかないんです。石炭・石油火力よりもずっとクリーンなエネルギーなのですが……」
 CBMは、数少ない貴重な国産資源。これからの日本のエネルギー戦略にとっても重要だ。
 「近い将来、資源輸出国が自国での消費に資源を回すため、日本は資源に困るはずだと予測しています。実際、インドネシアは石油の輸出をやめて自国消費用に回すようになりました。いつまで資源を外国に頼っていけるかはわかりません。今のうちに、自前の資源に目を向けようと訴えたい」
 現在、オーストラリアの掘削企業が大賀助教の計画に関心を示しているという。〔以下略〕”

国内メディアや企業が愚図愚図しているから、オーストラリア企業に手柄を持って行かれそうだ。
所詮、歴史的に見て我が国は「黒船」がやって来るまで目が覚めない民族である。

オーストラリアでもカナダでもどこの企業でも構わない、
眠りこけた日本のエネルギーを開発して「炭層ガス革命」を起こすことが国益に資する。
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読売新聞も認めた貧相なTPP効果、たったGDP0.05%増 - 女性就労率引き上げの10分の1以下

2013-02-25 | いとすぎから見るこの社会-全般
政府がTPPによる経済効果を3兆円と発表するようだ。
余りにも額が少ないなので「雀の涙」と言うべきであろう。

富士経済の見通しによれば、日本国内の再生可能エネルギー市場が
2020年までに(=ほぼ8年で)3兆円に拡大するとのことなので、
TPP効果は再生可能エネルギー市場の成長にさえ負ける可能性があるということだ。
コージェネ等の省エネ市場を再生可能エネに併せればTPPは確実に負けるだろう。
(コージェネもヒートポンプも兆円単位の成長市場だからだ)

また、OECD等が以前より指摘しているように、日本の女性就業率は先進国比で低い。
北欧並みの数値になればGDPが10%以上増えるとされている。
つまり女性就業率引き上げで
50兆円以上の効果である。

数字を見ればTPPよりも女性就労率向上の方が遥かに経済効果が大きく、
省エネ・再生可能エネ分野もTPP効果を上回る可能性があるのは小学生でも分かる。
TPPを切り札のように考えている愚か者は、小学生にも劣るということだ。

↓ 参考

経団連の限界、人口問題をTPP推進にすり替える - シンクタンクの処方箋は「女性就労率の向上」
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/d16e581b00a2370e1b84dcfde7836f2e

女性就労率も省エネ再生可能エネも確かに予算投入が必要だが
TPPも国内農業の保護が必要になるので結論は同じである。

また、イデオロギーに凝り固まったTPP推進派が頑として認めないことだが、
野口悠紀雄氏が早くから指摘しているように、アメリカの工業製品関税は既に低い。
関税率を下げたいならEUとのFTAの方が明らかに恩恵が大きい。
わざわざコメを例外品目にしようとする面倒もない。

更に、彼らはRCEP(アジア広域FTA)の方が域内人口が格段に大きく、
成長率も高いという事実を全く理解していない。
しかもFTAであるRCEPの方がTPPより政治問題が少なく締結し易いのは明らかだ。
RCEPには中国を牽制しアセアンと個別にFTAを結んで囲い込む事態を予防する効果もある。

まともな経済リテラシーがあればTPPだけでなくRCEPと対EUのFTAを同時進行で検討・協議し、
より国益に資する協定を優先するのが当然ではないか。
外交巧者なら他の協定を武器に使って交渉を有利に進めることも可能である。

▽ 推進派の研究者ですら貧弱な数字しか出せないというTPP単純賛成派の惨状

『日本経済の底力 - 臥龍が目覚めるとき』(戸堂康之,中央公論新社)


当ウェブログが以前取り上げたように、
TPP効果は年にたかがかGDPで0.05%増、輸出0.4%増程度。
TPPの最大の問題は国単位で見れば殆ど「効果がない」ことだ。

↓ 参考

TPP最大の問題は「効果がない」ことである - JAを罵倒する経団連「大企業のためとは言いがかり」?
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/c80c6ddb5d5a17fb4b68e255fc8ed33d

↓ 大国インドも含まれるRCEPの域内人口は34億人、TPPなど比較にならない

米WSJ紙「日本のどの政党も説得力がない」- 人口減少や電力会社による地域独占等の問題を指摘
http://blog.goo.ne.jp/fleury1929/e/ed4950525eb8bd2845151004e263ef73

渡辺惣樹氏は下掲書で、自由貿易時代のイギリスよりも
保護貿易時代のアメリカの経済成長率の方が高かったという史実を明らかにしている。

▽ TPP単純推進派の主張がいかにお粗末か分かる

『TPP 知財戦争の始まり』(渡辺惣樹,草思社)


TPP参加なら…GDP3兆円増の政府試算原案(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20130223-OYT1T01188.htm
”TPPに日本が参加した場合の日本経済への影響について、政府試算の原案が分かった。
 国内の農産品が輸入の増加で圧迫されるマイナスの影響よりも、多くの分野で輸出が増えるプラス効果が大きく、実質国内総生産(GDP)は約3兆円(0.5%程度)押し上げられるとの統一見解で最終調整している。
 政府は、早ければ月内にも発表する。安倍首相はこれに基づき、TPP参加のメリットを国民に訴え、正式に交渉参加を表明する見通しだ。
 試算は、域内の関税が完全に撤廃されたうえに政府がなんら国内対策を講じないという、最大限に厳しい仮定を置いた。
 コメなど高い関税で輸入品との価格競争から守られている農産品は、細かい前提の置き方によって生産額の減少幅を〈1〉約3・4兆円〈2〉約3兆円――のいずれかと見積もった。〔以下略〕”

まともなリテラシーがあればこの報道が重要な事実を伏せていることが分かる。
「10年で3兆円」なのであって、暫く前の内閣府の試算と大差ない。
執筆者が分かっていないか、世論操作する意図か、どちらかであろう。


円安で実質GDP増えるため円安のメリットはデメリット上回る(Postseven)
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130215-00000020-pseven-soci
”アベノミクス効果によって急速に円安が進んでいるが、これは日本経済にとってどのようなメリット、デメリットがあるのか、早稲田大学政治経済学術院教授の若田部昌澄氏が解説する。
 * * *
 円安には輸入価格が上がるというリスクが伴う。しかし、過去においては円安によって貿易の利益が増え日本の実質GDP(国内総生産)は増えたから、円安のメリットはデメリットを上回る。日本人トータルの所得は増えるのだ。
 またTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)で日本の関税が下がれば、輸入価格上昇を一部相殺する効果を持つ。
 TPP参加については各種の試算があるが、強いて挙げるなら内閣府の試算が参考になる。内閣府はTPPへの参加によって日本の実質GDPが10年後に0.54%(金額ベースで2.7兆円)押し上げられると試算している。10年後というのは関税撤廃にかかる時間を想定しているからだ。関税撤廃だけを考えて計算したものだが、ルール作り次第で新市場を開拓できればさらに大きな数字となる
 また、農業分野などでTPP脅威論が強いが、TPPにおける関税撤廃は、あくまでも「原則」だ。日本は現在、コメに778%の関税をかけているが、他国も日本同様に保護したい農作物を抱えている。
 関税がすべてゼロになることは考えにくいし、TPPが発効しても国が補助金などで特定の産業を支援する制度を設けることは可能だ。国全体としても、他業界の発展による税収増で、農業のマイナスは十分カバーできる。
 安倍政権は農業団体の反発を恐れて参院選まではTPPへの態度を明確にできないかもしれないが、今年中には政治決着に動くことになるだろう。安倍氏は「自由貿易は日本に必要」と公言してきた。
 地ならしとしてTPPに参加した際の農林水産物の生産額減少の試算をやり直すよう農水省に指示を出した。どの程度の補償で農業界が納得するか見定めるつもりだろう。〔以下略〕”

これが従前の試算。元々の額が少ないのだから、10%増えて3兆円になっても五十歩百歩だ。
TPP単純推進派はどうしてこのように杜撰な議論をしてしまうのか、理解不能である。

▽ はっきり言って韓国政府の方が賢い

『現代(ヒュンダイ)がトヨタを越えるとき: 韓国に駆逐される日本企業』(小林英夫,筑摩書房)

財閥に入れ知恵された韓国政府は自国の自動車輸出が増える地域を狙って
FTAを推進してきた。だからTPPが不要と言っているのである。

TPPを単純推進する日本国内の衆愚論者が韓国政府に遠く及ばないのは
日本人として実に情けない話ではあるが、明白な事実だ。
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危機感を強める香港政府、不動産価格の抑制強化を発表 -「資金流入でバブルのリスクが増大している」

2013-02-24 | 注目投資対象・株価の推移
              ↑ USD/JPY(ZAI)94円台を突破できない

政府の提示する日銀総裁候補はADB黒田総裁と朝日新聞が報じた。
保守系の読売ではなく朝日から出たことで財務省の情報操作を疑う声も出ているようだ。

黒田氏ではみんなの党は兎も角、参院民主が強い抵抗を見せる可能性が高い。
高く吹っかけた後に武藤氏や岩田氏で野党を満足させる方策ではないかと思う。
武藤氏ならば政権与党は財務省に「恩を売った」形にするだろう。
(個人的には金融緩和積極派で研究者ではない方の岩田氏が政府の第一志望と見ているが)

いずれにせよ自民の思い通りの総裁人事が容易ではない以上、
四月の会合まで「材料出尽くし」になる可能性が高い。

…経験則では、普段意見を変えない人物が急に自説を翻すのは警戒信号となることが多い。
先週号のダイヤモンドにおいてドイツ証券の田中泰輔氏が見解を修正し
ドル円高止まりの可能性に言及し始めた。これは残念ながら悪い兆候である。
なぜ高止まりになるかの理論的根拠も弱いように拝読した。

当ウェブログでは氏の見識を最大限に高く評価しているが、
今回は「This Time is Different」となるかもしれない。

▽ こちら参照

『週刊ダイヤモンド』2013年 2/23号


「外国人頼みの東証は今月の高値を暫く超えられない可能性が高い。
 ここで「暫く」と言うのは概ね半年ほどと見ている」

「続伸のために必要なモメンタムが刻々と失われている」

「ドル円が100円にとの見通しもあるが時期が明示されておらず、
 絶対に信用して根拠なき楽観に溺れてはいけない」

「残っている材料は次期日銀総裁の人選だけになった。
 市場関係者が市況を最大限に好転させるために望む候補を国会が承認する筈はない」

と先週、先々週に書いた通りの展開である。


……今週も当ウェブログの見解は変わらない。

「年末に向けて緩やかな円安株高を予想してきたが、
 自民総裁が戦前の悪しき前例を想起させる粗野な発言をし始めたので
 海外スペックが大挙して動き、上昇の先食いとなる危険性が高まった」

「外国人の東証買いは本格化する」

「インデックスであれば中国株に勝つのは難しくない。
 勝手知った日本株にレバレッジをかければいいだけの話」

「金利差拡大がすぐに見込めないとしても、それを先取りして
 ドル円が大きく動き出す可能性があることは、認識しておいた方が良い」

「維新の会の戦略失敗が衆院選での自民の地滑り的勝利に繋がった。
 「悪い円安」の可能性が著しく高まったと言わざるを得ない」

「年明けに急激な円安と日経平均急伸が起きた理由は
 全くアベノミクスと関係ないことが明らかになった。
 田中泰輔氏の指摘されるように円は既に割安にオーバーシュートしている」

「今年の東証のピークが一気に前にずれてきており、
 セル・イン・メイがまた今年も有効になりそうな気配である。
 今の円安が急激であればある程、春以降の東証が厳しくなる筈だ」

「「今年は猿でも勝てる相場に」と騒ぎ始めた軽躁な者もいるようだ。
 はっきり言っておくが、今年に関してはそれはあり得ない。
 能天気なことを言っていると今年の半分以上を棒にふることになろう」

「為替も株式も見通しが悪かったところに米指標好転・米金利上昇が重なり、
 日本の金融緩和期待にユーロ圏の国債金利反転が重なった結果に過ぎない」

「西国債や伊国債の利回りが低下していることこそ現下のユーロ高の主因である」

「追い風が消えれば円や東証はすぐに急反落する。
 何年ぶりかの今の市場活況の足下が脆弱であることを銘記すべきである」

「メディアと政権の蜜月は、シベリアの夏のように儚く短い。
 新政権に対するご祝儀相場の終わりが近づいている、ということである」

「断言しておこう。小泉解散の時に大挙して東証を買った外国人投資家は、
 旧態依然のアベノミクスに対しては完全にそっぽを向く。
 今年夏の市況がその事実を証明するだろう」

目先の円安に幻惑され、日本の将来に不吉な影がかかっている。


以下の当ウェブログの見解はほぼ的中と言えるだろう。
ユーロ大反転はほぼ確定した。

ここで言うゴールドはドル建ての想定であり円建てでは高値だが、
金利も配当も付かないゴールドを持つ理由は全くないので修正する必要は感じない。

「ゴールドは「完全に終わった」と断言して良い」

「香港や上海市場を見ても分かるように、
 今の中国では内需主導で高成長を持続するのは不可能である」

「円安は明確に日本経済にとってポジティブである」

「ユーロ大幅下落は遠ざかったか、もしくは消えたと考える」

「ユーロ圏は深刻な経済悪化ではないだろうが停滞は必至」

昨年の予想通りドル円、ユーロ円が反転した。
今年は慌てさえしなければ豊穣の年となるだろう。


↓ EUR/JPY(ZAI)矢張り力なく下落している


↓ GBP/JPY(ZAI)英国債格下げが追い打ちとなって大幅下落


ドル円がはよく粘っているものの、クロス円はもう調整局面に入っている。
東証自体は堅調であるものの、見るからに足元は脆弱である。
迂闊にここから上値を追ってはいけない。


ドル93円前半、外債購入否定コメントで円買い(reuters)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE91J03U20130220
”東京外為市場午後3時のドル/円は、ニューヨーク市場午後5時時点に比べて、ドル安/円高の93円前半。1月貿易赤字や日銀総裁人事に関する報道を手掛かりに一時93.83円まで上昇したが、上昇モメンタムは高まらず、短期筋は朝方仕込んだ円売りポジションを昼までに解消した。
〔中略〕
 この日の市場では、読売新聞の日銀総裁人事をめぐる報道が話題を呼んだ。同紙は20日付朝刊で、総裁候補は岩田一政日本経済研究センター理事長、岩田規久男学習院大教授、黒田東彦アジア開発銀行総裁、伊藤隆敏東大教授の4氏に絞られたとの見方が有力になっている、と報じた。
 この報道では、市場が有力視し、財務省も支持しているとされる武藤敏郎大和総研理事長が外れている。市場では武藤氏なら円の買い戻しが進むとみられているため、報道は円売りのきっかけとなったほか、「首相と財務省の間に確執があるのではないか」(外銀)との思惑も招いた。
 もっとも、中長期的には誰が総裁になっても円安方向との見方も少なくない。ある国内証券関係者は「岩田一政氏なら円売り、武藤敏郎氏なら円買いと言われているが、当初の反応はそんなところだろう」としながらも、中長期的には「誰がなっても緩和方向にあるのは間違いなく、円安圧力がかかりやすい状況が続く」との見方を示した
  <外債購入否定で一致>
 財務省が発表した1月の貿易収支(原数値)は1兆6294億円の赤字と、1979年の統計開始以来、過去最大の赤字となった。赤字は7カ月連続。円安の影響が輸出より輸入により大きく響き、1兆円を超える大幅な赤字となった。
 日銀総裁人事をめぐる読売新聞報道や貿易赤字拡大を受け、ドル/円は一時93.83円まで上昇したが、勢いが長く続かなかったことから、朝方ドルを買った短期筋は一転してドルの投げ売りに転じ、ドル/円は93円前半に下落。午後の参院予算委員会で外債購入に否定的な発言が出たことも円を買い戻す要因となり、一時93.12円まで下落した。
 安倍晋三首相は午後の参議院予算委員会で、外債購入のための官民ファンド設立構想について「検討すると決めたのは昨年11月くらいで、大胆な金融緩和を打ち出し始めたところだ」とし、「検討の必要性は薄まっている」との認識を示した。さらに、大胆な金融緩和が軌道に乗っていること、3月に日銀人事が行われることなどもあり、必要性はなくなってきているとも指摘した。
 一方、麻生太郎財務相は前日の閣議後会見での外債購入を考えてないとの発言は日銀の政策手段に踏み込むことになるのではないかとの指摘に対し、「外債購入の話で私に質問があったので、する気はないと答えた。財務省としてということだ」と答えた。
〔中略〕
 在ニューヨークのバークレイズ銀行FXストラテジスト、逆井雄紀氏は「G20では日本が名指しされなかったとはいえ、G7声明で為替をターゲットにしないという日本に対する警告は市場に浸透してきている。麻生発言もG7の警告に対応したものだと考えられ、短期筋はドル/円を多少利食うという反応を示した」と指摘。日銀総裁人事などの新しい材料が出るまで、当面ドルは92―95円のレンジ内での推移となりそうだとの見方を示した。
 みずほ証券FXストラテジスト、鈴木健吾氏も足元のドル/円相場について「麻生財務相の発言が慎重になっていることもかなり意識されている」と指摘。「他の人からは100円まで容認する旨の発言が聞かれていたことから、相場はそれを受けてずっと走ってきたが、麻生財務相の発言をみて、95─100円程度が、実は90─95円程度なのかもしれないと思い始めている可能性がある」との見方を示した。”

週の初めからこのような重苦しい状況となった。
どんどん市場関係者がうなだれて下を向き始めている。
先週、当ウェブログが「G20は円安容認ではない」と警鐘を鳴らした通りである。
次期日銀総裁が発表されれば典型的な「材料出尽くし」になる。


景気懸念でユーロ下落、米緩和縮小観測でドル上昇=NY市場(reuters)
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYE91K06220130221
”21日のニューヨーク外国為替市場ではユーロが対ドルで6週間ぶり安値、対円でも3週間ぶり安値をつけた。2月のユーロ圏総合購買担当者景気指数(PMI)が弱かったことや、イタリア総選挙を週末に控え警戒感が広がったことが重しとなった。
 米連邦準備理事会(FRB)が予想より早期に緩和縮小に踏み切る可能性があるとの観測を背景にドルは幅広い通貨に対して買われ、ドル指数は5カ月半ぶり高水準をつけた。ただ、対円では下落した。
〔中略〕
 ユーロ/円も1.2%安の122.78円。1月下旬以来の安値となる122.23円まで売られる場面もあった。
 マークイットが発表した2月のユーロ圏総合PMI速報値は市場予想に反して前月から低下し、今後数カ月間に欧州中央銀行(ECB)が追加利下げに踏み切る可能性を残す格好となった。
 JPモルガンの欧州担当エコノミスト、デービッド・マッキー氏は、ユーロ圏は前進しているものの、過去1カ月のマクロ経済指標はおおむね期待外れだったとし、ECBによる利下げの理由に十分なり得るとの見方を示した。
 今週末のイタリア総選挙の結果次第でユーロ圏周辺国債の売りが広がる可能性があるとの懸念もユーロを圧迫した。
 イタリアの左派政党代表が同国は欧州連合(EU)財政協定の見直しを求めるべきと発言したことを受け、勝利が予想される中道左派勢力の左傾化によってモンティ首相率いる中道派との連立政権樹立が難航するとの懸念が高まった。
〔中略〕
 前日公表された1月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事録では、当局者の間で量的緩和プログラムのコストとリスクをめぐる懸念が強まっていることが示され、FRBが早期に緩和縮小に踏み切る可能性があるとの観測が高まった。
 ただ一部では、出口戦略をめぐるFRBの見解はなお固まっておらず、FOMC議事録を受けたドルの反応は行き過ぎとの声も聞かれた。
 ドル/円は0.5%安の93.04円。
 モルガン・スタンレーのストラテジストは、今月12日につけた92.90円近辺がドル/円の下値になる公算が大きいと指摘し、その後は再び94.50円近辺の水準を試す展開になるとの見方を示した。”

こちらユーロ圏PMIが悪化した木曜夜の状況。
「ユーロ圏の経済回復に暗雲が漂っており、ダウンサイドリスクを見ておくべきだ」
と先週に当ウェブログが指摘した通りの展開である。


NY外為市場=ユーロ/ドル下落、予想下回るECB資金返済予定額が重し(asahi.com)
http://www.asahi.com/business/reuters/RTR201302230021.html
”22日のニューヨーク外国為替市場では、ユーロが対ドルで一時6週間ぶり安値をつけた。欧州中央銀行(ECB)が公表した長期流動性オペ資金の返済予定額が予想の半分以下となったことや、イタリアの総選挙を控え不透明感が広がったことが重しとなった。
〔中略〕
 ECBによると、第2弾の期間3年流動性供給オペ(LTRO)資金の初回繰上げ返済は総額611億ユーロとなる見通しで、市場予想の1300億ユーロを大きく下回った。
 コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの首席市場アナリスト、オマー・エシナー氏はこれについて「ECBのバランスシート縮小が予想より遅いペースにとどまることを意味する」と述べ、「ユーロ圏の回復に対する信頼感が一段と損なわれる」との見方を示した。
 今週末のイタリア総選挙をめぐる不透明感から、同国の銀行が返済を見送った可能性があるとの指摘も聞かれた。

 イタリア総選挙の行方をめぐっては、中道左派を率いるベルサニ氏が改革推進に必要な安定多数を確保できるかどうかアナリストの見方が分かれており、投資家の間では政権基盤の不安定化やベルルスコーニ前首相復活などの可能性が不安視されている。
 欧州委員会がユーロ圏は2013年もマイナス成長になるとの見通しを示したこともユーロを圧迫した。

〔中略〕
 一部の市場関係者は、イタリア総選挙の結果が来週判明するまでユーロはじり安で推移すると予想する。ただ下値は1.3040ドル付近で抑えられる見通しとしている。
 円はドルとユーロに対して売られ、ドル/円は0.3%高の93.39円、ユーロ/円も0.3%高の123.12円。
 米当局者がこれまで特に円安を批判していないことについて、日興アセットマネジメントの首席グローバルストラテジスト、ジョン・ベイル氏は「(米当局者に)この水準まで円安を容認する用意があるということかもしれない」と述べ、「95─105円が意図されたレンジというのが私の印象だ」と語った。
 ムーディーズ・インベスターズ・サービスはこの日、英国債格付けを「Aaa」から「Aa1」に引き下げた。中期成長見通しの弱さが理由とし、成長低迷は数年続くとの見方を示した。〔以下略〕”

金曜日にはユーロとポンドに悪材料が炸裂した。
ただこれは事前にチャートが警戒信号を発していたように思う。
イタリア総選挙も市場関係者が苛々するような混沌とした情勢になりつつある。
ダウが上昇しても週明けの明るさが全くイメージできない。

    ◇     ◇     ◇     ◇

注目銘柄。言う迄もなくポジションはショートに傾いている。
野村證券が富士重工を「買い」に格上げしたが、余りにも遅過ぎると思う。
先月中に見直すべきだった。五月頃には止むなく引き下げを強いられる可能性がある。

 ↓ 新日鐵住金(Rakuten.sec) 順当に下落中


 丸紅(東証一部 8002) 404 → 437 / 453 → 587 / 450 → 587
             542 → 608 / 494 → 577 / 540 → 577
             541 → 602 / 529 → 602 / 489 / 518

 トーセイ(東証二部 8923) 25,170 → 59,300

 富士重工(東証一部 7270) 467 → 670 / 573 → 1,283

 東京建物(東証一部 8804) 298 → 312 / 277 → 413

 サンフロンティア不動産(東証一部 8934) 61,600 

 ユナイテッドアローズ(東証一部 7606) 1,044 → 1,215
                     1,087 → 1,284
                     1,146 → 1,526
                     1,341 → 1,752
                     1,906

 竹内製作所(JASDAQ 6432) 636 → 1593 / 743 → 1,672

 マツダ(東証一部 7261)  232 → 306 / 178 → 275 / 87 → 217 / 130

 昭和シェル石油(東証一部 5002) 987 → 1059 / 966
                  716 → 723 / 688

不動産流動化関連と昭和シェルが健闘している。

 ↓ 昭和シェル(Rakuten.sec) このタイミングでの上昇は全く予想していなかった



不動産価格の抑制策強化=香港政府、バブルを警告(時事通信)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130223-00000059-jij-cn
”【香港時事】香港政府は22日夕、不動産価格の抑制策を強化すると発表した。香港の不動産は各国の金融緩和の影響によるホットマネーの流入で高騰が続いており、曽俊華財政官(閣僚)は記者会見で「バブルのリスクが増大している」と警告した。
 香港政府は今回、不動産取引から徴収する印紙税の最高税率をこれまでの2倍の8.5%に引き上げた。ただ、新税率は1件目の個人購入には適用されない。また、政府は店舗など非住宅物件についても課税を強化する可能性を示唆した。”

週末の気になる報道はこちら。
毎年毎年期待を裏切り続けてきた中国株にはどうしても強気になれない。
401kに僅かに残っていたBRICS投信(日本株にアンダーパフォーム)はバッサリ処分した。

『日経会社情報 2013-I 新春号』


    ◇     ◇     ◇     ◇

  【 いとすぎの為替ポジション 】

予想通りクロス円が下を向き始めた。
先週と同じく「深押しはないかもしれないが細めにショートすべき市況」との判断。

 2013/02/13 124.85 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)

    現在 > 123.18 ユーロ/円(損益111%)← 今年の損益率
         141.59 ポンド/円
         93.38  米ドル/円

 ◎ 2012年の損益率(手数料等除外)> 142%
 ◎ 2011年の損益率(手数料等除外)> 138%
 ◎ 2010年の損益率(手数料等除外)> 147%
 ◎ 2008年秋~09年末の損益率(手数料等除外)> 353%

  ▼ ポジション解消済み
 2013/02/08 125.97 EUR/JPY Lev ×1.5
 2013/01/24 120.99 EUR/JPY Lev ×1.5
 2012/12/26 136.78 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/12/21 136.36 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/12/12 132.76 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/11/29 131.44 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/11/09 126.37 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/11/02 83.12 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/10/25 128.91 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/10/18 127.47 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/08/29 81.23 AUD/JPY Lev ×1.5
 2012/09/12 125.27 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/07/27 81.86 AUD/JPY Lev ×1.5
 2012/08/15 123.83 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/07/20 95.50 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/07/13 123.21 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/07/06 97.98 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/06/29 125.19 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/06/21 100.82 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/06/14 123.27 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/06/07 99.03 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/06/01 120.02 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/05/23 100.68 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/05/14 102.44 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/05/11 128.50 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/04/27 106.60 EUR/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/04/19 130.30 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/04/13 128.88 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/04/06 84.02 AUD/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/03/30 132.57 GBP/JPY Lev ×1.5 (ショート)
 2012/03/22 85.75 AUD/JPY Lev ×1.5
 2012/03/13 128.51 GBP/JPY Lev ×1.5
 2012/03/13 83.48 CAD/JPY Lev ×1.5

 …以下省略…

「資源国通貨は底打ちしました。
 豪中銀は政策金利を引き上げ始めており、
 豪ドルは緩やかな上昇トレンドに入っています」

豪ドルは上に抜けた。新しいレンジ圏に入ったと想定。

クロス円もドル円も米金利上昇に加え、ユーロ大反転で新しいステージに入った。
完全な底打ちと判断できるが、当面の頭打ちが見えてきた。

基本的に下向きだが要人発言や指標に注意。ポジションを大きく傾けないこと。

※ くれぐれも投資家各位で御判断下さい。
※ このウェブログを参考とし、めでたく投資収益を得られた方は、
  収益への課税分を社会に貢献する組織・団体に寄付して下さい。
  (当ウェブログのこちらのカテゴリーも御覧下さい。)
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